2024年2月09日
エメラルドとはどんな宝石?特徴から注意点まで全部解説!
ジュエリー
今までの人生で、一度もエメラルドを聞いたことも見たこともないという人はほとんどいないのではないでしょうか。エメラルドはテレビや雑誌で見たり、あるいは実物を目にする機会も多い宝石の一つだと思います。
鮮やかな深い緑色で、ほかの宝石にはない魅力があるエメラルド。エメラルドは人気が高く、親から子へと受け継がれることも多い宝石です。あまりにも有名な宝石ですが、実際エメラルドはどんな宝石なのか、その歴史や価値などについては詳しくはないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回はエメラルドとはいったいどんな宝石なのか、詳しく解説していきたいと思います。エメラルドの様々な魅力や特徴を知って、エメラルドに対する理解を深めましょう!これからはもっと楽しく、ワクワクした気持ちでエメラルドを見ることができるようになるかもしれません。
目次
1.エメラルドの基本情報
ジュエリーショップやストーンショップなどで、エメラルドを目にする機会は少なくないと思います。とてもきれいな緑色で、大きさや価格も様々なエメラルドは、自分用に購入したりプレゼントされたという経験がある人も多いのではないでしょうか。宝石という特別なものでありながら、そのように身近な存在でもあるのがエメラルドです。
まずはエメラルドとはどんな宝石なのか。
基本的な情報をじっくり見ていきたいと思います。
1-1.エメラルドはベリルという鉱物の一種
エメラルドはベリルという鉱物の一種です。ベリルは別名で緑柱石(りょくちゅうせき)と言います。このベリルの中でも緑色のものをエメラルドと呼ぶのです。
緑柱石という別名が付いているベリルですが、緑以外の色を発色することもあります。それは主に8色です。
緑:エメラルド
青:アクアマリン
赤:レッドベリル
黄色:イエローベリル
黄緑:ヘリオドール
ゴールド:ゴールデンベリル
ピンク:モルガナイト
透明:ゴーシェナイト
アクアマリンやモルガナイトは、エメラルドと同じ鉱物で、色違いの石というわけです。
これは驚きですよね。
1-2.エメラルドの名前はサンスクリット語から来ている。
エメラルドの語源は、サンスクリット語で「緑色の石」を意味する「smaragdos(スマラカタ)」と言われています。
「スマラカタ」はギリシャ語の「スマクラグドス」、ラテン語の「スマラグダス」に変化しました。「スマラグダス」がいつしか「スマラルダス」になり、古代フランス語圏で「エスメラルド」に変化したあと、最終的に「エメラルド」という名前になったと言われています。
最初の「スマラカタ」の原型はほぼ残っていませんが、言葉がどんどん変化していって現在の名前になるのは不思議で興味深いですね。
1-3.エメラルドは4000年の歴史を持つ。
エメラルドの歴史は古く、4000年前にはバビロニアの人々がエメラルドを売買していたことが、遺跡から発見されたパピルスに記録されています。古代ローマ人はエメラルドを再生と豊穣の石と考えており、愛と美の女神ヴィーナスへの捧げものとしていました。
その他にも、エメラルドは世界中の多くの場所で「知恵」や「成長」、「浄化」などのお守りと考えられていて、身に付けると良いことがあると言われています。古代インドではエメラルドが解毒や胃腸の働きを整える効果があるとされ、医療行為に用いられていた過去もあります。
エメラルドは、裏切り行為に反応して色を変えると言われていたこともあります。実際にエメラルドがはっきり色を変えることはありませんが、それほど特別なものと思われていたということですよね。アレキサンダー大王がエジプト遠征を行った際には、エジプトでエメラルドの採掘を命じたそうです。
