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2024年3月03日

ルイヴィトンの歴代デザイナーとは?プレタポルテが確立されるまでの軌跡

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ルイヴィトンは1854年、フランス・パリのキャプシーヌ通りに設立されました。ルイヴィトンは世界三大ブランドのひとつとして知られており、設立からおよそ170年経った現代においても人気は衰えることを知りません。長い歴史のなかで、多くのデザイナーが就任しており、ルイヴィトンに多大な影響を与えてきました。

ルイヴィトンはもともとトランクケースを制作していたブランドですが、時代に合わせてバッグや財布のようなラグジュアリー商品の展開をはじめます。1997年になると、ルイヴィトン初のクリエイティブディレクターとしてマーク・ジェイコブスを迎え、ファッションブランドとして成長していくのです。

この記事では、ルイヴィトンの歴代デザイナーを紹介しています。一人ひとりのクリエイティブディレクターが生み出した作品を解説し、ルイヴィトンにどのような影響を与えたのか分かるようになっています。またルイヴィトン創設からデザイナー就任までの歴史や、日本人デザイナーとのコラボアイテムについても説明していますので、要チェックです。

数々のデザイナーによって、ルイヴィトンのプレタポルテが確立されるまでの軌跡をぜひご一読ください。

1.【一覧】ルイヴィトンの歴代デザイナー

1997年、ルイヴィトンはついに初のデザイナーを迎え入れます。時代に合わせて変化を続けてきたルイヴィトンは、ラグジュアリー商品だけではなくファッションアイテムにも注力し始めました。

ここからは、ルイヴィトンの歴代デザイナーをご紹介します。ルイヴィトンはこれまでに多数のクリエイティブディレクターを迎えており、革新的なデザインでファッションブランドとしての地位を確立してきました。ルイヴィトンに多大な影響を与えた歴代デザイナーの功績と共に、ルイヴィトンのプレタポルテが世界中に広まった軌跡にも注目していただけると幸いです。

1-1.【1997~2013年】マーク・ジェイコブス

マーク・ジェイコブスは、ユダヤ系アメリカ人の家系で1963年、ニューヨークに誕生しました。父親は芸術家として活躍していましたが、マーク・ジェイコブスが7歳の時に急逝しており、双極性障害の母親と縁を切り、妹と弟は里子に出されて祖母と生活を送りました。ニューヨークのパーソンズ・スクール・オブ・デザインを首席で卒業し、在学中にはアメリカのファッションブランド「ペリー・エリス」の創設者であるペリー・エレスからデザイン賞をわずか15歳で受賞しています。

パーソンズ・スクール・オブ・デザインを卒業後は、レディースのプレタポルテを営む「ペリー・エレス」のデザイナーとして就任しています。プレタポルテとは、フランス語で「高級既製服」という意味です。マーク・ジェイコブスはデザイナーとして経験を積んだのち、1986年に自身のファッションブランド「マーク・ジェイコブス」を設立します。

自身のブランドを運営しながら、1997年、ついにルイヴィトン初のクリエイティブディレクターに就任します。ルイヴィトンで初のデザイナーとしてマーク・ジェイコブスを任命したのは、LVMHのCEOであるベルナール・アルノー氏です。マーク・ジェイコブスは、LVMHの傘下に入っているブランドです。

マーク・ジェイコブスがルイヴィトンのデザイナーに就任した当初は、マーク・ジェイコブスはあまり有名ではないデザイナーでした。しかし、ベルナール・アルノー氏の目に狂いはなく、ルイヴィトンの当時のラグジュアリーアイテムはバッグや財布のみでしたが、マーク・ジェイコブスはシューズや衣類・時計コレクション・ジュエリーなどを展開し、次々に革新的なデザインのアイテムを誕生させます。

マーク・ジェイコブスが発表したデザインでよく知られているデザインにはヴェルニラインがありますが、コラボレーションも大きな革新をもたらしています。マーク・ジェイコブスは親日家であることから日本人のデザイナーに興味を持ち、日本人デザイナーの草間彌生さんや村上隆さんとのコラボが話題を呼びました。

