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2023年7月07日

【現代のアルチザン】エルメスとは?一族の歴史や魅力を徹底解説

ブランド

現代のアルチザンと言われるエルメス(HERMES)は、創業180年を超える伝統ある革製品のブランドです。

馬具から始まったエルメスのブランドポリシーや職人技は、時代の変化に合わせて鞄やスカーフへ受け継がれ、現在では世界を代表する高級革製品のブランドとなり、多くの人に愛されています。

また、近年ではapple watchとのコラボも実現ししていることから、エルメスフリークや幅広い年齢層の人々から絶大な支持を受けています。

さて、この記事では現代のアルチザンと称されるほどのブランド力を持つエルメスとは、どんな歴史や魅力があるのか。代表的なシリーズ、エルメスの人気のカラーや刻印について解説をしていきたいと思います。

1.一族経営でここまでの人気を博したエルメスの歴史


出典:HERMES

馬具工房から始まった『HERMES/エルメス』。時代に合わせて財布やバッグなどの革製品や、マフラーや服、リュックなどのファッションアイテムへシフトしたことで成功を納めましたが、一族経営のブランドでここまで成功した例は決して多くありません。

規模の拡大に苦心したり買収されてアイデンティティを失うなど、ポリシーを見失わずに継続することは難しく、エルメスの魅力はこうした足跡によるものといえます。

ここからは、エルメスの歴史についてまとめていきたいと思います。

1-1.創業者『ティエリ・エルメス』がアトリエをオープン。

エルメスの歴史は1837年にパリのマドレーヌ地区で初代ティエリ・エルメスが高級馬具のアトリエをオープンしたことに始まります。

1867年、パリで開催された第二回万国博覧会でエルメスの技術は高く評価され銀賞を獲得。11年後には金賞を受賞しています。初期の顧客ではナポレオン3世やロシアの皇帝がいたとされていて、エルメスの高い技術が評価されていたことがわかります。

1880年には2代目のシャルル・エミール・エルメスが現在の本店があるエリゼ地区のフォーブル・サントノーレ24番地に店舗を移転。同時期、顧客への直接販売を開始し厳しい審美眼をもつパリ市民にも認められていくようになりました。

1892年にはサドルバッグ(馬の鞍を収めるバッグ)の技術を応用したオータクロアを発表。あくまで馬の鞍を収める鞄としての発表でしたがエルメス初のバッグで、後のバーキンの原型になったといわれています。

1-2.馬具から皮革製品への方向転換

3代目のエミール・モーリス・エルメスが経営に関わり始めた頃、20世紀に入り交通手段は馬車から自動車へ変わり始めました。

アメリカの自動車ブランド「フォード」が頭角を現していたこともあり、馬具の需要が縮小していくことを見越した彼は馬具以外の品物の製造と販売に注力し、事業の多角化に本格的に乗り出しました。上質な革を手に入れるルート、高度な技術を発揮する職人、エルメスを評価し購入してくれていた顧客といった条件を駆使し女性用のバッグや財布を開発。1920年にはハンドバッグ部門を新設しています。

1922年にはアメリカで発明されたファスナーのパテントを購入しブガッディ(現在のボリード)を開発。世界で初めてファスナーを採用した鞄となりました。当時の道路は今のように舗装されておらず凸凹した路面ではバッグの中身が飛び出してしまうことも少なくなかったと言われており、ファスナー付きのバッグは斬新かつ非常に実用的で人気となりました。かの有名なシャネルもエルメスに影響を受けてスカートにファスナーを取り入れたと言われるほどの強い影響力でした。

1926年頃にはもう一つのイノベーションが。手袋の販売係だった「アニー・ボメール」が単に品物を窓際に並べるだけでなく、エルメスの世界観を表現する芸術的なディスプレイをつくりあげ、エミールを驚かせたと言われています。のちにショーウィンドウの総責任者となり現在でも受け継がれる美しいディスプレイをつくり続けました。本店のディスプレイはエルメス劇場と言われ、街を歩く人々の目を奪ったと言われています。

