2024年4月21日
【完全保存版】世界三大複雑機構とは?その魅力と機能を完全解説
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時計
機械式時計の醍醐味である『複雑機構(コンプリケーション)』
時計好きなら一度は聞いたことがある方もいると思います。
中でも、世界三大複雑機構『トゥールビヨン』『ミニッツリピーター』『パーペチュアルカレンダー』は製造難易度はかなり高く、まさに最高峰として知られています。
今回は、世界三大複雑機構や世界7大複雑機構などについて解説させていただきます。
高級時計の複雑機構に興味がある方、憧れの時計を手にしたい方は必見。ぜひ最後まで読んでいただけたら幸いです。
目次
- 1.時計愛好家を魅了する世界三大複雑機構と世界七大複雑機構
- 2.【意外と知らない】世界七大複雑機構以外の複雑機構
- 3.複雑機構を代表する二つのブランド
- 4.おすすめアイテム10選
- 4-1.【パテックフィリップ】セレスティアル6102R-001
- 4-2.【パテックフィリップ】グランド・コンプリケーション5270/1R-001
- 4-3.【パテックフィリップ】ミニッツリピーター5207G-001
- 4-4.【オーデマピゲ】ロイヤル オークオフショア グランド コンプリカシオン26582CE.OO.A002CA.01
- 4-5.【ブレゲ】マリーントゥールビヨン5577PT/Y2/5WV
- 4-6.【ハリーウィンストン】オーシャン・バイレトログラード OCEABI42RR001
- 4-7.【A.ランゲ&ゾーネ】ランゲ1 101.025
- 4-8.【コンスタンチャイキン】ジョーカー
- 4-9.【ロレックス】スカイドゥエラー336934
- 4-10.【ロレックス】コスモグラフ デイトナ126500LNホワイト
- まとめ
1.時計愛好家を魅了する世界三大複雑機構と世界七大複雑機構
機械式時計には、高い技術が詰め込まれた複雑な機構があります。
時計が好きな方なら、『複雑機構(コンプリケーション)』という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
みなさんもご存じだと思いますが、基本的に時計は時刻を知るための機械です。
しかし、長い歴史の中で時計は複雑な機構が誕生し、世界の人々からは時計を「小宇宙」と考えている人もいます。
複雑機構のメカニズムを組み立てられる職人は世界でも非常に少なく、複雑機構を搭載した高級時計はたった1つで家を購入できるほどの資産価値を持つことも珍しくありません。
世間一般的に家を購入するというのは、人生の大きな決断です。それほどの資産価値がある高級時計に驚きを隠せない人もいることでしょう。
・トゥールビヨン
・ミニッツリピータ
・パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)
・スプリットセコンド・クロノグラフ
・パワーリザーブ・インジケーター
・レトログラード
・ムーンフェイズ
この章では上記、世界七大複雑機構について解説させていただきます。その中でも世界三大複雑機構は腕時計にとって世界最高峰です。時計が好きで趣味の一環なのに複雑機構をまだ詳しく知らない方は必見。ぜひ最後までご覧ください。
1-1.【世界三大複雑機構】トゥールビヨン
複雑機構の中でも特に製造が難しいとされる『トゥールビヨン』
トゥールビヨンは、1800年代に時計界の天才『アブラアン・ルイ・ブレゲ氏』によって発明された機構です。
ブレゲ氏とはスイスのニューシャテルで生まれ、高級腕時計ブランド『ブレゲ』の創業者。
彼は「時計界のレオナルドダヴィンチ」とも言われトゥールビヨン、パーペチュアルカレンダーなど様々な画期的な新技術を発明し、時計の歴史を200年早めた天才時計師として名を残しています。
トゥールビヨンは、重力の影響によって生じる時計の誤差を補正し、安定した精度を維持するために作られた機構です。
腕時計の重力による誤差は、腕時計の向きや着用者の姿勢によって歯車、ゼンマイ、テンプなどの機能に負担がかかりやすくなります。これは「姿勢差」と呼ばれており、それによって起きる影響をトゥールビヨンはより少なくすることができます。
仕組みとしては、脱進機(機械式時計の速度を一定に保つための部品)をトゥールビヨンでは、特殊なキャリッジ(かご)に収めることで、絶えず回転し続けさせ重力を平均化しているのです。
