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ボーム&メルシエという時計ブランドをご存知でしょうか。世界で6番目に古く、伝統的なスイス時計、それもドレスウォッチをメインとするブランドです。 ロレックスやオメガほどの知名度はないものの幅広いデザインと機能での展開、リーズナブルな価格帯は一流ブランドにもひけをとりません。この記事ではボーム&メルシエの歴史、魅力、人気シリーズ、着用している有名人と人気モデルについてまとめます。 1.ボーム&メルシエの歴史 出典:Baume & Mercier 1-1.1830年スイスジュラ地方でボーム兄弟により創業 ボーム&メルシエは世界的に見ても非常に長い歴史を持ったブランドです。1542年にスイスジュラ地方にあるレ・ボワ村でボーム家が時計製造の下請けを始めたことから始まります。1830年ボーム家のルイ=ヴィクトール・ボームとピエール=ジョセフ・セレスタン・ボームが家族の名前を冠したブランドを立ち上げます。 「何も見のがさない。最も優れた品質の時計だけを作る」「完璧なものしか認めない。最高品質の時計しか製造しない」をモットーに始めたブランドでしたが、積み上げた歴史による技術と商才により、2人の事業はすぐに大きく成長していきました。1840年に開発したシリンダー脱進機のレピーヌキャリバーは懐中時計を薄くすることを実現し、技術の高さが注目を浴びました。 2人が次なる可能性を感じたのは海外市場でした。1851年にボームブラザーズ社をロンドンに設立。ロンドンを拠点に欧州、アジアへ進出していきました。ここを拠点に活動を拡大し、19世紀末には世界的に知られるブランドとなっています。 1885年にはロンドンのキュー天文台主催のクロノメーターコンクール「キュー・テディントン・コンクール」に初参加した際には、いくつもの賞を獲得しています。1892年にはトゥールビヨン搭載の懐中時計が100点満点中91.9点の歴代最高得点を叩き出し、この記録は10年以上破られることはありませんでした。ボームブラザーズは高い精度の時計を生み出すブランドとしての立場を確立していきました。 1-2.1918年ウィリアム・ボームとポール&メルシエにより、ボーム&メルシエが誕生 1918年創業者の孫ウィリアム・ボームが実業家ポール・メルシエに出会い共同で事業を進めることとなり、ブランド名を現在のボーム&メルシエへ変更し、時計産業の中心地であるスイスジュネーブに拠点を移します。翌年1919年にはジュネーブの高級時計委員会から世界的権威となるジュネーブ刻印を受けました。 この頃から世の中のトレンドが懐中時計から腕時計へと移り変わっていっているのを感じたボーム&メルシェは、高い精度の複雑時計から女性が好むラグジュアリーウォッチへと軸を変えていきました。1930年、初のメンズ用レクタングラーウォッチを発表。現在のハンプトンのルーツとなる時計です。これが大ヒットし、映画俳優や政治家が好んで着けたことで世界的なトレンドセッターとして格付けされていました。 1940年代後半には女性解放運動で激動の時代を生きる女性の願いを表したとされるマルキーズを発表。アールデコの思想が反映されたモダンなデザインは話題となりました。マルキーズは現在の女性向けモデルのルーツとなる存在です。 1950〜1960年代からボーム&メルシエはギリシャ文字で均衡をあらわす「Φ(ファイ)」のロゴを商標を獲得し、使用するようになりました。現在のラウンド型モデルが着想を得ている時計が多く発表されたのもこの頃で、ムーンフェイズやトリプルカレンダー、クロノグラフなど多くの銘品がつくられました。 1-3.1988年リシュモングループ傘下へ ボーム&メルシエは機械式時計が苦しんでいる時代でも足を止めませんでした。1970年代にもギャラクシーやスターダストといった斬新なモデルを発表し、バーデンバーデン国際ウォッチ装飾コンクールのゴールデンローズ賞など栄誉のある賞を獲得しています。1973年には現在のリビエラのオリジナルモデルを発表。ステンレスケースのラグジュアリースポーツウォッチとして、トレンドをしっかり掴んでいました。 1988年にはリシュモングループの前身となるヴァンドームグループへ参画しました。確かな資本を得たことで、さらに躍進を続けます。1994年にレクタングラーウォッチシリーズハンプトンを発表。1998年にはヴィンテージな雰囲気をまとったクロノグラフを中心としたケープランドを発表しています。 ボーム&メルシエは時代の流れに沿った変化を恐れないブランドです。懐中時計で絶対的な精度を誇るブランドとして名声を得た頃にトレンドは腕時計への移り変わっているのを感じ、女性向けへシフトしましたが、当時ボーム&メルシェの高精度の時計の愛好家からの反発がありました。 しかしラグジュアリースポーツモデルのトレンドにはすぐ乗るなど、変化を恐れないマインドをもったブランドだからこそ、これまでの長い歴史で一度も休業にならずに続けてこれていると言われています。現在ではリーズナブルな価格で高いスペックの時計をつくるブランドとしてのポジションを確立していますが、自社製ムーブメントの開発に成功したことでさらなる変化が今後見込まれています。 2.ボーム&メルシエの魅力 出典:Baume & Mercier 2-1.世界で6番目の古さから生まれる伝統的スイス時計 ボーム&メルシエは前述の通り、非常に長い歴史を積み重ねてきたブランドです。世界で6番目に古い高級時計ブランドと言われており(各ブランドの解釈によって多少前後します)、世界的に見ても古参といえるでしょう。 そんなブランドが発表する時計としては、クリフトンやクラシマのような伝統的なスイス時計というのは期待通りといえるラインナップです。同じように古参となるブランパンやヴァシュロン・コンスタンタンといった古くから活動しているブランドはいずれも伝統的なスイス時計をしっかり継承していくことをモットーとしているケースが多いです。 ボーム&メルシエは同じように伝統を守っていくことも大事にしながらも、チャレンジを恐れないマインドをもつブランドです。古参でありながら、伝統的なスイス時計とその枠にとらわれないスピリッツをもっています。 具体的には高精度な懐中時計からラグジュアリーなレディースモデルへのシフト、機械式時計が苦戦していた時期には流行となったラグジュアリースポーツモデルの発表、直近ではリーズナブルな価格な自社製ムーブメントの発表など、幅広く方針の切り替えを行っています。 歴史の長いブランドほど伝統と歴史を重視しますが、ここまで変化に柔軟なブランドも珍しいです。これからの進歩が非常に楽しみなブランドの一つです。 2-2.クラシカルなドレスウォッチに絞って展開されている ボーム&メルシエは伝統的なスイス時計に絞って展開されています。現行ではクリフトン、クラシマ、ハンプトン、リビエラの4種類と少なめで、どれもクラシカルなドレスウォッチです。 最近でこそクリフトンクラブやリビエラのようにラグジュアリースポーツ寄りのデザインが展開され始めました。まだまだシリーズ化して日が浅くデザインや機能の幅も狭いですが、クリフトンやクラシマといった現行のシリーズはベースのデザインはありつつも、機能やカラーリングを複数展開することで選ぶ楽しみを演出しています。また、自社製ムーブメントの開発に合わせてスケルトン文字盤も発表され、クラシックを軸としつつも新たなデザインを発表していくと見られています。 2-3.機能、デザインが豊富で価格がリーズナブル ボーム&メルシエはクラシカルなドレスウォッチに絞り込みながらも、ケープランドのようなヴィンテージウォッチを思わせるモデルから、リビエラのように現代的なエッセンスがしっかり感じられるモデルまで、機能やデザインは幅広く展開されています。2018年以降自社製ムーブメントを展開するようになり、パーペチュアルカレンダーも発表されています。 ボーム&メルシエはリーズナブルな価格でも有名です。 伝統的スイス時計であるにもかかわらず、なぜ安い値段で展開されているのでしょうか? その理由は『信頼できる価値を適正な価格で提供する』をコンセプトに腕時計を作っているためです。2017年までETA製ムーブメントを使い、デザインや機能をメインとして腕時計製造をしていたことから価格は控えめに設定されていました。また、2018年以降は自社製ムーブメントを開発したことで30万円台から手に入れることができるようになっています。自社製ムーブメントの普及価格化が世界的な流れとなる中、最先端をいく動きです。 3.ボーム&メルシエの代表シリーズ 3-1.クリフトン 出典:Baume & Mercier クリフトンはボーム&メルシエを代表するアイコン的存在となるシリーズです。偶数のアラビアインデックスと曲線的なケースデザインの伝統的なスイス時計をベースにしています。クロノグラフ、トリプルカレンダー、コンプリートカレンダー、GMTなど幅広く機能展開されており、ボーム&メルシェの軸足となる存在です。最新では自社製ムーブメントのボーマティックを搭載したモデルも次々と発表されており、ハイスペック・リーズナブルを得意とするボーム&メルシェの特徴がさらに色濃く出る展開となっています。 ボーマティック10467は今最も魅力的なモデルの一つです。使いやすい40mmケースサイズ、グラデーションのかかったブルー文字盤、端正なバーインデックス、自社製ムーブメントボーマティックを搭載しており、パワーリザーブ120時間、スイスクロノメーター検定取得と実用する点で必要なスペックが高い基準で網羅されています。 3-2.クリフトンクラブ 出典:Baume & Mercier クリフトンクラブはボーム&メルシエを代表するシリーズのクリフトンをベースにスポーツウォッチのテイストを強化したシリーズです。ラウンド型のケースに沿うラグの形状や文字盤はコンサバ気味で癖のない雰囲気はクリフトンのDNAを継承しています。 クリフトンはクラシカルな雰囲気のためにケースサイドに沿うカーブがついたベゼルもしくは段付きのステップベゼルですが、クリフトンクラブはフラットな回転ベゼルを採用しています。ダイバーズウォッチに見られる計測地点から15分が一目でわかる目盛りや、その始点と秒針だけがオレンジ色で目立つようにしてあるなど、ラグジュアリースポーツというよりもダイバーズウォッチに近いテイストをもっています。 2017年〜2018年でしか発表されず短期でディスコンとなってしまったシリーズですが、世界観はリビエラに引き継がれたといえます。テスト的にクリフトンクラブである程度の人気を確認したことで、単体でシリーズ展開することを検討したのではないかと思われます。 3-3.クラシマ 出典:Baume & Mercier クラシマはいわゆるクラシックなスイス時計の雰囲気をもったシリーズです。ローマンインデックス、ケースに垂直に配置されたラグ、細身のリーフ針などこれもまた王道のスイス時計のデザインを踏襲しています。 比較的コンサバで癖の少ないクリフトンに対し、クラシマはクラシックを主軸としたデザインで、機能や文字盤カラーは絞り込まれています。文字盤カラーはほぼ白でギョーシェが効いたデザインが多く、クロノグラフや文字盤の一部分をスケルトン化したモデルやジャンピングアワーなど機能もクラシックにかなり寄っています。 最新モデルではそれらのレッテルを剥がすようにアラビアインデックスを採用したり、グレーやパープル文字盤などかなりチャレンジャブルなデザインを発表しています。自社製ムーブメントなどスペックと高級感を強化していたクリフトンに対し、クラシマはライトで多くのユーザーに手に取りやすい価格、デザインへの拡大をねらった展開となっています。 3-4.ケープランド 出典:Baume & Mercier ケープランドは1948年発表のクロノグラフ搭載モデルにインスピレーションを得て作られたシリーズです。初代モデルから継承したテレメーターとタキメーターを搭載したデザインが主で、ヴィンテージウォッチのような雰囲気が楽しめます。アメリカのスポーツカーブランド「シェルビーコブラ」とコラボレーションし、よりスポーティーに仕上がったモデルは高い人気となっています。 クロノグラフをメインとしながら、3針やワールドタイムなどのモデルも一部発表されています。クロノグラフではリーフ針をメインとしますが、3針やワールドタイムではブレゲ針を採用するなど、デザインの幅を拡げています。 2017年にディスコンとなったシリーズですが、翌年2018年にボーム&メルシエの日本上陸50周年記念としてケープランドクロノグラフが発表されるなど、人気が衰えないシリーズです。 3-5.リビエラ 出典:Baume & Mercier リビエラはボーム&メルシエのラグジュアリースポーツシリーズです。初登場は1973年で、当時流行したラグジュアリースポーツウォッチの流れをくむものでした。12角形のベゼルが特徴的で、時代の先をいくデザインとして評価されていました。 2021年にリビエラは復活を遂げ、オリジナルモデルのDNAを確かに継承しつつも現代的なテイストへ調整されています。山と海(水と石の衝突)をモチーフにした文字盤、ベゼルの4つのビス、当時はタブーとされていたラバーストラップの採用、裏蓋のスケルトン化によるムーブメントの鑑賞など、シルエットは1973年当時のものを思わせますが、最新の技術・センスによって再スタートをきりました。 さらに自社製ムーブメントのボーマティックを搭載したリビエラ ボーマティックにも注目が集まっています。使いやすい5日間のパワーリザーブ、高い精度による歩度調整、耐磁性、メンテナンスの頻度は5年に一度といった高スペックでありながら、価格はリーズナブルに抑えてあります。高いコストパフォーマンスに定評のあるボーム&メルシエらしい新作となっています。 3-6.ハンプトン 出典:Baume & Mercier ニューヨーク郊外の高級保養地ハンプトンからインスピレーションを得て制作されたハンプトン。アールデコ様式のレクタングラーケースが特徴で、クラシマのように様々なデザインや機能のベースになることが多いシリーズです。2針・3針モデルはスラっとした長方形ケースで、デュアルタイムやクロノグラフといった機能付きモデルでは正方形に近いケースが主となっています。 文字盤デザインとしてはシンプルなクラシック。文字盤のカラーは白、黒がほとんどでごく一部のモデルだけブルーやコッパーが採用されています。ギョーシェが所々に使われていたり、剣針を採用するなど伝統的なスイス時計。レディースでも展開されているので、年齢層や性別に関係なくペアウォッチとして選ばれることもあります。 3-7.プロメス 出典:Baume & Mercier プロメスはレディース向けのラウンドタイプのシリーズです。少し楕円気味なラウンド型のケースに直線的なラグの組み合わせで、まるでブレスレットのような印象。シンプルな2針、3針とムーンフェイズ付きが展開されています。ベゼルはあえて肉厚にしホワイトMOPやダイヤモンドをセットすることで、よりインパクトのあるデザインとなっています。 よりシンプルで小さなケースサイズのプティプロメスシリーズも展開されています。デザインはプロメスと大きく変わり有りませんが、プティプロメスはインデックスは12と6だけにし、ミニマルな印象の文字盤です。 3-8.リネア 出典:Baume & Mercier リネアはレディース向けのラウンドタイプのシリーズです。リネアはケースとラグが一体化しており、ケースの丸からスムースにラグとなるため幅広な印象です。多くのモデルでベゼルにアラビアインデックスが書かれており、それとは別にドットインデックスやバーインデックスがあるため大きめに見え、インパクトのある文字盤となっています。 おおまかに3針とクロノグラフモデルに分かれています。クロノグラフモデルのインダイヤルは2時位置、6時位置、10時位置に配置されており、ヴィンテージで見られるようなデザインです。専用のブレスレット、ストラップが必要となりますが、ストラップ交換が簡単にできる機構となっているため、服装に応じて自分で変えられる楽しみ方も可能です。 4.ボーム&メルシエを着けている芸能人・有名人 4-1.俳優:坂上忍 俳優 坂上忍さんが着けているのはクリフトン オートマティック Ref.MOA10139です。坂上さんがクリフトンの他に着けていると見られているのはスイス時計を代表する伝統的な角型モデルパテック・フィリップのゴンドーロです。 Ref.MOA10139は2013年に発表されたクリフトンの自動巻き3針モデルです。オーソドックスな3針日付表示付きのスイス時計で、ステンレスケースとゴールドのベゼル、ゴールドの針とインデックスの組み合わせで、昔ながらの美しさが特徴です。シースルーバックになっており、ムーブメントの動きは裏面から楽しむことができます。 4-2.俳優:三浦友和 俳優 三浦友和さんが着けているのはクリフトン オートマティック Ref.MOA10141です。三浦さんはロレックスデイトジャストやIWCヨットクラブなど、シンプルなクラシックデザインの時計を着けていることが多いようです。大御所やベテランの役を演じることが多いためか、安定感のあるクラシックウォッチを選んでいると思われます。 Ref.MOA10141はクリフトンの2013年発表モデルで、機械式時計の最盛期である1950年代のモデルをモチーフにしています。12、2、4、6、8と偶数のアラビアインデックスと針だけはゴールドカラーになっており、クラシックな印象に仕上がっています。純正のブレスレットはポリッシュがかかった5連のため、繊細な美しさをもつ印象の一本です。 4-3.俳優:佐藤浩市 俳優 佐藤浩市さんが着けているのはハンプトンクラシック XL Ref.MOA10027です。佐藤さんはロレックスデイトジャストやIWCポートフィノなど、格式高いクラシックウオッチを主に着けているようです。 Ref.MOA10027はスクエアケースが特徴のハンプトンの太めの長方形XLシリーズです。サンレイのかかった黒文字盤にオールアラビアインデックス、四角いインダイヤルなど、よく見るとこだわりの深いデザインとなっています。ケースを横から見るとケースバック、ラグは腕に乗せたときのすわりがいい形状となっており、実用性の高いシリーズとなっています。 4-4.俳優:斎藤工 俳優 斎藤工さんが着けているのはクラシマオートマティック Ref.M0A10453です。斎藤さんはブライトリングやハミルトン、タイメックスなどパイロットウォッチを多く着けているようです。 Ref.M0A10453はクラシマオートマティックの黒文字盤です。12、3、6、9のローマンインデックスに鋭いリーフ針、丸みを帯びたベゼルなど、王道のクラシックウォッチのデザインです。過不足のない機能、デザインは流行り廃りがなく長く使うことのできる時計として愛されるものとなっています。 5.ボーム&メルシエのおすすめモデル5選 5-1.クリフトンクラブ クロノグラフ Ref.MOA10435 Ref.MOA10435はボーム&メルシエのアイコン的存在のクリフトンをベースにスポーツウォッチとして調整されたクリフトンクラブのクロノグラフモデルです。マットブラックの文字盤にオレンジのクロノ針の組み合わせがスポーティーです。 ブラックの文字盤にブラックのベゼル、見返しはアイボリー、縦2つ目のクロノグラフとなっており、ヴィンテージ感とスポーティーが同居したデザインです。ケースサイズは44mmと大ぶり。クロノグラフを搭載しており厚みもそれなりにあるため、大振りな時計が好みな方にぴったりの一本です。 5-2.クラシマ エグゼクティブ オートマティック Ref.MOA08689 出典:Baume & Mercier Ref.MOA08689はボーム&メルシエの中でも振り幅の大きいクラシマの一本です。機能としてはシンプルな3針ですが、文字盤の一部分をスケルトンにすることでムーブメントの動きを見ることができるデザインとなっています。ブランドによってオープンハートあるいはハートビートと名付けられているものと同じ機構です。 ケースサイズは42mmと大きめなので、ムーブメントの動きも大きめに見えます。黒文字盤にローマンインデックスと重厚に見えるデザインですが、スケルトン化によって少し軽くなった印象。リーフ針やギョーシェなど、伝統的にクラシックウォッチに使われるデザインを採用しているので、王道な一本に仕上がっています。 5-3.クリフトン ムーンフェイズ Ref.MOA10057 Ref.MOA10057はクリフトンのトリプルカレンダーモデルです。12時位置に曜日と月、6時位置にムーンフェイズ、文字盤外周にポインターデイトとなっています。偶数のアラビアインデックスは植字になっており立体感を引き出すポイントとなっています。機械式時計の全盛期だった1950年代を思わせる雰囲気です。 文字盤はサンレイ仕上げのブルーが現代的なニュアンスを感じます。裏蓋はシースルーバックのため、ムーブメントの動きを楽しめるようになっており、古典的な機能を搭載しつつも現代的なエッセンスで仕上げられています。機能としては他のブランドでも見かける王道といえるものですが、比較的リーズナブルな価格設定やクラシックなデザインのまとめ方は、スイス時計に長く携わってきたボーム&メルシエらしい仕上がりです。 5-4.リビエラ ボーマティック Ref.M0A10701(2022新作) Ref.M0A10701は1973年発表のリビエラに自社製ムーブメントを搭載して復刻させたモデルです。オリジナルモデルに忠実な12角形ベゼルを採用しつつ、新たにベゼルの4つのビスやファイのロゴをエンボス加工した8角形のリューズなど、現代的にアップデートされています。ベゼル、エッジ、ケースはサテン仕上げとポリッシュ仕上げのコンビネーションによって立体的に表現されています。 文字盤はブルーのスケルトンで、ムーブメントや日付ディスクが透けて見えます。針も縁だけを残し軽量化されており、自社製ムーブメントでありモデル名にもなったボーマティックは10時位置に控えめに書かれています。 自社製ムーブメントのボーマティックは5日間のパワーリザーブ、高い精度による歩度調整、耐磁性、メンテナンスの頻度は5年に一度といったハイスペックぶり。キャンバス地のストラップなど、高級感を出しながらも、重厚感ではなく日常的に使えるラフな時計として使うことを想定するようなデザインに仕上がっています。 5-5.ハンプトン Ref.M0A10666(2022新作) 出典:Baume & Mercier Ref.M0A10666(2022新作)はレクタングラーケースが特徴のハンプトンの2022年新作モデルです。12時位置に1の位と10の位の窓が別にあり視認性の高い日付表示ビッグデイト、6時位置のインダイヤルで、太陽と月の絵が回転して昼夜の判別がつくデュアルタイムを搭載しています。 文字盤はグレイン仕上げのオパリンスレートグレーダイヤルで、文字盤中央と外側で仕上げに変化をつけています。12のアラビアインデックスとそれ以外のバーインデックスは植字で立体的です。昔ながらのレクタングラーの王道のデザインとなっており、真新しさはないもののボーム&メルシェの得意とする王道のスイス時計を体現するモデルです。 6.まとめ ボーム&メルシエの歴史、魅力、代表シリーズ、有名人と人気モデルについてまとめました。伝統的なスイス時計を体現したブランド、リーズナブルなラインでコンパクトにまとまったブランドという印象をもつ方が多いですが、実際にはチャレンジ精神に溢れ、ハイスペックなモデルやテイストの変更にも果敢にトライしています。今後どんなチャレンジをするのか楽しみなブランドです。 関連記事はコチラ 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チャペックがパテック・フィリップの前身にあたるブランドであることは時計愛好家の間では有名です。そして高級時計ブランドとしては初のクラウドファンディングにより復活したブランドとして世間に評価されるようになりました。水平分業やクラファンなど独特なスタイルですが、実際の時計はいずれも最高峰のデザインと技術の結晶です。 この記事ではチャペックの歴史、魅力、代表シリーズ、オリジナルの機構やデザイン、おすすめのモデルについてまとめました。 1.チャペックとは 出典:Czapek チャペック(Czapek)は、スイスの高級時計ブランドで、時計史における特別な存在感を持つブランドです。その創業者であるフランソワ・チャペック氏は、19世紀に活躍した伝説的な時計師の一人であり、かつてパテック(Patek)の共同創設者として名を馳せました。独立後、チャペックはその独自性と卓越した技術を活かして、世界中の王侯貴族や名士たちを魅了する時計を手掛けてきました。 ブランドの特徴は、伝統的な時計製造技術を重んじながらも、現代的な美意識を取り入れている点です。繊細なギョーシェ装飾や、絶妙なカラーバランスの文字盤など、時計そのものがアートピースのような存在感を放ちます。また、チャペックは時計愛好家やコレクターからも高い評価を受けており、独立系ブランドとしての品格と革新性を両立しています。 次章では、チャペックがどのような背景で誕生し、時計業界においてどのような足跡を刻んできたのか、その歴史を詳しく紐解いていきます。チャペックの深い魅力を知ることで、より一層その価値を感じていただけるはずです。 2.【パテック・フィリップのルーツ】チャペックが歩んだ歴史。 出典:Czapek 2-1.パテック・フィリップの前身としてCzapek&Cieを設立。 チャペックはフランソワ・チャペックによって興されたブランドです。チャペックは1811年に旧ボヘミアのセモニッツ(現チェコ共和国)に生まれ、ロシア支配に対する1830年の反乱「11月蜂起」後に時計職人としてワルシャワへ逃亡しました。ジュネーブでアントワーヌ・ノルベール・ド・パテックと出会いました。パテックもポーランドの貴族の家に生まれ、チャペックと同じように11月蜂起後にジュネーブに落ち着いたのでした。 1839年に6年限定で共同事業会社パテック・チャペック社を設立。後にパテック・フィリップの源流となるブランドでした。役割分担がハッキリしており、パテックがセールスや管理、チャペックが時計製造を担っていました。契約期限となる1845年の1年前にパリ博覧会に出店すべく現地を訪れた際に時計師ジャン・アドリアン・フィリップと出会い意気投合。 翌年1845年にフィリップの参加と合わせるようにチャペックはパテック・チャペック社を去りました。この時社名はパテック社に変更し、1851年にはパテック・フィリップ社に再度変更しています。その後チャペックは新パートナーとなるユリウシュ・グルツェフスキーと共に1845年にチャペック社を設立しました。 2-2.1869年チャペックの消息が不明 チャペック社は大きな繁栄を収めました。1850年に後にブランドのアイコン的デザインとなる懐中時計No.3430を製作し貴族に愛用されました。皇帝ナポレオンの宮廷時計職人となり、ジュネーブとパリのヴァンドーム広場にはブティックを、ワルシャワにはアトリエを所有していました。 初のポーランド語による時計技術解説書『Zegarmistrzowstwie』を著していますが、1869年以降チャペックは第二巻を出版する前に消息をたっています。この後2012年の再設立までブランドは休眠状態にありました。 2-3.2015~2017年クラウドファンディングにより復活 休眠から一世紀以上先の2012年にザビエル・デ・ロックモーレル、ハリー・グール、時計師のセバスティアン・フォロニエの3人によってブランドは蘇りました。キッカケはハリー・グール氏で、2001年にパテック・フィリップでチャペックの存在を知ったことに始まります。 彼の父の友人の伝手でラグジュアリーブランドに精通したザビエル氏と知り合ったことでブランドの創立に向けて動き出します。最初の問題として挙がった財務問題を時計業界初となるクラウドファンディングで乗り越えました。家族や知人、友人から始まり投資の意思がある人を集め、約2億2800万円の資金調達を果たしました。 2015年に復活第一弾として発表されたケ・デ・ベルクは懐中時計No.3430を範とした4:30、7:30位置のサブダイヤルが特徴で、ムーブメントも新たなに開発したCal.SXH1を搭載しました。 それ以降もプラスヴァンドーム、フォーブル・ド・クラコヴィと新作を発表し、2020年に発表したアンタークティックは2022年あまりの人気に生産が追いつかないほどとなっています。2023年にはスケルトンデザインが特徴的な『アンタークティック・レヴェラシオン』が新作として発表されました。ムーブメントがダイヤル側に配置されていることによって、着用する人にワクワク感を与えてくれます。定価は約700万円超という高い値段ではありますが、今後リセール率の高い腕時計になると筆者は予想します。 チャペックは復活したてのブランドのため、まだまだ発展途中です。今後様々なシリーズが発表されていくのが楽しみです。 3.チャペックの魅力 出典:Czapek 3-1.同じヌーシャテル州内での水平分業による最高峰の技術 チャペックは時計業界では珍しい水平分業のスタイルの会社です。水平分業とは針、文字盤、ケースなど各パーツメーカーごとに購入し、組み立てる方式です。ブランドの中でも普及品や入門シリーズなど、比較的リーズナブルなモデルに対しては各部品メーカーからの購入品を使うケースが多いです。 反対は垂直統合ですが時計業界ではマニュファクチュール、自社一貫生産と表現することが多いです。マニュファクチュールでは設計から組み立てまですべての部品や工程を自社および関係社だけで行うことです。時計業界ではマニュファクチュールに重きを置いているブランドが多く、自社一貫体制で生産することで一つのモデルへのこだわりを強く反映させることができます。 では水平分業ではこだわりを投影できないのかというと、決してそういったことはありません。チャペックではヌーシャテル州内で最高峰の技術をもった各サプライヤーの部品を買い付け組み合わせることで最高品質の時計をつくりだしています。サプライヤーとの共同開発や、長い期間取引を行うことで強い信頼関係の下でパーツがつくれるなら、マニュファクチュールと条件は同じです。 3-2.ケース・文字盤共に独特な世界観による美しさ チャペックの時計はどれも独特な世界観をもっています。アイコンシリーズとなるケ・デ・ベルクは海中時計を思わせるゆったりとしたクラシックなモデルで構成されていますが、文字盤のカラーバリエーションは赤・緑・黒・青だけでなくエナメルなど幅広い展開がなされています。 プラスヴァンドームはオフセンターされた時分針のダイヤルが特徴で、サブダイヤルからはトゥールビヨンが見えるため機械式時計の魅力をメカニカルに伝えようとするデザインです。アンタークティックは南極大陸の名前をもっており、ヴァーニッシュ仕上げで深淵を意味するアビス、オリオン星雲を意味するオリオン・ネビュラなど、復活して間もないこともあり、世界観が固まり切っていないような印象です。逆にいえばブランドの柱をこれからつくりだしていくようなベンチャー的な雰囲気を感じさせます。 3-3.非常に限られた生産本数によるレアリティ チャペックの時計は高い技術をもった決められた職人による手作りのため、生産本数が限られています。2022年時点での年間生産本数は800本と言われています。2020年には年産180本だったことから考えると年々生産本数を伸ばしており、ファンの要望にできるだけ応えようとしているのが伺えます。 2022年にルロックルのオフィスだけでは手狭になり、ラ・ショー・ド・フォンに念願の自社工房を設立しました。(元々ルロックルのオフィスはサプライヤーの一つであるクロノード社内に間借りした部屋です)それまで資金余力のなかったチャペックにとって、自社工房で生み出した時計が次々と売れていったことはブランドの第二の黄金時代に到達したとザビエル氏がインタビューで応えています。 今最も人気の高いアンタークティックはチャペックが抱える受注残の8割を占めており、年産本数の4倍近くの受注残があるとのこと。今後中古市場含め入手性が低く、非常にレアリティの高いブランドとなっていくと見られています。 