1-3.ケリーやバーキンなどの象徴となるアイテムの誕生

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1929年の世界恐慌と第二次世界大戦による不況で多くの会社が苦しみましたが、エルメスはスカーフと香水事業へ参入することで乗り切ります。最高級のエルメスのイメージはそのままにスカーフや香水といったリーズナブルな商品を開発することで不況を乗り切りました。腕時計を発表したのもほぼ同時期で、幅広い商品展開でリスクを抑えたのでした。

ちなみにエルメスのアイコンカラーといえばオレンジですが初期はベージュ。オレンジになったきっかけは、第二次世界大戦中の物資不足によりベージュの包装紙が手に入りづらくなった際にオレンジ色の紙を包装紙として使ったことと言われています。

4代目となるロベール・デュマ・エルメスが代表に就任し、シルクスクリーンの技術を応用したスカーフは大好評となりました。以降の歴史では主に新作の鞄が次々と発表されていきます。

1956年、モナコ王妃のグレース・ケリーがパパラッチから妊娠中のお腹を隠すようにしたサック・ア・クロアを正式にケリーと呼ぶようになりました。その後1969年にはHの留め具が特徴的なJ・F・ケネディ大統領の奥様が愛用していたことで知られるコンスタンスを発表。1978年にはエブリンを発表。1984年にはバーキンを発表。今でもブランドの象徴となっているアイテムが次々と生まれました。

同時に1980年代から1990年代にかけては食器のサンルイ、ピュイフォルカ、英国靴のジョン・ロブなど経営難になったものの、職人技を維持していきたいというエルメスの意志をこめた買収を行っています。これはLVMHのようなコングロマリットではなく、あくまで職人への敬意をこめた買収と言われています。

エルメスとは、馬具工房から始まったブランドであり、そこからさまざまな歴史を経て現在の立ち位置を確立しているのです。

1929年の世界恐慌と第二次世界大戦による不況で多くの会社が苦しみましたが、エルメスはスカーフと香水事業へ参入することで乗り切ります。最高級のエルメスのイメージはそのままにスカーフや香水といったリーズナブルな商品を開発することで不況を乗り切りました。腕時計を発表したのもほぼ同時期で、幅広い商品展開でリスクを抑えたのでした。

ちなみにエルメスのアイコンカラーといえばオレンジですが初期はベージュ。オレンジになったきっかけは、第二次世界大戦中の物資不足によりベージュの包装紙が手に入りづらくなった際にオレンジ色の紙を包装紙として使ったことと言われています。

4代目となるロベール・デュマ・エルメスが代表に就任し、シルクスクリーンの技術を応用したスカーフは大好評となりました。以降の歴史では主に新作の鞄が次々と発表されていきます。

1956年、モナコ王妃のグレース・ケリーがパパラッチから妊娠中のお腹を隠すようにしたサック・ア・クロアを正式にケリーと呼ぶようになりました。その後1969年にはHの留め具が特徴的なJ・F・ケネディ大統領の奥様が愛用していたことで知られるコンスタンスを発表。1978年にはエブリンを発表。1984年にはバーキンを発表。今でもブランドの象徴となっているアイテムが次々と生まれました。

同時に1980年代から1990年代にかけては食器のサンルイ、ピュイフォルカ、英国靴のジョン・ロブなど経営難になったものの、職人技を維持していきたいというエルメスの意志をこめた買収を行っています。これはLVMHのようなコングロマリットではなく、あくまで職人への敬意をこめた買収と言われています。

エルメスとは、馬具工房から始まったブランドであり、そこからさまざまな歴史を経て現在の立ち位置を確立しているのです。
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2.ブランドイメージに関わるエルメスの魅力


出典:HERMES

今や世界中で愛されているエルメスですが、始まりは馬具工房。その技術を活かしながら時代の変化に合わせて財布や鞄などの革製品へシフトしたことで大成功を納めました。単なる革製品なら世界中に愛されるブランドにはなり得なかったでしょう。

この章では、ここまでの人気を誇るのエルメスの魅力について徹底解説していきたいと思います。

2-1.創業から180年を超える伝統とブランド力

1837年にティエリ・エルメスが創業し、180年を超えるブランドとなり世界を代表する革製品のブランドとなりました。不況や第二次世界大戦など苦しい時代もありましたが、乗り越えた強さをもつブランドです。

基本的に一族経営(パトリック・トーマスだけ例外ですが)を続けることで哲学・マインドにブレが出ないように徹底されていました。180年もの間、伝統とブランドが継承し続けられています。