また、プトレマイオス朝には世界三大美人として有名なクレオパトラはエメラルドを殊の外愛し、収集したことで知られています。エジプトを訪れた他国の要人に自分の顔を彫刻したエメラルドを贈ったこともあったそうです。エジプトのエメラルドの鉱床は、その後1800年代に再発見されました。エジプトでは長きにわたって、エメラルドが採掘されてきたと言われています。
一方、エメラルドがヨーロッパやアジアに広がったのはぐっと最近のことです。1500年代にコロンビアに到達したスペイン人が、現地の人が使用していたエメラルドを母国に持ち帰ってから、ようやくその存在が知られ、人気になりました。
2.エメラルドの産地
エメラルドは世界中の様々な場所で採掘されますが、産地によって色みや品質、価格も変わってきます。宝石のプロは石ごとの特徴を見れば、どの産地のものかわかると言われるほどです。
では石のどのような部分を見て、プロはエメラルドの産地を判断しているのでしょうか。それぞれのエメラルドにはどんな特徴があるのかを産地ごとに詳しく紹介していきたいと思います。
2-1.コロンビア産
スペイン人がこの地を訪れるより、遥かに以前からエメラルドが採掘されていたと言われているコロンビアは、エメラルドの世界シェアの60%以上を占めると言われており、エメラルドの産地として最も有名です。コロンビア産のエメラルドは、特に深い緑色で人気です。コロンビアには300を越える鉱山があり、鉱山ごとにエメラルドの品質も違います。
その中でも最も有名なのはムゾー鉱山です。ムゾー鉱山は美しく深い緑のエメラルドが産出される鉱山として有名で、「ムゾー産のエメラルド」というとそれだけで価値があります。
コロンビア産のエメラルドは他にも、インクルージョン(内包物)が少なく透明度が高い、少し青みがかった緑色が特徴のチボール鉱山や、淡い緑色のものが多いコスケス鉱山などが有名です。
コロンビアでは1960年代と1970年代に、内部に茶色の3本の線が交差したように見えるエメラルドが発見されました。インクルージョンによるスター効果にも似ているように見えるこの石は「トラピッチェエメラルド」と呼ばれています。トラピッチェエメラルドは3本の線が交差しているように見える物や、内部が6つに別れているように見える物などがあります。
この線はエメラルド内部の黒い炭素質のインクルージョンにより出現したものです。トラピッチェとはスペイン語でサトウキビなどを絞る農機具のことで、その歯車に似ていることからこの名前が付けられました。トラピッチェエメラルドはそのほとんどがコロンビアで産出されます。人工的に作られたわけではない、美しくて不思議な模様のトラピッチェエメラルドは世界中で話題になりました。
またコロンビア産のエメラルドの一部には、宝石内部にオイルが垂れて流れたような跡が見えることがあり、「ゴタ・デ・アセイデ」と呼ばれます。エメラルドが成長する過程で出来た跡で、まるで波のような美しさが特徴的です。このゴダ・デ・アセイデを見る事ができるエメラルドは、コロンビア産のエメラルドの中でも最高品質のものとされて非常に価値が高いです。
2-2.ザンビア産
ザンビアでエメラルドが発見されたのは1930年前後で、現在ではコロンビアに次ぐ有名なエメラルドの産出国です。そうはいっても実際に商業用に熱心な採掘がはじまったのは1970年頃と言われています。
深い緑が特徴とされるコロンビア産エメラルドに対し、ザンビアのエメラルドは青みがかった緑色をしています。これは宝石に含まれる元素の違いによるものです。また宝石内部のインクルージョンが少なく、透明度が高い石が多いのもザンビア産エメラルドの特徴です。色味が均一なものが多いともいわれます。
ザンビア産エメラルドはエメラルドによく見られる柱型ではなく、丸みを帯びた原石が多いです。原石の形はジュエリーに加工されるときに大きく影響します。ザンビアでエメラルドの産地として有名なのが、カフブ地区です。カフブ地区には大小様々な鉱山がありますが、その中でも有名なのがカゲム鉱山です。