4.チャペックの代表シリーズ 4-1.ケ・デ・ベルク/Quai des Bergues 出典:Czapek ケ・デ・ベルクは2015年にチャペックが復活後に初めて発表したシリーズです。シリーズ名はかつてチャペックが工房を構えたジュネーブの通りに由来します。 懐中時計No.3430からインスピレーションを得てデザインされており、4:30、7:30位置のサブダイヤルが特徴的です。4:30位置のサブダイヤルは1本の針で曜日とパワーリザーブを表示する珍しい機構を搭載しています。ムーブメントは発表時にクロノード社と共同で開発されたCal.SXH1を搭載。フルール・ド・リス(百合の花)の針が歴史を感じさせる印象的なデザインです。 チャペックにとって象徴的でアイコニックなシリーズとなっており、他のシリーズに比べブレない世界観をもっています。チャペック独自のリコシェギョーシェ文字盤やオリジナリティーのあるサブダイヤルの配置など、そこかしこにオリジナリティーの散りばめられたデザインです。 4-2.プラス・ヴァンドーム/Place Vendôme 出典:Czapek プラスヴァンドームはチャペックがブティックをオープンしたヴァンドーム広場に由来するシリーズ名です。チャペックの中でもハイエンドなシリーズとなっており、複雑機構の代名詞となるトゥールビヨンを搭載しています。 オフセンターされた時分針表示のダイヤルの中にパワーリザーブ表示、4時半位置のサブダイヤルでローカルタイム表示、6時位置の小さなダイヤルでナイト&デイ表示、7時半にはトゥールビヨンが配置されています。 2023年頭の時点で3つのモデルが発表されており、グレード5のチタンケースにADLCを施しブラックカラーをベースにしたダークマター、チタンケースにスモーキーなグレーを組み合わせたモノトーンカラーのチタンオンブル、唯一ブルースチールの針を採用し白文字盤に位置し、一転ブラックカラーを排除しつつ72個のバゲットダイヤモンドを散りばめた煌びやかなプラチナケース製のプラチナエタンセルとなっています。 4-3.フォーブル・ド・クラコヴィ/Faubourg de Cracovie 出典:Czapek フォーブル・ド・クラコヴィはチャペックにとって3番目のシリーズで、1850年にポーランドのワルシャワにオープンしたブティックの場所にちなんで名付けられました。 一見、ツーカウンターのクロノグラフのように見えますが、3時位置と9時位置のサブダイヤルはクロノグラフの積算計となっており、段がついたり文字盤とは違う色が設定されたりと目立つようデザインされています。一方、6時位置の秒針のサブダイヤルは文字盤に馴染むようにデザインされており、全体の雰囲気を邪魔しないようになっています。 独自で手作りで描かれる波紋が広がるようなレゾナンス(共鳴)ダイヤルや、まるで夜空のような美しさをもつアバンチュリン文字盤、グランフーエナメル文字盤など多彩なデザインが楽しめます。ムーブメントはクロノード社と共同開発したCal.SHX3を搭載しています。 4-4.アンタークティック/Antarctique 出典:Czapek アンタークティックはチャペック唯一のラグジュアリースポーツシリーズです。ブレスレットと一体化したケース、上品ながら機能性はしっかり確保されているリューズガード、スーパールミノバにより夜行処理された剣針やアワーマーカーなど、スポーティーなデザインにまとまっています。 通常のモデルはケースサイズ40.5mmですが、よりスリムな手首に馴染む38.5mmモデルのアンタークティックSも展開されています。これはシェアホルダー(大株主)からの要望により生まれたモデルで、2022年にジュネーブサロンにて発表されたばかりです。 モデルによって文字盤は別のものが用意されています。例えば「永遠への階段」の名をもった不規則な台形パターンや地球上でもっとも希少な貴金属であるオスミウムを使用した文字盤など、文字盤メーカーのメタレム社との共同で開発されました。独特な美しさをもつ文字盤は、他ブランドとは違った世界観を楽しめます。南極大陸の名をもつアンタークティックらしいクールな雰囲気をもったモデルが多く展開されています。 ムーブメントは自社製ムーブメントCal.SXH5が搭載されています。創業者のフランソワ・チャペックが19世紀頃に懐中時計に搭載したスケルトンブリッジにインスピレーションを得て開発されました。マイクロローターやフリースプラング、スケルトンブリッジといった古典的な機構と最新の機構がブレンドされたチャペックならではの世界が楽しめるムーブメントです。どれもシースルーバックなので、ムーブメントの動きも楽しめます。 アンタークティックは2022年8月時点で受注残の80%を占めるほどの人気となっており、手に入れるのが難しくなっています。中古市場で見かけることがあれば幸運でしょう。 4-5.アンタークティッククロノグラフ/Antarctique chronograph 出典:Czapek アンタークティッククロノグラフはアンタークティックをベースにしたクロノグラフモデルですが、2023年始めの時点ではラトラパント、つまりスプリットセコンドクロノグラフ搭載のスケルトンモデル2種のみの展開です。 専用に開発されたムーブメントのCal.SHX6は、スケルトナイズされた文字盤側から最も美しく見えるように輪列を調整する徹底ぶり。パーツ点数も減らし、スケルトンクロノグラフといえばごちゃごちゃ感を楽しむもの、といった固定概念を覆すほど奥まではっきり見えるのが特徴です。 文字盤は懐中時計No.3430をベースにし、4:30、7:30にサブダイヤルを配置しています。スプリットセコンドクロノグラフだけでも複雑系を代表する機能の一つですが、スケルトンで、文字盤デザインもブランドのルーツを感じさせるものと、チャペックの世界観が詰め込まれているシリーズです。 2021年発表のシルバーグレイと2022年発表のアイスブルーはミニッツリング、サブダイヤルのリングの色が大きな違いで、年間生産量も違っています。シルバーグレイで成功したため、アイスブルーで生産量を増やしているようです。まだまだ展開としては発展途上な雰囲気もありますが、さらなる進化を感じさせるシリーズでもあります。 4-6.クリスタルタイム/crystal time クリスタルタイムは現在サンズオブタイム1種だけの展開です。サンズオブタイムは腕時計ではなくボヘミアンクリスタル製の砂時計で、歴史的で最高峰のチェコのガラスメーカーMOSER(モーゼル)とのコラボレーションにより生まれました。チェコのメーカー、19世紀半ばに誕生したという共通点から提携が始まったといいます。 高さ22.5cmのブルーとグリーンのオブジェです。測定時間は5分。モーゼルは二酸化珪素の結晶、石英などを使いこなせる世界でも数少ないメーカーで、クリスタルの着色にはレアアースを混合したものが使用されています。基礎混合物を焼成しエナメル質に溶解させたものを木型に鋳造します。最終的な形状はマイスターによる吹き上げによるハンドメイドです。 5.チャペックのオリジナルな機構やデザイン 出典:Czapek 5-1.チェコ産のオリジナリティー チャペックのオリジナリティーの一つにチェコ生まれということがあります。創業者のフランソワ・チャペックの生まれがチェコだったこともあり、彼のルーツとなるチェコへのリスペクトを欠かしません。その一つにチェコの名産ボヘミアンガラスの名門モーゼルとのコラボモデルとなるボヘミアガラス製の砂時計サンズオブタイムがあります。チェコ生まれのポーランド人ということもあり、ポーランドへのオマージュモデルがつくられたこともあります。 時計の生産はスイスで行っています。チャペックは水平分業を取り入れているため、多くのサプライヤーの力を借りて一つの時計をつくりだしています。サプライヤーの95%がスイスヌーシャテル州にあり、ラショードフォンの工房に集められ組み上げることで時計がつくられています。 5-2.懐中時計No.3430をルーツとする4:30、7:30位置のサブダイヤル チャペックの復活第一弾として発表されたケ・デ・ベルクは文字盤のサブダイヤルの位置が4:30、7:30位置と独特なデザインとなっています。プラスヴァンドームについてもトゥールビヨンやローカルタイムの表示は4:30、7:30位置に配置されており、他のブランドではあまり見ることのないデザインです。 これは1850年に製作された懐中時計No.3430がルーツとなっています。フランソワ・チャペックがパテック・チャペック社を離れ独立後に宮廷時計師として貴族に寵愛を受けていた際にナポレオン三世に納品されたとされるのがこの懐中時計です。 ブランドにとってのルーツとなるNo.3430への敬意から、多くのモデルにサブダイヤルを4:30、7:30位置とするレイアウトを採用しています。文字盤一つとっても、復活したチャペックが歴史へのリスペクトを欠かしていないことがわかります。ユーザーにとっても、No.3430やチャペックの歴史を知った上で見ると、もっと楽しむことができそうです。 5-3.ゾイサイトなどの新しい鉱物や素材への取り組み チャペックは新しい材質や技法を積極的に導入しているブランドです。例えば2020年モデルのプラス・ヴァンドーム “アル・カンツ”では、時分針のアワーマーカーが乗るリングは特殊な半貴石のゾイサイトを採用しています。ブルーのゾイサイトはタンザナイトと呼ばれており、このモデルのようなグリーンの輝きをもつゾイサイトを採用した唯一の時計とされています。 表面処理についてもこだわりをもっており、元々医療業界向けに開発されたCVD(Chemical Vapor Deposition - 科学蒸着)の変形であるALD(Atomic Layer Deposition - 原子層堆積)を時計業界に持ち込むなど、他のブランドではできないチャレンジがチャペックの特徴です。水平分業により文字盤専門メーカーならではの新しい見解やオリジナルのデザインなど、マニュファクチュールの一貫生産では難しい他業種の技術の採用が可能です。 水平分業のチャペックらしい強みを活かした幅広いチャレンジで、文字盤に留まらずサブダイヤルやアワーマーカーのリングは特殊な仕上げを施したりと幅広いデザインを採用しており、今後も変わった素材の採用が期待されています。 5-4.自在の振動数設定が可能なムーブメント開発技術 パテック・チャペック社時代には開発など技術的な分野を一手に引き受けていたフランソワ・チャペックですが、そのDNAは一時的に休眠しても残っています。 自社製ムーブメントの展開は協力会社のクロノード社との共同開発により行われていますが、例えばCal.SXH1は振動数6Hzの一般的なムーブメントですが、一方でCal.SHX3の振動数10Hzはハイビートの10Hzとなります。 ロービートは昔ながらの時計の仕組みといったところで、てんぷの振りが比較的ゆっくりなため、衝撃に弱いなど精度の安定感に欠けます。ハイビートは最近採用される数が増えてきており、振動数が多く振るスピードが早いため衝撃を受けても影響されにくいといった特徴があります。 ゼニスのエル・プリメロくらいだった10振動は今では様々なブランドが取り組んでいます。チャペックも波にのっており、10振動ムーブメントの開発に成功しています。これから開発されるムーブメントについても高い技術が活かされることが期待されます。 5-5.ユニークな文字盤デザイン チャペックの特徴の一つにユニークな文字盤があります。多彩なギョーシェを駆使する文字盤だけでなく、エナメルやヴァーニッシュ仕上げなど、職人の手仕上げによるものもよく見られます。生産数を絞り込んでいるのもあり、限定モデルの数量が10本や100本に満たないケースも多く、手仕上げが多く採用されています。 懐中時計No.3430をルーツとするサブダイヤルの位置も独特で、強く自己主張するでもなく一目でチャペックだとわかるほどユニークです。矛盾するようですが、レトロさと真新しさがうまく同居しているような雰囲気をもっており、見れば見るほど深みを感じる文字盤です。 特に主にケ・デ・ベルクで採用される2つの焦点をもつリコシェギョーシェ文字盤は、1850年代のチャペックの時計からインスピレーションを得て開発されました。手作業による旋盤操作でしか描けないギョーシェパターンはこだわりの強いチャペックならではです。 6.チャペックのおすすめモデル5選 6-1.ケ・デ・ベルク エテルニテ No.29S Ref.CZQDB29S Ref.CZQDB29Sはチャペックのアイコンシリーズとなるケ・デ・ベルクのグラン・フー・エナメル文字盤が特徴の限定モデルです。100本限定生産となります。ブランドのルーツとなる懐中時計No.3430のレイアウトを活かしたケ・デ・ベルクのデザインはそのままにエナメル文字盤のつるりとした真っ白な文字盤に仕上がっています。 ムーブメントはクロノード社と共同開発のCal.SXH1を搭載しており、現行では地板が大きくくり抜かれスケルトン化されていますが、このモデルは変更前のものとなります。ケースは18Kホワイトゴールド製で38.5mm径と扱いやすいサイズ感です。アヤメの花を意匠にしたフルール・ド・リスのデザイン針となっており、かつて貴族に納めていた頃の時計を思わせる雰囲気をもった一本です。 6-2.プラス・ヴァンドーム・ダークマター Ref.CZPV_DM Ref.CZPV_DMはフランソワ・チャペックが19世紀にブティックをオープンしたパリの広場にちなんで名付けられたプラスヴァンドームのうちの一本です。オフセンターされた時分針表示のダイヤルの中にパワーリザーブ表示、4時半位置のサブダイヤルでローカルタイム表示、6時位置の小さなダイヤルでナイト&デイ表示、7時半にはトゥールビヨンが配置されています。時分針のアワーマーカーが配置されているリングはグランフーブラックエナメルで、針はホワイトゴールド製です。 ケースの材質はグレード5のチタンにADLCコーティングを施しており、耐傷性を上げています。ムーブメントはクロノード社と共同開発したCal.SXH2を搭載しており、パワーリザーブ表示・ローカルタイム表示・デイ&ナイト表示・トゥールビヨンと多機能なムーブメントとなっています。 6-3.アンタークティック アビス アンタークティック アビスはチャペック初のラグジュアリースポーツシリーズのアンタークティックからの一本です。シリーズ名であるアンタークティックは南極のことですが、文字通り南極の深淵(アビス)で絶え間なく揺れ動く水の流れをイメージした文字盤となっています。 光と闇の両方を感じる妖艶な文字盤で、メタレム社の職人による手作業で描かれたヴァーニッシュ(ニス)仕上げが特徴です。世界限定10本のみの生産となりますが、手作業のため文字盤は少しずつ違っておりユニークピース(ダイヤル)となります。 搭載されている自社製ムーブメントCal.SXH5.01は4つのゴールド製のウェイトを備えたフリースプラングを採用しています。100%リサイクル認定済み18Kゴールドで製造されたマイクロローターは唯一スイス以外のサプライヤーとなり、ドイツのAGOSI社の製品を加工して使用しています。 6-4.フォーブル・ド・クラコヴィ カリフォルニア・ドリーミン フォーブル・ド・クラコヴィ カリフォルニア・ドリーミンはブランドの起源にまつわるストーリーをもつ特別なモデルです。ただし今回は創業者のフランソワ・チャペックではなく、2012年にブランドを復活させた3人の起業家たちに向けて制作されました。 チャペック・デザイン・スタディ・クロノグラフと名付けられた復活前最初期のこの時計は、チャペックの復活の際に市場テストのためにつくられたモデルで、クラウドファンディングの新株発行に伴う資金調達よりも前の初期段階における資金源として本人や仲間内で販売されました。2015年発表のケ・デ・ベルクに搭載されている自社製ムーブメントSHX1の設計・開発に必要な資金となりました。カリフォルニア・ドリーミンのインスピレーションはチャペック・デザイン・スタディ・クロノグラフから来ています。 アワーマーカーはXからIIがローマ数字、4から8がアラビア数字のカリフォルニア・デザインで、真鍮にアントラサイトの電解メッキが施されています。クロノグラフの時分針はスーパールミノバでコーティング処理されており、暗所でも時刻を読み取れます。ツーカウンターのクロノグラフで、往年のクロノグラフのようなクラシックな雰囲気が特徴です。自社製ムーブメントCal.SXH3で、垂直クラッチでコラムホイール式、てんぷは両持ちでフリースプラングと現代的で最新の技術が詰め込まれています。 6-5.アンタークティック・ラトラパントアイスブルー(2022新作) アンタークティック・ラトラパントアイスブルーはアンタークティックのケースデザインにラトラパンテ、つまりスプリットセコンドクロノグラフを搭載しつつ、スケルトン化された文字盤からその動きを余すところなく楽しめる一本です。 ムーブメントの開発時点でクロノグラフの輪列構造を文字盤側に配置した設計になっており、スケルトン文字盤の利点を最大に活かしています。文字盤のレイアウトは懐中時計No.3430を踏襲しており、サブダイヤルの位置は4:30、7:30位置のため、一目でチャペックの時計だとわかります。ミニッツリング、サブダイヤルのリングはブルーフュメ仕上げになっており、アンタークティック(南極大陸)と相性のいいアイスブルーでデザインされています。 クロノード社との共同開発で生まれたCal.SXH6は主要部品数を減らして厚みを抑えつつ、スケルトン化されたムーブメントの美しさをわかりやすくしています。垂直クラッチではなく水平クラッチを採用しているのも、美しさをしっかり見てもらうため。徹底されたこだわりが詰まったモデルです。 7.まとめ チャペックの歴史、魅力、人気シリーズ、オリジナルの機構やデザイン、おすすめのモデルについて紹介しました。パテック・フィリップから始まり、クラウドファンディングで現代に復活する劇的な歴史を歩んだチャペックは、すぐに時計愛好家の目に止まったようで既に人気の高さから入手が困難となっています。もしチャペックの時計を見かけたときにはぜひ一度手に取ってみてください。 関連記事はコチラ https://estime.co.jp/column/patek-philippe/ https://estime.co.jp/column/worlds-five-major-watch/ https://estime.co.jp/column/patekphilippe-highprice/
高級時計ブランドとして世界で4番目に古いとされるジラール・ペルゴをご存知でしょうか。スイスで初めてクオーツ時計をつくったことや、日本に初めて高級時計を持ち込んだブランドなど、世界と日本の時計史に名を残すブランドです。オメガやロレックスなどのブランドよりも知名度こそ高くはありませんが、その歴史の長さから時計愛好家の中ではかなり高い格付けをされているブランドです。 また、世界的にも珍しい本当の意味でのマニュファクチュールブランドとして、愛好家の間で高い人気となっています。この記事ではジラール・ペルゴの歴史、魅力、代表シリーズ、ジラール・ペルゴの時計を着けている有名人、おすすめモデルについてまとめます。 1.ジラール・ぺルゴとは 出典:GIRARD PERREGAUX ジラール・ペルゴ(Girard-Perregaux)は、1791年にスイスのラ・ショー=ド=フォンで創業された、230年以上の歴史を持つ高級時計ブランドです。その起源は、時計師ジャン=フランソワ・ボートによって築かれ、その後、時計職人コンスタン・ジラールとマリー・ペルゴがブランドの基盤を作り上げました。この名前の由来は、二人の名前を組み合わせたものです。 ジラール・ペルゴの魅力は、その深い歴史と革新的な時計製造技術の融合にあります。特に、1889年のパリ万国博覧会で金賞を受賞した「トゥールビヨン・スリーゴールドブリッジ」は、ムーブメントそのものをデザインの一部とした画期的な発明として広く知られています。この傑作は、時計業界における美しさと機能性の頂点を象徴する存在です。 また、ジラール・ペルゴは、自社でムーブメントを一貫して製造する「マニュファクチュール」としても注目されており、精密さと信頼性の高さで多くの時計愛好家に支持されています。その多彩なコレクションは、伝統的なクラシカルデザインからスポーティなモデルまで幅広く展開されています。 次章では、ジラール・ペルゴがどのようにしてこれほどの歴史と評価を築き上げてきたのか、その歴史をひも解いていきます。 2.ジラール・ペルゴの歴史 出典:GIRARD PERREGAUX 2-1.1791年ジャン・フランソワ・ボットによって前身のボット社を創業 ジラール・ペルゴの歴史を語るには前身にあたるボット社から語る必要があります。ボット社は幼くして孤児となってしまったジャン・フランソワ・ボットはケース、ギョシェ、金銀細工などあらゆる技巧を学び、わずか12歳で時計師としてのキャリアをスタートしたと言われています。19歳のときにブランドを創業し、自身の名前が刻まれた初の時計を製作しましたが、ボットのつくる懐中時計はとても薄く評判になっていました。 ジュネーブに工場をつくり、時計製造に必要な専門の職人を一つ屋根の下に集めることで量産体制を整えました。当時のスイス時計産業において量産体制を整えたのはボット社が初と言われています。顧客には後のビクトリア女王や名だたる貴族がおり、名声を獲得していきました。1837年にジャンが亡くなった後はジャック・ボットとジャン・サミュエル・ロッセルが後継者となりました。 1852年にスイスの時計職人コンスタン・ジラールがジラール社を創業しました。2年後にマリー・ぺルゴと結婚した際に二人の名前を合わせたジラール・ペルゴをラ・ショー・ド・フォンを設立しました。1867年にトゥールビヨンがパリの万国博覧会で金賞を獲得。1889年にはスリー・ゴールド・ブリッジ付きトゥールビヨンも金賞を獲得。瞬く間に世界中から注目される時計ブランドとなりました。 1880年以降にヴィルヘルム1世から注文を受け、ドイツ海軍将校用に腕時計を開発しました。2000個が製造され初めて腕時計を商業ベースで展開しましたが、革新的な発想が世の中に受け入れられるのはもう少し後のことでした。1903年コンスタン・ジラール=ガレ・ペルゴが亡くなった父の後継者として経営に携わります。1905年に時計の精密度への永続的な探求心が認められ、当時最も支持された国際時計博覧会の常任審査員に選ばれました。1906年にボット社を買収。ボット社の技術をうまくジラール・ペルゴに取り込みました。 2-2.ヴィンテージ1945やスイス初のクオーツ時計など、多くの銘品を開発 1928年ミモ社の所有者でありドイツの時計師オットー・グラエフがジラール・ペルゴ社の株を買い取りました。2年後腕時計の売り上げが懐中時計を超え、コンスタン・ジラールの先見の明が証明されました。1940年シーホークを発表。ヨーロッパだけでなくアメリカでもたちまち人気となっていきました。 1945年にアールデコからインスピレーションを得てレクタングラーモデルのヴィンテージ1945を発表しました。1966年36,000振動のハイビートムーブメントのジャイロマチックを開発。1967年ヌーシャテル天文台は認定したクロノメーターの70%はジラール・ぺルゴ製だと発表しました。ジラール・ぺルゴの時計の精度の高さが公に認められたこととなりました。 クオーツ時計の開発にも着手しており、1970年にスイスで初めてクオーツ時計の量産体制を整えました。同時期にセイコーのクオーツ時計が普及したため世の中であまり知られていませんが、この時ジラール・ペルゴが決定した32,687ヘルツの周波数がクオーツウオッチの世界規格となっています。1975年当時トレンドにあったスポーツラグジュアリーウォッチをジラール・ぺルゴらしく仕立てた八角形ベゼルとラグ一体化のケースが特徴のロレアートを発表しました。 2-3.1987年建築家、元レーサーのルイージ・マカルーソが社長に就任 1970年代にセイコーのクオーツ時計が一気に普及したことでスイス時計産業が大きな危機となりました。クオーツショックと呼ばれ多くのブランドが経営難や方針転換を余儀なくされました。 ジラール・ぺルゴが1981年に行ったのはむしろ逆で、機械式時計の魅力を多くの人に伝えることで、伝統的な機械式時計の復活を狙うものでした。その一つとしてかつてパリの万国博覧会で金賞を獲得したスリー・ゴールド・ブリッジ付きトゥールビヨン懐中時計のレプリカを20ケ製作しました。1991年に発表したのが創業200周年としてスリー・ゴールド・ブリッジ付きトゥールビヨンの腕時計でした。徹底して複雑系機械式時計を継続しました。 しかし思ったように機械式時計での復活へ進めなかったジラール・ぺルゴの経営難の危機を救ったのは時計販売会社のトラデマでした。トラデマはイタリアとの結びつきが強く、ジラール・ぺルゴのエージェントとしてフェラーリとのコラボレーションモデルの開発を推し進めました。 この時にデザインを担当したのは元レーサーであり建築家、トラデマの社長ルイジ・マカルーソです。彼が打ち出したコラボモデルは大成功し、ジラール・ぺルゴは危機を乗り越えることができました。1992年にルイジはジラール・ぺルゴの社長に就任。翌年の1993年にかつて危機を救ったフェラーリとのライセンス契約を結びました。パートナーシップは1994年から2004年まで続き、後に銘品と言われるスポーツモデルやコンプリケーションモデルを開発しました。 1999年にSIHHに初めて出展し、自動巻きのスリー・ゴールド・ブリッジ付きトゥールビヨンを発表しました。2010年にルイジが亡くなり、息子のステファノ・マカルーソが社長に就任しました。2013年に母体企業の組織改編によってケリンググループ所属になりました。多くのラグジュアリーブランドを擁するコングロマリットで、グッチやボッテガヴェネタが所属しています。2022年ケリンググループは傘下のソーウインドグループへジラール・ぺルゴとユリス・ナルダンを売却しています。ソーウインドはかつてルイジ・マカルーソが創設したグループで、再びルイジの元に帰ってきたとも言える出来事です。 3.ジラール・ペルゴの魅力 出典:GIRARD PERREGAUX 3-1.創業以来持ち続けるマニュファクチュールへのこだわり ジラール・ペルゴは創業以来マニュファクチュールにこだわっている世界的にも貴重なブランドです。マニュファクチュールを宣言するブランドは数多くありますが、時計を構成する部品は時に数百となるため、外部に頼るブランドも多いです。 しかしジラール・ペルゴは基となるボット社から始まった歴史においても、自社内であらゆる部品の製作を行い、ムーブメントの開発を日々進めています。クオーツムーブメントにおける水晶振動子の周波数の世界標準をつくったのもジラール・ペルゴであり、語り草となるスリーブリッジトゥールビヨンの開発と腕時計化など複雑系ムーブメントは得意分野と言えるでしょう。また、現行ではブリッジシリーズに見られるラエスメラルダやコスモスといった特別モデルなど、新しい機能の開発にも余念がありません。 3-2.日本の時計史に深くかかわっている 日本に初めて上陸したスイス時計ブランドはジラール・ぺルゴです。ジラール・ぺルゴがパリの万国博覧会で金賞を獲得するより少し前の1860年に販路を広げるため、世界中を旅していました。訪れたのはコンスタン・ジラールの義理の弟となるマリー・ぺルゴの弟であるフランソワ・ぺルゴでした。当時まだ日本はスイスとの国交がなかったため、フランス人と名乗り懐中時計を携えて上陸しました。 当時スイス時計の市場として未開拓だった日本を見てフランソワは可能性を感じ、4年後の1864年横浜の外国人居留地(現在の横浜中華街)に商館を設立。ジラール・ペルゴをはじめ清涼飲料水などの販売をスタートしました。日本でジラール・ペルゴの歴史、スイス時計の歴史が始まったのは横浜でした。 同年2月に日本とスイスの修好通商条約が締結され、正式な国交が樹立したのはフランソワの尽力があったからこそ。しかし1877年に商館が火事となり、心労からフランソワは亡くなってしまいました。日本にスイス時計を伝えたフランソワへの感謝を伝えるため、今でも12月18日の命日には横浜外人墓地で追悼セレモニーを催しています。 3-3.ヴィンテージとモダンが融合した世界観をもっている ジラール・ペルゴは歴史を大事にしているブランドです。ヴィンテージ1945、1966などブランドにとって重要な出来事がそのままシリーズ名として採用されています。他にもロレアートについてもデザインについても初代モデルから大きな変更点はなく、当時の世界観がそのまま残されています。 逆にシーホークは初出のヴィンテージな3針デザインから複数の機能を搭載した最新のデザインまで幅広いシリーズです。防水性に重きをおいている分、ヘリウムエスケープメントバルブや逆回転防止ベゼルなどのデザインをある程度決めてしまう機能を搭載せざるを得ない場合は柔軟に反映しています。 デザインはシリーズごとにヴィンテージとモダンのチューニングがなされており、オリジナルデザインに敬意を払いつつも、機能性も重要視されているのが分かります。ムーブメントは最新の技術が反映されており、ヴィンテージな世界観と最新の機能が上手く同居されています。 4.ジラール・ペルゴの代表シリーズ 4-1.ヴィンテージ1945 出典:GIRARD PERREGAUX ヴィンテージ1945は1945年にアールデコからインスピレーションを得て開発されたシリーズです。アールデコはフランス語で「装飾美術」を意味し、アールヌーボーに代わり1910年代半ばから1930年代にかけて流行したムーブメントで、幾何学図形をモチーフにした直線形デザインが特徴です。ヴィンテージ1945はまさに直線的なデザインで構成されており、ケース、ベゼル、プッシュボタン、ラグ、インダイヤルは直線的で角ばっています。 シンプルな3針、クロノグラフ、ビッグデイト、ムーンフェイズなど複数の機能で展開されており、トノー型の時計に見られるオールアラビアインデックスやドーフィン針やリーフ針など幅広いデザインが見られます。直線的な印象を与えつつも実際に着けるときには、裏蓋には手首に沿うカーブが施されており、硬くて使いにくいような印象はありません。古き良き時代の感性を思いを馳せながら研鑽された最新の技術を安心して使うジラール・ぺルゴを象徴するシリーズの一つです。 また、ロレックスやパテックフィリップなどのブランドと比べると資産価値は劣ってしまいますが、ヴィンテージ1945の評価がブランド自体の評価にそのまま直結するといわれているので、ジラールペルゴの中ではかなり重要な位置に立っているモデルとも言えます。状態や年代にもよりますが、2000年代のモデルであれば中古価格はおおよそ30万円台前後となっているので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。 4-2.ロレアート 出典:GIRARD PERREGAUX ロレアートは1975年にトレンドとなっていたスポーツラグジュアリーウォッチとして開発されました。イタリア人建築家である、アドルフォ・ナタリーニ氏がデザインを手がけており、同時期に発表されたオーデマ・ピゲのロイヤルオークやパテック・フィリップのノーチラスを彷彿とさせつつ、独自の雰囲気をもっています。ケースとラグが一体化したデザインや八角形ベゼルなど共通するデザインを持ちつつも、ベゼルは二段式になっており上段に八角形、下段に円形で立体的になっています。 初出は1975年ですが、クオーツショックの影響もあってかあまり売り上げは振るわず。その後何度か復活したもののいまいちでしたが、2017年にレギュラーモデル化を果たします。中三針かクロノグラフをベースに、追加されたロレアートアブソルートはチタンケースの採用やワールドタイム機能の追加などロレアートの世界観は守りつつ、近代的な技術やデザインで再解釈しています。 中にはスケルトン文字盤でムーブメントの動きを見ることができる限定モデルも。世界的にも珍しい真のマニュファクチュールならではのムーブメントの仕上げや設計の妙を楽しむことができる希少なモデルです。 