例えばエルメスのマインドを示しているのがオレンジのブランドロゴですよね。馬車と従者が書かれたブランドロゴには馬車に人が座っていません。馬車は商品、従者は職人として馬車の主人はお客様として「エルメスは最高の品物を用意しますが、それを御すのはお客様自身です」とのブランド公式から発信されたコンセプトが込められています。エルメスはあくまで黒子であり、主役はお客様とする哲学です。

家族経営へのこだわりやロゴのデザインなど、エルメスの考える哲学を次世代へしっかりと継承させる強い意志を感じさせます。

2-2.時代に合わせて変化することができる創造性

エルメスが時代に合わせて変化することで生き残ってきたことは前述のとおりです。しかし、エルメスは前衛的に変化してきたわけではないとの見方もあります。

エルメスは高級馬具の革製品のブランドの成り立ちもあり、貴族や富裕層からの注文が多かったのです。エルメスはそんな中で顧客からのオーダーにも真摯に応えていたとされています。単純に馬具のオーダーが減り、鞄や財布などのオーダーが増えたとすればエルメスはただ顧客の求めるままに沿っていったとも見られるのです。

つまり、エルメスは常に顧客を見て、求められるものに真摯に対応することで生き残ってきたといえます。前衛的で攻めの姿勢の戦略というよりも、顧客と共に成長してきた職人集団なのではないでしょうか。

近年でも、ヴィンテージのアクセサリーである『シェーヌダンクル』や『コロゾリング』はエルメスのアイコンアイテムとして人気を誇っています。ロングネックレスをチェーンウォレットとして使えるように加工している人の姿もSNSで見受けられるほどです。

2-3.職人技の伝承に対する敬意

クラフツマンシップへのこだわりが強いのもエルメスの特徴です。エルメスの製品はどれも一流の職人が最高級の素材を使って手作りしているため、非常に時間がかかり高価になるものの、他では真似できない最高の品質の製品です。

エルメスのものづくりで特に変わっているのは、一つの製品を1人が最初から最後までつくりあげるという点です。通常は生産効率を上げるために分業されており、細分化された作業ごとに特化した作業者が設定されています。ハイブランドにおいてハイエンドの商品だけは決められた職人が最初から最後まで生産に携わることはありますが、エルメスのように通常の体制としているブランドは非常に珍しいです。

大量生産が当たり前でブランドの製品ですら機械的な生産や下請けでの製造が当然になる中、職人による手作りを貫き続けるこだわりの強さは世界的に見ても随一です。例えば、他のブランドでは有名人をブランドアンバサダーとして起用するプロモーションをメインに行っていますが、エルメスでは職人の手仕事を体験できるプロモーションに注力しています。

2017年にはエルメスの手しごと展という本国のアトリエから職人が来て制作風景を見ることができるイベントを開催するなど、クラフツマンシップの共感と共鳴を愉しめるようなプロモーションを行い、ブランディングしているのです。

3.エルメスの人気の素材

エルメスは数多くの種類の革を扱っており、小物限定で使用される素材や限定カラーなどの展開も含めると膨大な量になってしまうほど。女性的で艷やかで優美な印象の素材やシックで中性的な素材など、組み合わせる鞄の種類によって自分だけのエルメスを探す楽しみもあります。