カゲム鉱山はイギリスの宝石採鉱会社ジェムフィールズが所有する鉱山で、良質で大きなエメラルドが採掘されます。2018年にはカゲム鉱山で5655カラット、重さにしてなんと1.1キロにもなるエメラルドが発見され、大きなニュースになりました。
2-3.ブラジル産
1960年代にブラジルでは多くのエメラルド鉱床が発見され、エメラルドラッシュと呼ばれました。それ以降ブラジルはエメラルドの産地として、安定した供給を続けています。ブラジル産エメラルドには、深い緑から青みがかった緑まで、様々な色があります。
ブラジルを代表するエメラルド鉱山はいくつかあります。
バイーア州のカルナイーバ鉱山は、エメラルドラッシュの発端となった鉱山で、透明度が比較的低く、青みがかった緑色のエメラルドが大量に発見されました。現在では採掘量は減っています。
ゴイアス州にあるサンタ・テレジーニャ・デ・ゴイアス鉱山からは、小粒ではありますが透明度の高いエメラルドが採掘されることで有名な鉱山です。またこの鉱山では、珍しいエメラルド・キャッツアイやスターエメラルドがよく採掘されることでも知られています。特にスターエメラルドは地域の特産ともいえるほどで、とても貴重なものです。
1990年代に、ゴイアス州で前述のトラピッチェエメラルドが発見されました。それまでトラピッチェエメラルドといえばコロンビアのムゾー地区から産出されるものがほとんどと思われていましたので、これにはとても驚かされました。
ブラジルで最も高品質なエメラルドが採掘されるのが、ミナス・ジェイラス州のイタビラ地区とノバエラ地区です。どちらも安定した採掘量を誇る産地ですが、特にノバエラ地区のモンテベルロ鉱山とベルモント鉱山は高品質で大粒のエメラルドが採掘されます。
2-4.ロシア産
ロシア産のエメラルドは透明度が非常に高く、とても輝きが強いことで人気です。色合いは深い緑色であることが多いそうです。
ロシアでエメラルドが発見されたのは1830年。地元の農夫がロシアのウラル山脈、トコバヤ川のほとりで発見したと言われています。それよりもだいぶ前からロシアではエメラルドを産出していたという話もあるのですが、はっきりしたことは分かっていません。
ロシア最大のエメラルド鉱山はマリンスキー鉱山です。第一次世界大戦の影響で一時は採掘が中止されていましたが、現在は国有の鉱山となって採掘が行われています。
3.エメラルドの価値について
エメラルドは誰が見ても美しく、古来から価値のあるものとして取引されてきました。
エメラルドの価値はある程度共通のものとして、世界中で扱われています。そんなエメラルドの価値について詳しく見ていきたいと思います。
3-1.エメラルドは四大宝石のひとつ
数ある宝石の中でも、特に有名で人気のある4種類の宝石が、最も価値のある宝石として取り扱われています。おなじみのダイヤモンド、ルビー、サファイア、そしてエメラルドです。私たちにも馴染みのある宝石ばかりです。
この4種類の宝石はそれぞれ知らない人がいないほど有名な宝石です。エメラルドは世界四大宝石として、他の宝石とは一ランク上の宝石と位置づけられています。
3-2.エメラルドの人気
エメラルドが人気のある宝石だということは、誰に聞いても間違いのない事実です。ではなぜ、エメラルドはそんなに人気なのでしょうか?もちろん、その美しさはその人気の理由の一つでしょう。エメラルドを見て 美しくない という人はそう多くはないと思います。
またエメラルドは、とても有名な宝石です。有名で、誰もが知っているということは人気の理由の一つだと言えます。エメラルドは人類の歴史の中でかなり長い間愛用されてきましたし、世界四大宝石としても知られています。
エメラルドは、5月の誕生石としても知られています。誕生石は、その月に生まれた人が身に付けると幸運のお守りになると言われています。「5月の誕生石はエメラルド!」とショップなどでフェアが開催されたりすることもよくありますよね。誕生石として広く知られていて、ショップでも見る機会が多いでしょう。