マーク・ジェイコブスは1997年から2013年まで、16年間もルイヴィトンのデザイナーを務め、ルイヴィトンに多大な影響を与えた人物です。2013年の春夏コレクションを最後にルイヴィトンを去った後は、自身のブランド「マーク・ジェイコブス」に力を入れています。ルイヴィトンをファッションシーンでけん引するブランドに押し上げた、マーク・ジェイコブスの代表的な作品をご紹介します。

1-1-1.モノグラム・ヴェルニを発表

マークジェイコブスは、自身のデビュー・コレクションショーに合わせて「モノグラム・ヴェルニ」を発表しました。モノグラム・ヴェルニの素材は、生後6か月程度の子牛の革を使用したカーフレザーとなっており、エナメル加工してモノグラムパターンが型押しされているのが特徴です。ヴェルニラインが発表されるまでのモノグラムは印刷するのが一般的でしたが、型押しとエナメルをかけ合わせることにより、革新的なデザインとして注目を集めました。

モノグラム・ヴェルニはキラキラしたエナメルが特徴でありながら、多彩なカラーバリエーションを展開していることも魅力です。ノワールやアマラントのような落ち着いたカラーはもちろん、グリヨットやスリーズのような原色に近いカラー、ローズ・バレリーヌのような淡いカラーも発表されました。斬新なフォルムとデザインは瞬く間に流行し、現在もヴェルニラインは人気となっています。

1-1-2.日本人デザイナーとコラボ 草間彌生さん

親日家であるマーク・ジェイコブスは、日本人デザイナーとのコラボアイテムも発表しています。水玉模様で有名な草間彌生さんは、画家や彫刻家・小説家としても活躍しているデザイナーです。パンプキンドットをモチーフにしたデザインが財布やバッグに彩られました。

マーク・ジェイコブスと草間彌生さんがコラボしたのは2013年ですが、10年経った今でも需要が高く、中古市場で高値をつけるアイテムも多数あります。2023年にはルイヴィトンと草間彌生さんのコラボ第二弾が発表されており、「フラワー」「フェイス」「パンプキン」のデザインが登場。第二弾のデザインアイテムは財布やバッグはもちろん、スカーフや靴・アクセサリーなども発表され、大きな注目を集めています。

1-1-3.日本人デザイナーとコラボ 村上隆さん

村上隆さんは1962年生まれのデザイナーで、アート作品の制作や美術展を運営してます。マーク・ジェイコブスが村上隆さんのファンだったため、マーク・ジェイコブスのオファーによりコラボレーションが実現しました。ルイヴィトンのモノグラムデザインの花柄や星柄に、村上隆さんがデザインした顔のイラストが融合したコラボはマーク・ジェイコブスに「kawaii」という言葉を覚えさせたアイテムです。

村上隆さんとルイヴィトンのコラボアイテムとして人気を集めたのは「モノグラム・チェリー」や「モノグラム・パンダ」などがあります。モノグラム・チェリーのチェリーには顔が描かれており、まさに「kawaii」アイテムとなっています。

2003年にコラボアイテムとして発表された「モノグラム・パンダ」は、色鮮やかな耳に可愛らしいフォルムをしたパンダが描かれており、表面と裏面ではデザインが異なっているのが魅力です。表面は顔が見えるパンダがデザインされていますが、裏面を見ると後ろ姿のパンダが描かれています。斬新なデザインは特に女性から人気が高く、現在でもプレミアム価格で取引されている価値の高いコラボアイテムとなっています。

1-2.【2006~2011年】ポール・エバース

ポール・エバースは、オランダ出身のファッションデザイナーです。デザイナーでは知らない人はいないと言っても過言ではないほど有名なメゾン・マルタンマルジェラ出身です。メゾン・マルタンマルジェラは、数多くの有名デザイナーを輩出してます。

デザイナーのエリートとも言えるポール・エバースは5年間、マーク・ジェイコブスと共にルイヴィトンのディレクターを務めました。マーク・ジェイコブスはウィメンズアイテムの発表が多かったですが、ポール・エバースはメンズアイテムのみを手がけています。ポール・エバースがデザインしたアイテムのなかで、大ヒットを記録したのがモノグラム・マカサーです。