4-3.キャスケット2.0 出典:GIRARD PERREGAUX キャスケット2.0はジラール・ペルゴの中でもかなり異色なシリーズです。元々ムーブメントの開発に長けていましたがクオーツムーブメントまで優秀で、ジラール・ペルゴが発表した水晶振動子の周波数が今や世界標準となっています。そんなクオーツムーブメントのCal.395を搭載し、小さなLEDディスプレイで時刻を表示するキャスケットが発表されました。1976年から1978年にかけて製造されており、売れ行きは好調だったものの合計で8200本しか生産されませんでした。 キャスケット2.0は2022年にバージョンアップして発表されました。復刻をベースとしながらも、ケースの材質は当時のマクロロン(ポリカーボネイト)からブラックセラミックへ、機能も時刻表示だけのシンプルなものから曜日・月・年表示、クロノグラフ、第2時間帯が追加されたマルチファンクションとアップデートされています。限定本数820本はあっという間に売り切れてしまいました。2023年にはファッションブランドのサン・ローランとのコラボモデルを100本限定で発表するなど、復刻後の勢いが止まりません。 4-4.1966 1966は1960年代の機械式時計の全盛期に敬意を表す思いで製作されたシリーズです。1966年にヌーシャテル天文台100周年記念祭での賞の授与を契機に誕生しており、技術の高さやミニマルなデザインが反映されています。 薄型に仕上げつつ側面に丸みを持たせており、ジラール・ペルゴが最初に取り組んだ懐中時計を彷彿とさせるシルエットです。装飾を排除したミニマルなデザインの中に細身のリーフ針やテーパーがとられたインデックスなど、ディテールにこだわっているのがよくわかります。 全体的に落ち着いたデザインですが、3針のドレスウォッチからムーンフェイズ・日付表示を備えた実用さに優れたモデル、グラデーションをかけたスモーキー文字盤、ダイヤモンドをベゼルいっぱいにセットしたモデルなどバリエーション豊か。スポーティーにブラックモデルも選べるため、いわゆるドレスウォッチラインよりも幅広い楽しみのあるシリーズです。 4-5.コンペティツィオーネ コンペティツィオーネは1990年代に発表されたフェラーリコレクションを彷彿とさせるクロノグラフを搭載したスポーティーなシリーズです。ジラール・ペルゴを復活させたルイジ・マカルーソが元レーサーなのもあり、ジラール・ペルゴにとってクロノグラフやレースにちなんだシリーズはブランドを象徴する一つの意匠です。 コンペティツィオーネは1960年代のクロノグラフからインスピレーションを得たとされており、最新の技術で組み上げられつつもレトロな雰囲気を感じるデザインです。2016年に発表されたモデルはコンペティツィオーネ ストラダーレと名付けられており、イタリア語でコンペティツィオーネは「競技」、ストラダーレは「道路」を意味しています。 針は文字盤を邪魔しないシンプルなバーハンド、白文字盤・黒文字盤が展開されていますが、白・黒・赤のカーレースを想起させるカラーリングを採用しており、最新の技術による美しさと往年のクロノグラフから感じる風格の両方を兼ね備えたデザインです。 4-6.シーホーク シーホークはジラールペルゴ唯一のダイバーズウォッチシリーズです。1940年頃から展開されているシリーズで、非防水の時計が多かった中で裏蓋をスクリューバックにすることで防水性を高めたことから始まりました。ロングセラーシリーズのため幅広いデザインで展開された歴史があり、ペプシカラーベゼルのモデルなど、後述するトラベラーと一見区別がつきにくいモデルも存在します。 現在では本格派ダイバーズウォッチとして、オーバースペックともなる防水性を発揮したモデルを次々と発表しています。ヘリウムエスケープメントバルブやねじこみリューズを採用した1000m防水やバルブを2か所着けることで3000m防水を備えたモデルも。 オレンジやネイビーを基調と視認性を上げたり逆回転防止ベゼルなど、多くのブランドが採用するデザインを踏襲しつつも、独自の文字盤やレイアウトでジラール・ペルゴ独特の世界観もしっかり主張されているシリーズです。 4-7.クロノホーク クロノホークはスポーツラグジュアリーウォッチのロレアートをスポーツ寄りに仕上げたようなデザインが特徴です。ベゼルが2段階になっており上段はラウンドですが、下段にケース埋め込みされつつ八角形のシルエットがハッキリ見えます。ラグとケースが一体化されており、ブレスレットかラバーストラップが採用されています。 クロノグラフとセットになっており、多くがツーカウンターで展開されています。四角形のプッシュボタンやねじ込みリューズ、セラミックを組み合わせたケースなど、ジラール・ペルゴのクラシックとトレンドのスポーツラグジュアリーがうまく同居したデザインとなっています。ピンクゴールドケースと組み合わせたモデルも展開され、富裕層向けにも選びやすいデザインに広がってきています。 4-8.トラベラー トラベラーは名前の通りワールドタイムやGMT機能を搭載したシリーズです。1966のようなスマートさではなく、ラグ幅広めのがっちりしたケースデザインが特徴です。ブレゲインデックスやレイルウェイ、アラーム機能など幅広いデザインや機能でくくられており、これがトラベラーとデザインでの区分けは一見難しいです。トラベラー2も展開されており、ケースデザインが必ずしも固定されていないのも複雑にしています。ペプシカラーに黒文字盤、ストレートの細身のラグのトラベラーもあります。 唯一あるとすればワールドタイムかGMT機能を搭載していること。ヴィンテージモデルから最新の技術で当時のデザインを再現したモデルまで、幅広い展開で、ロングセラーとなっているシリーズです。 4-9.ブリッジ 出典:GIRARD PERREGAUX かつてジラール・ペルゴがパリ万国博覧会で金賞を獲得したスリーブリッジトゥールビヨンを基とする複雑系シリーズです。1991年に開発された腕時計に仕立てたスリーブリッジトゥールビヨンが始まりで、文字盤を横断するように立ち上がるブリッジはトゥールビヨンの複雑な動きの軸を支えるブリッジも兼ねています。 バリエーションが豊富で、元祖となるスリーブリッジトゥールビヨンに最も近いのはラエスメラルダ、もしくはトゥールビヨン。トゥールビヨンはスケルトンや機構部品を少なく、見えなくしたフライング、似たコンセプトで浮いているかのように見せつつサファイアクリスタルで透明感を強調したクエーサーなどが現行でも展開されています。複雑系とする括りで地球儀と天球儀を搭載したコスモスやミニッツリピーターなど、オリジナリティのある複雑機能を有した時計を次々と開発しています。 4-10.キャッツアイ 出典:GIRARD PERREGAUX キャッツアイはその名の通り猫の瞳に似たオーバルケースが特徴のレディースウォッチです。縦と横の2種類に分かれており、横ではスモールセコンドやデイ&ナイトのシンプルな機能をマザーオブパールやアベンチュリンの華やかな文字盤を、縦ではレディースウォッチでは珍しいトゥールビヨンやジラール・ペルゴを代表するスリーブリッジトゥールビヨンをミニチュアにしたような複雑モデルが展開されています。縦型ではベゼルにダイヤモンドをふんだんに使い、可憐な美しさも同時に楽しめます。 現行ではプラム、蓮、ジャスミンの花のモチーフが飾られているモデルが注目されています。夜明けの蓮の開花と日暮れのアラビアンジャスミンの開花は、無限のサイクルや瞑想のための空間、そして独自のリズムを整える美しさを意味しており、時刻表示としての機能だけでなく日々の過ごし方を考えるパートナーとなっています。 5.ジラール・ペルゴの時計を愛用している有名人・芸能人5選 5-1.お笑い芸人:上田晋也さん お笑い芸人の上田晋也さんが着けているのはRef.49850-11-171-0です。上田さんは時計愛好家として知られており、パテックフィリップやフェラーリ、ガガミラノなど正統派スイス時計と派手な時計の両方を持っています。 Ref.49850-11-171-0は世界主要都市が描かれた文字盤外側のリングと24時間表示が描かれた内側のリングで都市別に時刻が一目で読み取れるワールドタイマーです。1861年に初めて高級時計が持ち込まれたことを記念して製作されたモデルで、持ち込んだフランソワ・ぺルゴを讃えています。通常のワールドタイマーでは東京の時刻を示しますが、フランソワ・ぺルゴが埋葬されている場所にちなんで、横浜が採用されています。 短めのリーフ針と小さなスモールセコンド、パワーリザーブを表示しており、慎ましやかな印象です。複雑系ではありませんが多機能を備えたような威厳をもつ日本限定250本のモデルです。 5-2.元フランス大統領:サルコジさん 元フランス大統領のサルコジさんが着けているのは1966 アニュアルカレンダー、Ref. 49538-53-133-BK6Aです。サルコジさんはロレックスデイトナやブレゲなど高額品を中心に所有している時計愛好家です。大統領時代には特に品格を求められるため、ブランドの格の高さも選定する際の基準になっていると思われます。 Ref.49538-53-133-BK6Aは機械式時計の全盛期の1960年代に敬意を表した1966シリーズの一つで、正統派スイス時計の代表格といった印象です。2/28のみ日付調整が必要なアニュアルカレンダーを搭載したモデルで、無駄がなく機能的。2時位置に日付、5時位置にパワーリザーブ、7時位置に内部のリングが回転することで今の月がわかる月表示、9時位置にスモールセコンドとなっています。緩急をつけるため配置を少しズラしたり、インダイヤルの大きさに差をつけたりしています。 装飾を排除し機能美を感じるシンプルなデザインで、インダイヤルやレトログラードで4つも表示していますが、文字盤の印象はいたってシンプル。インデックスも最低限に抑え、ロゴの表示もバランスのためにズラしており、一見わかりにくいですが微細なバランス調整がされた文字盤です。 5-3.俳優:水谷豊さん 俳優の水谷豊さんが着けているのはヴィンテージ1945、 Ref.25835-11-121-BA6Aです。水谷さんは多くのブランドの時計を着けていますがトノーかスクエアケースにこだわっているようです。ハミルトン、セイコー、フレデリックコンスタントといった幅広いブランドを選んでいますが、そのいずれもトノーもしくはスクエアケースです。 Ref.25835-11-121-BA6Aはジラール・ペルゴを代表するシリーズの一つで、スクエアケースが特徴です。オールアラビアのブレゲインデックス、レイルウェイ、剣針とクラシックにまとまっています。9時位置のスモールセコンドはインダイヤルの中心が窪んでおり、その上を秒針が動きます。植字のインデックスやインダイヤル、日付表示の小窓など、立体感がしっかり表現されています。 5-4.俳優:桐山漣さん 俳優の桐山漣さんが着けているのはロレアート クロノグラフ Ref.81040-11-131-BB6Aです。桐山さんはこれ以外ではシチズンやムーブメントインモーションなど、カジュアルな時計を多く着けています。ジラール・ペルゴは唯一の高級時計でした。 Ref.81040-11-131-BB6Aは1970年代に人気を博したスポーツラグジュアリーウォッチで、八角形とラウンドを組み合わせた特徴的なベゼルデザインが魅力です。文字盤いっぱいに彫り込まれたギョーシェ、螺旋状に溝が刻まれているインダイヤルと見た目のインパクトが強いデザインに仕上がっています。防水性は100mを確保しておりねじ込み式のリューズ、プッシュボタンを採用しています。青のペンシル針、インデックスだけ色が違うため一見浮いていますが、視認性を確保するためやむなしといった印象です。 5-5.お笑い芸人:ケンドーコバヤシさん お笑い芸人のケンドーコバヤシさんが着けているのはロレアートの創業225周年記念モデル Ref.81000-11-431-11Aです。ケンドーコバヤシさんは時計愛好家として知られており、ロレックスやハミルトンなど特徴的でスポーティーなデザインを好んで着けているようです。 Ref.81000-11-431-11Aは2016年に創業225周年記念として限定生産されたモデルで、225本限定となっています。時計自体はスタンダードで使いやすくなっており、文字盤にはクル・ド・パリ装飾が施されており、凹凸による光の反射や技巧の美しさが引き立ちます。機能はシンプルな3針で、自社製ムーブメントのCal.GP0300-0030を裏面から楽しむことができます。 6.ジラール・ペルゴのおすすめモデル5選 6-1.ヴィンテージ1945 Ref.25990.0.11.6786 ヴィンテージ1945のRef.25990.0.11.6786はアールデコに影響を受けて開発されたレクタングラーモデルです。幾何学図形をモチーフにした直線形のデザインで出来上がっており、ケースだけではなくプッシュボタン、ラグ、ベゼル、裏蓋と目に入るデザインのほとんどが四角で構成されています。 黒文字盤にインデックス、インダイヤル、ミニッツレールはゴールドで描かれており、エレガントさとヴィンテージの雰囲気を強く感じさせます。針は中抜きしたリーフ針で、軽めな印象。クロノ針と頂点のミニットインデックスは控えめな赤が採用されており、要所で独自のデザイン・世界観を感じる一本です。 6-2.フェラーリ クロノグラフ Ref.8020 フェラーリ クロノグラフ Ref.8020は高級車ブランドのフェラーリとのコラボレーションモデルです。ジラール・ペルゴを窮地から救ったとされるルイジ・マカルーソが元レーサーだったこともあり、1997から2004年にパートナーシップを結んでいる際に製作されたモデルです。文字盤と裏蓋にはブランドの象徴の跳ね馬のエンブレムを見ることができます。 時計はしてはシンプルなクロノグラフモデルで、横3つ目の黒文字盤となっています。3時位置にスモールセコンド、6時位置に12時間積算計、9時位置に30分積算計となっています。針とインデックスは夜光処理されているため視認性が高く、スポーティーなデザインによくマッチしています。丸いプッシュボタンは流線形のフェラーリの世界観に合わせているかもしれません。 6-3.1966 ラージデイト & ムーンフェイズ Ref.49556-52-1832BB4A 1966 ラージデイト & ムーンフェイズ Ref.49556-52-1832BB4Aは1966年のヌーシャテル天文台でジラール・ペルゴの時計が評価されたことに敬意を表す思いで製作されたシリーズです。伝統的なスイス時計のドレスウォッチで、多くのブランドで採用されているデザインと似ていますが、昔ながらのスイス時計とはこういう時計、をよく表しています。 Ref.49556-52-1832BB4Aはネイビー文字盤、12時位置にビッグデイト、6時位置にスモールセコンドとムーンフェイズの使い勝手のよい機能がまとまっています。バーインデックスは植字とプリントを組み合わせ控えめなデザインに。文字盤の端が沈み込むボンベ型になっており、細身のリーフ針は追いかけるように先端が曲げられています。立体感を見せつつ、時刻読み取りが正確にできる機能的でデザイン性にも優れた工夫です。 6-4.コンペティチオーネ ストラダーレ Ref.49590-11-611-11A コンペティチオーネ ストラダーレ Ref.49590-11-611-11Aはコンペティツィオーネは「競技」、ストラダーレは「道路」を意味しているカーレースからインスピレーションを得て開発されています。ジラール・ペルゴを復活させたルイジ・マカルーソが元レーサーなのもあり、歴史や敬意を語る上でも重要な意味をもっています。 Ref.49590-11-611-11Aは黒文字盤の3つ目クロノグラフで、3時位置にスモールセコンド、6時位置に12時間積算計、9時位置に30分積算計のインダイヤルが配置されています。スモールセコンドとクロノ針は赤色となっており、視認性がしっかり確保されているのがわかります。白・黒・赤のレースカラー3色で構成されており、スタンダードでクラシックなデザインの中にスポーティーな世界観が仕込まれています。 6-5.ロレアート グリーンセラミック アストンマーティン エディション Ref.81005-32-3080-1CX(2023年新作) ロレアート グリーンセラミック アストンマーティン エディション Ref.81005-32-3080-1CXは高級車ブランドアストンマーティンとのコラボモデルで、2023年の新作です。アストンマーティンとは2021年からパートナーシップを結んでおり、既に3本のコラボレーションモデルが発表されています。 特徴的なグリーンカラーをまとったセラミックケースを採用しており、経年劣化や色褪せが起こりにくくなっています。軽量でアレルギーを起こしにくいのも魅力です。ジラール・ペルゴはアストンマーティンの軽量さへのこだわりにインスピレーションを得て、スケルトン仕様のバトン針を採用しています。文字盤は斜めに交差するクロスハッチパターンで、軽量さや1921年頃のロゴに見られるダイヤモンドなど、アストンマーティンフリークが楽しめそうな要素です。 7.まとめ ジラール・ペルゴの歴史、魅力、代表シリーズ、ジラール・ペルゴの時計を着けている有名人、人気モデルについてまとめました。マニュファクチュールへのこだわりや日本との関わりなど、日本で高い人気となるのも納得できるのではないでしょうか。もし街中でジラール・ペルゴの時計を見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。 関連記事はコチラ https://estime.co.jp/column/luxury-watch-evaluation/ https://estime.co.jp/column/hublot/ https://estime.co.jp/column/what-balllwatch/
カール・F・ブヘラという高級時計ブランドをご存知でしょうか。スイスにある高級宝飾店ブヘラが発祥の長い歴史をもつブランドです。宝飾店で得た人気モデルのデザインやモデルの情報・マーケティングを元に、時代にあった人気シリーズを次々と発表しています。一族経営を続けており、コングロマリットに所属しない独立系としても評価の高いブランドです。この記事ではカール・F・ブヘラの歴史、魅力、シリーズ、着用している有名人、人気モデルについてまとめました。 1.カール・F・ブヘラの歴史 1-1.1888年カール・フリードリッヒ・ブヘラによりスイスルツェルンで創業 1888年カール・F・ブヘラ(当時ブヘラ)はスイスのルツェルンに宝飾品と時計を扱う最初のブティックをオープンしました。カールには息子が2人いましたが、1人は時計職人、もう1人は金細工職人の技を磨き、ゆくゆくは会社を継ぐ意志を持っていました。 19世紀末は懐中時計が主流でしたが、先見性をもつカールは近い将来に腕時計に置き換わっていくのを感じていました。1919年レディースウォッチコレクションを発表しました。当時としては画期的なストラップを採用したモデルでした。このころ2人の息子が会社で働き始めました。 1950年代にはインダイヤル、タキメーター、ビッグデイトを備えたクロノグラフを開発しています。視野を外側へ向ける機会が増え、海外の時刻を一目で知ることのできるワールドタイマーが人気となり開発されました。 1968年までに約15000ケの高精度認定されたクロノメーターを製造したことで、世界3大クロノメーターメーカーとして知られるようになりました。1976年には3代目となるヨルク・G・ブヘラ(現取締役会長)が会社を引き継ぎました。 1-2.2001年ブランド名をカール・F・ブヘラに変更 2001年にブランド名をカール・F・ブヘラへ変更し、改めて時計メーカーとしての道を進みました。同年、スイスクロノメーター認定されたムーブメントを搭載し、3つのタイムゾーン表示を持つパトラビトラベルテックを発表しました。2005年にはモノプッシャー機構の特許を申請しています。2002年には生産拠点をニダウからベルンのレングナウへ移転しました。より大きな生産拠点を求めたものでした。 1-3.2008年ペリフェラルローターを改良した自社製ムーブメントを開発 2007 年にスイスのサント クロワにある Téchniques Horlogères Appliquées を買収し、Carl F. Bucherer Technologies として技術を取り込みました。この買収により、独自のムーブメント、追加機能用のモジュールの開発技術を獲得しました。 翌年、ムーブメントの外周を両方向に回転するペリフェラルローターを搭載した自社製ムーブメントCal.CFB A1000を発表、パトラビエボテックとマネロパワーリザーブへ搭載されました。2016年にはフリースプラング化されたムーブメントの耐衝撃性能を上げるために振動数を上げたCal.CFB A2000をスイスクロノメーターにも対応しつつ開発。 2018年新たにCal.CFB T3000を開発しました。まるで浮いているかのようなトゥールビヨンを備えたムーブメントとしてマネロ トゥールビヨン ダブルペリフェラルへ搭載されました。2021年にはマネロ ミニッツリピーター シンフォニーが発表されました。特許取得済みの 3 つの技術(ペリフェラルローター、フローティングトゥールビヨン、ミニッツリピーターコンプリケーション)が搭載されているCal.CFB MR3000を備えており、現在のカール・F・ブヘラの最高技術が詰まったモデルです。 2.カール・F・ブヘラの魅力 2-1.高級宝飾店時代のノウハウが活かされた商品展開 カール・F・ブヘラは元々高級宝飾店ブヘラがルーツで、様々な老舗高級時計ブランドを取り揃えています。パテック・フィリップといった雲上時計や世界的に人気のロレックスなど幅広いブランドの時計を揃えています。 宝飾店を運営していくことで、人気ブランドのデザインや機能といったデータを集めることができます。つまりどんな時計が売れるかのデータを持っている状態で時計をつくることができます。例えば白文字盤は青文字盤よりも黒文字盤よりも売れる、クロノグラフはワールドタイムより売れるといったデザイン・機能・テイストの人気さの膨大なデータが蓄積されています。 そのため、カール・F・ブヘラは迷いがなく、絞り込まれ狙いすましたシリーズ展開を行います。スイス時計の得意とする王道のクラシックスタイル、ドレスウォッチ、古き良き時代の時計を思い出させるヘリテージといった洗練され無駄のないラインナップです。 また、自社製ムーブメントを開発する際にも1955年6月6日にジュネーブでPaul Gosteliが特許を取得したペリフェラルローターを選定しています。かつてパテック・フィリップが開発を進めた歴史とポテンシャルを真に理解していたのも、ビッグデータを得ることができる宝飾店ならではといえます。 2-2.一族経営を継続しており、方針にブレがない カール・F・ブヘラは1888年創業して以来、同族経営を続けており、現在は3代目となるヨルク・G・ブヘラが取締役会長となっています。 一族経営を続けているというのは高級時計ブランドにとっては大きな意味をもっています。それはクオーツショックを自社ブランドだけで乗り越えたということ、そしてコングロマリットに買収されずに済んだことでブランドの方針・展開に一貫性をもたせることができることです。 カール・F・ブヘラは元々宝飾店を経営していたこともあり、メーカーとしての経営難を助け合うことができていたと言われています。また、宝飾店でのデータをメーカーとして使うことで、人気モデルを狙い撃ちできるスタイルも健在です。オーナーが短期間で変わるブランドは良くも悪くも変革を繰り返しますが、一族経営のカール・F・ブヘラは変わらずに今のスタイルを貫く姿勢が人気を呼んでいます。 2-3.ペリフェラルローターを現代的に進化させた技術力 カール・F・ブヘラが自社製ムーブメントを発表したのは2008年でしたが、開発の決断自体は2005年の出来事でした。自社製ムーブメントを開発するとき、ムーブメントメーカーに依頼するか、自社で開発するかのどちらかになりますが、カール・F・ブヘラは自社で開発する選択をしました。それはコスト・時間・技術など様々な投資が必要になりますが、他社にはない製品の開発を行うことができるメリットを見込んでのものでした。 というのも自社製ムーブメントの開発にあたって、下記のことが定義されています。 「古典的な調速機構やスイス式レバー脱進機、受け石を使用した輪列など、伝統的であるが故に信頼性の高い技術を採用すること。ブリッジやその他の部品を十分に鑑賞できる進歩的な設計のキャリバーであること。付加機能を追加できるようなプラットフォーム的機能を有するムーブメントであること。信頼性が極めて高く、ベースムーブメントとして半工業的な製造が可能であること」 これを実現するために、それまでカール・F・ブヘラに協力していたTéchniques Horlogères Appliquéesを買収することで、技術力のレベルアップを図ったのでした。元々厚く協力してくれていたメーカーをわざわざ買収してでも進めたかった独自性のある自社製ムーブメントの開発は2008年に形となり、ブランドの技術力の高さを証明するものとなっています。 3.カール・F・ブヘラの代表シリーズ 3-1.マネロ マネロとは手で動かすものという意味のラテン語「manuria」が由来のカール・F・ブヘラを代表するシリーズです。カール・F・ブヘラの強みである人気モデルのテイストやデザインのアーカイブによって、スイス時計の原点ともいえるクラシックなデザインに仕上がっています。 例えばパテック・フィリップのカラトラバやジャガールクルトのマスターのような装飾性を抑え時計の本質に近づくような美しさ、機能美といった雰囲気を目指しているのがマネロです。シンプルでトレンドに左右されない普遍的な美しさをもっており、機械式時計の最盛期である1950年代の時計を思わせます。 ブランドの屋台骨となっているシリーズで、シンプルな3針から自社製ムーブメントを搭載した最新のトゥールビヨンなど、幅広く展開されています。ミニッツリピーターやパーペチュアルカレンダーなど、複雑機能を搭載したモデルもマネロで展開されています。 3-2.パトラビ パトラビは古代ギリシア語で「私は成し遂げた、成功した」という意味が由来です。カール・F・ブヘラのラグジュアリースポーツウォッチ全般を一手に引き受けているシリーズがパトラビです。目盛りが付いた回転ベゼルと夜行処理された太い針でダイバーズウオッチとしてのスキューバテック、3つのタイムゾーン表示とクロノグラフを搭載したトラベルテックを主とし、トノーケースのクラシックなモデルも存在しています。 スキューバテックは500m防水、ヘリウムエスケープメントバルブなど本格ダイバーズウォッチを備えつつクロノメーター認定による高精度が特徴です。裏ブタにはマンタを保護するNPO団体「マンタトラスト」の活動を支援する証として2匹のマンタが刻印されています。また、スキューバテックのブルーはカール・F・ブヘラの故郷であるスイスのルツェルンの州旗をモチーフにしています。 トラベルテックは3つのタイムゾーン表示とクロノグラフを搭載しています。最近ではハイテクセラミック製のベゼルやブラックDLC加工といった最新の素材の採用やビタミンカラーの展開などこれまでになかったデザインや素材へのチャレンジがさかんなシリーズです。 ブランド初の自社製ムーブメントを搭載したパトラビエボテックの発表は業界を驚かせました。ペリフェラルローターを原動力とする新型ムーブメントを搭載したパトラビは伝統的なクッションケースを採用していますが、デザインは現代的なニュアンスにまとまっています。正方形ともラウンドとも違うケースデザインはクラシックなのに独自性を感じさせます。 現行ではマネロの一部モデルにのみ搭載されている最先端のムーブメントですが、最初の発表時にパトラビが選ばれたのは、ブランドにとってはマネロに続く2つ目の柱となる存在だと考えていたのではないかと思われます。 3-3.ヘリテージ ヘリテージはブヘラの真髄となる伝統的なスイス時計の銘品を復活させたようなシリーズ展開です。実際、1919年からオリジナルウォッチを製造しているブヘラのアーカイブには多くのアンティークウォッチが保管されており、銘品のデータには事欠かない環境です。現在は主にバイコンパックス(ツーカウンター)のアニュアルカレンダーモデルでの展開を拡大しており、トゥールビヨン搭載モデルも発表されています。どのモデルも限定生産本数での展開です。 どこかレトロでレーシーなデザインは1950〜1960年代の機械式時計の最盛期に人気だったクロノグラフがベースになっています。2022年新作は16都市のホームタウンにちなんだカラーリングの文字盤と特徴的なランドマークが裏ブタに刻印されています。カール・F・ブヘラにとってのホームタウンはルツェルンですが、北京やパリ、ニューヨークなどそれぞれのユーザーが郷愁を感じるモデルを楽しむことができるようになっています。それぞれの文字盤にはイメージカラーが採用されており、ニューヨーク:グリーン、東京:ミント、バーゼル:バーガンディなど、世界の16都市ごとに設定されています。通常のワールドタイムの都市とはまったく違う都市が選定されており、公式HPでは「別の街のホームタウンエディションを注文」とあり、HPには掲載のない自分にとってのホームタウンエディションをオーダーすることが可能なようです。 3-4.アダマビ 「喜びを覚える」「好きになる」というラテン語「アダマレ」に由来するアダマビは伝統的なスイス時計をルーツにもつ、昔ながらの時計を継承する意志を感じさせるシリーズです。全体的にクラシックでコンサバなデザインで、シンプルなインデックスや細めのドーフィン針、ケースに垂直に配置されたラグなど、どちらかといえば淡白で、時計を道具としてとらえるような雰囲気のシリーズです。 2022年の新作を他シリーズと比べてみても一目瞭然で、マネロやパトラビがトレンドに乗ったカラーバリエーションでの展開やパートナーシップによる記念モデルを発表したのに対し、アダマビはフルカレンダー(トリプルカレンダー)モデルを発表しています。流行に左右されずに伝統を継承し続ける硬派なシリーズ展開を貫いています。 とはいえ、これまでの宝飾店での販売実績データが最も反映されるのが、こういった昔からあるデザインの展開です。ブランドとしては自信をもって絞り込んだ展開をしていると考えられます。いい意味で期待通りの展開をしてくれるため、他の機能やデザインでの広がりが楽しみなシリーズです。 3-5.アラクリア ギリシア語で「情熱」を意味するアラクリア。最も特徴的なのは、サイドが緩やかなカーブを描くスクエアケースです。ケースに一体化し丸みを帯びたラグ、主に曲線でできたシルエットで裏蓋は手首に沿ったカーブがかかっており、独特なデザインだけでなく着用感にも優れています。 縦のベゼルにダイヤモンドがセットされているモデルや、マザーオブパールを使った文字盤などシンプルで実用差を失わないようにしながら、ラグジュアリー感を引き出しています。ラグ幅がケースサイズに近くなっており、メタルブレスレットはステンレスとゴールドのコンビもあるため、まるでブレスレットを着けているかのようなデザインです。 3-6.パトス パトスはギリシャ語で情熱をあらわしています。パトスの特徴はレースのような繊細な装飾で、モデルによって文字盤の見返し部とケースサイドを覆うように施されています。繊細で高貴な印象の装飾で、伝統的なデザインを見たときの上品さとオリジナリティーが同居しています。 文字盤はサンレイやマザーオブパールが主で、機能はシンプルな3針のみとなります。インデックスはアラビアとローマ数字が使い分けられています。ダイヤモンドで時計全体を埋め尽くしたモデルも発表されており、シンプルなラグジュアリーウォッチとダイヤモンドのブレスレットのようなモデルと大きく分かれています。 4.カール・F・ブヘラを着けている芸能人・有名人5選 4-1.俳優 三浦翔平 マネロペリフェラル Ref.00.10917.08.33.21 俳優 三浦翔平さんが着けているのはマネロペリフェラル Ref.00.10917.08.33.21です。