ここからは、エルメスが扱う代表的な素材についてまとめます。

3-1.牛革 型押し

牛革はエルメスの革製品で主に使われる素材です。大きく分けてプレス加工された型押し品と革本来の自然なスムース模様の2種類があります。

トリヨンクレマンス

柔らかい雄仔牛の革です。バッグから小物まで幅広く使われています。

<よく使われているアイテム>
・バーキン
・ケリー

トゴ

1997年以降に使われている素材で、程よい柔らかさと目の大きさが特徴。バッグから小物と用途も広く、人気の高い素材です。

<よく使われているアイテム>
・バーキン
・ケリー
・ドゴン

フィヨルド

粗めの型押しで程よい柔らかさとマット感が特徴。耐水性があるためガーデンパーティーなどに使われています。

<よく使われているアイテム>
・ボリード
・ケリー
・ガーデンパーティ

ネゴンダ

2007年に登場した素材で、目が大きめの素材です。主にガーデンパーティーで使用されています。

<よく使われているアイテム>
・ガーデンパーティ

エバーカラー

2013年に登場した素材で、程よい硬さとマット感が特徴。主に財布などの小物に使用されています。

<よく使われているアイテム>
・カルヴィ
・ドゴン
・シティ(リュックタイプ)
・コンスタンス
・ボリード

ヴォーエプソン

2003年に登場した素材で、プレス加工された細かな型押しが特徴の雄仔牛の素材です。バッグから小物まで幅広く採用されており、現在人気No1とも言われています。

<よく使われているアイテム>
・バスティア
・ケリー
・エブリン

グランアッシュ

2012年に登場した素材で、整列された型押しが特徴の素材です。硬めで艷やかな手触りで幅広く使われています。

<よく使われているアイテム>
・ケリーウォレット
・ロデオ(バッグチャーム)

3-2.牛革 スムースレザー

スイフト

2006年に登場した素材で、ほどよい柔らかさとスムースな質感、発色の良さが特徴でカラーアイテムに使われています。

<よく使われているアイテム>
・バーキン
・アザップ

シッキム

細かい目と優しい手触りとつややかな質感が特徴の雄仔牛の素材。限られたモデルとカラーで展開されています。

<よく使われているアイテム>
・ボリードリラックス

ヴァッシュ

いわゆるヌメ革で表面加工を行わない素材。キズがつきやすいが、使うほどに味が出てくるのが特徴です。黒と茶の2色展開。

<よく使われているアイテム>
・バーキン
・エールバッグ

バレニア

ヴァッシュよりも柔らかめでマットな質感と弾力性が特徴です。時計のベルトなどにも使われている素材です。

<よく使われているアイテム>
・バーキン
・apple watchのブレスレット

ボックスカーフ

ツヤ加工を施した光沢のある素材。艶と硬めの手触りでカッチリした印象だが、経年とともに高級感のある光沢が愉しめます。

<よく使われているアイテム>
・バスティア
・ケリー
・コンスタンス
・ベアン
・オニメトゥ

ボックスネパール

2001年に登場した素材で、ボックスカーフよりもマットな加工で滑らかな質感です。

<よく使われているアイテム>
・ドーハ
・ボリード

ソンブレロ

2011年に登場した素材で、繊細でマットな質感が特徴。なめらかでいてハリのある質感です。

<よく使われているアイテム>
・バーキン
・ケリー

ヴォーデルマ

2004年に登場した素材で、革が薄くスムースでやわらかな質感が特徴です。キャラバンでのみ採用されています。

<よく使われているアイテム>
・キャラバンホリゾンタル

ヴォーシャモニー

ボックスカーフを少しマットに仕上げたような、滑らかでしっとりとした質感が特徴です。

<よく使われているアイテム>
・ボリード
・ケリー

3-3.山羊革

山羊革は牛革よりも軽く丈夫で、繊維が細かいのが特徴です。

シェーブルミゾール

2002年に登場した素材で、程よい目の大きさとやわらかさが特徴の雌山羊の素材です。身体の小さな山羊の革を使っているため、バーキン25や小物などで使われています。

<よく使われているアイテム>
・カルヴィ
・ベアン
・ドゴン
・バスティア

シェーブルコロマンデル

程よい目の大きさとやわらかさ、艷やかな光沢と独特の型押しが特徴です。

<よく使われているアイテム>
・ボリード
・ケリー

ヴィブラート

染色した複数の山羊革を重ねて張り合わせたものを裁断し、縦の断面を使うデリケートな素材です。現在は廃盤。

<よく使われているアイテム>
・ケリー
・エールバッグ
・ボリード

ヴィブラートスニップ

ヴィブラートを縦横にリズムをつけて並べて裁断した素材です。より繊細で鮮やかなカラーが愉しめる素材ですが、現在は廃盤です。

<よく使われているアイテム>
・エブリン

3-4.ワニ革

エルメスの最高級素材で、ワニの種類によって目の大きさや並び方が異なります。

ポロサスクロコダイル

ワニ革の中での最高級素材で、程よい斑の細かさと均等な並び、リセ仕上げされた光沢感が美しいタイプとフェルトを使った研磨でマットに仕上げるタイプの2種類があります。

<よく使われているアイテム>
・ベアン
・バーキン

ニロティカス

ポロサスに比べて少し大きめな斑と均一な並びが特徴です。アフリカ・ナイル川流域に生息するクロコダイルを使用しており、ニロとはナイルを意味しています。リセ仕上げされた光沢のあるタイプとフェルトによるマット仕上げの2種類展開です。

