2024年2月04日
【時計の本質である視認性の追求】ジンとは?歴史や魅力を徹底解説
時計
ドイツ時計は質実剛健だとよく語られていますが、ジンの時計はまさしくドイツ時計のそうした特徴を体現しています。元パイロットであり飛行教官だったヘルムート・ジン氏がブランドを立ち上げ、IWCの取締役兼製造部門マネージャーだったローター・シュミット氏が引継ぎました。経歴からわかるように専門的な技術に詳しい経営者のため、独自技術の開発などにも積極的です。この記事ではジンの魅力、ジンのプロユースを支える特殊技術の数々、代表シリーズ、ジンの時計を着けている有名人、おすすめモデルについてまとめました。
目次
1.【時計の本質である視認性の追求】ジンの魅力
出典:Sinn
1-1.「使うためだけの時計」をコンセプトとする質実剛健さ
ジンは「使うためだけの時計」というコンセプトを掲げています。装飾品や希少性を楽しむ時計など、国やブランドによって時計の扱い方は様々ですが、ドイツは実用性や機能美を重視する傾向が強く、装飾は少なくシンプルな時計が多いのが特徴です。
中でもジンはパイロットウォッチから始まりダイバーズウォッチなど、機能や用途に合わせて規格やモノづくりを行っており、防水性や耐衝撃などの堅牢性や視認性が高いのはジンの時計の大前提となっています。時計は時刻を見る道具であり、過酷な環境でも安心して機能を果たす質実剛健さがジンの時計の特徴です。
1-2.ドイツの警察特殊部隊やテロ対策部隊に採用されるほどの耐久性と視認性
ジンの時計はドイツの警察の特殊部隊やテロ対策部隊に採用される高い信頼性を獲得しています。ジンがコンセプトとする「使うためだけの時計」を体現する実用性に特化した機能性や堅牢性は、ジン独自の様々な技術に支えられています。
代表的なところはRef.EZM3に搭載されている80,000A/mもの防磁性能、Arドライテクノロジーによる除湿機構、極限の暑さ・寒さの中でも精度に影響しない特殊オイルなどいずれもジンが独自に開発した技術で、時刻を見る道具としての時計を過酷な環境でも問題なく使えるように開発されています。それらの機能に加え後述するパイロットウォッチやダイバーズウォッチの規格に適合することで、ジンの時計でしか得られない高い信頼性と堅牢性が実現します。
1-3.パイロットウォッチ、ダイバーズウォッチの高いレベルの規格に対応
パイロットウォッチ
ジンは世界初のパイロットウォッチの標準規格をつくりだしたブランドです。2008年当時ジンの社長だったローター・シュミット氏はダイバーズウォッチのDINのような標準規格がパイロットウォッチには存在しない問題を解決しようとしていました。アーヘン応用科学大学のフランク・ヤンザー教授と協力してパイロットウォッチ規格「TESTAF」をつくりました。
TESTAFは強度だけではなく、パイロットが実際に時計を使うときを想定して必要となる機能についても謳っています。規格の一部を紹介します。上空でかかるG、手首にかかる圧力を再現するために数千回の圧力テストを行います。防水性は単純な水ではなく、燃料やクリーニング駅、解凍液への耐性もチェックが必要です。パイロットウォッチがもつ磁場が航空電子機器に影響を与えないように磁気帯びへの対策も欠かせません。飛行中に太陽の光を反射してパイロットの目が眩むのが危険なので風防への光反射対策や、耐衝撃・振動も。暗闇でも時刻をスムーズに読み取れることも必要です。
ダイバーズウォッチ
ジンは世界で初めてヨーロッパのダイバー器具規格に準拠したモデルを開発しています。150年以上の歴史を持つ船級・認証機関DNVにより数々のテストが課されています。ジンが準拠しているダイバーズウォッチ規格DIN8306は次のようなテスト項目でチェックされます。
①視認性
②刻時精度
③耐磁性能
④耐衝撃性
⑤ベルト強度
⑥高圧下での気密性
⑦塩水での耐腐食性
⑧回転ベゼルの装備
⑨制御機能の機能的な信頼性
⑩高水圧下でのダイバーズウォッチの機能的な信頼性
⑪温度変化による回復力
⑫リューズ、プッシュボタンなどの完璧な機能性
⑬高水圧下での水密性
DIN8306のみならず欧州潜水器具規格EN250とEN14143にも準拠しており、ジンのダイバーズウォッチが高いレベルの品質管理を徹底していることがわかります。
2.【時計の本質である視認性の追求】ジンのプロユースを支える特殊技術の数々