それほど有名であることは、間違いなくエメラルドが人気の理由のひとつと言えるでしょう。
3-3.エメラルドの資産価値
一般的に、宝石にはあまり資産価値がないと言われています。
たとえば金やプラチナは価格の上下はありますが、グラム単位で数千円〜数万円の価値が付きます。買取店や質屋に持ち込めば業者によって買取金額は若干変わりますが、その時の相場で買い取ってもらうことができるので、将来の事を考えて18金のネックレスを買うという人もいるくらいです。
ロレックスやパテックフィリップなどの有名な高級時計なども使用や付属品の状況にもよりますが、プレミアがついて買った時よりも高価で売れたという話も珍しくはありません。
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その点宝石には、高級時計のような爆発的な資産価値はありません。ですが、エメラルドをはじめとする四大宝石であれば話は別です。ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドほどの有名で人気な宝石であれば、1カラットでも高い値段で買い取ることもあります。
ジュエリーであれば、メインとなる石以外にも小さなダイヤモンドが添えられたデザインなどもよくありますし、地金が18金やプラチナであればその価値も上乗せになる可能性もあります。ジュエリーは何世代にもわたっての使用にも耐えるアイテムですので、親から子へと受け継がれることも珍しくありません。
そういった意味で、エメラルドにはある程度の資産価値があると言えます。ジュエリーショップでジュエリーを買う時、鑑定書や鑑別書を渡されることがあります。買取店に出すときはそれが間違いなくエメラルドであるという証明になりますので、もし鑑定書や鑑別書を渡されたら必ず保管しておきましょう。ショップによってはついていなかったり、別料金がかかったりするものもありますので、気になるようでしたら購入前に確認するのをおすすめします。
ただし、エメラルドの価格は相場や使用状況などにも大きく左右されます。高く売れるかもと期待しているとがっかりしてしまうかもしれませんので、それだけは心得ていたほうがいいでしょう。
4.エメラルドがジュエリーになるまで
エメラルドは原石からジュエリーになるまで、さまざまな人の手を経ています。
美しいジュエリーの形になって私たちの目の前に並べられるまでにどんな過程を辿るのか見ていきます。
4-1.エメラルドのインクルージョン
宝石は成長しある程度の大きさになるまでの間に、内部に様々な不純物やキズが入ることがあります。そのような内包物のことをインクルージョンと呼びます。エメラルドは、このインクルージョンが多い宝石と言われています。インクルージョンがあると、宝石にはいくつかの点で影響があります。
まずは美しさです。スターエメラルドや、トラピッチェエメラルドなど、インクルージョンがプラスに働く場合もありますが、そのようなことはごくまれです。大抵のインクルージョンは不純物として、宝石の評価にはマイナスになります。目に見えないほどのわずかなインクルージョンもありますが、大きなインクルージョンになると、肉眼ではっきり見える場合もあり、ジュエリーに加工するときに邪魔になります。
インクルージョンごとカットしてしまえば宝石の大きさが小さくなってしまいますが、できるだけ大きな宝石として加工できたほうがもちろん価値が高いので、ジュエリーにするときにはインクルージョンが土台に隠れて見えないように工夫したりもします。
また、インクルージョンが入っていると、そこから石が割れてしまう可能性が高くなります。エメラルドは比較的丈夫な宝石ではありますが、絶対に傷つかないわけではありません。インクルージョンが入っているとなおさらその危険性が高まってしまいます。
4-2.エメラルドの加工
宝石はジュエリーになる前に、様々な理由から加工されることがあります。エメラルドももちろん例外ではありません。エメラルドに施される加工としてよくあるのが、含浸処理です。