三浦さんは時計愛好家で、複数のブランドの時計を所有しています。ロレックスデイトナやゼニスエル・プリメロ、オメガスピードマスターなどクラシックさが垣間見えるスポーツウォッチを好んでいるようです。 Ref.00.10917.08.33.21はカール・F・ブヘラの技術の粋を集めたペリフェラルローターが採用された自社製ムーブメントCal.CFB A2050を搭載しています。シャープな印象のドーフィン針と楔形インデックスの黒文字盤なので、端正なドレスウォッチとなっています。つや消しのマットな黒文字盤でクセがなく、トレンドに左右されないデザインです。 4-2.俳優 香川照之 パトラビT-24 Ref.00.10612.08.33.21 俳優 香川照之さんが着けているのはパトラビT-24 Ref.00.10612.08.33.21です。香川さんは時計愛好家で知られており、ロレックスコスモグラフデイトナやオメガシーマスターアクアテラといったクラシカルでスポーティーなモデルを好んで着けているようです。 Ref.00.10612.08.33.21は36☓39mmサイズケースのパトラビでトノー型モデルです。12時位置にはGMT針と24時間計となったインダイヤル、3時位置に日付表示、6時位置にパワーリザーブ表示となっています。代表的な都市ごとの標準時からの時差を調べて時差分ズラして設定しておくことで、第二時間帯の時刻も同時に知ることができます。黒文字盤、バーインデックスのシャープな印象のデザインです。 4-3.俳優 別所哲也 マネロオートデイト Ref.00.10908.08.13.01 俳優 別所哲也さんが着けているのはマネロオートデイト Ref.00.10908.08.13.01です。別所さんは時計愛好家として知られており、ジャガールクルトやシチズンなど多くの時計を着けています。ジャガールクルト、カール・F・ブヘラブティック銀座のトークショーに参加するなど、多くの時計イベントに参加しています。 Ref.00.10908.08.13.01はマネロの日付表示付き自動巻きのシンプルなモデルです。楔形のインデックスや文字盤中央とインデックスにかけての円で文字盤の仕上げを変えるなど、王道のクラシック時計です。映画「ジョン・ウィック」で主演のキアヌ・リーヴスが着けていたこともあり、長く人気の高いモデルです。 4-4.俳優 ジョー・マンテーニャ パトラビトラベルテック Ref.00.10620.12.33.21 俳優 ジョー・マンテーニャさんが着けているのはパトラビトラベルテック Ref.00.10620.12.33.21です。ジョーさんはフォルティスの時計を着けてドラマに出演していたようで、愛用していたようです。 Ref.00.10620.12.33.21は3つの時間帯を表示できるパトラビ。ケース・ブレスレットはブラックDLCコーティングが施されており、傷がつきにくくなっています。10時位置のプッシュボタンを押すことでインナーリングをまわすことができます。ケースバックには都市名と時差が刻まれており、何時間ずらすのかを設定する際に便利です。 4-5.俳優 小泉孝太郎 マネロパワーリザーブ Ref.00.10912.08.33.01 俳優 小泉孝太郎さんが着けているのはマネロパワーリザーブ Ref.00.10912.08.33.01です。小泉さんは複数の時計を着けており、ハミルトンジャズマスターやオメガスピードマスターといったクラシックでスポーティーなモデルを多く着けているようです。 Ref.00.10912.08.33.01はマネロシリーズで初めて自社製ムーブメントを搭載したモデルです。機能を複数備えており、3時位置にレトログラード式のパワーリザーブ表示、6時位置はスモールセコンド、9時位置には曜日、11時位置にはビッグデイトを備えています。ペリフェラルローターを搭載しているため、ムーブメントの動きをケースバックから楽しめます。 5.カール・F・ブヘラのおすすめモデル5選 5-1.アダマビ フルカレンダー Ref.00.10324.08.13.21 Ref.00.10324.08.13.21はシンプルなドレスウォッチのアダマビに複数のカレンダー機能を搭載したモデルです。伝統的なトリプルカレンダーで、12時位置に曜日と月、6時位置にムーンフェイズ、文字盤を囲むように配置されたポインターデイトです。 丸みを帯びたベゼル、ゴールドの針と植字のインデックスなど、伝統的な古き良き時代の時計を感じさせるデザインです。5連のポリッシュがかかったブレスレットやスケルトン化された裏蓋など現代的なエッセンスも盛り込まれており、銘品を最新の技術で楽しむ世界観の時計となっています。 5-2.パトラビエボテックパワーリザーブ Ref.00.10627.13.33.01 Ref.00.10627.13.33.01は2008年にムーブメントが発表されたペリフェラルローター式を採用した自社製ムーブメントを初めて搭載したシリーズパトラビエボテックの一本です。ムーブメントだけではなく時計全体にオリジナリティーを付与したいと考え、最近では珍しいクッションケースで展開されています。 11時位置の特徴的なビッグデイトと3時位置には針付きのディスクによるパワーリザーブ表示は使い勝手が良く、日常使いに適しています。Cal.CFB A1003を搭載しており、ペリフェラルローター式のため、スケルトンの裏蓋からムーブメントをしっかり見ることが出来ます。ブラックの文字盤や中抜きされた太めの針など、シャープなデザインにまとまっています。 5-3.ヘリテージ バイコンパックス アニュアル ルツェルン Ref.00.10803.08.12.22 Ref.00.10803.08.12.22はかつて銘品を現代的なエッセンスを加えて蘇らせるヘリテージの一本です。バイコンパックスとはツーカウンターのことで、クロノグラフを搭載していることにもつながります。どのモデルも限定生産です。 このモデルはリンカーン コスモポリタン タウンカーからインスピレーションを得て制作しています。これはかつて創業者が所有し手放してしまったクラシックカーを2代目が買戻し、郷愁の思いで修繕し再度乗っていることエピソードからつくられています。これはいわばファミリーカー、ひいては故郷ルツェルンへの思いが詰まった車です。特徴的なブルーは車の外装を再現しています。 機能も充実しており、3月1日以外は調整不要なアニュアルカレンダー、クロノグラフを搭載しています。12時位置には見やすいビッグデイト、4時位置には曜日、文字盤の見返しにはタキメーターを備えています。クラシックでいてスポーティーな雰囲気はクラシックカーを再現したものです。 5-4.マネロ フライバック Ref.00.10927.08.13.XX(2022新作) マネロフライバックは2022年の新作で、ツーカウンタークロノグラフとなっています。アラビアもローマ数字も使わない楔形インデックスで、ヘリテージのツーカウンターよりもシンプルで端正なデザインとなっています。スタートとリセットを1ボタンで操作可能なフライバッククロノグラフと日付表示を備えています。 カラーリングはインダイヤルとストラップの組み合わせで赤、青、緑、白、黒の5種類で展開しています。旅をテーマとしてデザインされており、赤は夕日、青は海、緑は自然、白は雪、黒は影を時計で再現しています。写真家のハネス・ベッカーとパートナーシップを結び、それぞれの風景を表現するカラーで時計をつくっています。 5-5.マネロ セントラルカウンター Ref.00.10923.08.33.99(2022新作) Ref.00.10923.08.33.99はマネロのツーカウンタークロノグラフの新作です。2016年からスイスサッカー協会のオフィシャルタイムキーパーを務めており、今回のモデルはサッカーを想起させるデザインとなっています。文字盤外周のグリーンはサッカー場の芝生をイメージしており、サッカーの競技時間ごとに通常の前半後半の45分、アディショナルタイム、延長戦とそれぞれ目盛りがふられています。 セントラルカウンターはクロノグラフのことで、クロノ針だけでなく分の積算計も文字盤中央の針で計測します。3時位置のインダイヤルは秒針、9時位置はローカルタイムを24時間計で表示しています。ベゼルはブラックDLCコーティングされ対傷性に優れています。 6.まとめ カール・F・ブヘラの歴史、魅力、代表シリーズ、着用している有名人、人気モデルについてまとめました。純粋な時計メーカーとしての歴史は浅く、新しいシリーズや機構の展開がまだまだこれから期待されているブランドです。スイスに訪れる際にはブヘラの店舗を覗いてみると、カール・F・ブヘラにつながる要素を感じることができるかもしれません。街中でカール・F・ブヘラの時計を見かけたらぜひ一度手にとってみてください。 関連記事はコチラ https://estime.co.jp/column/luxury-watch-evaluation/ https://estime.co.jp/column/new-employee-watch-m/ https://estime.co.jp/column/watch-lifespan/
創業139周年を迎えるエドックスは老舗ながら、現代的なスポーツウォッチに注力しているブランドです。ダイバーズウォッチ、モータースポーツ、クラシックの大きく3つに分かれており、世界で初めてワールドタイマーモデルを発表するなど時計の歴史を語る上でも欠かせない存在の一つです。ここではエドックスの歴史、魅力、シリーズごとの特徴、エドックスを愛用している有名人とおすすめモデルを紹介します。 1.【陸海のプロスポーツウォッチ】エドックスの歴史 エドックスは世界で初めてワールドタイマーモデルを発表したことや、独自の機構で防水性を大きく向上させるなど、時計業界の歴史の1ページを担うことが何度もあったブランドです。ここでは創業から139年となるエドックスの歴史をまとめます。 1-1.1884年クリスチャン・リュフリ=フルーリーによりエドックス創業 エドックスの歴史は時計職人クリスチャン・リュフリ=フルーリーが妻に懐中時計をプレゼントしたことに始まります。クリスチャンによる独自のデザインの美しさに感動し、時計ブランドとして独立することを進言しました。妻の進言によりクリスチャンは時計職人が集まる街スイスのビールでエドックスを1884年に設立します。 エドックスとは古代ギリシャ語で時間を意味しています。また、エドックスのロゴマークは砂時計を表しており、創業当時から変わっていません。 1-2.1961年独自の機構を搭載しトップクラスの防水性をほこるデルフィンを発表 クリスチャンの高い技術とセンスによってブランドは拡大を続けます。機械式時計が最も栄えた1950年には500人もの時計職人を雇い、スイスでもトップクラスの近代的な工場だったと言われています。 この頃には機械式工業が進んでおり、職人による伝統的手工業は減少していきました。エドックスは職人技による一つ一つ手作りの時計から、機械化による量産体制から生み出される時代に変わっていくことを感じていたのかもしれません。 1961年、防水時計「デルフィン」を発表しました。独自のリューズ機構「ダブルOリング」を開発し(特許取得)、ねじ込み無しで200m防水は当時、画期的な機構で時計業界を驚かせました。1965年にはダブルOリングを更に進化させ、500m防水を達成。「ハイドロサブ」へ搭載し、再び話題となりました。 1969年、新モデル「ブルーバード」を発表。ダブルバックケースを採用し、衝撃吸収と防水性能を備えたクッション型ケースのエレガントな世界観をもつモデルです。1970年、世界の主要50都市の時刻を同時表示するワールドタイマー機能を搭載した世界初のワールドタイマー機能を搭載した「ジオスコープ」を発表しました。 1-3.2014年創業130年を迎える しかし1970年代といえばクオーツショックによるスイス時計産業が苦しんだ時期で、エドックスも例外ではありませんでした。1973年にはASUAGグループ(現スウォッチグループ)に買収され、経営権がグループに。しかし10年後の1983年に独立しています。1998年にカレンダー付自動巻きモデルで1.4mm厚と世界で最も薄いムーブメントを搭載したレ・ベモン ウルトラスリムを発表。2005年には5ミニッツリピーターを発表。 ここからコラボレーションの発表が続きます。2007年にスウェーデンの高級車ブランド「ケーニグセグ」とパートナーシップを締結しました。2008年から2014年にはパワーボートレース「class 1」の公式タイムキーパーを務め、コラボシリーズを発表しています。2009年には「WRC(ワールドラリークラシック)」の公式タイムキーパーを担当。その世界観を投影したシリーズ「WRC(現クロノラリー」を発表しました。 2012年~2016年には世界で最も過酷なラリー「ダカールラリー」の公式タイムキーパーに就任。世界観を投影したシリーズ「クロノラリー」を発表。2013年~2016年にエクストリーム セーリング シリーズ 「ワールド カーリング フェデレーション(WCF)」の公式タイムキーパーに就任しました。2014年にエドックスは130周年を迎え、かのデルフィン、ハイドロサブ、ジオスコープを復刻させました。135周年にはクロノオフショア1 クロノグラフの新モデル2種を発表しました。 2.【陸海のプロスポーツウォッチ】エドックスの魅力 2-1.本格ダイバーズ、本格モータースポーツ、クラシックの3ジャンル エドックスの時計は大まかに3種類に分かれています。本格派のダイバーズウォッチ、モータースポーツ、クラシックの3つです。 ダイバーズウォッチはエドックスが最も得意としており、クロノオフショア、デルフィン、ネプチュニアン、グランドオーシャンが該当します。モータースポーツにはクロノラリー、クラシックはレヴォベール、レベモンとなっています。 多くのブランドでは機能別に時計を展開しており、似たデザインでも機能が違えば別のシリーズとして扱うこともあります。エドックスのシリーズ展開は世界観の表現を重視しており、不慣れな時計ユーザーが見てもわかりやすい特徴があります。 また、クオーツと自動巻きの両方で展開されていますが、一見してどちらか分からないほどにクオーツモデルの仕上がりが美しいのがエドックスの持ち味でもあります。大まかに3種類に分かれつつ、世界観の表現がエドックスが最も重要と見込んでいる要素です。 2-2.自社製ムーブメントはほとんど使わないのでコスパがいい エドックスはほとんどのモデルに自社製ムーブメントを使わずにETA製をリファインして搭載しています。そのためムーブメントにかかるコストが比較的安価で済むため、時計全体の価格もリーズナブルなものが多いのも魅力です。 最近ではETAムーブメントをグループ外へ販売しないETA問題もあって、多くのブランドが自社製ムーブメントで展開するケースが多くなっています。ETAのジェネリックムーブメント(ETA製からの置き換えがスムーズにできる)としてセリタムーブメントもありますが、技術開発や生産設備への投資余力があるブランドは自社製を好んで置き換えています。それはETA製からの卒業と、自社製ムーブメント搭載による付加価値と単価UPを狙いとしています。 さらに、ETAムーブメントと同じ設計で少々のリファインをして自社製ムーブメントとして販売するブランドもあります。専用に設計され、ブランドの熱意がこもっているのが自社製ムーブメントを搭載したモデル、といったかつての認識からはかけ離れてしまっています。 そんな中エドックスは自社製ムーブメントはほとんど使いません。ETA製・セリタ製ムーブメントでエドックスの魅力が十分伝えられると考えています。ETA社製は世界的に信頼されているムーブメントのため、自社製ムーブメントにこだわる必要がないことも理由の一つです。 (2022年年末に自社製ムーブメント搭載のフルスケルトンモデルが発表されましたが、香箱をくり抜いてぜんまいの巻き上げをより見えるようにするなど、専用に開発されています。) 2-3.プロスポーツとのコラボモデルが豊富 エドックスがここ最近で発表するシリーズはどれもプロスポーツとのコラボやレースの世界観を表現しています。パワーボートレースのオフショアクラスからクロノオフショア1、WRCの公式時計を務めた際のWRC(現クロノラリー)、ドバイ インターナショナル マリンクラブのオフィシャルタイミングパートナーを務めた際のグランドオーシャンを発表してました。 シリーズとしてだけではなくBMW モータースポーツ社とのコラボモデルをクロノラリーシリーズから限定数量で発表。ハイドロサブ ノースポール リミテッドエディションを着けて北極へ潜るアイスダイビングの世界記録保持者をアンバサダーへ迎えるなど、様々なスポーツの分野へエドックスの世界観を広げています。今後また違うスポーツとのコラボモデルも期待できるかもしれません。 3.【陸海のプロスポーツウォッチ】エドックスの代表シリーズ 3-1.クロノオフショア1 クロノオフショア1はエドックスのアイコン的存在となるスポーツラグジュアリーシリーズです。海のF1とも呼ばれるパワーボートレース「オフショアクラス」のタフでダイナミックな世界観を表現しています。 水上でのスピード、軽さを追求するパワフルさの表現に力を入れているシリーズで、ビス留めされた逆回転防止ベゼルやカーボン柄の文字盤、文字盤のメインとなるクロノグラフ、ねじ込みリューズ・プッシュボタンなど、防水性を確保しながらスポーティーなデザインにまとまっています。 クオーツと自動巻きの両方で展開されており、デザインを一見しても区別がつきにくいですが、モデル名に”Automatic”が付いていれば自動巻き、なければクオーツとなります。クロノグラフがなく3針モデルも展開されており、機能ではなく世界観を表現するシリーズです。 ブラックMOP文字盤、500m防水、ハイテクセラミック製の逆回転防止ベゼルといったラグジュアリースポーツデザインのクオーツモデルは、クオーツ=時計へのこだわりが機械式には劣るといった先入観を崩してくれる現代的な時計です。 3-2.デルフィン デルフィンは1961年に独自の機構ダブルOリングを搭載し高い防水性を発揮したことで知られているロングセラーシリーズです。ビス留め12角形ベゼルをメインに、オリジナルモデルのCラインケースのような卵型ケースの2種類が展開されており、ラグジュアリースポーツの雰囲気が強調されています。 2020年から追加されたデルフィンメカノはラグジュアリースポーツの雰囲気はそのままに機械式ムーブメントの動きを文字盤側からも楽しめるフルスケルトンのデザインが特徴です。ねじ込みリューズを採用しているため、フルスケルトンながら200m防水とデルフィンのDNAもしっかり残されています。 3-3.スカイダイバー スカイダイバーは1973年にスイス軍のパラシュート部隊用に極秘に開発されたモデルを復刻させたシリーズです。空軍用に開発されたため、視認性を高める夜光処理が施された針やグローブのまま操作できるギザギザのついたベゼルや大き目のリューズなど、パイロットウォッチに求められるパーツがしっかり備わっています。デザイン面だけではなく耐傷性に優れたハイテクセラミックベゼルや最上級クラスのスーパールミノヴァを採用するなど、スペックの高さにも定評があります。 ダイバーズウォッチを得意とするエドックスの世界観も反映されており、ねじ込みリューズを備えることで防水性300mとパイロットウォッチとしては高い防水性を発揮しています。クロノグラフなど一部のモデルではベゼルのインデックスが0分~15分に分の目盛りが描かれており、ダイバーズウォッチとしても使えるようにデザインされています。 3-4.ネプチュニアン ネプチュニアンはスカイダイバーから派生しており、海の神様ネプチューンの名を冠したダイバーズウォッチシリーズです。スカイダイバーはパイロットウォッチとダイバーズウォッチの両方の性質を備えていますが、ネプチュニアンはダイバーズウォッチに特化したシリーズです。 9時位置のヘリウムエスケープメントバルブや、厚み3mmのサファイアクリスタルを採用することで、防水性は1,000mを備えています。ブラックベゼルに文字盤はブルー、グリーン、オレンジの厚塗りラッカーのタイプと、文字盤とベゼルのカラーリングを合わせたタイプに大まかに分かれています。スカイダイバーシリーズと同様、耐傷性に優れたハイテクセラミックベゼルや最上級クラスのスーパールミノヴァを採用しています。 3-5.クロノラリー 2009年に世界最高峰のラリーレース「世界ラリー選手権(WRC)」の公式時計を担当した際にその世界観を投影したシリーズWRCを発表しました。WRCの英語表記は「World Rally Championship」で、その名の通り北海道を含め世界中で全13レースを行うレースで、年間で約500万人が観戦に来ると言われている一大イベントです。F1レーサーも一目置いており、2007年F1王者のキミ・ライコネンは2010年からレースに参加するほど。エドックスに声がかかったのは、パワーボートレースのオフショアクラスの公式時計を担当したことが注目されバーゼルワールドで興味をもってくれたとのこと。 クロノラリーはWRCの後継シリーズです。クロノラリーはカーレースを想起させるカラーリングとクロノグラフ、操作性の良い大きなプッシュボタンとレースに特化した機能を備えています。中にはリプレイモードやステージタイムの合計、カウントダウンなど、クオーツに機能性を活かして、レース観戦ですぐに使える計器の機能を搭載したモデルもあります。 リューズ、プッシュボタンを9時位置側にずらした左利き用のモデルやツーカウンターのクロノグラフなど、デザインは多岐にわたります。BMW M モータースポーツとのパートナーシップを記念した限定モデルも展開されています。 3-6.グランドオーシャン グランドオーシャンは2009年に発表されたシリーズで、ドバイにある「ドバイ インターナショナル マリンクラブ」のオフィシャルタイミングパートナーを務めるエドックスが、そのラグジュアリーな雰囲気を表現したシリーズです。クロノグラフをメインに、3針モデルやクオーツ、機械式にこだわらず高級感の際立つ控えめなカラーリングで展開されています。 基本のデザインはクロノグラフ、日付・曜日表示、タキメーターを備えた複雑系ですが、ラグジュアリーな世界観なので比較的シンプルで端正なデザインにまとまっています。ベゼルはヨットの帆を操作するウインチにインスピレーションを得てデザインされており、ハイテクセラミック製なので耐傷性にも優れています。防水性は300mとマリンスポーツとして十分。3本のラグが特徴的なデザインです。 3-7.レ・ヴォベール スイスで最も歴史ある時計製造の地、レ・ヴォベールの名を冠したクラシックウォッチシリーズです。現行では端正なドレスウォッチデザインにまとまっており、文字盤に半円上に開いた窓からムーブメントの動きを覗くことのできるオープンハートモデルが特徴的です。ケースデザインが近い3針+ムーンフェイズ搭載のラグランモデルもシリーズに含んでいます。シンプルなクラシックな文字盤にワンポイント加えたことで平凡にならないのがエドックスらしいデザインです。 3-8.レ・ベモン レベモンは現行ではクラシックな全体の雰囲気を残しつつ、文字盤中央に大きく窓を開けたスケルトンウォッチシリーズです。2023年時点で同文字盤で5本の展開に留まっており、シンプルでクラシックさが強調されたモデルも展開されていましたが、レヴォベールやラグランと重複することもあり、レヴォベール・ラグラン・レベモンは1シリーズに集約される可能性も考えられます。 3-9.ハイドロサブ ハイドロサブは1965年にデルフィンに続いて発表されており、ダブルOリング機構を更に進化させ、防水性500mを備えた画期的なモデルです。現行では展開されていませんが、オリジナルモデルを復刻したモデルが中古市場で流通しています。 発表当時1965年頃に流行しオリジナルモデルにも採用されていたCラインケースはそのまま再現。可動式のリューズガードとなるマスターロックを採用したことで外部からの衝撃にも強くなっています。-40度の北極圏でも使える信頼性から、アイスダイビングにも採用された実績があります。 スイスクロノメーターを取得した限定モデルのRef.80128-3NBM-NIBも注目です。オリジナルモデルに近いデザインで、日常使いしやすい落ち着いた雰囲気と高い精度が魅力です。防水性こそ300mとオリジナルモデルに比べると少し控えめですが、ダイバーでもないとオーバースペックなので問題ないユーザーが多いでしょう。 4.【陸海のプロスポーツウォッチ】エドックスを着けている芸能人・有名人5選 4-1.ファッションディレクター 干場善雅 クロノオフショア1 クロノオフショア オートマチック Ref.01114 3 NIN ファッションディレクター 干場善雅さんが着けているのはクロノオフショア1 クロノオフショア オートマチック Ref.:01114 3 NINです。干場さんは10本以上の時計をもつ時計愛好家です。パテックフィリップ、オーデマ・ピゲ、セイコーなど数多くの時計を所有しています。 Ref.01114 3 NINはオフィシャルタイムキーパーを務めるパワーボートレースの世界観が表現されているクロノオフショアシリーズの一本です。縦3つ目のクロノグラフで、セラミック製のベゼルにはダイバーズウォッチに見られる10分刻みのインデックスが描かれています。ねじ込み式のリューズとプッシュボタンを採用しており、10時位置にはヘリウムエスケープメントバルブも装備しているため、500m防水の高いスペックを有しています。文字盤のカーボン柄や白・黒・赤のカラーリングがスポーティーにまとまったデザインです。 4-2.BEAMSディレクター 中村達也 クロノオフショア1 オートマチック ビームス限定モデル Ref.80088-3-BUIN2 BEAMSディレクター 中村達也さんが着けているのはクロノオフショア1 オートマチック ビームス限定モデル Ref.80088-3-BUIN2です。中村さんはジンやエベラールなど、少し珍しいブランドが好みのようです。 Ref.80088-3-BUIN2はBEAMS40周年記念として製作された限定モデルで、ブルーカーボンの文字盤やブルーのラバーストラップが特徴的な一本です。防水性は300m、逆回転防止ベゼルなど、デザインだけではなく本格ダイバーズウォッチのスペックもしっかり備わっています。 4-3.ライフセーバー 飯沼誠司 グランドオーシャン クロノグラフ オートマチック Ref.01113-357N-NIN ライフセーバー 飯沼誠司さんが着けているのはグランドオーシャン クロノグラフ オートマチック Ref.01113-357N-NINです。飯沼さんは時計を着けている場面はあまり見られていませんが、エドックスの公式ホームページにてエドックスの時計の愛用者として紹介されています。 Ref.01113-357N-NINは大型45mmケースサイズのクロノグラフモデルです。文字盤見返し部分のタキメーター、クロノグラフ、日付、曜日表示と多機能ながらシンプルさと視認性を崩さないデザインです。ライフセーバーはダイビングのような高い水圧はかからないため、100m防水モデルを選んだと思われます。 4-4.俳優 哀川翔 クラスワン クロノオフショア Ref.01115 俳優 哀川翔が着けているのはクラスワン クロノオフショア Ref.01115です。哀川さんはカルティエやウブロ、ロレックスなどラグジュアリーなモデルとスポーツモデルの両方を着けているようで、多くの時計を所有する愛好家です。 Ref.01115は縦3つ目のクロノグラフで、スポーツモデルらしいシンプルで視認性がしっかり確保されています。防水性は500mで、10時位置にはヘリウムエスケープメントバルブが備わっています。リューズ、プッシュボタンはねじ込み式。回転防止ベゼルや曜日、日付表示など、実用的な機能が複数備わっています。 4-5.お笑い芸人 さまぁ~ず三村 クラスワンオフショアビッグデイト Ref.10012-3N-NIN お笑い芸人 さまぁ~ず三村さんが着けているのはクラスワンオフショアビッグデイト Ref.10012-3N-NINです。三村さんは時計愛好家で有名で、IWCやオーデマ・ピゲなど、多くの時計を所有しています。ちなみに相方の大竹さんも時計愛好家で有名で、並んで雲上時計を着けていることも多いです。 Ref.10012-3N-NINは横3つ目のクロノグラフクオーツモデルです。12時位置のビッグデイト、逆回転防止ベゼル、300m防水、クオーツと使いやすい機能が揃っています。タイル状に刻まれた文字盤やベゼルのねじ穴がスポーティーな印象で、クオーツモデルながら機械式のようなデザインのこだわりが見られます。 5.【陸海のプロスポーツウォッチ】エドックスのおすすめモデル5選 5-1.クラス1 クロノオフショア オートマティック Ref.01114-3-NIN Ref.01114-3-NINはパワーボートレースの世界観を表現し、機能性と防水性を備えたダイバーズウォッチです。クロノグラフ、曜日、日付表示機能を備えています。耐傷性、視認性に優れた逆回転防止のハイテクセラミックベゼル、ブラックカーボンの文字盤、黒・白・赤のカラーリングがスポーティーなデザインにまとまっています。 10時位置のヘリウムエスケープメントバルブ、ねじ込み式のリューズとプッシュボタンで防水性は500mを備えています。ケースバックにはボートのプロペラが刻印されています。太めのペンシル針、インデックス、ベゼルは夜光処理されているので、視認性がしっかり確保されています。 5-2.クラス1 GMT ワールドタイマー Ref.93005-37N-NOBU Ref.93005-37N-NOBUは2014年発表のワールドタイマー機能を搭載したクラス1です。ケースはブラックPVD加工されており、ステンレススチールに耐傷性に優れた表面処理が施されています。インデックスが刻まれた回転ベゼルはセラミック製で、マットなグレーがブラックPVDケースとマッチしています。 先端が赤の針は第二時間帯表示機能のGMTとなっており、文字盤内側の24時間表示と合わせて指定した都市の時刻を知ることができます。太めのペンシル針とインデックスは夜光処理が施されており、視認性がしっかり確保されています。防水性300mや日付表示、夜光処理で視認性の高い針など、実用的な機能が揃っています。 5-3 .グランドオーシャン エクストリーム セーリング Ref.45004-357N-NIN Ref.45004-357N-NINはグランドオーシャンの中でも多機能を備えたモデルです。12時位置にビッグデイト、クロノグラフ、タキメーター、回転ベゼルと複数の機能を有しています。9時位置のクロノグラフ積算計は4分まではカウントダウンでその後5分からは積算計となっており、ベゼルもカウントダウン表示となっています。 ヨットのウインチからインスピレーションを得たブラックPVD加工されたベゼルや特徴的な3本のラグ、300m防水とマリンスポーツウォッチに必要な機能を備えています。ブラックのベースカラーに白と赤のポイントが効いており、スポーティーな雰囲気に仕上がっています。 5-4.クロノラリー オートマティック Ref.01116-3PBU-BUIN Ref.01116-3PBU-BUINはクロノラリーシリーズの自動巻きモデルです。クロノグラフ、曜日・日付表示、タキメーターを備えたスポーティーなデザインが特徴で、文字盤のブルーカーボン柄が特徴的です。針は夜光処理されており、視認性はしっかり確保されています。 ブルー、白、黒のカラーリングでデザインされており、スポーティーでクールな印象に仕上がっています。プッシュボタンはドライビンググローブを着けたまま操作できるようにかなり大型で、リューズも巻き上げやすいようにギザギザです。42mmケースサイズに負けない大型のムーブメントが搭載されており、裏面からムーブメントの動きを楽しむこともできます。 5-5.ジオスコープ 130周年記念限定 Ref.07002-3-C1 Ref.07002-3-C1は1971年に発表されたワールドタイマー機能を搭載したジオスコープをブランド130周年記念として限定数量で復刻したモデルです。オリジナルモデルの雰囲気を忠実に再現しつつ、現代的なエッセンスを加えられています。文字盤外周のリングがGMT表示となっており、時分針との時差分ズラして設定しておけばいつでも第二時間帯の確認が可能です。 北極を中心とした世界地図のデザインは健在で、ホワイト、オレンジ、ブルーのカラーリングはオリジナルモデルよりマイルドに調整されています。6時位置に日付表示が追加されており、日常使いに役立ちます。46mmケースとワールドタイマーモデルとしては珍しく大型で200m防水を備えているので、堅牢さも魅力です。 6.まとめ エドックスはダイバーズウォッチをメインに、モータースポーツとのコラボレーションモデルの展開も行っています。クオーツ、機械式にこだわらず世界観の表現にこだわっており、ムーブメントはエボーシュを主に使う割り切りも時計業界としては新鮮です。ムーブメントへのこだわりが少なく、ラグジュアリースポーツウォッチをリーズナブルに探したいユーザーにはぴったりのブランドです。もし街中でエドックスの時計を見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。 関連記事はコチラ https://estime.co.jp/column/rolex-sports/ https://estime.co.jp/column/divers-watches-list/ https://estime.co.jp/column/luxury-watch-evaluation/