出典:Sinn
2-1.強烈な温度変化の中でもムーブメントの動作をスムーズにする独自開発のオイル
通常、機械式時計の歯車に使われている潤滑オイルは-25度で粘度が上がり、歯車の駆動に影響を及ぼします。-25度というと、真冬の北海道で-35度を超える地域もあるため、日常使いには影響は少ないと思われますが、シビアな環境で使うプロフェッショナルとしては物足りないと言わざるをえないでしょう。
しかしジンが開発した特殊なオイルは-66度まで粘性が変わらず、-228度まで蒸発もしません。これを使用することで、過酷な環境でも精度を維持できます。オイルだけではなく、各部品の熱膨張・収縮による精度への影響もありますが、ジンは-45度から+80度の温度範囲でドイツ工業規格(DIN)が定めた精度の維持を実現しています。このオイルが使用されているモデルはすべて出荷の際に-45度から+80度での検査も実施されています。
(一部クオーツモデルは-20度から60度)
2-2.Arドライテクノロジーによりケース内の湿気を防ぐ
前述の通り、ムーブメント内の各歯車には動作をスムーズに行うための潤滑オイルが使用されていますが、時計内部の湿気や水蒸気によってオイルの劣化が起こり、一定のトルクで動いていたはずの歯車が動きにくくなることで精度に影響を及ぼします。そこで、時計内部を限りなく湿気ゼロにするための技術がジンが開発したArドライテクノロジーです。
Arドライテクノロジーは3つの技術で成り立ちます。特殊な乾燥剤を封入したドライカプセル、潤滑オイルの劣化によって発生する放電腐食を防ぐプロテクトガス、大気中の水分を極力時計内部へ通さない材質を使用したパッキンの3つです。これらによってジンの時計内部は乾燥状態が保たれ、高い精度を長く維持することができます。
2-3.ケースにシリコンオイルを充填し、5000m防水を実現したハイドロ・システム
深海へ時計を持ち込む際に高い防水性が欠かせないのは言わずもがな。潜水時の時計の外の気圧と内部の気圧の差によってケースが潰れて破壊されてしまいます。それを防ぐため、多くの時計ブランドがケースを分厚くすることで対策をするしかありません。
しかしジンは少し違ったアプローチをします。ケース内部に特殊なオイルを封入することで気圧差をなくす技術です。ハイドロ・システムと名付けられたこの技術はケース内部の収縮率を海水や淡水とほぼ同じにすることで、深海の厳しい外気圧からも同じくらいの内部圧で押し返すパスカルの原理を応用しています。また、ガラスとほぼ同等の屈折率のため光の反射により視認性が落ちる心配もなく、どんな角度からも文字盤がしっかり見えるダイバーズウォッチとしては革新的な技術です。
3.【時計の本質である視認性の追求】ジンの代表シリーズ
出典:Sinn
3-1.インストゥルメントクロノグラフ
ジンの第一号モデルとなる戦闘機のコックピットクロックのデザインをベースにつくられたクロノグラフモデルです。ジンの哲学を体現する代表的なシリーズの一つで、高い視認性とシンプルな機能性を主とした「使うためだけの時計」のコンセプトを感じさせます。
1986年に登場した103はブランドを代表するモデルとしてロングセラーとなっています。ドイツ語でパイロットを意味するフリーガーの名を冠する356はクラシックな世界観をもっており、比較的無骨なデザインの多いジンにおいてデザイン性での人気が高いシリーズです。ブラックポリッシュの文字盤と80,000A/mもの防磁性能をもつ900も機能的で実用的です。
3-2.インストゥルメントウォッチ
ジンの第一号モデルでもある戦闘機のコックピットクロックのデザインを踏襲しているのがインストゥルメントウォッチです。視認性に優れた文字盤とシンプルな機能性が特徴で、コックピットクロックの機能性をそのまま搭載したかのようなモデルです。機能がシンプルなためリーズナブルな価格なのも魅力の一つです。
クラシカルなパイロットウォッチの世界観をもつ104・105やコストパフォーマンスに優れ、コックピットクロックを抜き出してきたかのようなデザインの556、UTC機能付きで特殊結合されたベゼルやテギメント加工により硬度を上げたケース、高い耐磁性などをもつ857などが代表的なモデルです。
3-3.ドライバー/ナビゲーションウォッチ