先ほども触れたように、エメラルドはインクルージョンを含んでいることが多い宝石です。そのインクルージョンを隠すために無色のオイルや樹脂を染み込ませるのが、含浸処理です。含浸処理はルビーなど、他の宝石でも良く行われる処理方法です。含浸処理を行うと見た目は美しくなり、耐久性も上がります。
含浸処理をしたエメラルドはプロが見ればすぐにわかるそうですが、処理をしていないエメラルドはほとんどないと言われています。
4-3.エメラルドのカット
宝石は、その石を最も美しく見せるために様々な形にカットされます。宝石の種類ごと、またはその石ごとに違う性質があり、その性質に合わせてカットの方法は変わります。
エメラルドに最も多く施されるカット方法として有名なのが「エメラルドカット」です。エメラルドが最も美しく見えると言われているエメラルドカットは、真上からだと長方形の形の四隅をさらに切り落とした八角形に見えます。
エメラルドカットは、コロンビア産のエメラルドを最も美しく見せるために生まれたカット方法と言われています。コロンビア産のエメラルドは、その緑色が石の表面に溜まっており、内部にはあまり色がありません。そんなエメラルドを美しく見せようと思うと、とにかく表面が大きく見えるようにカットする必要がありました。そこで生まれたのが、このエメラルドカットというわけです。
四隅をカットしない、単純な長方形のカットであるスクエアカットという方法もあるのですが、インクルージョンを多く含み割れる可能性が高いエメラルドは、四隅をカットすることによりその耐久性が上がるエメラルドカットの方が適していると言われています。スクエアカットのエメラルドは、アンティークジュエリーなどに多いです。
現在ではダイヤモンドなど、エメラルド以外にこのカット方法を施すこともあります。どの宝石をカットするときも、このカット方法はエメラルドカットと呼ばれます。
一部のエメラルドに良く施されるのが、カボションカットです。底を平らにし、上部を丸くドーム型にカットする方法で、スターエメラルドやトラピッチェエメラルドをより美しく見せることができます。また透明度の低いエメラルドも、カボションカットを施されることが多いです。
5.有名なエメラルド
人気も高く歴史も古いエメラルドは、世界中に知られている有名なエピソードを持つ物が¥も多くあります。ここではその中でもよく知られていて、興味深いエピソードを持つエメラルドをいくつかご紹介していきます。
5-1.モーグルムガールエメラルド
モーグルムガールエメラルドは、217.8カラットもの大きさの、長方形の板の形をしたエメラルドです。この大きく美しいエメラルドの両面には非常に細かく繊細な彫刻が施されています。片面にはアラビア文字のナスフ体で、イスラム教シーア派の祈りの文章が刻まれていて、もう片面には植物の葉の細かな模様が刻まれています。
このエメラルドはコロンビアで採掘されたあと、インドに渡ったと言われています。美しい模様が刻まれたのは17世紀、北インド、ムガール帝国のアウラングゼーブ皇帝の時代と言われています。ですが皇帝はイスラム教スンニ派なので、この彫刻は皇帝が命じたものではないようです。側近か他の宮中の誰かによるものではないかとされていますが、詳細ははっきりしていません。
2001年にモーグルムガールエメラルドはオークションにかけられ、228万ドルで落札されました。現在はカタールのドーハにあるイスラム美術館に展示されています。
5-2.バイアエメラルド
バイアエメラルドは、世界で一番大きなエメラルドの原石で、その大きさはなんと19万カラットもあります。バイアエメラルドは2011年にブラジル、バイア州にあるカーナイバ鉱山で発見されました。価格は当時4億ドルされましたが、現在ではそれ以上の価値があると言われています。