この回転を円滑に行い、脱進機の正確な動きを保つ為には部品同士の完璧な重量バランスが必要不可欠。そのため、150を超えるパーツがトゥールビヨンには必要となっているのです。
余談ですが、機械式時計の「カチカチ」と聞こえる音は、脱進機から発せられています。
このトゥールビヨンと呼ばれる機構は、極めて製造難易度が高く1980年代には「世界でも製造できる職人は10人ほど」と言われていました。その為、トゥールビヨンを搭載した時計は高級時計の中でも非常に値段が高い物が多いです。
1-2.【世界三大複雑機構】ミニッツリピーター
世界三大複雑機構の中でも最も歴史が長い『ミニッツリピーター』は、時刻を音で知らせてくれる機構です。
現代の一部の時計の中には、文字盤や画面を点滅させたりすることで時刻を知らせるといった機能があります。例えば、カシオが発売する落としても壊れない時計『G-SHOCK(ジーショック)』のモデルの中には、サイドにあるボタン1回押すだけでライトが点灯し、夜間や暗いトンネルなどでも時刻を知ることが可能です。
しかし、まだ電気やトリチウム(発光塗料)がなかった時代では、このような革新的な技術がなく暗い場所で時間を確認することは困難でした。その問題を解決するための手段として発明されたのがミニッツリピーターという複雑機構なのです。
ミニッツリピーターは、3つの異なる音(2種類の高音と低音)で時刻を知らせてくれます。
低音で1時間単位、高音で15分単位、さらに違う高音で1分単位を知らせてくれるように設定されています。
例えば、1時間単位を知らせる低音が5回鳴れば5時、15分単位を知らせる高音が2回なら30分、1分単位を知らせる高音が10回なら10分、のように時刻を音で知らせてくれるのです
仕組みとしては、様々でケースサイドにあるレバーなどを操作することでミニッツリピーターが駆動し、ケース内部にある大小の2つの鐘(ゴング)とハンマーの組み合わせによって音が奏でられます。
このミニッツリピーターという機構は、100を超えるパーツを搭載しなければならないので優れた技術と長い製造時間が必要です。時計のケースの中は非常に狭くなっているので、2つの鐘とハンマーを搭載するのが極めて困難。そのうえ美しい音色が内部でこもらないようにする設計が必須だからです。
現代では昔にはなかった電気などがありますが、時計職人達が情熱と努力を注いだミニッツリピーターは「複雑な構造」と「美しい音色」が世界中の時計愛好家を魅了しているのです。
1-3.【世界三大複雑機構】パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)
世界三大複雑機構である『パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)』は、その年に合わせたカレンダーを表示してくれます。
現代の時計では特に珍しい機能ではないと思う方もいるかと思いますが、非常に技術の高い複雑な機構が必要です。
パーペチュアルカレンダーのパーペチュアルは「途切れることのない」、カレンダー「日程表」を意味しており、「永久カレンダー」とも呼ばれています。
一般的な腕時計のカレンダー機構では、1ヶ月の日数が31日までない2月、4月、6月、9月、11月の日付やうるう年がある2月に手動で調整する必要がありますが、パーペチュアルカレンダーではそのような操作がありません。
時計内のプログラム(うるう年を一周期とした4年間)で自動調整される仕組みになっているので、ゼンマイが巻きあがってさえいれば日数の調整を半永久的に正確なカレンダー表示を行ってくれます。
パーペチュアルカレンダーを発明したブレゲ氏の技術力もそうですが、4年に一度しか動かない歯車もあることに驚愕ですよね。
1-4.【世界七大複雑機構】スプリットセコンド・クロノグラフ
スプリットセコンド・クロノグラフとは、2本の針で複数の計測を同時に行うことができる特殊なクロノグラフです。(※2-1.クロノグラフについて詳しく解説)
あまり馴染みはないと思いますが、フランス語では「ラトパンテ」と言います。
通常のクロノグラフは1つの計測しかできませんが、スプリットセコンド・クロノグラフでは、メインの計測ボタンとスプリットタイムボタンがあり計測を同時に行うことができます。
スプリットセコンドクロノグラフは複雑なメカニズムが必要となるので、製造できる会社は決して多くありません。針の軸などきちんとした成形を行わないと簡単に止まってしまうなど、高度な技術が求められる機構なのです。