ジンの創業者ヘルムート・ジンはドイツ空軍のパイロットであり教官でしたが、ラリードライバーでもありました。そうした経歴を活かしたのがドライバー/ナビゲーションウォッチです。高い操作性や視認性の高い計算尺付きのクロノグラフモデルとして903シリーズが代表的ですが、ラリーレース専用に開発された917シリーズはプロフェッショナル向けとして話題になりました。
917の特徴としては、手首に当たらない左リューズ、クロノグラフの計算尺が60からのカウントダウンタイプ、ラリーレースのコースを想起させるサンドベージュ文字盤など、機能・デザイン共にラリーレース用となっています。また、前述のArドライテクノロジーを搭載することで高い精度を長く維持することができます。
3-4.ダイバーズウォッチ
世界で初めてヨーロッパのダイバー器具規格に準拠し、150年以上の歴史を持つ船級・認証機関DNVに認証を受けているジンのダイバーズウォッチ。様々な機能・堅牢性をテストされ通過したモデルだけがジンのダイバーズウォッチとして販売されており高い信頼性を獲得しています。
ジンのダイバーズウォッチは複数のシリーズが展開されています。現行においては206、EZM、Uシリーズに大きく分かれます。206は1995年に初めてArドライテクノロジーを搭載した203の後継モデルで、高い防水性と非ねじ込み式で操作しやすいクロノグラフなど比較的デイリーユース向けのモデルです。EZMはドイツ警察特殊部隊用に開発されたダイバーズウォッチで、ジンがコンセプトとして掲げる「使うためだけの時計」を体現したモデルです。80,000A/mという高い防磁性能、Arドライテクノロジーによる除湿機能、ジン独自で開発した特殊オイルなど、ジンの技術力が発揮されています。
特に注目を集めているのはUシリーズのUX(UZM2)です。ドイツ最新鋭の潜水艦Uボートに採用されているUボート・スチールをケース素材に採用することで、5000mもの防水性能を備えています。これを支えているのが前述のハイドロ・システムで、シリコンオイルを時計に封入することで時計内部と外部の気圧差を同等に保つ技術が搭載されています。
3-5.フランクフルト・ファイナンシャル・ウォッチ
パイロットウォッチやダイバーズウォッチをメインとするジンの中でも違う世界観をもつフランクフルト・ファイナンシャル・ウォッチ。1961年ジン創業以来本拠地としてきたドイツフランクフルトの経済振興協会からの「フランクフルトを代表する時計を」との依頼によって1999年に生まれました。財政や財務など金融に関連する職業に就く人へ向けたモデルとして、ファイナンシャル・ウォッチと名付けられています。
パイロットウォッチのような規格やダイバーズウォッチのような防水性はありませんが、高い視認性とUTC表示機能を備えています。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、機能としてはGMTと同じ第二時間帯表示です。金融の世界では海外の動向を常にチェックしておく必要があるため、UTC機能が標準で装備されています。
3-6.クラシック
クラシックはパイロットウォッチやダイバーズウォッチなど機能に特化したモデルが多い中で、「ジンにおいては異色な」デザインに目を向けたシリーズです。これらは高い防水性や航空規格を通過していませんが、ジンの高い技術力と品質管理において製造されるため、信頼性は高いと言ってよいでしょう。
現行ではダマスカス模様の積層鋼材で文字盤をデザインした1800、ドレスデン時計工房(UWD)、SUG(ザクセン時計技術社グラスヒュッテ)、そしてジンの3社で分業したマイスターブンド、極めてシンプルなデザインで仕上げた1736 / 1739 / 1746の3種に大きく分かれます。「1800.DAMASZENER」シリーズ第三弾として発表された今回の1800はエクセレント・プロダクト・デザイン2023を受賞しており、世界限定100本の希少なモデルで注目を集めています。
4.【時計の本質である視認性の追求】ジンの時計を着けている有名人5選
4-1.芸人 徳井義実 Ref.U1.S.E
芸人 徳井義実さんが着けているのはRef.U1.S.Eです。徳井さんは時計愛好家で知られており、パイロットウォッチやダイバーズウォッチなどを中心に多くの高級時計を所有しています。黒文字盤をメインに、スポーティーで堅牢なモデルを好んでいるようです。