1-2-1.モノグラム・マカサー

モノグラム・マカサーとは、モノグラムキャンバスとブラックレザーを組み合わせたメンズ向けのアイテムです。マカサーの語源は、インドネシアにあるマカッサル・エボニーという木の模様からきています。2009年に発表されたモノグラム・マカサーは、ビジネスシーンに最適なバッグを中心に、キーボルやスティーマーバッグなどにも展開されました。

黒を基調としたシックなデザインが特徴のモノグラム・マカサーは、ビジネスシーンにぴったりなデザインで、多くの男性から支持を得て短い期間で完売となりました。モノグラム・マカサーは年代を選ばず利用できるデザインのため、幅広い世代に愛されたのです。

これまでルイヴィトンはウィメンズアイテムを中心に販売を展開しており、目立ったメンズアイテムはほとんどありませんでした。ポール・エバースが手がけたモノグラム・マカサーは、多くの男性がルイヴィトンに興味を持つきっかけになったことは間違いありません。モノグラム・マカサーはたちまち人気となり、ルイヴィトンはメンズアイテムにも力を入れるようになります。

1-3.【2011~2018年】キム・ジョーンズ

キム・ジョーンズは、1973年にイギリスのロンドンで生まれました。親の仕事の影響で、南米やアフリカで過ごした経験があります。ロンドン芸術大学在学中は、マイケル・コッペルマンが1989年に設立した「Gimme Five(ギミーファイブ)」でデザインの経験を積みます。

マイケル・コッペルマンは、ファッション界をけん引してきた有名な人物です。Gimme Fiveを設立したほか、多くの顔を持っています。「AFFIX」のクリエイティブメンバーで「Stussy UK」の中心人物でもあり、「KNOW WAVE」でDJも務めています。偉大なマイケル・コッペルマンは、「Supreme」の創設者であるジェームス・ジェビアや「fragment design」の主宰者でDJとしても活躍する藤原ヒロシ、「A BATHING APEⓇ」の創設者であるNIGOとも深いつながりを持つ人物です。

マイケル・コッペルマンに一目置かれていたキム・ジョーンズは、この繋がりを利用して、さまざまなコラボアイテムを誕生させるのです。

キム・ジョーンズが就任する前に、デザイナーを務めたポール・エバースが発表したモノグラム・マカサーは大ヒットとなり、ルイヴィトンはウィメンズアイテムだけでなくメンズアイテムも注目されつつありましたが、バックや財布のみのイメージがまだまだ強い時代でした。しかしキム・ジョーンズの活躍により、ルイヴィトンのメンズ・プレタポルテは世界中に認知されることとなります。

キム・ジョーンズはルイヴィトンのメンズ・プレタポルテの礎を築いた人物であり、彼がいなければ現在のルイヴィトンの男性人気はないと言っても過言ではありません。そんなキム・ジョーンズが手がけてきた数々のデザインの中から、代表的なアイテムをご紹介します。

1-3-1.ダミエマサイチェック

ダミエマサイチェックは、ダミエをチェック柄で表し、主に明るい赤色を使ってデザインされたファッションアイテムです。キム・ジョーンズは幼少期にアフリカで過ごした経験から、マサイにインスパイアされて制作されました。目を引くデザインに、多くの人々から驚きの声が上がった作品です。

1-3-2.fragment designとコラボ

fragment design」とは藤原ヒロシ氏が主宰するブランドで、彼はDJとしても活躍しています。fragment designはさまざまなブランドとコラボしており、RAMIDUS(ラミダス)や世界一のモバイル充電ブランドであるAnker(アンカー)とのコラボアイテムを発表しています。2024年1月にはFENDI(フェンディ)とPOKÉMON(ポケモン)、fragment designの3社がタッグを組んで、伊勢丹新宿店で期間限定のポップアップを開催して話題になりました。

fragment designはファッション界だけでなく、ポケモンやスターバックスコーヒーなどとコラボしており、若い年代から支持を得ていたことから、ルイヴィトンとコラボしたことによって多くの若い世代を取り込むことに成功しました。fragment designとコラボできたのはキム・ジョーンズがGimme Fiveに所属した過去があり、繋がりがあったためです。