1-5.【世界七大複雑機構】パワーリザーブ・インジケーター
パワーリザーブ・インジゲーターとは時計の残りの動力を確認できる機構です。
通常の機械式時計では残りの駆動時間を把握するのが困難なので、「ふと気がついたら時計が止まってしまっていた」という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
機械式時計は巻きあがったゼンマイの力を原動力としており、放置しているといつかはゼンマイが解けてしまい最終的に時計が止まってしまいます。あとどのくらいの時間で時計が止まってしまうのかを視覚的に知らせてくれるのがパワーリザーブ・インジゲーターの魅力です。
単に残量を表示するだけと思えますが、パワーリザーブ・インジゲーターは非常に複雑な技術が必要となる機構なので、上級腕時計として知られています。
特に経営者の方は大切な会議や接待などが多く、時間を把握できないという事態は絶対に避けたいですよね。
1-6.【世界七大複雑機構】レトログラード
レトログラードとは、通常の針のような「円運動」ではなく、扇状の目盛を「反復運動」する針で時刻やカレンダーを表示する機構です。
一般的に使われている時計の針は右回りで進み、円運動をして始点に戻ります。この右回りを世間では「時計回り」とも言われていますよね。
レトログラードでは扇状の盤面を針が進み、一定の位置まで進むと所定の位置までジャンプして戻り、一般的な時計とは違ったユニークな動きが特徴的。
人生ゲームで例えると、ゴール目前でスタート時点に戻るというマス(地獄マス)に止まってしまい、瞬間移動してスタート時点に戻るような認識です。
しかし、針が終点から始点に戻る際にタイムラグが生じてしまった場合、正確な時刻を表示できなくなってしまいます。そのため、レトログラードは終点に達した時点で一瞬で始点に戻るのです。
この瞬時に始点に戻る現象は「フライバック」と呼ばれており、その躍動感もレトログラードの魅力で時計愛好家達から愛されています。
1-7.【世界七大複雑機構】ムーンフェイズ
ムーンフェイズとは、文字盤上にある満月や星の絵が描かれたディスクの回転によって、正確な「月相」を表示してくれる機構です。
ムーンフェイズという言葉は「月相」を意味しており、普段何気なく眺めている満月や三日月などと呼ばれる月の形は全て月相の種類の一つ。
主な月相は「満月」「新月」「上弦」「下弦」で、小さな月相は「三日月」「十三夜の月」「更待月」「有明月」があります。
月の満ち欠け(新月から次の新月)の周期は平均約29. 5日間です。ムーンフェイズでは月の2週分となる「29.5×2周期=59日間」でディスクを1回転させるため、59個の歯車を使用して1日1歯ずつ動かしている仕組みとなっているのです。
勿論のこと、歯車が増えれば部品の小型化が求められます。その為、月相を表現するムーンフェイズは組み立てに高度な技術が必要となり、世界七大複雑機構の1つとして位置づけられています。
2.【意外と知らない】世界七大複雑機構以外の複雑機構
1章では世界七大複雑機構の種類や機能などを説明させていただきました。
しかし、時計にはまだ有名な複雑機構があります。
・クロノグラフ
・アニュアルカレンダー(年次カレンダー)
・ワールドタイム
・GMT
・デュアルタイム
この章では、上記5つの世界七大複雑機構以外の有名な複雑機構について解説させていただきます。意外と知らない方も多いようですが、ここまで知っていたら時計好きを名乗れるレベル。見逃すことなく、ぜひ最後まで読んでみてください。
2-1.クロノグラフ
クロノグラフとは、簡単にいうと「ストップウォッチ機能が搭載された腕時計」です。
時計界ではかなり有名な機構なので聞いたことがあるのではないでしょうか。
ギリシャ語で時間を意味する「Chronos(クロノス)」と記すを意味する「Graphos(グラフ)」を合わせた言葉です。
クロノグラフは、リューズ(時刻、日付を操作する部品)に加えて、経過時間を表示するための針「積算計」と「スタート・ストップボタン、リセットボタン」がついています。
積算計で経過時間を計れるのが魅力で、クロノグラフを搭載した腕時計は非常に人気が高いです。
2-2.アニュアルカレンダー(年次カレンダー)
アニュアルカレンダー(年次カレンダー)は、その年に合わせたカレンダーを表示してくれる機構です。
「パーペチュアルカレンダーと同じ?」
「何が違う?」
と感じた方もいると思います。