クロノスイスはドイツの時計師ゲルト・R・ラングが古き良きスイス時計に惚れ込んで興したブランドです。すべての部品をスイスで製造し、クラシックな作品に集中したものづくりは国内外で高い評価を得ており、レギュレーターやスケルトンクロノグラフなど、クロノスイスの代名詞ともいえる銘品も生み出しています。この記事ではクロノスイスの歴史、魅力、代表シリーズ、銘品、おすすめのモデル5選を紹介します。 1.【ドイツ生まれの純スイス時計】クロノスイスの歴史 1-1.1983年ドイツミュンヘンでゲルト・R・ラングが創業 1983年ドイツミュンヘンでクロノスイスは生まれました。創業者のゲルト・R・ラング氏はドイツ北部のブランズウィックという街で生まれました。15歳のときに学校を辞めなければならなかった彼は時計製造が学べる会社に入り、4年間技術を学びました。 その後もっと時計を深く学びたいと考え、本場スイスへ渡りビエンヌにあるホイヤー社に入ることとなりました。28年間ホイヤー社に勤めましたがクオーツショックの影響により、新しい仕事を見つける必要が出てきました。機械式時計が売れなくなってしまった時代でまた仕事を探すことを考えたとき、ラング氏は機械式時計を復活させることを考えました。時代に逆行する彼の思想ですが、ブランパンやウブロを立て直したジャンクロードビバー氏も同じ考えをもっていたとされています。 そこで各社がクオーツショックによって機械式時計の在庫を整理していたものを買い集めました。特にクロノグラフのコレクターとして有名になるほどでした。そうして集めたヴィンテージムーブメントを搭載し、古典的なスイス時計への憧憬を形にしたのがクロノスイスでした。 1-2.2012年スイスの実業家オリバー・エブシュタインがブランドを買収 1988年初めてのバーゼルから好調だったレギュレーターを筆頭に、様々な銘品が生み出されていきました。時分針が中心ではなくそれぞれインダイヤルに配置されている世界初の自動巻きクロノグラフのカイロスクロノグラフ、特許取得済みのスプリットセコンドクロノグラフ、長方形ケースのカブリオ、エナメル文字盤のオレアなど、現在でも語り継がれている銘品ばかりです。 2012年スイスの実業家オリバー・エブシュタインが事業を買収し、新CEOに就任しました。本社兼アトリエはミュンヘンからスイスルツェルンに移し、一般開放しています。ギョーシェ刻印機やエナメル焼成機を備え、現代では珍しい手仕上げにこだわった時計作りに専念しています。ラング氏は相談役として運営にかかわっています。 1-3.2016年フライングレギュレーターの製造を開始 新しい技術の開発にも着手しました。2016年にはレギュレーター式のインジケータが文字盤上を浮遊する3次元のデザインとなるフライングレギュレーターを発表。レッドドットデザイン賞とGQタイム賞を受賞し、世界的に高い評価を受けました。フライングレギュレーターを基本にし、オープンギアやトゥールビヨンと組み合わせることで、さらに新しいデザインをつくりだしています。 運営の主導が代わってからもフライングレギュレーターやオープンギア、レセックなど新しいデザインや機構の開発に力を入れています。また、できるだけ内製化できるように技術の底上げも行っているようで、これからの動きが楽しみなブランドです。 2.クロノスイスの魅力 2-1.ドイツ生まれの古典的な純スイス時計 クロノスイスが生まれたのはクオーツショック全盛期で、機械式時計がクオーツ時計にとってかわられてしまっていた時期でした。そんな中クロノスイスは、スイスの古典的な機械式時計の素晴らしさを多くの人に知ってほしい、後世に残したいといった想い・クラフトマンシップで生まれました。 ドイツ生まれのゲルト・R・ラング氏はホイヤー社で時計師として働いていましたが、独立しブランドを立ち上げました。収集したヴィンテージムーブメントを搭載しており、デザイン・ムーブメント共に古典的なスイス時計となっています。 さらにドイツ生まれの気質も持ち合わせており、機能やムーブメントが最初にあり、それを美しく見せるためのデザインといった時計のつくり方をします。ケースいっぱいのサイズのムーブメントも同様の理由です。クロノスイスは古典的なスイス時計の美しさと、ドイツ生まれの時計としての機能性・実用性も考えられているブランドです。 2-2.レギュレーターやスケルトンクロノといった代表作 クロノスイスは伝統的なスイス時計を残していきたいと考えたゲルト・R・ラング氏により興されたブランドです。伝統的なスイス時計の中でも銘品と呼ばれるような時計を腕時計化、復活させたモデルが多く発表されました。 例えばレギュレーターは元々教会など多くの人が目にする時計のため時刻を見間違えないように開発された機構を腕時計化したものでした。レトログラード表示に注目したデルフィスやデジタル表示のデジターなど、機構の真新しさはないものの腕時計で楽しめる点で注目を浴び、レギュレーターはクロノスイスの代表作となっています。 2012年の買収以降もゲルト・R・ラング氏は相談役としてクロノスイスの運営に携わっています。それまでシリーズ展開せずに1つ1つのモデルで発表していましたが、買収以降はシリーズ化されグループ化と文字盤カラー違いの横展開をされるようになりました。しかし代表作のいくつかは今も継続して生産されていますし、買収以降に発表されたオープンギアはクロノスイスのDNAをしっかり受け継いでおり、今後の銘品の誕生が期待されます。 2-3.手仕上げによる年間5000ケの少量生産 クロノスイスは古き良き時代のスイス時計を継承することを目的として興されたブランドです。大量生産品ではなく機械式時計の最盛期である1950年代に生み出された時計のように一つ一つ職人の手作りによって生み出される時計の素晴らしさを伝えていきたいという想いです。 現在では工作機械や技術の進歩により機械での時計製造がメジャーとなっていますが、クロノスイスは手仕上げにこだわります。エブシュタイン夫妻が事業を買収後、アトリエをミュンヘンからルツェルンに移し、エナメル焼成装置およびギョーシェ彫刻機を備えています。 かつてエナメル文字盤は独特の風合いから特に古典的なスイス時計に好んで採用されていましたが、特殊な技法と設備が必要なことから現在ではエナメル文字盤を制作できるメーカーは数えるほどしかいません。ラング氏もオレアやクオーターリピーターなどに見られるようにエナメル文字盤への強い想いをもっていましたが、現行のクロノスイスはさらに文字盤への強いこだわりを感じさせます。 こうした哲学や製造方法からクロノスイスの年間生産本数は約5000本と言われています。熟練した時計師により、手間と時間をかけて制作されるのはもちろん、ブランド自体がそれらへの強い哲学と想いを持っていることがわかります。 3.クロノスイスの代表シリーズ 3-1.トゥールビヨン トゥールビヨンは公式HPではトップに位置するシリーズで、クロノスイスにとって集大成ともいえます。デザインのベースはレギュレーターで、12時位置のインダイヤルでは歯車が見えるオープンギアで時針、中心で分針、6時位置でフライングトゥールビヨンが配置されています。 2023年1月時点で文字盤は4種類あり、CVDコーティングが施されたブルー、オレンジカラーのサンセット、パライバトルマリンを再現したパライバ、ブルーとブラックのシックなメテリオットとなっています。それぞれテーマごとにギョーシェを変えており、例えばサンセットは海で夕日を見た時のような鮮やかなオレンジが波打つギョーシェで再現されています。 ケースデザインにはかつてのクロノスイスのDNAが感じられます。ベゼルと裏ブタにはコインエッジ、玉ねぎ型リューズ、足が長くボルト留めのラグなど、一目でクロノスイスだとわかるデザインとなっています。 3-2.スケルテック スケルテックはクロノスイスによる新しいスケルトンウォッチです。オーパスのようなムーブメントの複雑さと機械式時計の細かさを見せるのではなく、スケルテック用に開発された新型ムーブメントを使い、スタイリッシュなデザインに仕上げています。 このシリーズの開発で最初に行ったのは図面上でムーブメントの部品を可能な限り削減していくことでした。そうして開発された自社製ムーブメントC.304は166ケの部品点数で構成されており、スケルトン化された文字盤側から向こう側が見えてしまうほどです。X型のモノブロック構造で、リングに固定された香箱やてんぷの様子から、まるで宙に浮くようにも感じられます。 DLCブラックコーティングやCVDブルーコーティングなど、表面処理によるカラーバリエーションも豊富で、スタンダードなスケルトンウォッチとは違い近未来感のあるデザインが特徴です。 3-3.スペースタイマー スペースタイマーは2022年に発表された新コレクションで、12時位置のインダイヤルからギアが見えるオープンギア機構と宇宙をテーマにしたデザインが特徴です。発表されたのはムーンウォークとジュピターの2モデルで、それぞれの宇宙を文字盤で表現しています。12時位置のインダイヤルでは時表示、中心で分と秒表示、6時位置のインダイヤルでは日付とムーンフェイズ表示となっており、レギュレーターのようなデザインです。 ムーンウォークはポップスのレジェンドによるダンスをモチーフに、宇宙空間での月面歩行をイメージした独自のギョーシェがデザインされています。チタン製の半球に描かれたムーンフェイズが目を惹きます。ジュピターは太陽系で最も大きく楽曲のモチーフになるなど、様々な創作活動でも知られる木製を文字盤に表現しています。巨大な木星は実はガスでできているのは知られていますが、エングレービングとナノプリント加工により微細な凹凸を施すことで文字盤にガスを表現しています。 3-4.オープンギア オープンギアは12時位置に文字盤側からギアを見せるのが特徴のシリーズです。裏ブタからムーブメントの動きが見えるシースルーバックの考案者でもある創業者のゲルト・R・ラング氏らしい機械式時計を楽しむデザインです。12時位置のインダイヤルには時表示、中心で分と秒表示、6時位置でレトログラード式の秒表示となっています。レギュレーターやレトログラード表示を愛するクロノスイスらしさを最新のデザインで表現したシリーズといえます。 ギョーシェの表現が非常に多彩で、様々なテーマを文字盤で表現しています。時にはカメレオンやチョコレート、大波など多岐にわたります。それぞれでギョーシェの表現も変わっており、大波は曲線だけを使い、幅にもバリエーションをつけて海の揺れを表現しています。ジャングルは不規則で、細かい箇所と大まかな箇所にもバリエーションをつけて光の反射もバラバラにするなどジャングルの暗さを表現しています。 3-5.フライング フライングの名の通り、飛んでいる、浮かんでいるデザインが特徴のシリーズです。レギュレーターのインダイヤルと中心を使った時分針表示のチャプターリング(文字盤外周、インダイヤル2つ)を持ち上げて固定し、宙に浮かんでいるように見せています。リングをビスで固定し、その上を針が動くため、風防にかなり近い位置で針が動きます。 文字盤に立体感を付けるデザインはどのブランドも工夫をこらしますが、針とダイヤルを持ち上げてしまうデザインは唯一無二といえるでしょう。クロノスイスは手ごたえを強く感じているのか、レギュレーターだけでなくオープンギアやトゥールビヨンなど多くのモデルに採用しています。汎用性が高く、どのデザインでも大きな邪魔をせず存在感を出せる機構です。 3-6.クラシック クロノスイスのクラシックは他ブランドのクラシックとは違った雰囲気をもっています。そもそもクロノスイス全体がクラシックなデザインのため、クラシックの位置づけが異なるというのが正確です。 クラシックシリーズの大きな特徴は、アルファ針のモデルがラインナップされている点とレギュレーターに加え、ビッグデイトとレトログラード秒針のレセックがあることです。レセックはシリウスやかつての3針モデルのカイロスよりもギョーシェを見せることに焦点をあてたモデルで、ビッグデイトとレトログラード表示のクラシックを逸脱しない機能を搭載した一貫したデザインは、シリウスやレギュレーターに続く次世代のベースモデルを意識していると思われます。 3-7.シリウス シリウスはおおいぬ座をあらわしており、ギリシャ語で光り輝くものといった意味をもっています。クロノスイスにとってのシリウスは時期によって様々な意味をもっています。 創業から2012年の買収までのシリウスはクロノスイスの中でも古典的なテイストを少し抑えめにしたシンプルモダンなデザインをあらわしていました。3針や時にはレギュレーターやクオーターリピーターなど、様々なモデルを発表するクロノスイスの軸足のような存在で、新機構や新しいデザインなどを受け止めて多くのモデルを擁したシリーズです。 2022年時点でのシリウスは少し意味が変わっているようで、かつてのオーパスとルナクロノグラフがシリーズ内にあるものの、シリウスデイトやクロノグラフはヘリテージのシリーズとなっています。クラシックにもヘリテージにも所属しないモデルの行先となっているような印象です。新しくできたシリーズはいずれも名前だけでどんな時計か想像できるようになっており、シリウスにはそれがありません。いずれ、シリーズとしてはなくなってしまうのではないかと思われます。 3-8.ヘリテージ ヘリテージはクロノスイスの銘品の後継モデルが多くラインナップされているシリーズです。レギュレーターやシリウスなど、それぞれの全盛期よりも現代的にアップデートされたデザイン・ムーブメントで展開されています。 レギュレータージャンピングアワーなど銘品のテイストを色濃くもつ現行モデルもあり、創業初期頃のクロノスイスが好みのユーザーはヘリテージが好みに合うかもしれません。あるいはレギュレータージャンピングアワーを現代的に解釈したモデルもあり、シリーズの中でも幅広いモデルが展開されています。 4.【ドイツ生まれの純スイス時計】クロノスイスの銘品 4-1.レギュレーター レギュレーターはクロノスイスを代表する銘品の一つです。時針、分針、秒針がそれぞれ別の軸で動くデザインで、多くが12時位置のインダイヤルと中心、6時位置のインダイヤルで時針、分針、秒針の役割を果たすことが多いです。 元々は針が被って時刻の読み取り間違いを起こしにくいデザインとして、教会など公共の時計に採用されていました。視認性の高さから、ダイバーズウォッチのデザインに採用するブランドもあります。ゲルト・R・ラング氏は機能性はもちろん、古典的スイス時計としての品格からレギュレーターを腕時計として開発しました。 クロノスイスの代表作ともいえるレギュレーターRef.1223は、現行でいうところのレギュレーターマニュファクチュールやグランドレギュレーターに近いシンプルなデザインで、ヴィンテージウォッチが現代に蘇ったような美しさをもっています。また、クロノスイスでは多くのレギュレーターを開発しているため、時にはジャンピングアワーが時針の代りになったり、秒針がレトログラード表示になることもあります。 現行では、オープンギアやフライングに見られるようにレギュレーターを基本デザインに展開しており、クロノスイスにとってのレギュレーターの存在感の大きさを感じさせます。 4-2.デルフィス ギリシャ語でイルカを意味するデルフィスはイルカのように弧を描くレトログラード表示の分針とジャンプする時針が特徴です。6時位置の秒針が一周するごとにレトログラードの分針が一目盛り進み、60分になったときに0まで一瞬で戻ります。同時に12時位置の窓であらわす時針表示は次の時へジャンプして切り替わります。 機構に目を奪われがちですが文字盤全体に施されたギョーシェも圧巻で、スモールセコンドから波紋のように広がっています。ベゼルと裏ブタのコインエッジや玉ねぎ型リューズなど、機構・デザインともに古典的に仕上がっており、伝統的で高い品質のスイス時計を代表する一本です。 4-3.オレア オレアはホワイトエナメル文字盤を採用したシンプルな3針モデルです。既に廃盤となってしまっているモデルです。最近ではエナメル文字盤のメーカーが激減してしまい、製品化できるブランド・シリーズは非常に限られたものとなっています。オレアはそうなる前の古典的スイス時計としてエナメル文字盤の美しさを伝える伝道師的な時計でした。 コインエッジベゼルは変わらず、リューズは小ぶりな36mmケースサイズに合わせて小さめでカボションが付いています。エナメル文字盤に描かれたローマンインデックスと例るうぇい、ブレゲ針などシンプルな機能ながら、クラシックなスイス時計のスペックを十分に味わえる一本です。ムーブメントは1950年代に活躍していたマーヴィン700を搭載。ゲルト・R・ラング氏が収集していたものをベースに仕上げして搭載したもので、これもまた貴重です。 4-4.オーパス オーパスはフルスケルトンのクロノグラフモデルです。海外ではオーパス、日本ではヴィータと呼ばれており、文字盤外周の6時位置にはクロノスイスの管理番号、モデル名(OPUSもしくはVITA)、個体番号が書かれています。インダイヤルもスケルトン化されており、12時位置と6時位置はクロノグラフの積算計、3時位置は日付表示、9時位置は秒針となっています。 ブルースチールのブレゲ針、ベゼルと裏ブタのコインエッジ、玉ねぎ型リューズなど伝統的なスイス時計のデザインがベースになっています。ムーブメントがデザインを決めるのが主流のドイツらしい考え方で、エングレービングされたケースいっぱいのムーブメントをフルスケルトンで楽しめます。 4-5.デジター デジターはデジタル表示が特徴のモデルです。機械式時計のデジタル表示とは針ではなく、窓からの表示をあらわすもので、12時位置の窓では時針をあらわすジャンピングアワー、中央ではダイヤルが回転して時刻を示す分針、6時位置では同じように秒針となっています。 手首に馴染むカーブと長いラグのスクエア型のフレアードなケースを採用しており、文字盤にはデジタル表示だけで装飾はなくともラグジュアリーな雰囲気に仕上がっています。ホワイトゴールド、ピンクゴールド、黒文字盤など展開されていた種類や時期は限定的だったものの、確かな存在感を示したモデルです。 5.クロノスイスのおすすめモデル5選 5-1.ルナ クロノグラフ Ref.CH7523L Ref.CH7523Lは伝統的なトリプルカレンダームーンフェイズクロノグラフです。古典的なスイス時計の要素がたくさん散りばめられています。12時位置のインダイヤルはクロノグラフの積算計、3時位置には顔が描かれたムーンフェイズ、6時位置にクロノグラフの積算計、9時位置には秒針、文字盤外周にはポインターデイトが配置されています。 時分針は先端手前に丸が付いたブレゲ針、細かく溝が切られたコインエッジベゼル、大ぶりな玉ねぎ型リューズ、文字盤はギョーシェで装飾されておりクラシックなスイス時計の様式が詰め込まれています。コインエッジのベゼルと裏ブタではさまれたミドルケースはヘアライン仕上げになっており、仕上げ方法の差で立体感を見せています。ストラップの固定はボルトで行われているので、精密のマイナスドライバーで交換が可能です。 5-2.レギュレーター 30 リミテッド Ref.CH2813-CB Ref.CH2813-CBはクロノスイス創業30周年記念に制作されたモデルで、世界限定300本のみの生産となっています。クロノスイスが有名になるキッカケとなったレギュレーターを応用させたデザインで、時針の代わりに12時位置の窓で表示するジャンピングアワーを採用。分針と秒針とそれぞれ独立した軸で動いています。ジャンピングアワーは切り替わりのタイミングをよく見てみると、ばねで制御しているのがわかるハネ感があります。 クロノスイスの特徴である純スイス時計といったデザインで、コインエッジのベゼル、大き目で溝が切られた玉ねぎ型リューズ、ブルースチールの針など王道のデザインを使いつつ、変化型レギュレーターとエッジが効いています。ムーブメントは自動巻きとしては定番のETA2892-Aを搭載しています。 5-3.オーパス クロノグラフ Ref.CH7522SR Ref.CH7522SRはクロノスイスの代表的なスケルトンクロノグラフモデルです。海外ではオーパス、日本ではヴィータ(イタリア語で生命の意味)と呼ばれており、スケルトン文字盤から見えるムーブメントの繊細さとインパクトが魅力です。インダイヤルもスケルトン化されており、12時位置と6時位置は積算計、3時位置は日付、9時位置は秒針となっています。文字盤外周の6時位置にはクロノスイスの管理番号とモデル名(OPUS)、個体番号が書かれています。 ベゼルやリューズはゴールドで、ミドルケースとラグはステンレスのコンビとなっています。コインエッジのベゼルと裏ブタ、玉ねぎ型リューズ、ブルースチールのブレゲ針などスイス時計らしさがよく出たデザインで構成されています。300ケものパーツ点数で組み上げられたムーブメントをフルスケルトンで観察できる楽しみがこの時計のポイントです。 5-4.スペースタイマームーンウォーク Ref.CH-9343.2-GRBL Ref.CH-9343.2-GRBLは2022年発表の新コレクションスペースタイマーの一本です。12時位置のインダイヤルでギアを見せるオープンギア機構が宇宙をテーマにデザインされています。12時位置のインダイヤルでは時針、中心で分と秒表示、6時位置では日付表示とムーンフェイズ表示となっています。世界限定生産50本です。 ムーンウォークとはポップスのレジェンドが得意としたダンスのムーンウォークをモチーフに、月面を歩くような独特な凹凸がギョーシェで表現されています。チタン製の月半球型のムーンフェイズにも微細な凹凸が彫られており、宇宙空間を想起させます。12時位置の時表示と6時位置の日付表示のサークルには新素材「ITR2」が採用されています。カーボンナノチューブを使用した機能性樹脂で、ステンレススチールの1/8の重さが魅力です。新素材に注目しているブランドも採用を開始しています。 5-5.オープンギアフライングトゥールビヨンサンセット Ref.CH-3123-ORBL(2022新作) Ref.CH-3123-ORBLは2022年新作として発表されたオープンギア仕様のフライングトゥールビヨンです。世界限定生産15本のみとなっています。フライングトゥールビヨンはすべてルツェルンのアトリエで制作され、文字盤のギョーシェは職人の手作業にこだわり抜いています。12時位置のインダイヤルが時針、中心が分針となっています。 サンセットの名の通り、沈む夕日を描いた文字盤となっており、オレンジカラーの文字盤に波打つさまが職人の手作業で描かれています。ムーブメントのダークブルーとオープンギアで見える歯車、トゥールビヨンの脱進機がの鮮やかな調和を生み出しています。 6.まとめ クロノスイスについてまとめました。現在のクロノスイスはラング氏主導の時代よりも現代的なデザインが増えており、一見かつてのクロノスイスとは違っていると思う方もいるかもしれません。しかしよくよく見てみると、かつてのクロノスイスの銘品のDNAを確かに受け継いでおり、ラング氏へのリスペクトを感じさせるデザインが多く見られるのがわかります。クロノスイスのモットーはぶれずに現代的なデザインに力を入れているので、以前のクロノスイスをご存じの方にこそ一度手にとってみてほしいと思います。 関連記事はコチラ https://estime.co.jp/column/hamilton/ https://estime.co.jp/column/luxury-watch-evaluation/ https://estime.co.jp/column/germany-watches/
クストスという高級時計ブランドをご存じでしょうか。トノーケース×スケルトンを主軸に古典的かつ最新の技術・素材へのチャレンジを繰り返すスタイルが世界的に高い評価を受けています。クストスはかのフランクミュラーの共同創業者の息子がフランクミュラーグループ内で立ち上げたブランドとして始まったこともあって、かつてはフランクミュラーのモダン版と言われていました。しかし今ではフランクミュラーから完全に独立し、一つのブランドとして再スタートを遂げています。この記事ではクストスの歴史、魅力、代表シリーズ、愛用している有名人、人気モデルについてまとめます。 1.【ハイテクノロジー、スポーティ、エレガンス】クストスの歴史 1-1.2005年、サスーン・シルマケスとアントニオ・テラノヴァの2人により創業 クストスはフランクミュラーの共同経営者であるヴァルタン・シルマケスの息子サスーン・シルマケスとデザイナーのアントニオ・テラノヴァの2人により2005年に設立されました。サスーン・シルマケスは幼少期から時計業界の現場を知るサラブレッドであり、高級時計業界における世界4大コングロマリットの一つ、ウォッチランドグループのリソースが使えるという強みがありました。 アントニオ・テラノヴァは野心的なデザインに定評があり、サスーン・シルマケスとタッグを組むことで斬新な時計を具現化できると考えました。ラテン語で守護神を意味するブランド名クストスは、スイスの伝統的な時計作りを守っていく覚悟があらわれているといいます。サラブレッドにより伝統を守りつつ、斬新で現代的な時計つくりを行う「ハイテク、スポーティー、エレガンス」の3つをコンセプトは今も守られています。 2005年創業年に3つのファーストコレクションを発表しました。チャレンジクロノはその一つで、優美なトノーケースとスケルトン化された文字盤は当時とするとかなりマイノリティでしたが、後に時計を魅せる方法として世界的にメジャーになりました。 1-2.2010年、陸・海・空の3つのシチュエーション別にシリーズ分け 2005年の創業以降、クストスは多くのチャレンジを行いその多くが成功を収めたとは言えませんでした。様々な試行錯誤の中で、方向性にバラツキが出てしまったのは事実です。新しいものや刺激が好きな時計愛好家はともかく、一般的なユーザーにとっては統一感がなくわかり辛い展開だったことは否めません。 2010年に主なラインナップを「チャレンジ クロノ」「チャレンジ シーライナー」「チャレンジ ジェットライナー」の3つに集約し、それぞれ陸・海・空のテーマを持たせました。3つのシリーズはトノーケースであること、100m防水であることなど、基本的な部分は共通していますが、デザインや機能をハッキリ分けることで、選びやすくなっています。 トノーケースにこだわったのはフランクミュラーの影響ではなく、アントニオ・テラノヴァの好みによるものと語っています。2015年以降に発表した「チャレンジ ジェットライナーⅡ P-S オートマティック」や「チャレンジ シーライナー P-S オートマティック」では、スポーツウォッチを軸としつつスモールセコンドを採用し、これまでのスポーツウォッチとは違った雰囲気を目指しています。一般的なスポーツウォッチのデザインを理解しつつ、ありきたりにならないクストスの世界観を活かすようになっています。 1-3.2016年、ウォッチランドと袂を分かち、バーゼルワールドへ出展 2005年の設立当初はマスター・オブ・コンプリケーションと呼ばれたフランクミュラーの影に隠れていました。共同創業者の一人がフランクミュラーのCEOの息子で、しかも同じトノーケースを採用しているともなれば、フランクミュラー系列と見られるのも不思議はありません。 一方でサスーン・シルマケスとアントニオ・テラノヴァの二人はフランクミュラーの影響を受けてはいませんでした。サスーン・シルマケスは偉大な父の恩恵を受けたことを公言しながらも、距離を置こうとしていました。例えばかつてウォッチランド内に構えていた工房とショールームは別のブランドであることを示すようにジュネーブ市内へ移転しています。 2016年にはフランクミュラーグループの見本市であるWPHHと袂を分かち、バーゼルワールドへ出展を行いました。現在のクストスのメインとする工場にフランクミュラーグループの資本は入っておらず、ケースの製造もウォッチランドとは関わりのないサプライヤーへ 依頼しています。 2.クストスの魅力 2-1.“ハイテク“”スポーティ“”エレガンス“をコンセプトとする世界観 クストスは“ハイテク“”スポーティ“”エレガンス“の3つをコンセプトとしており、すべての時計がこれらの特徴を持っています。 例えばハイテクはチャレンジジェットライナーシリーズに搭載されているムーブメントにおいてスモールセコンドの動きを安定させる磁石を採用したことや、新素材のエルガをケースに採用するなど新しい技術の開発や素材の採用に意欲的なことが挙げられます。 スポーティーはクストスの時計がどれもスポーティーなデザインであることからすぐに分かります。文字盤は原則スケルトンとし、機構の複雑さを見ることだけでなく軽量化を狙っています。同様にケースサイドの肉抜き加工も軽量化と立体的なデザインのために施されています。チャレンジクロノシリーズで特に強調されている堅牢さと軽量さの両立はスポーティーな印象を深くさせています。 エレガンスについてもチャレンジシーライナーやメトロポリタンで強調されているラグジュアリーな雰囲気が良い例です。ジェットライナーやクロノに見られる機能美とは違い、高級で余裕のある雰囲気が楽しめます。 2-2.トノーケース×スケルトンの一目でクストスだとわかる際立った個性 クストスの時計は一目でクストスだとわかる際立つ個性をもっています。トノーケースとスケルトンの組み合わせに加え、前述の“ハイテク“”スポーティ“”エレガンス“を感じられることから、他ブランドにはない特別感が味わえます。 航空機からインスピレーションを得て開発されたジェットライナーは本物の航空機体を思わせる素材や機能美を追求しています。船舶やヨットからインスピレーションを得て開発されたシーライナーは甲板に使われるチーク材をブリッジに採用し、軽量化・世界観の強化に成功しています。 クストスがもたせる機能は実は合理的で、単なるデザインではなく軽量化や対傷性の向上など、実用的なものばかりです。ケースサイドを肉抜き加工し、ムーブメントを横から覗くことができつつ軽量化など、斬新なようで理にかなっています。インパクトのあるデザインだけではなく、実用的で時計を実際に使うことまで考えられている点はクストスならではといえます。 2-3.古典的なデザインと最新の技術・素材の融合 クストスの時計はスイス伝統の審美眼・技術と最新の技術や素材が組み合わされてできています。クストスを象徴するトノーケースはスイスの伝統的な昔ながらの時計によく使われている形状で、現行の時計で採用するメーカーは決して多くありません。というのもトノーケースの樽形状では理論上、防水性が低くなりがちなことが理由の一つです。