Ref.U1.S.Eはジンのダイバーズウォッチの中でも人気の高いU1モデルにブラック・ハード・コーティングを施し、針やインデックスにはアイボリーカラーを設定したオールブラックのダイバーズウォッチです。ブラックなのはデザインだけではなく、特殊なブラックPVD処理が施してあり、耐傷性に優れています。逆回転防止ベゼルにも同様の処理がしてあり、外れることのないジンの独自技術もあって、より信頼性の高いベゼルへと仕上がりました。
4-2.俳優 大沢たかお アインザッツ・ツァイト・メッサー Ref. EZM3
俳優 大沢たかおさんが着けているのはアインザッツ・ツァイト・メッサー Ref. EZM3です。大沢さんはドイツ時計の要素を持っているモデルが好みのようで、IWCインヂュニアやモンディーンなど機能的でどこか無骨さが残るモデルを着けています。
Ref. EZM3はドイツ警察特殊部隊用に開発されたダイバーズウォッチで、ジンがコンセプトとする「使うためだけの時計」を体現したモデルです。80,000A/mもの防磁性能、Arドライテクノロジーによる除湿機能、ジン独自開発のオイルなど、ジンの高い技術が詰め込まれています。また、左リューズなのも特徴的です。
4-3.俳優 伊藤淳史 アインザッツ・ツァイト・メッサー Ref.EZM3.F
俳優 伊藤淳史さんが着けているのはアインザッツ・ツァイト・メッサー Ref.EZM3.Fです。伊藤さんはドラマ出演時に様々な時計を着けています。ハミルトンシービュークロノ、ジャズマスターやジンなど、クラシックスポーツのモデルを好んでいるようです。
Ref.EZM3.Fはプロユースのパイロットウォッチです。視認性を最重要項目とし、80,000A/mもの防磁性能やArドライテクノロジーや過酷な環境でも精度に影響しない特殊なオイルを使用するなど、ジンが取り組んできた技術の数々が搭載されています。同シリーズには似たデザインでダイバーズウォッチEZM3や日本限定モデルのEZM3.Jも展開されています。
4-4.映画監督 庵野秀明 Ref.103.TI.AR
映画監督 庵野秀明さんが着けているのはRef.103.TI.ARです。庵野さんは東京国際映画祭の記者会見時に着けていたジンの時計しか情報がありませんでした。普段時計を着けない方なのか、ジンのモデルを愛用しているのかは不明です。
Ref.103.TI.ARはジンのアイデンティティでもあるパイロットウォッチの代表作です。縦3つ目のクラシックなデザインのパイロットウォッチですが、軽量かつ傷に強いピュアチタン製のケース、特殊結合され絶対に外れないとされる両方向回転ベゼル、防水性20気圧と時計内部の湿度を安定させるArドライテクノロジーなど、ジンを代表する技術が詰め込まれた逸品です。クラシックであり本領ともいえる、技術的にもジンの代表作といえます。
4-5.俳優 伊藤英明 ダイバーズウォッチ Ref.403 HYDRO EZM-2
俳優 伊藤英明さんが着けているのはダイバーズウォッチ Ref.403 HYDRO EZM-2です。伊藤さんは時計愛好家で知られており、ブレゲマリーンやIWCポルトギーゼなど、クラシックでスポーティーなモデルを多く着けているようです。
Ref.403 HYDRO EZM-2はドイツ国境警備隊ダイバー部隊に正式採用されているモデルです。通常はケースの内外の気圧差により破壊されてしまう程の水圧がかかる深海でも使えるようにケース内部にシリコンオイルを満たしています。太陽の光が届かない深海を想定し、暗闇でも見えるように夜光処理や視認性を高めています。防水性は500気圧(5000m)としています。
5.【時計の本質である視認性の追求】ジンのおすすめモデル5選
5-1.112.EZM12 Ref.112.EZM12
Ref.112.EZM12はドクターヘリの救命医師のために開発されたモデルで、独特な機能が複数搭載されています。救助活動において「プラチナの10分」と「黄金の1時間」を把握することが重要と言われています。最初の10分で重傷患者に応急処置を施し、事故から1時間以内に病院に搬送するため、カウントアップ式のインナーベゼルとカウントダウン式の回転ベゼルが役に立ちます。
秒針はヘリコプターのプロペラのようなデザインになっており、15秒ごとに心拍数を簡単に測ることができます。