パーペチュアルカレンダーは永久カレンダーとも呼ばれ調整が不要でしたが、アニュアルカレンダーでは年に1度だけ調整が必要になります。月末の30日、31日は自動で識別しますが、それに満たない2月は手動で調整しなければなりません。
アニュアルカレンダーの魅力は、パーペチュアルカレンダーよりもシンプルで操作時の壊れにくさです。一般的なカレンダー機構よりも手間がかからず、パーペチュアルカレンダーよりも複雑な機構ではないので使いやすさを求めた機構と言えます。
2-3.ワールドタイム
複雑機構の定番『ワールドタイム』とは、時差を時計の中で計算し世界中の時刻やカレンダーを表示してくれる機構です。
ワールドタイムという機構は1931年にジュネーブの時計職人『ルイ・コティエ』が開発し、1937年にパテック・フィリップが初めて製品化しました。
世界中のすべての地域は「UTC(協定世界時)」からの時差区分による地域に属しています。この区分された地域のことを「標準時間帯(タイムゾーン)」と言い、ワールドタイムを搭載している時計ではUTCからの時差を設定することで日本国内だけでなく世界中の地域の時刻を把握することが可能となります。
急な海外出張の場合でも、世界中の時刻を確認できるので海外に行く機会が多い方に最適の複雑機構です。
ロンドン(UTC)南東部に位置するグリニッジを基準とした時差区分の一覧はこちらになります。日本と海外はどれほどの時差があるのか気になる方は是非ご覧ください。
UTC (協定世界時) | ||
LON | ロンドン | ±0 |
PAR | パリ | +1 |
ROM | ローマ | +1 |
CAI | カイロ | +2 |
IST | イスタンブール | +2 |
MOW | モスクワ | +3 |
KWI | クウェート | +3 |
DXB | ドバイ | +4 |
KHI | カラチ | +5 |
DEL | デリー | +5.5 |
DAC | ダッカ | +6 |
BKK | バンコク | +7 |
SIN | シンガポール | +8 |
HKG | 香港 | +8 |
PEK | 北京 | +8 |
TYO | 東京 | +9 |
SYD | シドニー | +10 |
NOU | ヌーメア | +11 |
AKL | オークランド | +12 |
HNL | ホノルル | -10 |
ANC | アンカレジ | -9 |
LAX | ロサンゼルス | -8 |
DEN | デンバー | -7 |
CHI | シカゴ | -6 |
MEX | メキシコシティ | -6 |
NYC | ニューヨーク | -5 |
YUL | モントリオール | -5 |
CCS | カラカス | -4 |
RIO | リオデジャネイロ | -3 |
BUE | ブエノスアイレス | -3 |
2-4.GMT / デュアルタイム
GMTとデュアルタイムは、2つの時刻を同時に表示してくれる機構です。
「GMTとデュアルタイムは何が違うの?」
「同じような機能じゃない?」
と感じた方もいるかと思います。
結論から言うとGMTとデュアルタイムは表示方式が違うのです。
・デュアルタイム
文字盤に小さなサブダイヤルと針があり、メインの時刻と同時に機能しています。それぞれが短針(時針)と長針(分針)を備えており、円滑に2か所の時刻を確認することが可能です。
中にはケースの表の裏で表示させている構造もあります。
・GMT
時差のあるもう一つの場所の時間を指す『GMT針』が付いています。時針、分針、秒針でもない見た目が特徴的です。また、同じ文字盤内にあるので、時差の把握がしやすい表示方式になっています。
デュアルタイムとGMTは2か所の時刻を簡単に把握できるため、海外に滞在している方や取引などで海外の時刻を気にしたい方に最適な複雑機構です。
3.複雑機構を代表する二つのブランド
一般的に高級時計と呼ばれる時計には複雑機構が搭載されていることが多いです。
中でも複雑機構を代表するブランドといえば、『パテックフィリップ』と『ブレゲ』でしょう。
どちらも世界的に名を馳せている時計として知られていますよね。
この章では、複雑機構を代表する二つのブランドについて解説していきます。複雑機構に興味や関心がある方は必見。知識は財産なので是非最後まで目を通して頂ければ幸いです。
3-1.パテックフィリップ
世界3大複雑機構の一つであるパーペチュアルカレンダーの先駆者『パテックフィリップ』
パテックフィリップは長い歴史と高度な技術を持つスイスの高級腕時計ブランド。
ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ ピゲと肩を並べる世界三大時計メーカーの一角でノーチラスやセレスティアルなど多くのコレクションを展開しています。
シンプルな機構だけにとどまらずクロノグラフ、パーペチュアルカレンダー、ワールドタイムなどといった複雑機構を自社で製造しており、「最高峰の複雑機構を製造するブランド」としても知られています。
腕時計に初めてパーペチュアルカレンダーを搭載したのがパテックフィリップです。
この技術や知恵をベースとして、パテックフィリップは数々のパーペチュアルカレンダーを搭載した傑作を生み出し、絶大な評価を受けています。
また、パテックフィリップのグランド・コンプリケーションは芸術性と技術性で時計愛好家達を魅了するほどの価値があります。
グランド・コンプリケーションとは様々な複雑機構を盛り込んだ時計のことを指します。
・複雑時計を搭載した時計=コンプリケーション
・2個以上複雑機構を搭載した時計=グランド・コンプリケーション
1989年に発売された「キャリバー89」は、開発までに通算9年の時間を費やし、33種類もの複雑機構を搭載しています。「世界で最も複雑な懐中時計」として認知されているグランド・コンプリケーションです。
パテックフィリップは、まさに複雑機構を代表するブランドでしょう。
個人的な感想ですが、パテックフィリップのミニッツリピーターを搭載した時計の美しい音色は、何度聞いても癖になるような綺麗な音です。筆者は夜寝る前に聞きたいくらい完全に虜になってしまっております。
3-2.ブレゲ
世界五大時計の一つである『ブレゲ』
日本では、ロレックスやオメガなどが根強く愛されていますが、腕時計業界においてブレゲの功績は語らずにはいられません。
ブレゲの創業者である『アブラアン・ルイ・ブレゲ氏』はトゥールビヨン、パーペチュアルカレンダーなど様々な複雑機構を発明し、時計の歴史を200年早めた天才時計師です。
ブレゲは「重力こそがムーブメントの規則性を妨げる最大の敵」だと考えていました。時計は姿勢差によって重力による負担がかかり、中でも懐中時計は長時間縦姿勢になるため重力の影響を大きく受けたのです。
そこで重力の影響をより少なくするために開発されたのが「トゥールビヨン」でした。この重力から受ける影響を最小限にする複雑機構は現在でも偉大な功績として称えられております。
17世紀末に登場した時刻を音で知らせてくれる複雑機構「ミニッツリピーター」を改良したのもブレゲです。以前はハンマーでケースを叩くトック式がリピーター機構の主流でしたが、ブレゲは1783年に板バネの上で音を奏でるゴング式を開発しました。このゴング式は誕生して以来多くの時計職人が採用しています。
また、ブレゲはその年のカレンダーを知ることのできる複雑機構「パーペチュアルカレンダー」も発明しています。月末やうるう年の日程差を手動で調整していた一般的なカレンダー機構の上位互換として、画期的な複雑機構へと変貌を遂げさせたのです。
世界三大複雑機構の発明、改良をしたブレゲは時計業界の歴史に大きな功績を残しており、ブレゲの後継者達は今でも偉大な発明を引き継ぎ続けています。
4.おすすめアイテム10選
複雑機構を搭載した時計は様々なブランドから展開されています。
この章では、中でもおすすめアイテム10選をご紹介。複雑機構を搭載した時計に興味がある方は参考にしてもらえたら幸いです。
4-1.【パテックフィリップ】セレスティアル6102R-001
天空の動きを再現する星座表を搭載した『セレスティアル6102R-001』
いつでもどこでも好きなタイミングで「北半球の星と月の動き」と「月の満ち欠け」を文字盤上で見れるのが特徴的です。
文字盤には、夜空とムーンフェイズを示すブラックの「サファイヤクリスタル・ディスク」と星座と銀河を示す透明「サファイヤクリスタル・ディスク」が採用されており、傷がつきにくく綺麗な夜空や星座を見ることが可能となっています。
サファイヤクリスタル・ガラスの内側に描かれた楕円は、ジュネーブと同一の経度にあるすべての地点で見える天空部分を示すので、夜空や星が好きな方に最適の腕時計です。
出会うことすら難しいとされる希少なグランド・コンプリケーションの腕時計なので、時計が好きな方は是非チェックしてみてください。
4-2.【パテックフィリップ】グランド・コンプリケーション5270/1R-001
パーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズ、クロノグラフなどを搭載したグランド・コンプリケーション『5270/1R-001』
美しいローズゴールドを使用しており、高い視認性を誇るエボニーブラック・ソレイユ文字盤とサンドブラスト仕上げによるクロノグラフ指針が特徴的。基本的なレイアウトはそのままに新たに2つの小窓を追加したことで曜日、月、閏年、昼夜などの把握がしやすくなっています。
裏蓋はシースルーバックになっており、456個のパーツから形成される美しいムーブメントは圧巻な雰囲気を醸し出しています。
ローズゴールド好きにはたまらない絶品な腕時計です。
4-3.【パテックフィリップ】ミニッツリピーター5207G-001
パテックフィリップのグランド・コンプリケーションの一つ『5207G-001』
世界三大機構であるミニッツリピーター、トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダーを搭載した時計です。複雑機構を2個以上搭載しているモデルなので、このアイテムもグランドコンプリケーションです。
手彫金を施したケースとスライドピースに加え、ブルー・ソレイユの文字盤が美しさを際立てているアイテム。557個の部品から構成されている手巻きムーブメントを搭載しており、音響学と精密機械工学の傑作です。
シンプルな見た目なのに高級感を与えており、鮮やかな青色が非常にオシャレさを引き出しています。
今回紹介する時計の中でも個人的に1番身に着けたい時計なので、ぜひ興味がある方は手に入れてほしいアイテムです。
4-4.【オーデマピゲ】ロイヤル オークオフショア グランド コンプリカシオン26582CE.OO.A002CA.01
世界三大時計の一つであるオーデマピゲの『ロイヤル オークオフショア グランド コンプリカシオン 26582CE.OO.A002CA.01』
パテックフィリップではグランドコンプリケーションと呼ばれていますが、オーデマピゲだとグランドコンプリカシオンとなります。
ブラックセラミック製のプッシュボタン、リューズなどを組み合わせた時計の内部に、ミニッツリピーター、スプリットセコンドクロノグラフ、 パーペチュアルカレンダー、スモールセコンド、ムーンフェイズ表示などの世界三大複雑機構が全て搭載されたグランド・コンプリケーションモデルです。
スケルトンのオープンワーク文字盤となっており、時計内部を眺めることができます。また、ブラックセラミック素材によってスタイリッシュなデザインが特徴的です。
ちなみに、ロイヤル オーク オフショアは、1993年ロイヤルオークを上回るビッグサイズな腕時計として誕生し、そのあまりの大きさから「野獣」と呼ばれていました。手首に野獣を飼えるなんて男心をくすぐられますね。
4-5.【ブレゲ】マリーントゥールビヨン5577PT/Y2/5WV
ブレゲを象徴するトゥールビヨンを搭載した『マリーントゥールビヨン5577PT/Y2/5WV』
マリーンコレクションは、ブレゲの伝統的な独特な性質を継承し、現代的な姿を纏っています。 フランス海軍のマリン・クロノメーターの製造者としてブレゲ氏が築きあげた知恵と技術から手がかりを得たマリーンコレクションは、現代人の期待に応える多彩なデザインが施されているのです。
あらゆる最新技術を取り入れ、キャリバーにはチタン製のキャリッジとシリコン製ひげゼンマイを搭載。また、ペリフェラルローター(画期的な回転システム)を使用することで厚さ3 mmの極薄ムーブメントを実現し、振動数は4Hzで驚くべき80時間パワーリザーブを可能にしています。
全体的に深い青色をしたネイビーブルーが海(マリーン)を感じさせており、マリーンコレクション好きの方は確実に手に入れたいアイテムと言えるでしょう。
4-6.【ハリーウィンストン】オーシャン・バイレトログラード OCEABI42RR001
世界5大ジュエラーである『HARRY WINSTON(ハリーウィンストン)』
ハリーウィンストンと聞くと結婚指輪や婚約指輪、特にダイヤモンドを思い浮かべるかと思いますが、芸術的なジュエリーウォッチも生み出しています。ハリーウィンストンの時計は美しさも技術も備えており、他の時計メーカーにも引けを取りません。
『オーシャン・バイレトログラード OCEABI42RR001』では、ハリーウィンストンが得意とする世界七大複雑機構「レトログラード」を搭載しています。
最大の特徴である文字盤のオープンワークには、ハリーウィンストン誕生の地であるアメリカ・ニューヨークのランドマークがさりげなくあしらわれているので、歴史を振り返られるような力を持っています。