クストスはこの問題をシーリングと社内でも2人しかできない特殊な技術により、防水性100mを可能としています。 また、最新の素材を積極的に採用しています。チャレンジジェットライナーでは主に航空機などに使われる合金のエルガ、シーライナーではブリッジにチーク材を使用し甲板を想起させるなど幅広い使い方をする柔軟さがあります。 3.【ハイテクノロジー、スポーティ、エレガンス】クストスの代表シリーズ 3-1.チャレンジジェットライナー ジェットライナーはクストスの軸足ともいえる柱の3シリーズの一つです。名前の通り、航空機を想起させるシリーズで、本物の航空機に採用される素材を使うなど、特に軽量化に重きを置いています。6時位置のスモールセコンドには大型タービンを思わせる羽根車が設置されています。ムーブメントの動きを安定させるために輪列を改良。磁石を利用するというこれまでの機械式時計の常識を覆す機構を搭載しています。 最新のチャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティックではチタニウム・シルバー・コッパ-・マグネシウム・アルミニウム・ジルコニウムを混合した新素材エルガを採用。軽量さと耐久性を持ち合わせた素材をケースに使うことで、航空機さながらの最先端技術を用いるクストスのチャレンジ精神が感じられます。 3-2.チャレンジシーライナー チャレンジシーライナーは2010年以降クストスのメインとなる3つの柱のうちの一つで、航海からインスピレーションを得て開発されました。船や海を想起させるブルーやブラウンをメインのカラーリングとし、ブルーPVD加工が施されたステンレスケースや甲板等に使われるチーク材をブリッジに使用するなど、対傷性や軽量化に優れ実用的なデザインです。 最新のチャレンジ シーライナー P-S オートマティックは船のスクリューを模した羽根車が6時位置にスモールセコンドとして配置されています。舟艇に取り付けられたスクリューとスモールセコンドの動きをリンクさせるために、ムーブメントの輪列から設計されました。また、駆動中の動きを安定させるために永久磁石を使う画期的な新技術が搭載されています。 3-3.チャレンジクロノ チャレンジクロノはクストスの掲げる3つの柱の最後の一つ、陸・海・空の陸にあたるシリーズです。スポーツカーさながらの曲線美とスケルトンの文字盤側からも見える構造美を追求しており、ハイテクノロジー、スポーティ、エレガンスを忠実に体現しています。 最新のチャレンジ クロノⅢ-Sは主にグレード5のチタンケースを採用しています。あるいは18kゴールドとのコンビケースも併用します。グレード5のチタンはチタン合金の中でも30%にも満たない最高級グレードで、ジェットライナーシリーズにも使われています。グレード1~4の純チタンよりも優れた強度や耐腐食性をもち、クストスのこだわりに対応できる最先端の素材となっています。 デザイン面では疾走感と迫力を探求し、曲線美やベゼルの肉抜き加工など立体感のある意匠が多く使われています。クロノグラフムーブメントを積んでいる影響もあり力強い厚みが特徴的で、サイドガードとリューズガードによって実用性も強化されています。機構の複雑さや強化したことにより重量はケースの素材にチタンを選んだことでむしろ軽量化がなされています。 3-4.メトロポリタン メトロポリタンは2022年発表のシリーズで、ジェットライナー、シーライナー、黒のシリーズに続くコレクションです。ジェットライナーやシーライナーと同じケースサイズですが、より視認性や機能を優先したシンプルなデザインです。ムーブメントは微弱な永久磁石を使いスモールセコンドの駆動を安定させる新技術が搭載されており、デザイン面だけでなく機能においても最新で都会的に仕上がっています。 メトロポリタンは異なる2種類の展開がなされています。メトロポリタン P-S スケルトンはスケルトンとあるように文字盤の大部分をスケルトン化し、ムーブメントの機構を見せつつ奥行ある文字盤デザインを楽しめます。メトロポリタン P-Sは縦に刻まれたギョーシェが特徴的な文字盤で、カラーリングされたコートドジュネーブに近いデザインとなっています。 メトロポリタンはケース、ブレスレット、風防、リューズ、文字盤など、すべてを新たに製作しています。角をとった直線的なデザインで構成されており、幾何学的でモダンな印象です。ポリッシュ仕上げとサテン仕上げを併用することで立体感が増すデザインとなっています。 3-5.エヴォスクエア エヴォスクエアはクストスの中でも珍しいスクエアケースのシリーズです。流通量は少なく、クロノグラフのみの展開だったようです。機構が文字盤の奥に見えるデザインコードは健在で、8点のビス留めされたベゼルや白、赤、黒を中心としたカラーリングなど“ハイテク“”スポーティ“”エレガンス“のコンセプトをしっかり感じさせるシリーズとなっています。 ダイヤモンドをベゼルいっぱいにセットしたモデルも見られます。クストスの世界観をスクエアケースで楽しめる数少ないモデルとして愛用されています。 4.クストスを着けている芸能人・有名人 4-1.元プロサッカー選手 北沢豪さん チャレンジクロノⅡブランカード Ref. CVT-CHR2 5NBLTT 元プロサッカー選手 北沢豪さんが着けているのはチャレンジクロノⅡブランカード Ref. CVT-CHR2 5NBLTTです。北沢さんはスポーティーな時計に絞って着けており、タグホイヤーモナコとクストスチャレンジクロノの2種類を着けているようです。 チャレンジクロノⅡブランカードRef. CVT-CHR2 5NBLTTはクストスの柱として展開する3シリーズの一つです。ブランカードとはフランス語で馬車に由来し、車を牽引する馬に取り付けられる柱を意味しており、力強いデザインはベゼルデザインに採用されています。18kレッドゴールドとブラックPDV処理されたチタンを組み合わせたケースになっており、クラシックな雰囲気と現代的なスポーティーでパワフルなイメージの両方をもつ一本に仕上がっています。 クロノグラフの積算計を示すサブダイヤルはリング、針、奥行きがある文字盤と立体的。スケルトンで、文字盤側からも内部の機構をしっかり見ることができます。 4-2.GQJAPAN編集長 鈴木正文さん チャレンジ ギュスターヴエッフェルクロノグラフGMT Ref.CVTーCHR2ーEIFFEL-CP5N BRST GQJAPAN編集長 鈴木正文さんが着けているのはチャレンジ ギュスターヴエッフェルクロノグラフGMT Ref.CVTーCHR2ーEIFFEL-CP5N BRSTです。鈴木さんは時計愛好家で知られており、多くの時計を所有しています。例えば2018年にSNSに投稿した際には半年で4本の時計を購入したと語っているほどです。 Ref.CVTーCHR2ーEIFFEL-CP5N BRSTは一際目を引くブルーが特徴のチャレンジクロノⅡです。珍しいブルーPVD処理が施されたステンレスと18kレッドゴールドを組み合わせたカラーリングで、スポーティーでいて落ち着いた雰囲気もある一本です。ベゼルやラグは肉抜き加工がされ軽量化と立体的なデザインに仕上がっています。3時位置に日付表示とパワーリザーブ、クロノグラフを備えた実用的なモデルです。 4-3.プロサッカー選手 長友佑都さん チャレンジ シーライナー Ref.CVT-SEA-CP5N BLST プロサッカー選手 長友佑都さんが着けているのはチャレンジ シーライナー Ref.CVT-SEA-CP5N BLSTです。長友さんはラグジュアリースポーツモデルを愛用しており、ウブロビッグバンやオーデマ・ピゲロイヤルオークオフショアなど、名だたるブランドのスポーツモデルを着用しています。 Ref.CVT-SEA-CP5N BLSTは海からのインスピレーションで生まれたチャレンジシーライナーシリーズです。ブルーPVD処理が施されたステンレスと18kレッドゴールドのコントラストが効いたケースが美しい一本です。第二時間帯表示、デイ&ナイト表示、24時間表示と多機能を備えています。また、船体をモチーフにつくられたビッグデイト表示や船に使われるチーク材をブリッジに使用するなど、船の一部を取り込んだようなデザインに仕上がっています。 4-4.プロサッカー選手 イヴァン・ラキティッチさん チャレンジシーライナークロノレガッタ Ref.CVGT-SEA-REGATA 5N プロサッカー選手 イヴァン・ラキティッチさんが着けているのはチャレンジシーライナークロノレガッタ Ref.CVGT-SEA-REGATA 5Nです。イヴァンさんについては情報が少なく、クストス以外の時計を着けている情報を見つけられませんでした。 Ref.CVGT-SEA-REGATA 5Nは海をテーマとするシーライナーの中でもレガッタに的を絞ったモデルになっています。12時位置のサブダイヤルはヨットレースの特殊なスタートに合わせて1区画5分のカウントダウンインジケーターになっています。文字盤には船の甲板に使われるチーク材を採用し、より世界観を楽しめるデザインとなっています。3時位置には日付表示とパワーリザーブ表示が付いているため、実用性もよい一本です。 4-5.サッカーチーム監督 マルコ・シルバさん チャレンジクロノⅡ Ref. CVT-CHR2-BL ST サッカーチーム監督 マルコ・シルバさんが着けているのはチャレンジクロノⅡ Ref. CVT-CHR2-BL STです。マルコ・シルバさんもクストス以外の時計を着けている情報は見当たりません。クストスは普段時計を着けない方にも愛用されている珍しいブランドといえるかもしれません。 Ref.CVT-CHR2-BL STはクストスの柱となるシリーズとなるチャレンジクロノシリーズの一本です。ステンレススチールケースを採用したことで文字盤奥の機構や深めのブルーの各パーツもあって重厚感のある雰囲気に仕上がっています。夜行処理が施された太めのバトン針やインデックス、リングを用いることで立体感のあるサブダイヤルはデザイン上のインパクトだけでなく、視認性も良くなり実用しやすくなりました。 5.クストスのおすすめモデル5選 5-1.チャレンジクロノⅡ Ref.CVT CHR2 CP5N BLST Ref.CVT CHR2 CP5N BLSTはクストスの柱となるチャレンジクロノシリーズの一つです。ブルーPVD処理が施されたステンレススチールケースに18kレッドゴールドのリューズ、プッシュボタンなどブルーとレッドゴールドの高級感のある組み合わせとなっています。ベゼルは前面と側面が肉抜き加工されており、軽量化と立体感のあるデザインに一役買っています。 クロノグラフ、日付表示、パワーリザーブ表示と使い勝手の良い機能が揃っており、防水性も100mあるため、実用的な一本です。純正はブルーのラバーストラップなのでカラーリングが揃っており、クストスによる異素材の高級感ある組み合わせが楽しめます。 5-2.チャレンジ シーライナー P-S オートマティック Ref.CVT-SEA-PS-CPTT-SBST Ref.CVT-SEA-PS-CPTT-SBSTは2021年発表のチャレンジシーライナーです。6時位置に配置された舟艇に取り付けられるスクリューをモチーフした羽根車が特徴で、スモールセコンドとして機能します。スクリューの動きにスモールセコンドをリンクさせるために、微弱な永久磁石で歯車の動きを補助する画期的な機構が備わっています。 文字盤側から見えるブリッジには実際の舟艇で使用されるチーク材を採用することで、航海からインスピレーションを得た世界観がより深く楽しめます。ケース側面の3時位置と9時位置の開口部は船窓をイメージしており、ムーブメントを横からのぞくことが可能です。まるで浮いているように見えるムーブメントの複雑機構を楽しめます。 5-3.チャレンジ ジェットライナーII P-S オートマティック ダイヤモンド Ref.CVT-JET2-PS-CD-TT Ref.CVT-JET2-PS-CD-TTは航空機を想起させるジェットライナーシリーズの一本です。6時位置のスモールセコンドには航空機に取り付けられるタービンのような羽根車を搭載しています。また、この羽根車の動きを安定させるために、機械式時計にとっては天敵ともいえる磁石を利用しています。 軽量化のため文字盤はスケルトン化し、時計から向こう側が見えるほどブリッジに肉抜き加工が施されています。アワーマーカー部とスモールセコンドを囲うようにふんだんに配置されたダイヤモンドがラグジュアリーな印象です。 5-4.メトロポリタン Ref.METROPOLITAN TT(2022年新作) Ref.METROPOLITAN TTは2022年に発表されたメトロポリタンの初代モデルです。洗練された都会をテーマに製作されており、クストスの掲げるハイテク、スポーティー、エレガンスのコンセプトを体現しているモデルです。クストスがメインとするトノーケースは維持しつつフラットベゼルやケースと一体化したラグなど、スポーツラグジュアリーウォッチに代表されるロイヤルオークに似た雰囲気をもっています。 ブルー文字盤は、ムーブメントに刻まれるのをよく見かけるコートドジュネーブのような縦ストライプを採用しています。針とアワーマーカーは芯部が夜行処理されている他、日付表示も搭載されています。リューズガードや工具なしでストラップ交換ができる機構など実用的な機能が多く、時計愛好家から初心者まで幅広い層が使いやすい一本です。 5-5.チャレンジ ジェットライナーII カーボン ARTA リミテッド エディション Ref.CVT-JET2-PS-ARTA FGDC(2022新作) Ref.CVT-JET2-PS-ARTA FGDCは航空機からインスピレーションを得て製作されたジェットライナーシリーズの2022年新作です。元レーシングドライバーの鈴木亜久里さんとオートバックスが組んで設立されたブランドARTAとのコラボレーションで生まれた限定モデルです。ARTAの親和性の高いオレンジを各所に使用しており、インナーベゼルにはロゴが配置されています。 スモールセコンドの羽根車など、ジェットライナーシリーズのデザインは活かしつつ、マーブルなカーボン素材のケースと文字盤奥の機構をのぞけるスケルトン文字盤など、スポーティーなデザインパーツに溢れています。軽量化に注力するジェットライナーシリーズとARTAのレーシングカーがもつスピードへの飽くなく探求の世界観がよくマッチしています。 6.まとめ クストスの歴史、魅力、代表シリーズ、着用している有名人、人気モデルについてまとめました。フランクミュラーグループのブランドとして見られがちですが、独立しバーゼルワールドへ出展するなど、グループの力に頼らない運営へ着実に進んでいます。メトロポリタンなどの新しいシリーズやコラボレーションモデルも増え、クストスの世界観が今後広がっていくのが楽しみとなっています。もし街中でクストスの時計を見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。 関連記事はコチラ https://estime.co.jp/column/rechardmille-highprice/ https://estime.co.jp/column/frederique-constant/ https://estime.co.jp/column/watch-magnetic-resistance/
ブランドに属さずに個人で一から時計を創り出す独立時計師をご存知でしょうか。彼らは組織や集団に囚われないので、真に自分が納得する時計だけを創り続けています。合理的な大量生産からかけ離れ、一本一本を手造りで時計に向き合う彼らの姿は、かつて屋根裏で時計作りに勤しんだといわれるキャビノチェそのものです。この記事では独立時計師の魅力や代表作についてまとめます。 1.【独創的で強いこだわり】独立時計師とは 独立時計師とはどんな人たちをいうのか、どんな時計師なのかについてここではまとめます。 1-1.メーカーやサプライヤーに属さずに個人で活動する時計師 独立時計師とはメーカーやサプライヤーに属さずに個人で活動する時計師のことです。通常、時計職人というと会社に属し、修理や組み立てなどを行いますがそれらは大抵分業となっており、決められたモデルの決められた作業のみを行います。会社にとってもっとも効率的な製造方法だからです。 しかし独立時計師はデザインから組み立て、調整といった時計製造に関わることだけでなく広報や仕入れなど全てを自分で行います。そうすることで真に自分が納得できる時計づくりができるようになるためです。そのため独立時計師の時計はどれもオリジナリティーに溢れ手間がかけられています。 1-2.独立時計師が集まる組織「アカデミー」について 独立時計師アカデミー(AHCI)とは独立時計師から構成されており、伝統的な時計技術の継承を目的とした組織です。1985年にスヴェン・アンデルセンとヴィンセント・カラブレーゼによってスイスで設立され、2022年現在では35名が所属しています。いずれも指折りの技術を持った時計師の集団です。 アカデミーに所属するには厳しい条件をクリアする必要があります。まず、正会員2名の推薦と見本市に新作の出展を行うことで準会員になれます。その後2年続けて新作発表をすることと総会で全会一致の賛成があって初めて正会員になることができます。 アカデミーに所属しない独立時計師も多くいますが、アカデミーによる広報活動や見本市もあり注目を集めているため、所属することで技術力やクオリティーを証明しやすいといった利点もあります。例えば2022年3月30日〜4月5日にはバーゼルワールドのような合同展示会への参加ではなく単独の新作展示会を行っています。 1-3.日本人独立時計師について アカデミー正会員の日本人は2022年8月時点で菊野昌宏、浅岡肇、牧原大造の3名となります。それぞれフィリップ・デュフォーや様々なものに影響を受けながら、自分の手で時計を創り出す独立時計師となりました。 元自衛隊の菊野昌宏、元料理人の牧原大造など変わった経歴の持ち主が多いですが、時計にかけるこだわりは海外の時計師にも負けず劣らず。日本らしさを表現した時計もあり、ぜひ一度見てほしいものばかりです。それぞれの時計師については後述します。 2.【独創的で強いこだわり】独立時計師の魅力 独立時計師の時計にはブランドの時計とは違った魅力が多くあります。いわゆるブランド品とは違い、強いこだわりを貫き通す彼らの時計には人を惹きつける魅力があります。ここでは独立時計師の魅力についてまとめます。 2-1.個人で製作するため、強いこだわりを持つ時計が多い 独立時計師が創る時計はどれも強いこだわりを感じさせるものばかりです。元々大手ブランドで技術職を務めながらも、独立した時計師が多いことを考えると当然かもしれません。 独立できるほどのスキルがあれば役職に就いて安定して高い収入を得ることも難しくなかったはずですが、それらを捨ててでも自分がやりたいことを貫きたかったということ。それだけこだわりたかった時計のはずですから、当然そこに妥協はありません。 独立時計師の時計を扱う店舗では彼らの時計を作品と呼ぶこともあります。ビジネスアイテムとしての時計ではなく、まるで美術工芸品のような彼らの作品は、他では感じられないほどのこだわりの強さと美しさを放っています。 2-1-1.ブランドに所属しないことで開発の自由度が高まる ブランドに所属しないことで開発の自由度が高まるのも独立時計師の特徴です。ブランドによる商品展開はあくまで売れることが前提にあり、ブランドらしさは伝わっても売上が得られないモデルは展開されません。独立時計師はそれができます。 例えるなら、多くの人に80点をもらえる時計づくりを行うのがブランドで、自分の時計づくりを理解して買ってもらえる人に届けばいい、一部の人に120点がもらえるようにつくるのが独立時計師です。時にはあまりに斬新なデザインで驚かされることもありますが、独立時計師の時計はそれが魅力ともいえます。 2-1-2「こだわり>コスト」を感じさせる時計が多い 独立時計師の生み出す時計でコスパがいいという概念はありません。通常のブランドであれば広告費や戦略上で設定した金額が上乗せされるなど、実際の時計づくりには関係ない費用が乗った価格となっていますが、独立時計師が生み出す時計にはそれらがありません。なのでむしろ手間がかかっている割に安いともいえます。 他ブランドの同じ機能のモデルと比較することはできますが、生み出されるまでのストーリーや思い、こだわりを聞いた上で時計と向き合ってみると、そのストーリーを引き継ぎたいかどうかで手に取るかどうかを考えるので、ブランド物の価格検討とは少し違った見方が必要です。彼らにとってはコストやシリーズ展開ではなく、こだわり抜いた時計への思いが最優先にあります。 実は独立時計師の時計は値段が高いイメージをもつ方が多いです。実際、彼らの中でも複雑機構を得意とする時計師や非常に長い期間を使って一本を創り出す場合は、他のブランドと比較しても高額になることもあります。しかしブランドの生み出すユニークピースのような特別なコンセプトや戦略上の限定生産よりも、独立時計師がひたすらに時間を投入して創り出した時計が高額なのは納得しやすいのではないでしょうか。 2-2 独立時計師の時計にはストーリーが存在する 通常、ブランドで生み出される時計の多くは新たなムーブメントの完成に合わせた新作やカラーリングやサイズアップなどのマイナーチェンジで展開されますが、独立時計師が生み出す時計にはどれもストーリーが存在します。なぜこのモデルをつくるに至ったのかを突き詰めて考えられた時計はどれも一つ一つに意味をもつこだわりの深い時計ばかりです。 2-2-1 開発の経緯や思いを本人から聞くことができる 独立時計師が生み出す時計のストーリーが知りたいなら、雑誌やインターネットのインタビューを見るのが最も簡単です。大抵、本人が答えているため、例えばブランドの広報担当が答える内容よりももっと踏み込んだ話を聞くことができます。 もっと深い話が聞きたい場合、本人から話を聞くこともできます。彼らの時計が展開されるイベントに足を運んだり、今ならSNSでのコメントにも答えてくれるかもしれません。創り出す本人から聞くストーリーや思いは、唯一無二の熱量となって答えてくれるのではないでしょうか。 (ちなみに独立時計師は変わった方が多いので、下調べしてから聞くことをお勧めします。) 2-2-2.真に自分が納得する時計造りを行う 独立時計師が生み出す時計は、真に自分が納得したものだけです。彼らのブランドの多くが自分の名を冠するため、ブランドの評価=自分の評価となるのです。そのためか、通常のブランドで考えられるコスト感は独立時計師には通用しません。 独立時計師によっては一年かけて一本を創り出す場合もあります。自分の分身となる時計を納得できるレベルまで昇華させることへの妥協はありません。コストや納期など、様々な理由で妥協せざるを得ないブランドとはコンセプトがそもそも違うのです。 2-3.希少性が高く、一般的に知られていないことが多い 独立時計師の時計はブランドに比べ、知名度が圧倒的に低いです。それもそのはず、広告をほとんど打たないことが理由です。 一般的なブランドは雑誌(時計に限らず。高所得者層が読む雑誌全般に掲載されます)や空港、駅、インターネットなど様々な広告を打ち販売へ繋げます。対して独立時計師は自社サイトや代理店、グランプリなどがあれば賞を狙いつつ広報活動、アカデミー会員であればアカデミーの広報など、ブランドとは比較になりません。 しかし、独立時計師は一本一本に時間をかけて手造りで生産するためそもそも希少性が高く、広報活動を強化しても手に入らない人がいたずらに増えるだけです。広報活動を強化するよりも、自身が納得した時計づくりを行い、それを理解してくれる人々を着実に増やしていくのが重要と考えているようです。 2-3-1.一本一本に時間をかけて手造りによる少量生産 独立時計師は一本一本に時間をかけて手造りにこだわります。昔ながらのすべて手作業で行う人もいれば、最新の機械を利用しつつ仕上げなどは必ず自分の手で作業するといった時計師もいます。 たとえばフィリップ・デュフォーはパーツの磨きにジャンシャンという木を使います。これはジュウ渓谷の伝統的な技法で、機械を使うと角部に多少丸みが出てしまいますが、ジャンシャンの木で手作業ならば磨きをかけつつしっかりエッジを立たせることも可能です。陰影がしっかりしたシルエットは手作業ならではですが、今ではこの仕上げを行うのはフィリップ・デュフォーしかいません。 とにかく時間がかかるので生産数も増やせません。しかもムーブメントの各パーツの面取りは多くの人が気にする部分ではありません。しかし彼自身のこだわりとして、すべてのパーツを手作業で仕上げます。その思いが時計好きに強く響くのです。 2-3-2.広告費をかけないので周知されにくい 独立時計師の時計は生産数が少ない上に広告費をかけないため、ブランドに比べ知名度は低いです。一般的なブランドは雑誌や駅、空港など様々な媒体で広告をうつため知名度が高い代わりに広告費が時計に上乗せされますが、独立時計師にはそれがありません。 時計に限らずハイブランドの製品には多くの広告費がかけられており、それらは時計製造に関わるものではなく、知名度やブランドの格を競い合うためのものです。もちろん多くの人に知られていることも価値の一つで信頼性の証でもあるのですが、独立時計師の時計は広告を打たない上に生産数も少ないため周知されにくく、時計愛好家など一部の人だけが知っているブランドといえます。 しかし独立時計師の時計の価格は広告費が入っていない純粋な時計製造に関わる金額と考えると、知名度は低いもののコストがしっかり時計に反映されています。知名度をとるか、時計そのものへの手間やこだわりをとるかは、独立時計師の時計を選ぶ際に考えることの一つでしょう。 2-4.ブランドとのコラボによる特別モデル 独立時計師による時計は一部個人での活動だけではなくブランドとのコラボレーションで生み出されるモデルもあります。知名度こそ高くないものの、時計愛好家やブランドからは注目を集めている独立時計師の技術を求め、ブランドからコラボレーションを依頼をするケースが多いです。 アカデミーを通して依頼することもあれば、独立時計師個人へ依頼するケースなど様々ですが、コラボレーションモデルのいずれも独立時計師の独創的で斬新なデザインや機構など、ブランドからは一線を画すものばかりです。 2-4-1.ゴールドファイル ゴールドファイルはドイツの革製品メーカーで、鞄や財布、ベルトなどの革製品をメインとしながらもサングラスや時計など世界観を広げているブランドです。 ゴールドファイルはその審美眼を時計に熱く向け、独立時計師アカデミーとのコラボレーションを行い、ゴールドファイルの名を冠した特別なモデルを発表しました。フランク・ジュッツィやヴィアネイ・ハルターなどがこれに参加し、ゴールドファイルのラグジュアリーで独創的な世界観を展開しています。 この取り組み自体は一時的なプロジェクトで、長続きするものではありませんでしたが、独立時計師の世界観を感じる手段としてコラボレーションという手段が確立できたといえるでしょう。 2-4-2.ハリー・ウィンストン ハリー・ウィンストンは言わずと知れたハイジュエラーで、特にダイヤモンドの扱いに長けておりキング・オブ・ダイヤモンドの二つ名をもつブランドです。2001年から展開しているオーパスシリーズは独立時計師とのコラボレーションによって、既存の時刻読み取りを覆すデザインや独特の機構など革新的なモデルを次々と発表しています。 これまでにフランソワ・ポール・ジュルヌ、アントワーヌ・プレジウソ、ヴィアネイ・ハルターなど多くの独立時計師とのコラボレーションを成功させています。最新のオーパス14ではグルーベル・フォルセイで活躍していたフランク・オルニーとジョニー・ジラルダンがタッグを組んで製作された1950年代のジュークボックスをイメージして製作されたモデルが展開されています。 3.【独創的で強いこだわり】代表的な独立時計師 ここでは代表的な独立時計師についてまとめます。アカデミー所属の時計師が中心となります。 3-1.スヴェン・アンデルセン スヴェン・アンデルセンはアカデミーの設立者として、最も有名な独立時計師の一人です。デンマーク生まれの時計師で名門の時計店ギュブランで働いている際に生み出したボトル・クロック(ガラス瓶の中に時計が入っている)によってパテック・フィリップ社から白羽の矢が立ち、クロノグラフやパーペチュアルカレンダーなどを手掛けるコンプリケーション部門で働くこととなりました。(ロジェ・デュブイは隣の席にいたとか) 9年間パテック・フィリップ在籍後にアンデルセン・ジュネーブとして独立し、今でも現役で新作の製作を続けています。1985年には独立時計師のヴィンセント・カラブレーゼと独立時計師アカデミーを設立し、独立時計師の草分け的存在です。 また、複雑系の開発においても有名でパーペチュアルカレンダーでも狂う閏年の例外(西暦年号が100で割り切れて400で割り切れない年は平年とする。よって2100年は閏年ではなくなる)に対応したセキュラ−カレンダーを初めて開発した時計師としても知られています。 3-2.フィリップ・デュフォー フィリップ・デュフォーは日本で最も有名な独立時計師の一人です。スイス生まれでジャガールクルトに所属し、その後独立し同名のブランドを立ち上げました。古い時計の修理に始まり、懐中時計や腕時計の製作を始めました。 彼の名を冠する時計は4種類のみです。懐中時計が1種類、腕時計が3種類です。グランプチソヌリが最初のモデルで、グランソヌリ(毎正時と15分ごとにチャイムを自動的に鳴らす機構)とプチソヌリ(15分刻みのチャイムだけが鳴る)の2つのモードが切り替え可能で、後にムーブメントを小型化し腕時計としても発表しました。 後に脱進機を2つ搭載したデュアリティ、究極のシンプルさのシンプリシティーは高い人気となっている2本です。特にシンプリシティーは世界的に評価が高く、新規生産をストップした今でも求め続ける声は止みません。 3-3.ヴィンセント・カラブレーゼ ヴィンセント・カラブレーゼはイタリアナポリ出身で、フィリップ・デュフォーとともにアカデミー設立に尽力し、初代会長を務めた時計師です。 クオーツ時計が世界を席巻していた1980年にコルムとのコラボレーションで製作したゴールデンブリッジが特に有名で、ジュネーブの国際発明展で優勝し技術的偉業として知られるようになりました。通常よりも少ない部品点数で全ての部品が一直線上に設計され、文字盤からムーブメントを見ることができるシンプルな美しさが多くの人を惹きつけました。 スイスローザンヌで自身の名のブランドを興し、2008年にはブランパンに売却。自身もブランパンでムーブメントの研究や開発を行った後、2012年にはブランパンを出てジャン・カゼスの時計やオリジナルクロックの開発を続けています。 3-4.ジョージ・ダニエルズ ジョージ・ダニエルズは既に亡くなった時計師です。英国時計学会会長で、アカデミーの会員でした。時計修復師として働きながらブレゲの時計の研究やそれを模した古典的な懐中時計の製作を行っていました。経験と技術を詰め込んだ本を出版しており、ジ・アート・オブ・ブレゲや時計の製作法を解説したウォッチメイキングなどがあります。 1978年、コーアクシャル脱進機を開発。2つのガンギ車を同軸上に備えることで歯先にかかる摩擦を減らし潤滑油の補給作業が不要となりオーバーホールまでの期間を長くすることに成功しました。この機構をパテック・フィリップやロレックスに持ち込んだものの採用されませんでしたが、オメガが量産化に成功し、現在でもデヴィルに搭載されています。 3-5.ポール・ゲルバー ポール・ゲルバーはスイスチューリッヒで工房を立ち上げ、博物館の所蔵品の修理やブランドから製作依頼などをこなしました。1996年に自身の名を冠するブランドを立ち上げ、ローターを2つ搭載したレトログラード表示のレトロツインで特許を取得しています。 当時世界で最も複雑と言われたフレデリック・ピゲ(当時ルイ・エリゼ・ピゲムーブメント)に世界最小のフライングトゥールビヨン、スプリットセコンドクロノグラフ、ジャンピング60分計カウンター、フライバッククロノグラフ、パワーリザーブ、チャイムを追加したムーブメントは世界一パーツ点数が多い(1116点)としてギネスブックに掲載されています。