1-3-3.Supremeとコラボ

ルイヴィトンとシュプリームのコラボも、キム・ジョーンズがGimme Fiveと繋がりがあったからこそ実現できたと言えます。なぜなら、ルイヴィトンとシュプリームは過去に知的財産権の侵害でルイヴィトンが訴訟を起こす手前まで揉めているからです。

シュプリームは1994年、アメリカのニューヨークで小さなスケートボードショップとして創業しました。シュプリームは法外なやり方で注目を集めていきます。有名なのはSupremeと書かれたステッカーを町中の目立つ場所に貼って、宣伝するというものです。

そして、法外な宣伝はエスカレートしていき、ハイブランドとシュプリームのコラボ品の販売を勝手にはじめます。ルイヴィトンとのコラボアイテムを勝手に販売したシュプリームは、知的財産権の侵害として訴訟を起こすとルイヴィトンに言われ、裁判の前に撤退しています。

このようないざこざがあったにもかかわらず、LVMHのCEOであるベルナール・アルノー氏は、シュプリームの創設者のジェームス・ジェビアとコネクションのあるキム・ジョーンズにコラボを打診します。シュプリームは大人気のストリートブランドとして成長しており、人気が高かったため、ルイヴィトンとのコラボアイテムは爆発的なヒットとなりました。ルイヴィトンとシュプリームのコラボアイテムは、装飾品やラグジュアリーアイテムが発表され、現在でもプレミアム価格で取引されています。

1-4.【2013年~現在】ニコラ・ジェスキエール

ニコラ・ジェスキエールはフランス系のベルギー人で、1971年に経営者の父と裁縫好きの母のもとに生まれました。学生時代には、フランス人デザイナーのアニエスベーのインターンシップに参加し、シャンポール・ゴルチエのアシスタントとして経験を積んでいます。

100年以上の歴史を持つバレンシアガとニコラ・ジェスキエールには深いつながりがあります。バレンシアガは創業以来、順調に経営していましたが、1968年の5月革命を機に倒産の危機を迎えます。それを救ったのは、弱冠26歳のニコラ・ジェスキエールだったのです。

バレンシアガを引き継いだニコラ・ジェスキエールは、シーズンごとに新作を発表し、2000年にはVHI・ヴォーグファッション・アワード、翌年の2001年にはCFDAを受賞しました。倒産寸前だったバレンシアガを見事に立て直した実力の持ち主です。

1-4-1.ファイナルファンタジーのキャラクターを起用

ニコラ・ジェスキエールは、2016年春夏コレクションの新広告キャンペーン「SERIES 4」のモデルとして、ファイナルファンタジーⅧのキャラクターである「ライトニング」を広告塔として起用して話題になりました。当時のインスタグラムでアップされた動画には、ライトニングがルイヴィトンのバッグを武器のように振り回す姿が映し出されていました。ニコラ・ジェスキエールによる日本のキャラクターとのコラボは、大きな影響を与えたのです。

1-5.【2018~2021年】ヴァージル・アブロー

ヴァージル・アブローは、アメリカイリノイ州のロックフォード出身で、ガーナ移民の両親の元に1980年に生まれました。母親は裁縫の仕事、父親は塗装関係の仕事に就いており、後のヴァージル・アブローの活動に影響を与えています。

2002年、ウィスコンシン大学のマディソン校を卒業し、2006年にはイリノイ工科大学院の建築学修士号を取得しています。ヴァージル・アブローは大学在学中にファッションにも興味を持ち始め、自分でTシャツを販売した経験があります。

2009年、フェンディのインターンシップに参加し、カニエ・ウェストと出会います。2人は意気投合し、1年後にカニエ・ウエストのブランド「DONDA」のデザイナーとして迎え入れられました。また当時のフェンディの会長であり、現在のLVMHのファッショングループのCEOであるマイケル・バークは、インターンシップの頃からヴァージル・アブローに注目していたという話があります。

マイケル・バークから一目置かれていたヴァージル・アブローは、ルイヴィトンで黒人初のクリエイティブディレクターとして選出され、メンズアイテムを中心にブリーチ加工やタイダイ柄など、これまでにないコレクションを発表。彼が発表して注目が大きかったデザインを紹介していきます。