5-2.103 ディアパル Ref.103.B.SA.DIAPAL
ジンの伝統を踏襲したクロノグラフにジンが独自で開発したディアパル・システムを搭載したモデルです。ディアパル・システムとは時計の精度を一定に保つ役割を担っているがんぎ車に特殊な加工を施すことで潤滑のオイル無しでも摩耗を発生させない技術で、脱進機、ひいてはムーブメントの耐久性を上げ、次のオーバーホールまでの期間を倍に延長することができます。簡単に言うと、部品類が非常に消耗しにくい独自の機構を搭載しています。
一見、スポーティーな印象のよく見るクロノグラフモデルですが、独自の技術の数々が採用されています。ムーブメントには特殊オイル66-228を採用することで-45℃から+80℃での精度保証がなされています。両方向回転ベゼルは特殊な結合方式をとっており、修理以外では絶対に外れることはありません。ケース内部に放電腐食を防ぐプロテクトガスを充填しつつ内部の余分な湿気を吸収するドライカプセルを備えており、精度の安定性を図っています。
5-3.917.GR Ref.917.GR
ジンの中でも異色なモデルで、クラシックな雰囲気をもつラリー・クロノグラフモデルです。ラリーカーレースでの使用を想定した機能や世界観をもっており、左リューズや機能の独特さはそれらから来ているものです。鋭いひし形の視認性が高いローザンジュ針やラリーカーのグラウンドを想起させるサンドベージュ文字盤など、デザインもこだわっています。
機能面でも独特です。インナーベゼルはカウントダウン方式をとっており、クロノグラフ動作時に60から1までのカウントダウン尺が備わっています。12時位置のインダイヤルには「STUNDEN(ドイツ語で時間)」、6時位置では「MINUTEN(ドイツ語で分」と記載されているのも珍しいです。9時位置にはパワーリザーブ表示を備え、パワーリザーブに余裕があるときは緑、少ないときは赤でゾーニングされているのもワンポイントのカラーを入れる役割もあります。
5-4.356 フリーガーIII Ref.356.SA.Flieger.III
Ref.356.SA.Flieger.IIIは古典的なクロノグラフモデルです。3時位置の曜日・日付表示付きクロノグラフモデルで、縦3目のインダイヤルも昔ながらのデザインの安心感があります。太く、独特なデザインの針によって視認性は高く、放射状に刻まれたギョーシェが視認性の向上とクラシックな雰囲気を見せるのに効果的です。
古典的な世界観に一役買っているのがドーム型の風防です。5種類の異なる曲率半径となるように加工されたサファイアクリスタル風防は特殊な工具で複雑な工程により実現します。デザイン面としてだけではなく、フラットよりも耐久性が高く弾性を生む形状なのも実用性を重視するジンらしさです。
5-5.Ref.T50.GOLDBRONZE(2023年新作)
ジンの得意分野である金属への幅広い知見を活かして開発された新素材「ゴールドブロンズ125」。特許申請中のこのブロンズ合金をケースの素材に採用したモデルで、世界限定300本です。従来のブロンズと銅とスズにゴールドを12.5%配合し添加物を極力排除することで、海水への耐腐食性と肌への適合性を高めました。また、従来のブロンズ合金よりも変色や経年劣化の速度が緩やかです。
また、文字盤のスクラッチ加工は1点1点手作業により施されており、同じものが生まれないユニークピースな仕様となっています。ダイバーズウォッチとしての要件も当然クリアしており50気圧防水で、誤動作防止用に押して回すベゼルの操作や時計内部の湿度や曇り対策として、Arドライテクノロジーが搭載されています。
6.【時計の本質である視認性の追求】ジン
ジンの時計の魅力、ジンのプロユースを支える特殊技術の数々、代表シリーズ、ジンの時計を着けている有名人、おすすめモデルについてまとめました。質実剛健なドイツ時計を代表するブランドの一つで、ラグジュアリーウォッチのような装飾性はないものの警察やテロ対策部隊に採用されるほどの実用性・機能性をもった時計として、高い信頼を得ています。合理性や機能美に惹かれるユーザーはジンの時計に魅力を感じるのではないでしょうか。もし街中でジンの時計を見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。