<よく使われているアイテム>
・バーキン
・ベアン

アリゲーター

ミシシッピ原産のワニを使った素材で、ポロサスクロコダイルよりも斑が細かくランダムな並びの素材です。リセ仕上げされた光沢のあるタイプとフェルトによるマット仕上げの2種類展開です。

<よく使われているアイテム>
・アザップロング
・ベアン

3-5.その他革(リザード、オーストリッチ等)

その他にもダチョウやトカゲ、ブタなどの珍しい素材が展開されています。

オーストリッチ

南アフリカやオーストラリアに生息するダチョウを使った素材です。羽毛を抜いた跡の水玉模様はクイルマークと呼ばれています。バッグから小物まで用途が広いのも特徴です。

<よく使われているアイテム>
・バーキン
・ケリー
・ボリード

エミュー

オーストリッチにに近い模様で、斑点が少し細かいのが特徴です。

<よく使われているアイテム>
・ベアン

リザード

主に東南アジアに生息するトカゲの革を使った素材です。目が細かく均等で光沢のあるのが特徴です。

<よく使われているアイテム>
・コンスタンス
・バーキン
・ベアン

ポルク

光沢がなくザラリとしてマットな質感が特徴のブタ革を使った素材です。

<よく使われているアイテム>
・手帳カバー

3-6.キャンバス地

コットンなどのキャンバス地で、織物の糸の目などの美しさが特徴です。

トワルアッシュ

HERMESの頭文字「H」(アッシュ)を冠するエルメスで最もベーシックなキャンバス地です。異なる2色の糸で構成されており、丈夫で摩擦に強いのが特徴です。

<よく使われているアイテム>
・ガーデンパーティ
・エールバッグ

トワルGM

トワルアッシュよりも粗く織ったキャンバス地でガーデンパーティやエールバッグなどで使われることの多い素材です。

<よく使われているアイテム>
・ガーデンパーティ
・エールバッグ

トワルジーン

インディゴカラーのキャンバス地で、いわゆるデニム素材です。摩擦に強く、スニーカーなどに使用されています。

<よく使われているアイテム>
・オータクロア
・バーキン

フェルト

クッション性、保温性に優れたウール素材です。やわらかな手触りで温かみが特徴です。主に小物に使われています。

<よく使われているアイテム>
・トランプケース
・ピコタン

4.エルメスの人気のカラー

エルメスの人気を支えている理由の一つに豊富なカラー展開があります。単純に多いだけでなくエルメスの哲学が色濃く反映されており、エルメスらしいカラーだと多くの人が感じています。

ここではエルメスの人気のカラーに注目してまとめます。

4-1.ナタ

2020年s/s(春夏)に登場したカラーで、由来はスペイン語のクリームです。白とベージュの中間に位置する、まるでバニラアイスのようなクリーミーな色です。明るい色でカジュアルさもありつつ気品のあるカラーです。使うシーンが広く、人気の高い色です。

4-2.クレ

2013 a/w(秋冬)に登場したカラーで、由来はフランス語のチョークです。やわらかく気品のある白で、スモーキーがかった色なので落ち着きがあるため、様々なシーンで使える海外で人気の高いカラーです。

4-3.ジョーヌプッサン

明るくて可愛らしい黄色が特徴のジョーヌプッサンは、フランス語でジョーヌ(黄色)プッサン(ひよこ)が由来で、ひよこの黄色という意味です。名前の通り、ひよこのような可愛らしく生命力に溢れた黄色で楽しさが伝わってくるカラーです。

4-4.ローズサクラ

2015年s/sで発表されたローズサクラ。少し青みがかったやさしいピンクが特徴のローズサクラは、まるで桜の花びらのようなナチュラルな印象です。日本だけじゃなく世界的に人気が高いカラーです。