1-5-1.OFF-WHITE

オフホワイトは、ヴァージル・アブローがルイヴィトンのクリエイティブディレクターに就任する前の2014年、イタリアのミラノを拠点に自身が設立したブランドです。ルイヴィトンのデザイナーとなったことから、コラボアイテムを発表しています。

オフホワイトは、ブラックとホワイトの間であるグレーエリアを定義している、というコンセプトがあります。またオフホワイトを代表するデザインであるホワイトのストライプは、建築家のニース・ファン・デル・ローエが完成させたイーディス=ファンズクーク邸にインスパイアされました。建築を学んだ経験のあるヴァージル・アブローらしい作品と言えます。

オフホワイトは、ルイヴィトンのストリートファッションを確立させたアイテムのひとつです。オフホワイトは、日本にも店舗のある人気ブランドとなっています。

1-5-2.メンズジュエリー

ルイヴィトンはこれまで、ジュエリーはウィメンズアイテムしか販売してきませんでしたが、ヴァージル・アブローによってメンズジュエリーが初めて発表されました。ヴァージル・アブローが発表したネックレスや指輪は、太めのシルエットが特徴となっており、シルバーにカラフルなデザインがかっこよさを感じます。メンズアイテムを充実させ、男性にもルイヴィトンを浸透させることに成功しています。

1-5-3.ナイキとコラボ

2022年で生誕40周年を迎えたナイキの「Air Force1」をベースに、ルイヴィトンとコラボしたスニーカーを発表しました。ナイキとルイヴィトンのコラボスニーカーは、Air Force1の文化とヴァージル・アブローの創造力が融合した作品となっており、世界で全47のモデルが発表されました。コラボスニーカーはナイキの工場で製造されず、イタリアのメゾンにて手作業で制作された貴重なアイテムとなっています。

1-5-4.2021年急逝

2018年からルイヴィトンのクリエイティブディレクターとして活躍し始めたヴァージル・アブローですが、実は2019年から病と闘っていました。周囲には病を隠しながら活躍を続け、デザイナーとして次々と革新的なアイテムを発表しました。

ヴァージル・アブローの病名は「心臓血管肉腫」という珍しいガンで、2021年11月28日に急逝しています。ヴァージル・アブローの死に際して、親交の深かったカニエ・ウエストはゴスペルパフォーマンスで追悼しています。またルイヴィトンのメンズアイテムをけん引してきた彼の死は、世界に大きな衝撃を与えました。ヴァージル・アブローの功績はルイヴィトンに多大な影響を与え、賞賛されるものでした。

1-6.【1996~2000年、2020年~現在】ジョニー・コカ

ジェニー・コカはスペイン生まれで、エコール・デ・ボザールでファッションを学んだ後、1996〜2000年までルイヴィトンのレザーグッズ・デザイナーとしてキャリアをスタートしました。2000年以降は「バリー」や「セリーヌ」で経験を積んでいます。

そして2020年、ルイヴィトンのウィメンズレザーグッズ・デザイナーとして再び就任。メゾンのニエール=シュル=セーヌのアトリエでの経験を活かし、クリエイティブディレクターのニコラ・ジェスキエールと共にレザー小物やバッグのデザインを手がけています。2020年に再びデザイナーとして就任した際、ジェニー・コカは「旅のシンボルであるルイヴィトンで再び仕事ができることは幸運です」と話しています。

ジェニー・コカとニコラ・ジェスキエールのタッグで、今後どのようなアイテムが発表されるのか期待されるところです。

1-7.【2023年~現在】ファレル・ウィリアムス

2023年、ヴァージル・アブローの後任としてファレル・ウィリアムがクリエイティブディレクターに就任しました。ファレル・ウィリアムスは、アディダス(ADIDAS)と長期的なパートナーシップを結んでおり、オフホワイト c/oヴァージル・アブローを請け負っていたり、DJとして活動していたりと多彩な才能を持ち合わせている人物です。

ルイヴィトンの2024春夏コレクションは、パリのセーヌ川にあるポンヌフ橋で開催されました。ランウェイはゴールドに装飾され、多くのセレブリティが招待されたコレクションは盛り上がりをみせています。ランウェイに登場したのは、ダミエをピクセルで表したルックやシンプルなダミエにさまざまなカラーが施された作品でした。