バイアエメラルドは採掘された後、様々な事件に遭遇します。その数奇な運命から、バイアエメラルドは呪われたエメラルドと呼ばれています。バイアエメラルドがカーナイバ鉱山で採掘された後、採掘者たちはその大きなエメラルドをロバに運ばせていました。ところがその途中で、不運にも一行はパンサーに襲われてしまい、不運にもロバを失ってしまいました。採掘者たちは、その重い原石を協力して自ら運び出すことになりました。
採掘者たちの大きな苦労により、鉱山の倉庫までようやく運ばれた巨大なエメラルドでしたが、その後採掘者のひとりがエメラルドの情報を漏らしてしまい、アメリカに密輸されてしまうのです。
密輸され裏ルートで取引されることになったエメラルドは、様々な人の手に渡ったようです。ですがある日、ロサンゼルスで保管していたエメラルドが盗難にあったと警察に通報がありました。幸いにも警察の捜査でエメラルドは発見されましたが、その後所有権をめぐる裁判が始まり、裁判費用で破産する人や、放火・誘拐事件が起きたり、ハリケーンの被害に遭ったりとこのエメラルドの周囲で多くの事件や事故が起きてしまいます。
最終的には2015年の裁判で、所有者はFMホールディングスに決まり、現在はアメリカ政府が保管しているということです。
5-3.チョークエメラルド
チョークエメラルドは、コロンビア産で、元は38.4カラットのエメラルドでした。チョークエメラルドはその美しさで有名で、深く重厚な緑で美しいとされるコロンビア産エメラルドの中でもトップクラスの美しさと言われています。この美しいエメラルドは長い間インドの王室で愛用されていました。
20世紀になるとエメラルドはハリー・ウィンストン社の手に渡ります。エメラルドはリカットを施され、60個、合計15カラットのダイヤモンドとともにプラチナとゴールドの台座のリングに加工されました。エメラルドの最後の所有者であるチョーク夫妻によって、このエメラルドはチョークエメラルドと呼ばれるようになりました。
1972年に、チョークエメラルドはアメリカのスミソニアン博物館に寄贈され、現在も展示されています。
6.パワーストーンとしてのエメラルド
エメラルドはジュエリーとしても人気ですが、パワーストーンとしても人気が高い石です。幸福をもたらす石として人気のエメラルドについて、詳しく見ていきます。
6-1.エメラルドの持つ意味
エメラルドは結婚や家庭円満をもたらす幸運の石とされています。石言葉は「幸福」「愛」「献身」などです。愛と美の象徴であるヴィーナスに捧げられた石であることから、愛の象徴の石とされます。また古来からエメラルドは体調をよくするために治療に用いられていたこともあり、心を落ち着かせ、物事を成功させる力もあると言われています。
6-2.エメラルドと相性の良い石
パワーストーンはそれぞれ石ごとに持っているパワーが違うので、組み合わせることによってさらにそのパワーを強くしたり、補い合ったりして使用します。エメラルドと組み合わせると相性の良い石にはどんなものがあるのか見ていきますので、参考にしてください。
6-2-1.エメラルドとルビー
有名な石同士で人気の組み合わせのエメラルドとルビー。エメラルドもルビーも「愛」のパワーを持つ石なので、恋愛、友愛、家族愛など、愛のパワーを授けてくれる組み合わせです。ただしエメラルドもルビーも金運や、総合的なお守りになるパワーを持っていないので、もし金運や厄除けのパワーも欲しい時には、他の石を組み合わせて補いましょう。
6-2-2.エメラルドとサファイア
サファイアも、エメラルドと組み合わせるのに人気のパワーストーンです。サファイアは仕事運の強いパワーを持っている石なので、恋愛と仕事の両方のお守りが欲しい人にエメラルドとサファイアはおすすめの組み合わせです。どちらかというとサファイアの強い力に引きずられがちになる組み合わせなので、ルビーを足すとバランスがよくなります。
6-2-3.エメラルドとアメジスト