ハリーウィンストンが好きな方は、ぜひ購入を検討してみてください。
4-7.【A.ランゲ&ゾーネ】ランゲ1 101.025
A.ランゲ&ゾーネを代表する『ランゲ1』コレクション。
ランゲ1コレクションは、1994年ブランド復興第1弾として発表されたモデルの中で一躍注目を浴びた世界最高峰の腕時計です。
中でも「ランゲ1 101.025」はケース素材にプラチナを使用した高級感溢れる1本。
世界三大複雑機構であるパワーリザーブ・インジケーターを搭載しており、日本ではなかなか見かける機会が少ないアイテムです。
バックケースからランゲ最高峰のムーブメントを眺められることも魅力で、時計好きの方には非常に嬉しい作りになっています。
商談やパーティー、社交場でも自信を持ってお使いいただけるアイテムですので、そういった機会が多い経営者の方はぜひ参考にしてみてください。
4-8.【コンスタンチャイキン】ジョーカー
世界的な独立時計師“コンスタンチン・チャイキン”が手掛けたユニークな時計『JOKER(ジョーカー)』
どんな劣勢な状況でも優勢に覆すことのできる最強のカード『JOKER』からインスパイアを受けた時計です。
文字盤を見るたびに全く異なる繊細な表情が特徴的。時分によって目を表した左右のカウンターは目線を変え、複雑機構であるムーンフェイズの口元は月の位置で表情が変化する仕組みになっています。そのユニークな表情が大ヒットに繋がりました。
この『ジョーカー』は流通量が非常に少なく、手に入れるのは容易ではありません。
ケース、ムーブメント、ベルトまで丹精込めて作られたハンドメイドのアート作品なことから、世界中の時計コレクターから絶大な人気を誇っており、希少価値の高い時計となりました。
革命を起こしたい方は、腕にジョーカーを身に着けてみてはいかがでしょうか。
4-9.【ロレックス】スカイドゥエラー336934
ロレックス渾身の複雑機構モデル『スカイドゥエラー』
このモデルは「世界を旅する旅行者のために」というコンセプトのもと作られたロレックス渾身の複雑機構を搭載した時計です。
2か所の時間帯を確認できる複雑機構「GMT」とその年の日付を把握することのできる「アニュアルカレンダー」を搭載しています。
ロレックスはアニュアルカレンダーを「実用に近づけた」ことで高い評価を得ました。
複雑機構は繊細な技術から製造されているので、どうしても「操作性が悪い」、「衝撃に弱い」などがありますが、ロレックスは日常で使うことを前提とした複雑機構の開発に尽力し、『スカイドゥエラー』という時計を誕生させたのです。
高い耐久性と堅牢性を誇る複雑機構を使用したい方は、ロレックスの『スカイドゥエラー』をおすすめします。
4-10.【ロレックス】コスモグラフ デイトナ126500LNホワイト
ロレックススポーツモデルの最高傑作『コスモグラフ デイトナ』
コスモグラフ デイトナは、1961年にリリースしたクロノグラフモデル『コスモグラフ』がルーツです。
「126500LN」は、デイトナ誕生から60周年である2023年に発売されました。
前作の「116500LN」をアップデートしたモデルで第7世代のデイトナとなります。
文字盤のカラーはホワイトとブラックの2色展開しており、個人的にはホワイトがおすすめ。高度な技術と洗練された美しさを持ったブラックベゼルとホワイト文字盤の相性が抜群で心に刺さりました。
現在コスモグラフ デイトナのモデルは30種類以上リリースされており、ロレックスのアイテムの中でもかなりの人気を誇っています。ロレックスの腕時計をコレクションにしている方、初めてのロレックスを検討している方は是非チェックしてみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
複雑機構とは機械式時計に様々な無数の部品、高度な技術が詰め込まれた機構です。
中でも世界三大複雑機構である『トゥールビヨン』『ミニッツリピーター』『パーペチュアルカレンダー』は最高峰として時計愛好家達から根強く愛され続けています。
複雑機構を搭載した腕時計は高度な技術が必要となり、たった一つで家を購入できるほどの資産価値を持つことも珍しくありません。
時計好きの方なら人生で一度は身に着けたい時計ですよね。すでに複雑機構を搭載した時計をお持ちの方は、ぜひ複雑機構の素晴らしさを堪能してください。
この記事がみなさんにとって、参考になっていたら幸いです。