コレクションでは、ファレル・ウィリアムスが立ち上げたゴスペルグループとの合唱も披露されました。クリエイティブディレクターが自らパフォーマンスする姿は、ルイヴィトンに新たな風を起こす予感をさせたのです。ファッションの域を超えた、クリエイティブなアイテムの発表が期待されています。

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2.【番外編】LVMHプライズ2023のグランプリは日本人

ルイヴィトンは単体の企業ではなく、コングロマリットであるLVMHの傘下に入っていることはご存じでしょうか。コングロマリットとは、異なる事業を展開しているブランドを買収して大きくしていく企業体のことを指します。ルイヴィトンはお酒のブランドであるモエヘネシーと1987年に提携を結び、LVMHに属しています。

ルイヴィトンはLVMHの傘下に入ったことをきっかけに、プレタポルテを確立しファッションブランドとして成長したと言っても過言ではありません。ルイヴィトンとデザイナーを繋いだのは、LVMHのCEOであるベルナール・アルノー氏だからです。

ルイヴィトンで初めてのクリエイティブディレクターを務めたマーク・ジェイコブスには、ベルナール・アルノー氏が声をかけています。またシュプリームとのコラボをキム・ジョーンズに依頼したのも、ベルナール・アルノー氏だと言われています。

そんなベルナール・アルノー氏率いるLVMHは、毎年「LVMHプライズ」を開催しています。LVMHプライズとは、若手ファッションデザイナーの育成や支援を目的としたコンペティションです。2015年に開催されたLVMHプライズでは、ヴァージル・アブローがファイナリストに残りました。

「LVMHプライズ2023」のグランプリに輝いたのは、なんと日本人デザイナーの桑田悟史さんでした。桑田悟史さんはミラノを拠点に活躍するデザイナーで、日本の和洋折衷から着想を得て、自身のブランド「セッチュウ」を運営しています。2022年にイタリアのコンペティションでも最優秀賞を獲得した人物であり、デザイナーとして注目を集めています。

ルイヴィトンはLVMHにおいて中核を担っているブランドであり、LVMHの売上高の4分の1、利益の半分を占めています。そんなLVMHが開催するコンペティションでグランプリに日本人が輝いたことは、LVMHの中核を担っているルイヴィトンで、日本人初のデザイナーが誕生するのではと期待させる出来事と言えるのではないでしょうか。

歴史を振り返ると、ルイヴィトンと日本は縁のある間柄だと言えます。ルイヴィトンを代表するダミエやモノグラムは、日本の伝統文化からインスパイアされたデザインです。また日本人デザイナーとのコラボも成功を収めました。ルイヴィトンのクリエイティブディレクターとして、日本人デザイナーが選出される日はそう遠くない未来に待っているかもしれません。

まとめ

ルイヴィトンの創設者である「ルイ・ヴィトン」は、もともと荷造り用木箱製造職人でした。当時のパリは馬車移動が主流であり、荷造り用木箱は重宝され需要の高いアイテムでした。次第にルイ・ヴィトンは荷造り用木箱製造職人として世界的に名が知れ渡るようになり、1854年、世界初の旅行かばん専門店をオープンさせます。

ルイ・ヴィトンから2代目のジョルジュ・ヴィトンに実権が渡ってからは、トランクケースだけでなくラグジュアリー商品を積極的に展開していきます。ルイヴィトンは伝統を守りながらも、常に時代のニーズに合わせて商品展開していくことで人気を維持してきました。また1997年にはデザイナーのマーク・ジェイコブスを迎えて、ファッションブランドとしての地位を確立しています。

1997年にクリエイティブディレクターを就任させてから現在まで、多彩なデザイナーが革新的なデザインを生み出し、ルイヴィトンのプレタポルテを確立させています。ルイヴィトンは常に時代の変化に敏感で、その時代の先駆者となっています。デザイナーとタッグを組んで、これからもファッションリーダーとして世間を賑わせてくれるでしょう。

ルイヴィトンのクリエイティブディレクターとして新しく就任したファレル・ウィリアムスに期待を寄せ、これからも発展し続けていくであろうルイヴィトンからは目が離せません。

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