世界最小の2.2cmの高さの木製クロックもギネスブックに載っています。 THE MIH WATCH(ラ・ショー・ド・フォン時計博物館公認モデル)やポルシェデザインへのムーブメント提供など多岐にわたる活躍をしました。現在ではメーカーへのムーブメント供給は辞め、奥様が時計製造以外を、自身は一人で時計製造を継続しています。 3-6.ヴィアネイ・ハルター ヴィアネイ・ハルターは17歳からアンティークウォッチの修理を手掛け、1993年に自身の名を冠したブランドを創業しました。アカデミーに所属しており、有名ブランドからの開発依頼もこなすなど、様々な活動をしています。 1998年発表のアンティコアは潜水艦の窓枠をイメージしており、3つのダイヤルは全て独立して動きます。全行程を手作業で行っており、年間5本のみの生産となることや特徴的なデザインが注目を集めました。2003年にはハリー・ウィンストンのオーパス3の製作を担当し、全ての針がジャンピングアワーからなる表示機構は強烈なインパクトを残しました。 3-7.フランソワ・ポール・ジュルヌ フランソワ・ポール・ジュルヌはフランス生まれの独立時計師です。アンティークウォッチの修復師の叔父をもち、幼い頃から時計への興味が強かった彼は14歳のときに時計学校へ。卒業後は叔父のアトリエで時計修復の腕を磨きました。20歳のときには独自のトゥールビヨンを開発するなど、天才時計師としてのキャリアをこの頃から歩み始めました。 その後独立し1987年にはアカデミーに所属し、ブランドとのコラボレーションにも参加し独創的な時計を次々と創り出しています。1996年には自身の名を冠したブランドを設立しています。 フランソワ・ポール・ジュルヌの時計はレゾナンス機構を応用したクロノメーター・レゾナンスやマリンクロノメーターから着想を得てつくられたクロノメーター・スヴランなど、クラシカルで複雑、しかし機能的な時計が特徴となっています。 こだわりもかなり強く、2004年以降につくりだされたムーブメントは18Kゴールド製となっており、他ブランドにはない美しさを放っています。また、日本での取り扱いが非常に少なく正規店は南青山の東京ブティックと兵庫ブティックのみです。世界初の直営店としてオープンしたのも南青山で、日本のものづくりへの共感から日本でなら自分の時計が理解してもらえるのではと期待したと言われています。 3-8.アントワーヌ・プレジウソ アントワーヌ・プレジウソはジュネーブ生まれの時計師で、時計師の父により幼い頃から影響を受けていました。7歳で機械式時計の組み立てに成功した逸話が残っています。時計学校ではフランクミュラーと同じ部屋で学び、首席で卒業後パテック・フィリップに入社。時計修復に従事しアンティコルム(時計専門のオークション会社)を経て独立しました。フランクミュラーがウォッチランドを設立する際に声をかけられたものの断ったようですが、今でも家族ぐるみの付き合いが続いていると言われています。 自身の名を冠したブランドではトノーケースのシンプルなモデルが主ですが、特に有名なのはエロティックオートマタです。正式名称はアワーズオブラブ。また、ブランドとのコラボレーションに積極的に参加しており、トゥールビヨン搭載のオーパス2の開発に携わりました。 一時は17名ものスタッフと活動していましたが心臓病により倒れてしまい、現在は一人で製造を続けています。2015年に息子と共同開発したトリプルトゥールビヨンが注目を集めました。 3-9.菊野昌宏 菊野昌宏は30歳のときに日本人で初めて独立時計師となりました。元々フランクミュラーに所属していた経歴もありますが、前身は自衛隊。上官が身につけていた機械式時計から興味をもち、ヒコ・みづのジュエリーカレッジに入学し知識・技術を深めていきました。 菊野昌宏の作り出す時計で特徴的なのは、手造りだということ。江戸時代に創られた万年時計の分解調査プロジェクトに参加した際に一歯一歯ヤスリで削りだした歯車が組み込まれているのを見て衝撃を受けたといいます。この経験から、時計を創り出す際にコンピュータは一切使わず、手作業にこだわっています。そのため、全て受注生産です。 もう一つ、和を表現しているのもこだわりです。日本調度や庭園に通ずる和を表現した時計は美術工芸品のような美しさを放ちます。特に古時刻(干支を使った時刻表示)を表現した和時計や、オートマタとリピーターを融合させた折り鶴は彼を代表する時計として、世界的に知られています。 3-10.浅岡肇 浅岡肇は2009年に日本人で初めてトゥールビヨンを搭載したモデルを発表したとして世界的に注目を集めました。ムーブメントの設計から組み立て、パーツの製造まですべて自分の手で創り出す世界的に見てもハイレベルな時計師です。経歴は独特で、東京藝術大学卒業後に3DCGの技術で広告、雑誌、CDジャケット等を手掛けていましたが、腕時計のデザインに関わったことをきっかけに独学で時計製造を始めています。 浅岡肇の創り出す時計は設計から製造、販売まですべて自分で行うため少量生産となりますが、ジュエラーTASAKIとのコラボレーションなど企業とのタイアップも行っています。パーツの製造過程もSNSで発信しており、どれだけのこだわりを持って一つ一つへの仕上げを行っているかを垣間見ることができます。 発表しているのはトゥールビヨンやツナミ、クロノトーキョーなど機能としてはシンプルなものが多いですが、ムーブメントの仕上げや手造りの文字盤などシンプルながら凄まじい練度の時計であることが見て取れます。 3-11.牧原大造 牧原大造もかなり異色の経歴をもつ時計師です。調理の専門学校を卒業後に8年間様々なレストランで腕をふるってきました。27歳のときにヒコ・みづのジュエリーカレッジで時計修理の道に向かって進んでいた際にフィリップ・デュフォーとの出会いを経て独立時計師を目指したといいます。 牧原大造の創り出す時計の特徴は製造と彫金の両方を自分の手で行うことです。一部のブランドで特別なモデルにだけ施されることのある彫金ですが、製造から彫金までを一人で手掛けるケースは極めて稀です。時計製造とは全く違う技術が求められるため、在学中に独学で学んでいます。 もう一つ、日本の伝統工芸を時計で表現するといったコンセプトを持っています。江戸切子の技術を使ってメジロと桜を表現した花鳥風月や菊繋ぎ文様の文字盤の菊繋ぎ紋 桜など、日本の伝統工芸を美しく表現しています。 3-12.カリ・ヴティライネン カリ・ヴティライネンは今最も注目されている独立時計師の一人です。フィンランド生まれで父親の友人が経営する時計修理店で職業体験したことがきっかけで時計の道に入りました。スイスで時計学校で最高峰とされるWOSTEPに入学し、後に講師としても尽力しました。 2002年には独立時計師としてデビュー、2005年にヴティライネンブランドとしてバーゼルワールドで発表した10分単位で鳴るミニッツリピーターが注目を集めました。自社ブランド用にケースメーカーと文字盤メーカーを傘下におき、サプライヤーに頼らないほとんど全て自社製の時計を創り出すことにこだわっています。また、ウルバン・ヤーゲンセンを買収し自ら新CEOに就任するなど、精力的に活動を拡大しています。 ヴティライネンの創り出す時計の特徴は、精美なギョーシェ文字盤とブレゲ針を彷彿とさせる先端近くに輪が付いた針、エナメルや蒔絵など非常に美しく貴重、しかし廃れつつある技法を用いた文字盤です。 3-13.ハブリング2(アカデミー外) Habring2(ハブリングツー)はアカデミー会員ではありませんが、今最も期待されている独立時計師の一人です。正確には二人なのですが、というのも夫婦で活動しているブランドだからです。古今東西、様々な時計ブランドが存在しますが、夫婦で活動するブランドは極めて珍しいです。 Habring2はリチャード・ハブリングとマリア・クリスティーナが2004年にオーストリアで始めたブランドで、リチャードはIWCで技術部長を、Aランゲ&ゾーネでは技術顧問を務めており、IWCではスプリットセコンドクロノグラフが搭載したドッペルクロノやディープワンの開発に携わったといわれています。 Habring2の時計はIWCのヴィンテージウォッチに見られるレイルウェイとセクターダイヤルを組み合わせたようなデザインが人気です。秒針が1秒刻みで動くジャンピングセコンドやプッシュボタンを使わずにリューズでクロノグラフを操作する機構など、複雑でオリジナリティー溢れる機能が特徴です。 また、自社製ムーブメントの開発にも力を入れており、2014年には開発・調整・組み上げの全てをオーストリアで行うCal.A11Bを搭載したモデル「Felix」は2015年のジュネーブ時計グランプリ(GPHG)で小さな針賞を受賞しています。 3-14.クドケ クドケは時計師ステファン・クドケによるブランドです。グラスヒュッテオリジナルでトゥールビヨンなどの複雑時計の開発や修理に携わり、ブレゲやブランパン、オメガの修理技術を磨いた後に独立しました。 クドケの時計の特徴はアーティスティックなスケルトンウォッチであることです。デザインの考案から肉抜き、面取り、メッキ、彫金まで全ての作業を手作業で行います。200年前の時計づくりと同じで、一つ一つに長い時間をかけて創り出されます。ライオンや蛸、スカルなど立体的な彫金など、まさに芸術品です。 2018年には念願の自社製ムーブメントKaliber1を開発し、スケルトンウォッチだけではないドレスウォッチにも展開をスタートしました。それらの功績もあり、2022年にアカデミー正会員となっています。 4.【独創的で強いこだわり】独立時計師による代表的な作品 4-1.アントワーヌ・プレジウソ アワーズオブラブ アントワーヌ・プレジウソによるアワーズオブラブは、一見シンプルなトノーケースの3針モデルです。しかしリューズを巻きながら裏蓋を見てみると、男性が女性に向けて腰を振るさまを見ることができるオートマタ、からくりとなっています。モデルによって背景が砂漠だったり、港だったり、様々なバリエーションがあります。 文字盤のデザインはブレゲ数字に似たクラシカルなオールアラビアインデックスが主で、針はリーフ針を採用。文字盤カラーやインデックスのカラーによってレイルウェイとギョーシェを使い分けています。一見、王道のクラシカルウォッチ、持ち主にだけ実はエロティックな遊び心といったギャップが人気を博しました。 4-2.フランソワ・ポール・ジュルヌ トゥールビヨン・スヴラン Ref.T トゥールビヨン・スヴランはフランソワ・ポール・ジュルヌにとって初めて量産化した時計です。1999年のバーゼルワールドで初公開され絶賛されたことに始まります。 トゥールビヨン・スヴランは置き時計やマリンクロノメーターに搭載されたルモントワール機構を初めて腕時計に搭載したとされるモデルです。これまで理論上精度が維持されるはずだが、実際にはビジュアル重視とされてきたトゥールビヨン機構ですが、ルモントワール機構の振り角とトルクを一定にすることで確かに精度に磨きがかかりました。 12時位置にレトログラード式のパワーリザーブ表示、3時位置に時分針、9時位置にトゥールビヨンのキャリッジといった配置です。実は初代トゥールビヨン・スヴランといえるトゥールビヨンNo1も似たデザインですが文字盤の完成度やスチールバックといった点で現行よりもクラフト感の強い印象です。1991年にバーゼルワールドに持ち込んだ際には大手ブランドからはほぼ見向きもされませんでしたが、当時Aランゲ&ゾーネを復興したてのギュンター・ブルムラインだけは興味を持ち、率いていたIWCの125周年記念に合わせて125本の製作依頼をかけるつもりでいたという逸話が残っています。実現化はされませんでしたが、いずれ世界を驚かせる作品のプロトタイプとして強い魅力を既に放っていたと思われます。 4-3.浅岡肇 オデッサトゥールビヨン オデッサトゥールビヨンはハイジュエラーTASAKIと独立時計師浅岡肇のコラボレーションで生まれたモデルです。2014年にTASAKI Timepiciesとして、全11型の新作を一気に発表しました。オデッサトゥールビヨンはそのうちの一つとなります。 オデッサトゥールビヨンは宇宙を表現したモデルで、ホワイトゴールドを象嵌したあこや真珠を月の満ち欠けを表現したムーンフェイズ、ブラックMOPに大小のダイヤモンドを散りばめることで銀河の星々を表現しています。トゥールビヨンを支える軸は惑星の軌道を、針はロケットを彷彿とさせます。 TASAKIはオデッサトゥールビヨンを設計するのに宇宙を表現したデザインに加え、JAPAN MADEにこだわりました。浅岡肇は設計・製造を自ら行い各パーツも手造りするため、紛れもなく日本で作られておりTASAKIの求めるクリエイティブかつ確かな品質へのこだわりにマッチしています。TASAKIのジュエラーとしてのデザイン性と浅岡肇のクリエイティブが上手く融合しており、話題となった一本です。 4-4.フィリップ・デュフォー シンプリシティー シンプリシティーはその名の通り、シンプルな3針です。しかし究極の3針時計です。2000年に発表され、これまで200本を製作し今では製作はストップしているものの、購入を希望する人が非常に多く、世界中のオークション等で高額で取引されています。 シンプリシティーは基本に忠実な設計で、考えうる最高の工作精度でつくられた時計です。一見簡単に聞こえますが、現代のブランドビジネスによる時計製造の現場ではコストや技術、彼のような伝統的な時計づくりを行う時計師がいなくなってしまっています。 全てのパーツはジャンシャンの茎で磨き上げられますが、たった一つの部品を磨くのに100時間以上をかけることもあります。この磨きは外観の美しさだけではなく余分な応力を一切排除することで、子々孫々まで使うことのできる代々受け継ぐことのできる時計となります。 4-5.ハブリング2 CHRONO MONO 36mm CHRONO MONO 36mmはHabring2が手掛けたワンプッシュクロノグラフモデルです。クロノグラフの操作全てをプッシュボタン一つで行うため、一度目作動スタート、二度目ストップ、三度目リセットの順で動作します。プッシュボタンが一つないだけでデザイン上非常にスッキリして見えることと、卓越したヴィンテージモデルのような風格を感じさせます。 ケースサイズは36mmと小ぶりです。Habring2自体が36mmか42mmケースの2種類を採用していたこともあり、42mmモデルでも展開されています。ブレゲ数字のインデックスと渦巻状のタキメーター、ブルースチールの針など1930〜40年代を想起させるデザインとなっています。ムーブメントはETA7750ベースに改良したCal.A08-MONOで、クロノグラフ系に精通したリチャード氏ならではの安定した機構を楽しむことができます。 5.【独創的で強いこだわり】独立時計師 独創的で強いこだわりをもつ独立時計師についてまとめました。ブランドに所属せず自分が納得できる時計づくりにひたすらこだわり続ける独立時計師の姿は、現代に残るキャビノチェそのものです。時計愛好家としては大手ブランドとは違った魅力を放つ独立時計師の時計を一本持っておきたいという方も多いのではないでしょうか。見かけた際にはぜひ一度手に取ってみてください。 関連記事はコチラ https://estime.co.jp/column/luxury-watch-evaluation/ https://estime.co.jp/column/watch-lifespan/ https://estime.co.jp/column/worlds-five-major-watch/
ショパールは時計とジュエリーを両立させているブランドとして知られているブランドです。元々時計でスタートしたブランドでしたが買収されジュエリーの技術が合わさったことで、美しさや品質の安定性が向上しています。カリテフルリエ設立の中心的存在として尽力し、スイス時計全体の品質向上だけでなく自社商品についても最高品質へのこだわりを強く見せるブランドです。この記事ではショパールの歴史、魅力、代表シリーズ、ショパールの時計を着けている芸能人、人気モデルについてまとめます。 1.【時計とジュエリーの両立】ショパールの歴史 1-1.1860年スイスソンヴィリエにで創業 ショパールは1860年にルイ・ユリス・ショパールによってスイスソンヴィリエで創業しました。弱冠24歳の若き時計技術者でしたが、彼の作り出す超薄型で高精度の実用的な懐中時計はデザインも斬新で評判となり、ロシア皇帝ニコライ2世をはじめ多くの著名な顧客を獲得しています。 スイス連邦射撃祭とスイス鉄道の公式サプライヤーに選出されたことで信頼性や品質の証明となり、これをキッカケに国外へも販路を広げていきました。創業者の孫にあたるポール・ルイ・ショパールが1915年に経営を引き継ぎ、ラ・ショー・ド・フォンに支店を開設、ジュネーブに本社を移転しました。 1-2.1963年カール・ショイフレ3世によって買収 1943年にはポール・アンドレ・ショパールが経営を引き継ぎましたが、従業員がたった5人しかいない経営状況でした。1960年代に入った頃にポールの息子が会社を引き継ぐ意思がないことから、売却を検討し始めました。 ちょうどその頃に事業家であるカール・ショイフレ3世が運営するドイツの時計・宝飾店向けにスイス時計専用のムーブメントサプライヤーを買収しようとジュネーブへ足を運んでいました。そんな折に出会ったポールとカールの2人はすぐに意気投合し、わずか30分で契約を済ませてしまったとの逸話が残っています。こうしてショパール社の時計製造技術とエスツェハ社のジュエリー製造技術を兼ね備えたブランドが誕生しました。 以来、ショパールは独立した家族経営を継続し、カールの子供たちが経営に参加しています。カールの経営ノウハウや時計製造への情熱により、ショパールは再び立ち上がることができました。 1-3.1996年「L.U.C 1.96」を皮切りに自社ムーブメントの開発を強化 1976年、新生ショパールによって大ヒットとなったハッピーダイヤモンドが発表されました。1988年にはクラシックカーレースのミッレミリアのスポンサーを務め、レースにちなんだ時計を発表しており、時計愛好家とクラシックカー愛好家の両方から愛されるシリーズとなっています。 1990年代に入ると自社製ムーブメントの開発に取り組みました。1996年に誕生した初の自社製ムーブメントCal.L.U.C 1.96はマイクロローター採用で薄型化、COSCクロノメーターとジュネーブシールの両方の認定を受ける高品質なムーブメントでした。創業者に敬意を示すL.U.Cと名付けられたムーブメントは翌年に時計に搭載され、本格マニュファクチュールとしての道を進み始めました。 マニュファクチュールの先駆けとなった自社製ムーブメントの開発は止まりません。香箱を4つ備え約9日間のパワーリザーブをもつL.U.C1.98 クアトロや、トゥールビヨン、ミニッツリピーター、GMT、永久カレンダー、クロノグラフなど複雑機能を搭載するムーブメントを次々と発表していきました。 2001年にはボヴェ、パルミジャーニ・フルリエと共同でカリテフルリエ財団を設立しました。COSCクロノメーターを超える精度かつ、それまでになかった審美性を審査する認定制度です。2008年には垂直統合の製造方法をさらに推し進めるフルーリエ・エボーシュ社を設立。ショパールの子会社で、ムーブメントのエボーシュを製造するメーカーです。 2.ショパールの魅力 2-1.カリテフルリエ認定の高精度・仕上げの美しさ カリテフルリエとは2001年に制定された品質規格のことで、ショパール、パルミジャーニ・フルリエ、ボヴェ等数社共同のプロジェクトで設立された独立した検定機関です。数ある機関の中でも厳しい検査をクリアした時計にのみ与えられる認定の称号・刻印は、それだけで最高品質であることの証明が可能です。 内容としては、①100%スイス産であること②COSC(スイスクロノメーター規格)認定ムーブメントであること③クロノフィアブルテスト④卓越した審美性⑤フルリテストでの試験の5つに分かれています。 ③クロノフィアブルテストとはリューズの押し引きやプッシュボタン、回転ベゼル、磁場など、実際の使用においての実用性を見る試験です。⑤フルリテストとは専用の試験機を用いて24時間の精度を計測するもので、スイスクロノメーター規格を上回る0〜+5秒/日差であることが合格のラインです。 ショパールの時計の一部がカリテフルリエ認定を受けています。精度だけではなく審美性を審査する認定は他にはなく、独立した垂直統合体制をもつ真のマニュファクチュールであるショパールだからこそ成し遂げられる品質の高さと美しさです。 2-2.ジュエリーのノウハウをミックスしたラグジュアリーの美しさ ショパールの特徴であるウォッチメーカーでありジュエリーメーカーでもあるということは大きな魅力の一つです。元々ショパールはウォッチメーカーとして創業しましたが、1963年以降ジュエリーメーカーとしても運営されてきました。 ジュエリーメーカーの技術・センスが合流したことによって、時計にも大きな影響を与えました。女性解放運動の盛んだった時期だったのも手伝って、発表したレディースウォッチのハッピーダイヤモンドが大きなヒットとなりました。パヴェダイヤのいわゆるレディースウォッチとは違い、男性の時計のようなオーソドックスなデザインとジュエリーの楽しみをミックスさせたデザインは、ブラックドレスやコルセットからの解放のように現在でも愛されています。 2-3.垂直統合による自社・関連会社での一貫生産 一貫生産、いわゆるマニュファクチュールは時計業界において多くのブランドが目指しています。ムーブメントにETA社製のものを使用するブランドが多く、時計ごとの差がわかりにくかった時期から一変、ETA社のムーブメントの購入が難しくなりつつあることなど、多くの要因がありますが、多くのブランドが自社一貫生産になることで安定した供給や付加価値を付けた新商品の展開などを勧めています。 現在でも多くのブランドがマニュファクチュールを宣言しているものの、実態としては部品単位ではサプライヤーから購入し、組み立ては自社だけで行うブランドも見られます。一貫生産を正確に捉えるなら、設計から各種部品製作、生産までのすべてを自社で行うこととなりますが、部品の多くは購入品から成り立っています。 しかしショパールの自社一貫生産は違います。ショパールのグループ内の関連会社で部品を製造し、3つの製作拠点でショパールの時計はすべてつくられています。これはショパールがコングロマリットに所属しない独立系だからこそできることで、産地や原料、製造方法に至るまでが管理されています。そのため自社製ムーブメントの開発ももちろんショパールの得意とするものです。 3.ショパールの代表シリーズ 3-1.ミッレミリア ミッレミリアは世界一美しいスポーツカーの祭典として知られるクラシックカーレースミッレミリアを記念して製作されているシリーズです。1988年以降は公式タイムキーパーに就任し、カール・ショイフレ氏もレーシングドライバーとして参加するほど。 ショパール ミッレミリアは実際のクラシックカーをモチーフにしており、車のボディや内装、ダッシュボードを再現した文字盤などクラシックカーを彷彿とさせるデザインが散りばめられています。シリーズのすべてのモデルにミッレミリアの公式ロゴを配しており、車の愛好家と時計の愛好家の両方が楽しめるようになっています。 ミッレミリアは主にクラシックとGTSの2種類で展開されています。クラシックは1927年~1940年の車をモチーフにしたもので、アラビアインデックスを採用しており、まさにクラシックな雰囲気に仕上がっています。GTSは1941年~1957年の車をモチーフにしており、バーインデックスが中心のコンサバなデザインで、環境に影響されずどんなシーンでも使える汎用性が特徴です。 3-2.L.U.C L.U.Cはショパールの原点ともいえるシンプルなドレスウォッチシリーズです。創業者のルイ・ユリス・ショパールが名前の由来です。 初登場は1996年で、L.U.Cはエスツェハ合流後のショパールにおいてカール・ショイフレが、陣頭指揮を執って製作されたシリーズです。テーマは「最高のもの」。開発を行ったのはミシェル・パルミジャーニとダニエル・ボロネージの2人で、ミシェルは後にパルミジャーニ・フルリエを興す人物で、ダニエルは現在ショパールのムーブメント部門のトップを務めています。 L.U.Cは基本的にはドーフィン針、ラウンドタイプ、比較的シンプルな王道のドレスウォッチです。ワールドタイムやトゥールビヨン、永久カレンダーなどの機能を付与したモデルも多く展開されており、トノー型のL.U.Cも存在します。インデックスの種類もアラビア、ローマ、バーと幅広いもののデザインのぶれは少なく、一目でL.U.Cだとわかる洗練された美しさをもっています。 生産本数は少なく、カールの目の届く範囲と決めているため今後も増やす予定はないようです。それどころか、2019年発表のラグジュアリースポーツシリーズのアルパインイーグルの人気によって、さらに生産本数は絞られると見られています。 3-3.アルパインイーグル アルパインイーグルはショパールのラグジュアリースポーツシリーズです。ワシの目の虹彩をイメージしたサンバースト文字盤や羽を想起させる秒針など、自然から得たインスピレーションをもとにデザインされています。8箇所でビス留めされたフラットベゼル、ケースと一体化されたラグなど伝統的なラグジュアリースポーツデザインを踏襲しています。ブレスレットの中央リンク部分は段で少し高さがついているのはアルプスの山々をイメージしており、立体感を際立たせています。 アルパインイーグルは1980年に発表したサンモリッツという元となるモデルが存在します。機械式時計がクオーツショックによって苦しんでいた時期に、ショパールとして初となるスポーツモデルを普段扱わないステンレススチールで発表した、いわば冒険したモデルでした。少し前にオーデマ・ピゲのロイヤルオークなどラグジュアリースポーツモデルを様々なブランドが発表したこともあり、高い人気となりました。アルパインイーグルはその後40年経って、現代的な解釈で蘇ったといえます。 3-4.グランプリモナコ 世界最高峰のクラシックカーレースであるグランプリモナコヒストリックのパートナーでありオフィシャルタイムキーパーを務めるショパールが当レースを記念して製作するシリーズです。大会に合わせて発表されており、何年かおきにグランプリモナコに合わせつつ現代的な解釈を盛り込んだ最新のモデルを発表しています。 カーレースに向けて製作されたこともあり、スポーティーなデザインに仕上がっています。3針、パワーリザーブ、クロノグラフの3種類で展開されており、パワーリザーブモデルは6時位置のサブダイヤルの表示は車のメーターを模したデザインになっています。白、黒、赤、時には黄を組み合わせたカラーリングで、視認性をしっかり確保しつつブラックベゼルとイエローの見返し部、白文字盤では白文字盤に黒のサブダイヤルを組み合わせたパンダデザインなど王道のスポーツウォッチの雰囲気を踏襲するモデルも多く発表されています。 3-5.ハッピーダイヤモンド 1976年に発表されたハッピーダイヤモンドはショパールのアイコン的存在となるシリーズです。ラウンドのケースで、ちょうど二重丸(◎)の最内部に文字盤、内側のベゼル、ガラスで保護された内と外の間(円形)、外側のベゼルの4層になっており、外内のベゼルの間をダイヤモンドが動き回るデザインとなっています。 モデルによってはベゼルにセットされたダイヤモンドを眺めながら、動き回るダイヤモンドを見ることができます。高貴でラグジュアリーなデザインにスパイスとして加わった動き回るダイヤモンドは煌びやかでいてポップな雰囲気で楽しめます。イエローゴールドやホワイトゴールドケース、レザーストラップの組み合わせなど、幅広いデザインバリエーションが楽しめます。 3-6.ハッピースポーツ 1993年に発表されたハッピースポーツはステンレススチールとダイヤモンドを初めて組み合わせたシリーズとして発表されました。クラシックでオーソドックスなラウンドケースの文字盤上をダイヤモンドが動き回るデザインはハッピーダイヤモンドから受け継いだデザインです。 12、3、6、9だけローマンインデックスのデザインが主流で、文字盤外周のレイルウェイやバトン針などクラシックなデザインにまとまっています。基本的には3針モデルでの展開ですが、新作でクロノグラフモデルも発表されており、スポーティー&クラシックの新たなレディースウォッチとして楽しめそうです。 3-7.スーパーファスト スーパーファストはカーレースに縁のあるショパールの中でも最もクラシックカーの影響を色濃く感じさせるデザインです。見返し部分に描かれたインデックスやストライプの描かれた文字盤など、デジタル時計のようなデザインにまとまっています。白、黒、赤のカラーリングで構成されており、レーシーな印象です。 ホイールを想起させる8点のビス留めされたベゼルやラジエターフィンがモチーフのラグに深く彫られたスリットなど、クラシックカーを彷彿とさせるデザインパーツで溢れています。純正ストラップはスリックタイヤをモチーフにしています。モータースポーツをテーマにした時計は数多くありますが、ここまで車のデザインに忠実なシリーズは珍しいです。 3-8.インペリアーレ インペリアーレは皇帝を意味しているように、高貴な風格が漂うラグジュアリーウォッチシリーズです。帝国時代の意匠からインスピレーションを得たデザインになっており、君主の衣服に刺繍されたアラベスク模様の文字盤、神殿の円柱を模したラグ、蓮の花のようなカーブが特徴のリューズなど、帝国の煌びやかな時代を思い起こさせます。 ベースのデザインは共通で、クオーツも機械式も両方で展開されています。それだけではなく2針モデルから3針、ムーンフェイズ、トゥールビヨンなど機能も様々なのが特徴です。マザーオブパール文字盤やダイヤモンドを敷き詰めた文字盤など、幅広いデザインと様々な機能でバリエーション豊かなシリーズです。 3-9.ルールドゥディアマン ルールドゥディアマンは「L'HEURE DU DIAMANT」フランス語でダイヤモンドの時、をあらわすシリーズです。「ダイヤモンドは永遠の輝き」は世界中で使われたキャッチコピーであるように、ダイヤモンドの不変さは時計、ジュエリーに共通しています。 その両方に精通するショパールだからこそ生み出せたルールドゥディアマンは、すべてのモデルにダイヤモンドがふんだんに散りばめられています。ダイヤモンドの使い方はモデルごとに違っており、文字盤を埋めつくすものやオパール文字盤やマザーオブパール文字盤との組み合わせでより美しさを際立たせたモデルなど、主役にも補助役としても活躍しています。 4.【時計とジュエリーの両立】ショパールを着けている芸能人・有名人 4-1.俳優 浅野忠信 L.U.C XPS Ref.168591-3001 俳優 浅野忠信さんが着けているのはL.U.C XPS Ref.168591-3001です。浅野さんはセイコーやロレックスなど、王道の時計を多く着けているようでシンプルな美しさをもつ時計を愛用しています。 L.U.C XPS Ref.168591-3001はドーフィン針、バーインデックスの装飾を削ぎ落した無駄のないデザインが特徴で、ツインバレルによるパワーリザーブ65時間など、薄型のムーブメントながら実用性に優れています。マイクロローターを備えた自動巻きのため、シースルーバックからはムーブメントの動きをしっかり楽しむことができます。 4-2.タレント 近藤真彦 ミッレミリア クロノグラフ Ref.16/8920 タレント 近藤真彦さんが着けているのはミッレミリア クロノグラフ Ref.16/8920です。近藤さんはタグホイヤーのカレラやカルティエのロードスターなど、カーレースに縁のある時計を愛用しており、レーサーとしても活躍している近藤さんらしいチョイスです。 ミッレミリア クロノグラフ Ref.16/8920はヴィンテージカーレースのミッレミリアを記念してつくられたシリーズです。