エメラルドとアメジストを組み合わせると、恋愛のパワーがとても強くなります。エメラルドとアメジストはパワーストーンとしての効能は似ていて、どちらも恋愛、仕事、癒しのパワーを持っています。お互いに持っているパワーが上乗せされて、強く持ち主を助けてくれるでしょう。その反面金運や厄除けとしてのパワーが極端に少ない組み合わせなので、金運のシトリン、厄除けのターコイズなどと組み合わせると良いでしょう。
7.エメラルドの使用時・保管時の注意点
せっかく美しいエメラルドを持っているのに、汚してしまったり壊してしまったら台無しです。宝石は丈夫なイメージがあるかもしれませんが、何をしても壊れないわけではありませんので、身に付ける時にも家で保管する時にも注意が必要です。エメラルドのジュエリーを扱う上で気を付けたほうが良いことをまとめますので、参考にしてください。
7-1.エメラルドに衝撃を与えない
エメラルドのお手入れをするときには、いくつか気を付けたほうがいいポイントがあります。エメラルドのお手入れ時に最も注意してほしいのは 衝撃を与えない ということです。
エメラルドは、宝石の硬さを表すモース硬度では7.5〜8程度です。最も硬いとされるダイヤモンドがモース硬度10なので、石自体の硬さでいえば硬いほうです。ですがエメラルドにはインクルージョンが含まれているのが多いことから、そこからヒビが入ったり最悪の場合割れてしまったりすることもあります。
使用時には何かにぶつけたりすることがないように気を付けましょう。特にスポーツをするときなどは身に付けず、外しておいた方が無難です。また使用後のお手入れをする時に気を付けたいのが超音波洗浄機です。貴金属のお手入れに超音波洗浄機を使うことはよくありますが、エメラルドは超音波の振動で割れてしまうことが珍しくありません。土台部分の汚れが気になる時は石を付けないように気を付けながら、慎重に行うようにしてください。
7-2.エメラルドに熱を加えない
エメラルドは熱にも弱い石です。市場に流通しているエメラルドのほとんどが含浸処理されていますが、その時に用いられたオイルが熱に弱いのです。汚れを取ろうとして高温のスチームを当ててしまうと、オイルが溶けだしてしまうことがあります。
エメラルド表面の皮脂汚れなどが気になる時は、中性洗剤を溶かした水かぬるま湯などで優しく撫でるように洗うのが良いでしょう。最後は水道水でしっかりと洗剤を洗い流してから乾かしてください。乾かす際もドライヤーなどで熱風を当てることは避けたほうが無難です。柔らかい布で水分を拭き取った後は、風通しの良い直射日光の当たらない場所で自然乾燥させてください。
7-3.エメラルドを紫外線に当てない
エメラルドに紫外線を当てるのは好ましくありません。これもエメラルドに施された含浸処理が関係しているのですが、含浸処理のオイルは紫外線で変色や退色をすることがあります。
身に付けていて紫外線を浴びる程度であれば心配する必要はありませんが、紫外線を浴びる窓際に長時間置いておくようなことは避けたほうが良いでしょう。
まとめ:エメラルドはあなたの宝物になる石
いかがだったでしょうか?
今回は、エメラルドとはどんな石なのか。特徴から使用時・保管時の注意点まで見ていきました。
エメラルドはただ単に美しい石としてだけではなく、医学的に使用されたり、神様へ捧げられたりと、様々な場面で利用されてきました。現代では医学的に用いられることはありませんが、スピリチュアルな効果を期待して身に付けるひとがいたり、生活の多様なシチュエーションで使用されます。大事な人のお守りになるようにプレゼントしたり、将来困ったときに役立つようにと子や孫に受け継がれたり、そこに込められた思いは人それぞれです。
エメラルドとはとても美しく、特別な宝石です。エメラルドを大事に使用すれば、あなたの生活に彩りを与えるすばらしい宝物になります。少し注意は必要ですが、とても素敵な宝石なので「壊してしまうかも…」「もったいない…」と思わずにぜひ日頃から身に付けてください。エメラルドは、あなたに晴れやかな気持ちをもたらしてくれるでしょう。