ベゼルのタキメーター付きの3つ目クロノグラフのオーソドックスなデザインですが、3時位置のサブダイヤルにはミッレミリアのロゴ、裏ブタには地図、純正のラバーストラップはダンロップのレーシングタイヤのトレッドをイメージしています。 4-3.タレント 恵俊彰 ミッレミリア グランツーリスモ Ref.168997-3001 タレント 恵俊彰さんが着けているのはミッレミリア グランツーリスモ Ref.168997-3001です。恵さんはグランドセイコーとショパールの時計を愛用しており、この2つの時計を特に愛用しているようです。 ミッレミリア グランツーリスモ Ref.168997-3001はクラシックカーレースミッレミリアからインスピレーションを得て製作されたミッレミリアの一本です。ケースサイズは44mmと大型でインパクト抜群。ブラックベースの文字盤に白と赤のレーシーなカラーリングで、太めの針とインデックスで高い視認性を確保しています。3時位置にはミッレミリアのロゴが描かれています。純正ストラップはダンロップのタイヤのトレッドをイメージしています。 4-4.女優 戸田恵梨香 ハッピースポーツ オーバル Ref.278602-3002 女優 戸田恵梨香さんが着けているのはハッピースポーツ オーバル Ref.278602-3002です。戸田さんはロンジンやカルティエ、ピアジェなど、クラシックな時計を中心に着けています。いわゆるレディースウォッチといった可愛らしいデザインではなく、すっきりシンプルなモデルが選ばれています。 Ref.278602-3002はオーバルなラウンドウォッチで、ダイヤモンドのジェムが文字盤上を動き回ります。12、6だけのローマンインデックスでシンプルなデザインに仕上がっています。 4-5.モデル 中村アン ハッピースポーツ Ref.278608-6003 モデル 中村アンさんが着けているのはハッピースポーツ Ref.278608-6003です。中村さんはシチズンやロレックスなど、シンプルで機能的な時計を多く着けています。スタイリッシュな装いに合う時計を選んでいるようです。 ハッピースポーツ Ref.278608-6003はラウンドタイプのクラシックな3針のベースは変えずにパヴェダイヤと文字盤上を動き回るダイヤモンドが輝くモデルです。ローマンインデックスの一見シンプルな時計に見えつつもダイヤモンドの輝きもしっかりと楽しめます。 5.【時計とジュエリーの両立】ショパールのおすすめモデル 5-1.アルパインイーグルラージ Ref.298600-3001 アルパインイーグルラージ Ref.298600-3001はショパール初のラグジュアリースポーツモデルのサンモリッツを現代的に復活させたアルパインイーグルシリーズの一本です。復活にあたって開発されたステンレススチール「ショパール ルーセント スチール A223」はサージカルスチールに匹敵する低刺激性の合金を使うことによる皮膚との適合性と、ゴールド並みの光度と輝きをもっています。 Ref.298600-3001はワシの目の虹彩をイメージしたサンバースト文字盤で、深いブルーのカラーリングで楽しめます。搭載されている自社製ムーブメントCal.01.01-Cはカリテフルリエ認定されており、精度だけでなくまごうことなきスイス製であることの証明など、使い勝手以上に満足感の高いものとなっています。シンプルな3針で41mmケースなので取り回しもよく、長く使える一本ではないでしょうか。 5-2.ミッレミリアGMT Ref.168992-3001 ミッレミリアGMT Ref.168992-3001は世界一美しいレースと評されるクラシックカーレースにインスパイアされたシリーズです。カーレースを彷彿とさせる白、黒、赤のカラーリングのクロノグラフモデルで、パイロットウォッチのような黒文字盤に縦3つ目のサブダイヤルと夜行処理された針とアワーマーカーが特徴です。 GMT針はベゼルの24時間計で一目でローカルタイムの時刻を知ることが可能です。3時位置にミッレミリアのロゴが描かれていることやレーシーな純正ストラップなど、カーレース好きに響くデザインが散りばめられています。 5-3.ハッピースポーツ 30 MM オートマティック Ref.278573-3010 ハッピースポーツ 30 MM オートマティック Ref.278573-3010は2020年発表のハッピースポーツです。ベゼルいっぱいにセットされたダイヤモンドと文字盤上を動き回るダイヤモンドが楽しめる煌びやかなモデルです。文字盤はライトブルーのマザーオブパールを採用しており、美しさと落ち着きが両立されています。 ハッピースポーツ誕生25周年を記念してつくられた自社製ムーブメントCal.chopard 09.01-Cを搭載しています。非常に薄くつくられたムーブメントのため、クオーツ時計のような薄さに仕上がっています。 5-4.L.U.C フル ストライク トゥールビヨン Ref.161987-5001(2022新作) L.U.C フル ストライク トゥールビヨン Ref.161987-5001はショパールのアイコン的存在であるL.U.Cの誕生25周年記念として製作されたモデルです。2022年新作。2016年に発表されたL.U.Cフルストライクにトゥールビヨンを追加しており、複雑機構の代表格といえるミニッツリピーターに、同列に複雑さの代表であるトゥールビヨンを追加しています。 このモデルのために開発された新型ムーブメントCal.L.U.C 08.02-Lは前作のCal.L.U.C 08.01-Lにトゥールビヨンを追加しつつもわずか0.93mmの増加に抑えられています。厚みを抑えるために新形状のアンクルを開発し特許を取得、さらにストップセコンドまで追加しています。ミニッツリピーターの音の追求のために弦楽奏者を呼んで研究した徹底ぶりです。 6.【時計とジュエリーの両立】ショパール ショパールの歴史、魅力、代表シリーズ、有名人と人気モデルについてまとめました。ジュエリーの技術と結びついたことで純粋な時計ブランドでは得られなかったデザインや知識が今のショパールに繋がっています。コングロマリットに所属しない独立系のブランドで世界的に知名度・信頼性があり、今後の展開に注目が集まっています。もし街中でショパールの時計を見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。 関連記事はコチラ https://estime.co.jp/column/new-chopard-watch/ https://estime.co.jp/column/chopard-ladies/ https://estime.co.jp/column/high-brand-list/
世界最古の機械式時計ブランド ブランパンは創業から280年を超える中で、様々な歴史の荒波を越えてきました。時にはブランドが休眠状態にもなりながら、今では世界最高クラスの技術を備えるブランドとなり、世界的に評価されています。この記事ではブランパンの歴史と魅力、代表シリーズとブランパンの時計を着けている有名人、おすすめのモデルについてまとめます。 1.【世界最古の機械式時計】ブランパンとは? 出典:BLANCPAIN ブランパン(Blancpain)は、1735年にスイスで創業された、現存する最古の時計ブランドです。創業者のジャン=ジャック・ブランパンが時計製造の基礎を築いて以来、約300年の歴史を持つ同ブランドは、高級時計業界で圧倒的な存在感を誇ります。その伝統と革新の融合により、「タイムピースの芸術」として高く評価されています。 ブランパンの特徴は、機械式時計に特化し続けている点です。ブランドの哲学として「クオーツ時計は製造しない」という方針を掲げ、職人の手作業による繊細なムーブメント作りにこだわりを持っています。さらに、複雑機構の「トゥールビヨン」や「ミニッツリピーター」などの技術を駆使したモデルは、時計愛好家の間で高い評価を得ています。 また、1953年に発表されたダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」は、世界初の本格的な防水時計として知られ、現在でもプロのダイバーや時計ファンに愛されています。このモデルは、時計業界におけるブランパンの革新性を象徴するアイコン的存在です。 ブランパンは、伝統を守りつつも、常に時計製造の限界に挑戦し続けています。その結果、生まれるタイムピースは、時計の芸術性と機能性を両立した、まさに一生もののアイテムと言えるでしょう。 次の章では、ブランパンの知られざる歴史について詳しく解説していきます。 2.ブランパンの歴史 出典:BLANCPAIN 2-1.世界最古の1735年にスイスヴィルレで創業した ブランパンは世界最古の時計ブランドと言われており、1735年にスイスヴィルレでジャン・ジャック・ブランパンによって創業しました。 急速に発展したのは1815年にジャンの孫にあたるフレデリック・ルイ・ブランパンがアトリエを近代化し脱進機を自身で設計、それを搭載した超薄型機構を開発し時計産業の進歩に貢献したと言われています。1830年にはフレデリック・ルイの息子フレデリック・エミールが会社の名称を時計製造所エミール・ブランパンへ変更し、ヴィルレ最大のマニュファクチュール(工場)の製造に着手しました。 1859年にはルイ・エリゼ・ピゲがジュウ渓谷にアトリエを建設しました。彼が改修を行ったル・ブラッシュの風車小屋は現在、複雑系やメティエダールのアトリエとなっています。 1926年、自動巻き腕時計の試作品を開発し、1930年にはレディースの自動巻き腕時計『ロールス』の製造を行っています。1932年エミール・ブランパンが亡くなり、彼を支えてきたベティ・フォスターに会社が託されました。 1950年には甥のジャン・ジャック・フォスターが合流してブランパンを支えました。1953年にフランス海軍からの要請からダイバーズウォッチの元祖となるフィフティファゾムズが生まれました。それまではダイバーズウォッチ自体が市場で人気がないといわれており、どのブランドも展開がなかったと言われています。しかしジャン自身が元々ダイバーだったこともあり、フランス海軍からの要請をほぼ叶える形でフィフティファゾムスを開発しました。 2-2.1970年代、クオーツショックにより経営が悪化し買収される 1970年代に入りクオーツ時計が普及し、スイス時計は壊滅的な影響を受けました。(クオーツショック)ブランパンも例外ではなく、経営が悪化し一時休眠。13代にわたって続いた一族経営に終止符が打たれることとなりました。 これにはブランパンがクオーツ時計には手を出さず機械式時計にこだわったとされる説(後にジャン・クロード・ビバーによって宣言されますが)と、クオーツ時計の導入には多額の資金が必要で、クオーツショックよりも前からブランパンの経営状態は明るいものではなかったためとされる説があります。 2-3.スウォッチグループ主導のもと、ブランドが再興される ブランパンが復活の狼煙を上げたのは1983年でした。腕時計業界の立役者であり後にブランパンのCEOとなるジャン・クロード・ビバーはオーデマ・ピゲやオメガでの治験を磨き、高級ムーブメントメーカーのフレデリック・ピゲと協力しブランパンを買収、復活させました。 復活に際して、ジャン・クロード・ビバーのこだわりがあり数億円かけてオリジナルのムーブメントが開発されました。クロノグラフ、スプリット・セコンド・クロノグラフ、ミニッツ・リピーターなど複数の機能を付与できる発展性をもったムーブメントでした。 世界最小のトリプルカレンダームーンフェイズの開発を皮切りに、シックスマスターピースと名付けられた複数のコンプリケーションモデルを立て続けに発表し、ブランパンを復活させました。復活と同時にクオーツ時計はつくらず、伝統的な機械式時計を守り続けていくと宣言しています。 復活の一年前にフレデリック・ピゲがブランパンを買収。フレデリック・ピゲのムーブメントを製造することとなりました。以降、2010年の統合まで経営を共にしています。 1992年にスウォッチグループがブランパンとフレデリック・ピゲを買収。スウォッチグループ入りによってさらに経営基盤は盤石となり、以降複雑機構の開発や銘品の復刻など、新作の展開を続けています。2010年にフレデリック・ピゲがブランパンに完全に統合されたことでさらにムーブメントの開発体制が強化されています。 「壊れやすい」や「人気ない」などとネットでの声も上がっているブランパンですが、この紆余曲折の長い歴史を渡り歩いてきたブランパンの腕時計は、現在でも多くの人々から高い評価を受けています。 3.ブランパンが時計愛好家を楽しませている魅力 出典:BLANCPAIN 3-1.紆余曲折の歴史を語る楽しみ方がある 高級時計を手に入れる楽しみは人それぞれですが、大きな一つの楽しみにブランドの理念への共感や歴史の荒波を越えてきたことへの敬意があります。平坦だった道のりではなく、山あり谷ありのストーリーがあるほど、今のブランドや時計があることへの味わいが深く感じられます。 ブランパンにおいても伝統的なスイス時計に始まり、軍用にダイバーズウォッチを開発、後にクオーツショックでブランドの存続が危ぶまれたところスウォッチグループに加入することで復活を遂げた、といった概略の歴史をみても、紆余曲折あった中で今のブランパンがあることがわかります。世界最古のブランドは歴史が長い分語ることが多く、楽しみが多いといえるでしょう。 3-2.クオーツショックであっても伝統的な機械式スイス時計を貫くこだわりの強さ クオーツショックとは1970年代にセイコーを主としクオーツ時計が多く流通したことで機械式時計が売れなくなってしまったことです。主に機械式時計を製造・販売していたメーカーの多くは経営難に苦しむことになり、廃業あるいは同じようにクオーツ時計の製造に方針転換するなどスイス時計業界に大きな影響を与えました。 ブランパンも同じように苦しんだ一社で、クオーツショックによりメインとしていたドレスウォッチ、軍用時計などの多くはクオーツ化が進み売れなくなってしまいました。しかしブランパンが他のブランドと違うのは、苦しみながらもそれでも伝統的な機械式時計にこだわったことです。 結果、後にスウォッチグループに買収されるまで休眠状態のようになってしまいます。しかし、ここで機械式時計にこだわったからこそ、後の1990年代に入り再度機械式時計が見直された際に、ブランパンこそピュアな伝統的な機械式時計メーカーだと評価されることとなりました。 3-3.こだわりを技術に昇華させることができる体制 ブランパンは元々超薄型機構などムーブメントの開発に力を入れていたブランドですが、1983年の復活後にはさらに強固な体制を構えるようになりました。復活の立役者であるフレデリック・ピゲと共同で世界最小のトリプルカレンダームーンフェイズの開発、次いでシックスマスターピースと呼ばれるコンプリケーションモデルの発表といったようにムーブメントの開発を軸としています。 フレデリック・ピゲは世界的に評価の高いムーブメントメーカーで、特に高級機に好んで搭載されました。1982年以降ブランパンはフレデリック・ピゲとの関わりが強く、ムーブメントの開発に寄与しています。 現在ルーブラスとローザンヌにアトリエをかまえ、およそ20人の時計師により生み出されています。就業体制は完全フレックスで、24時間好きな時間に、自身のコンディションに合わせて作業が行える環境を整えています。機械式時計にこだわることを生産体制にもしっかり反映し、名品の数々を生み出しています。 4.世界最古のブランドが生み出した代表的モデル 出典:BLANCPAIN 4-1.フィフティファゾムズ 出典:BLANCPAIN ダイバーズウォッチの始祖に数えられるシリーズで、1953年に発表されています。どちらが先に発表されたか語られることの多いロレックスのサブマリーナはプロトタイプは1953年と同じですが、バーゼルの発表は1954年だったため、フィフティファゾムズが先だったと言われています。 フィフティファゾムズはフランス海軍からの依頼で開発されました。開発当時はダイバーズウォッチの需要は少なかったのですが、当時ブランパンCEOのジャン・ジャック・フィスターがダイバーだったこともあり、高い防水性、視認性を高めた夜光処理、逆回転防止ベゼルなど、本格的な機能を備えたモデルが開発されました。その後アメリカ、ドイツなどの海軍にも正式採用されました。 現行モデルにおいてもそれらのパーツはそのまま採用され、初期モデルに近いデザインとなっています。チタンケースや浮き彫りベゼルの採用など現代的なエッセンスも加えられ、今でもブランパンを代表するシリーズの一つとなっています。 フィフティファゾムスの名前の由来はシェイクスピアの戯曲『テンペスト』です。ファゾム=尋という海の深さを示す単位で、当時のダイバーの最大深度が50ファゾムスだったことためと言われています。 4-2.エアコマンド 出典:BLANCPAIN エアコマンドは1950年代にごくわずかに生産されたエアコマンドフライバッククロノグラフを祖とし、2019年に現代的なエッセンスを加え500本限定で復活しました。試作レベルでしか流通していない数量の少なさから伝説のモデルとなっていましたが、フィフティファゾムズの実績からアメリカ空軍向けに依頼・設計された歴史が残されています。 再度展開されたエアコマンドは最新の技術で当時のクラシカルなデザインを採用しており、フィフティファゾムズと同様のカウントダウン式の回転ベゼル、フライバッククロノグラフを受け継いでいます。ツーカウンターのクロノグラフ、特徴的なアラビアインデックス、ペンシル針などヴィンテージアビエイターに見られるデザインにまとまっています。 2022年には新作も展開されています。デザインや機能は2019年の復刻版そのままに、チタンケースモデルと18Kレッドゴールドモデルが発表されました。今後エアコマンドの展開が増えていくのかもしれません。 4-3.ヴィルレ 出典:BLANCPAIN ヴィルレはブランパンの誕生の地の名を冠したシリーズで、ブランドの原点であることを意味しており、伝統的なクラシカルなデザインで展開されるシリーズです。スイスの伝統的なドレスウォッチの特徴を体現しており、受け継がれてきた普遍のエレガントさをもっています。 曲線を描くダブルステップベゼルと控えめなローマンインデックスをシリーズ全体のデザインコードとし、細身のリーフ針やサンバーストの文字盤、現行では珍しく顔が描かれたムーンフェイズなどのパーツがモデルによって組み合わされます。全体としてクラシカルで落ち着いたデザインにまとまっているので、世界最古の歴史をもつブランドのもつ世界観と相性がよくブランパンの世界観をよく表しています。 複雑系も展開されており、シックスマスターピースと1735を祖とする多機能搭載モデルも多数開発されています。3針に始まりGMTやパーペチュアルカレンダー、トゥールビヨンなど伝統的な機能別の展開となっており、確固たる世界観を楽しむことができます。 4-4.レマン レマンはブランパンの拠点であるル・ブラッシュの近くを流れるレマン湖に由来したシリーズです。ブランドの地盤の名を冠したこのシリーズは正統派なラグジュアリーウォッチのシリーズとして展開されています。 シリーズの代表的なモデルは伝統的なアビエイターウォッチとして展開されるフライバッククロノグラフモデルです。スポーティーな要素とヴィンテージな要素の両方が求められる独特なアビエイターウォッチは、スポーツウォッチを得意としつつ昔ながらのラグジュアリーウォッチも展開するブランパンらしさの得意分野といえます。 アビエイターウォッチをベースに、スタートとリセットを同時に操作可能なフライバッククロノグラフ機能やGMT、アラームなど複数の機能を備えたレマンシリーズは評価が高く、現在ではシリーズは廃盤となってしまっていますが、銘品としてブランパンを代表するシリーズの一つです。 4-5.L-エボリューション L-エボリューションは他のシリーズにはない革新的で大胆なデザインが特徴です。主に3、9のインデックスは他に類を見ないほど大ぶりで、カーボン柄の文字盤や縦のコート・ド・ジュネーブを文字盤ベースにするなど古典的なデザインが多いブランパンの中では比較的モダンで近代的なデザインのシリーズです。 8日間のパワーリザーブを備えた直列トリプルバレルシステムを搭載した自社製ムーブメントを採用するなど、ムーブメントにも力を入れています。ムーンフェイズ、8デイズ、GMTアラーム、ラージデイト、フライバッククロノグラフ、トゥールビヨンなど複数の機能で展開されており、パワフルでモダンなシリーズ展開として、最新のブランパンを代表するシリーズの一つです。 4-6.コンセプト2000 トリロジーシリーズと呼ばれる3針のフィフティファゾムズ、エアコマンド、GMTは陸海空に対応したスポーツウォッチとして展開されています。コンセプト2000と呼ばれるステンレスとラバーのコンビ仕様で、2000年代の最新のエッセンスで解釈した仕様も展開されており、最近はメジャーとなってきた異素材の組み合わせの先駆け的存在といえます。 2000年というと最新には程遠いと思うかもしれませんが、コンセプト2000は当時としてはかなり先を見据えた展開のようで、2022年現在で見ても最新モデルと遜色ないデザインセンスとなっています。さらにGMTに搭載されているムーブメントCal.5A50は高級ムーブメントメーカーであるフレデリックピゲによる1151がベースとなっており、デザインだけでなくムーブメントで見てもハイエンドなシリーズ展開となっています。 4-7.レディーバード 出典:BLANCPAIN 当時世界最小のムーブメントを搭載して発表されたことで注目されたレディ・バード。レディ・バードは男性向けウォッチを単にサイズダウンしたものではなく、女性向けに開発されています。ブランパンのルーツともいえるヴィルレをベースにしたクラシカルなデザインですが、文字盤には光をあてる角度によって表情を変えるマザーオブパールや、ベゼル・ラグを埋め尽くすほどふんだんに使われたダイヤモンドなど繊細で華やかな印象の時計となっています。 ハート型のチャームが付属したり、オフセンターされレトログラード表示と組み合わせたりとバリエーションが豊かです。使われる針の形もなめらかなリーフ針とひし形に近いリーフ針を文字盤に合わせて変えるなど、強いこだわりを見せるシリーズです。 4-8.メティエダール 出典:BLANCPAIN メティエダールとはフランス語で芸術的な手仕事を意味しており、名前の通りブランパンの中でも芸術品といえる美しさをもつシリーズです。エングレービングや希少なエナメルペイントを駆使して、花や動物を描いたモデルが中心です。 ここまでは他のブランドでも展開されますが、ブランパンが少し違うのは日本の技術を積極的に取り入れていることです。日本刀の装飾部分に好んで使われた赤銅や備長炭など、日本特有の技法を時計に昇華させています。時には葛飾北斎の描いた神奈川沖浪裏をモチーフに描いたり、厳島神社をモチーフに描いたりと日本を強く意識していることがわかります。 高級時計市場の大きさでいうと、現代では中国が非常に大きく日本は小さいため重要視されないことが多いのですが、日本古来の技法へのリスペクトからか、日本に由来するデザインの時計も見かけます。少数精鋭の職人の集まりであるブランパンなりのリスペクトの表現なのかもしれません。 5.ブランパンを着けている芸能人・有名人5選 4-1.ロシア大統領:ウラジーミル・プーチン ロシア大統領 ウラジーミル・プーチンが着けているのはフライバッククロノグラフ Ref.N1185F001130MA063Aです。時計愛好家として知られており、パテック・フィリップやIWCを好んで着用していました。 Ref.N1185F001130MA063Aはフライバッククロノグラフ搭載モデルです。発表時期はどのシリーズにも属していませんでしたが、現行のレマンに近いデザインとなっており、レマンフライバッククロノグラフのルーツと言えるモデルです。夜行処理された太めのペンシル針とアラビアインデックス、ダブルステップベゼルなどクラシックなアビエイターウォッチのデザインとなっています。 5-2.女優:マリリン・モンロー 女優のマリリン・モンローが着けていたのはカクテルウォッチです。リファレンスは不明です。2019年にニューヨーク五番街のブティックでハリウッドスターのマリリン・モンローが着けていた1930年代のカクテルウォッチが公開されました。マリリン・モンローの3番目の夫とされる劇作家のアーサー・ミラーからの贈り物だったと言われています。 プラチナ製の細長いケースに細身のブレスレットを含めて71ケのラウンドカットダイヤモンド、2ケのマーキスカットダイヤモンドがセットされている贅沢なモデルです。ゴールドのインデックス、ブルーの針と伝統的な装いだけでなく、ムーブメントは細長いケースに合うように専用に設計されています。 5-3.シェフ:ダニ・ガルシア シェフ ダニ・ガルシアが着けているのはフィフティファゾムズ、Ref. 5015-1130-71です。ブランパンは1986年にフレディ・ジラルデに、3年後にジョエル・ロブションなど3名にシェフとしての栄誉な賞を記念して時計を贈呈しています。ダニ・ガルシアはブランドアンバサダーに就任した際にフィフティファゾムズを着けています。 Ref. 5015-1130-71は2007年に発表されたモデルで、伝統的なスポーツダイバーズウォッチとなっており、1953年発表の初代の雰囲気を現代の技術で再現しています。回転ベゼルや針とインデックスに施された夜行処理、リューズガードなど正統派ダイバーズウォッチといえる一本です。 5-4.シェフ:ジュリアン・ロワイエ シェフ ジュリアン・ロワイエが着けているのはフィフティファゾムズバチスカーフ Ref.5200-0130-B52Aです。ジュリアン・ロワイエは2019年にアジアベストレストラン50で1位に選ばれたシェフで、ブランパンとアンバサダー契約を結んだことが報じられました。彼はブランパンの銘品に合わせた新作料理を提供するなど、互いに共鳴しあっています。 Ref.5200-0130-B52Aは傷に強いブラックセラミックケースが特徴的なモデルで、フライバッククロノグラフを搭載しています。ムーブメントは自社製のCal.F385を採用しており、ハイビート36000振動となっており、精度だけでなく1/10秒まで計測可能。文字盤にも1/10秒まで読み取れる極小スケール表示を備えており、ハイビートクロノグラフのスペックをいかんなく発揮できます。 5-5.デザイナー:尾花大輔 デザイナーの尾花大輔が着けているのはフィフティファゾムズ Ref.5015-1130-52です。尾花さんはヴィンテージショップのバイヤーだったこともあり、ロレックスやミリタリーウォッチなど様々な時計を着けており、時計コレクターとして知られています。 Ref.5015-1130-52は2007年発表モデルで、王道のダイバーズウォッチであるパーツを揃えています。海中でも見やすい太く夜行処理された視認性の高い針、300m防水、逆回転防止ベゼルなど、基本に忠実です。搭載されている自社製ムーブメントCal.1315はパワーリザーブ5日間にくわえ耐磁性に優れており、日常使いとしても使いやすい一本です。 6.ブランパンのおすすめモデル5選 6-1.フィフティ ファゾムス オートマティック Ref.5015-12B30-B52A Ref.5015-12B30-B52Aは2019年発表のフィフティファゾムズで、1953年発表の初期モデルに近いデザインながら最新の技術が詰め込まれています。ケースの素材は耐傷性に優れ軽量なチタンを採用、自社製ムーブメントCal.1315には耐磁性に優れたシリコンひげぜんまいを 搭載しています。パワーリザーブは120時間と実用的です。 デザイン・機能面では逆回転防止ベゼル、夜光処理された太めのペンシル針とインデックス、先端が赤くなっている秒針、リューズガードといったスポーツダイバーズウォッチの王道デザインです。防水性はしっかり300mを備えているため、本格派としても日常使いとしても使いやすいモデルです。 6-2.ヴィルレ カンティエーム コンプリート カレンダー Ref.6654A-1127-55B 出典:BLANCPAIN Ref.6654A-1127-55Bはブランパンの美意識・審美眼が発揮されたヴィルレのコンプリートカレンダーモデルです。12時位置の窓で曜日と月、ポインターデイト、顔が描かれたムーンフェイズを備えています。ポインターデイトは緩やかな曲線を描くブルーの針なので、時刻の読み取りを邪魔しません。 針は鋭く長いリーフ針ですが、肉抜きされており軽い印象です。ローマンインデックスはすべて植字で立体的で、2段のステップドベゼルなど伝統的なコンプリートカレンダーのデザインでまとまっています。ムーブメントは自社製Cal.6654.4で薄型で72時間のパワーリザーブもあり、実用的で取り回しもよく使いやすい一本です。 6-3.レマン GMT アラーム Ref.2041-1230-63B Ref.2041-1230-63Bはレマンのクラシカルなデザインをベースに複数の機能を搭載したコンプリケーションモデルです。12時位置の小さなレトログラード表示はアラーム、3時位置にGMT表示、4時位置の小窓で日付、6時位置にはスモールセコンド、9時位置に24時間表示、10時位置にパワーリザーブ表示となっています。 各種表示機能だけでなく植字のインデックスや6時位置に移動したブランドロゴなど 所狭しと配置されています。チタン製のケースなので軽量で傷がつきにくく、デザインのクセも少ないためプライベートでもビジネスでも実用しやすいモデルです。 6-4.フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダー Ref.5054-1210-G52A 出典:BLANCPAIN Ref.5054-1210-G52Aはダイバーズウォッチシリーズのフィフティファゾムズを実用しやすさを重視して1956年に発表されたシリーズの一つです。12時位置に曜日と月、ポインターデイト、6時位置にムーンフェイズが配置されたコンプリートカレンダーモデルです。自社製ムーブメントCal.6654.Pを搭載しており、0時付近でも時刻変更をスムーズに行うことができるようになっています。 グレード23のチタン製ケースは軽量で傷に強く、サンバースト仕上げが施されたアンスラサイト文字盤、ベゼルとのグラデーションが効いています。太めの針とインデックスへ施された夜光処理や、300m防水などダイバーズウォッチらしさも健在です。 6-5.エアコマンド Ref.AC03-12B40-63B 出典:BLANCPAIN Ref.AC03-12B40-63Bははエアコマンドシリーズの2022最新モデルです。ツーカウンターのクロノグラフや目盛りの細かなタキメーターなど、1950年代にアメリカ空軍向けに設計された当時のクラシカルなデザインが残されています。また、コラムホイール式の自社製クロノグラフムーブメントCal.F188Bが搭載されており、クロノグラフ使用時のスタート・ストップの操作感がスムーズです。 グレード23の軽量で傷に強いチタン製ケースに傷に強いセラミック製のベゼルが組み合わせてあり、堅牢さが特徴です。シリコンひげぜんまいを採用しているため耐磁性にも強く、ケースサイズは36mmと取り回しがいいのもポイントの実用しやすいパイロットウォッチとなっています。 7.まとめ ブランパンの歴史、特徴、人気モデルなどをまとめました。世界最古の高級時計ブランドとして機械式にこだわるポリシーや伝統的なデザインは古き良き時代の時計を思わせます。エアコマンドやメティエダールなど、最新の技術を使ったシリーズも展開しており、新作が楽しみなブランドでもあります。ブランパンの時計を見かけたらぜひ一度手にとってみてください。 関連記事はコチラ https://estime.co.jp/column/luxury-watch-evaluation/ https://estime.co.jp/column/what-balllwatch/ 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