4-5.エタン

フランス語で錫を意味するエタンは、重厚感のあるカラーです。光の角度や屋内か屋外かの光の色によっても表情を変えるのがエタンの特徴で、金属のような安定感と光によってニュアンスの違いが味わえる繊細さを持ち合わせています。定番カラーとして高い人気です。

4-7.ゴールド

エルメスのゴールドとはいわゆるキャメルカラーのことで、気品のある明るさをもつキャメルカラーとなります。特に白ステッチとの組み合わせが人気で、程よいカジュアルさが愉しめるラグジュアリーさが特徴の色です。

4-7.エトゥープ

エルメスのアイコン的存在ともいえるカラーのエトゥープ。一言で言うと上品なグレージュで、白ステッチとの組み合わせが特に人気です。ステッチの色、金具の色などどの組み合わせでもハマるエトゥープはエルメスの中でもトップクラスに人気の高いカラーです。

4-8.ノワール

ノワールは一言で言うと黒で、初めてバーキンを買う(ファーストバーキン)に特におすすめされているカラーです。定番色でどんなシチュエーションにも合わせやすいカラーで、エトゥープに並び人気の高いカラーです。

4-9.ローズコンフェッティ

ローズコンフェッティはフランス語で薔薇の花吹雪を意味しています。艷やかで明るいローズカラーで、高貴な可愛らしいピンクです。ショッキングピンクとも違うニュアンスで、フェミニンな印象です。

5.エルメスの代表シリーズ

エルメスは財布や腕時計などいろいろな革製品をつくっていますが、エルメスといえば鞄のイメージが強いのではないでしょうか。世界的に人気が高く格式が高いエルメスの鞄はエルメスの中でも特に力を入れている品物といえます。ここではエルメスの鞄の代表的なシリーズについてまとめます。

5-1.バーキン

バーキンはエルメスを代表する不朽のデザインで、最も人気の高いシリーズです。程よいサイズ感とシンプルさ、エレガントでいて実用的な点が人気の理由となっています。エルメスの社長が飛行機で隣になった歌手ジェーン・バーキンがバッグに荷物を多く詰め込むのをみて、「そのバスケットの中身をすべて入れられるバッグをつくりましょう」と提案した逸話はあまりにも有名です。

バーキンはその言葉の通り、収納性が高く機能性を重視したバッグです。サイズ展開は5種類あり、女性だけでなく男性からも支持されています。大きめサイズはビジネスバッグや旅行バッグとしても使えます。

5-2.ケリー

ケリーはバーキンと肩を並べるほどの人気のシリーズで、かっちりしたシルエットがバーキンに比べフォーマルさが少し強めのテイストのバッグです。外縫いと内縫いとデザインが分かれており、違った印象が愉しめます。

ケリーはモナコ王妃だったグレース・ケリーが妊娠中にケリーでお腹を隠したことで一躍有名になったと言われています。それまでサック・ア・クロアという名前で展開されていましたが、グレース・ケリーをリスペクトするようにケリーという名前に変更されました。

ケリーのサイズバリエーションは4種類。比較的小さめが多いですが、大きめならビジネスバッグとしても使えます。

5-3.コンスタンス

エルメスのショルダーバッグとして不動の地位を得ているのがコンスタンスです。大きなHマークの金具が特徴で、シンプルでクラシックなデザインです。様々な素材でつくられており、素材やカラーによってはフォーマルからカジュアルまで幅広く使うことのできるバッグです。

1969年に発表されたコンスタンスですが、コンスタンスを手掛けたデザイナーの娘が生まれた年だったため、娘の名前と同じ名前にしたと言われています。コンスタンスがエルメスを代表するショルダーバッグとして知られるようになったのは、第35代アメリカ大統領J・F・ケネディの奥様が愛用していたためで、以来世界中の女性が憧れる存在となりました。

サイズバリエーションは4種類とショルダーバッグなので小さめが中心。長財布や小物などはしっかり入るので、しっかり実用的です。

5-4.リンディ

リンディはユニークなボックス型のバッグで、そのままハンドバッグとしても、ストラップを付けてショルダーバッグとして使うことのできる2wayバッグです。ファスナーによる開閉で大きく口を開くことができ、内側の仕切り等もなく取り出しやすくバッグの中も人目でわかる実用差も兼ね備えています。

サイズは4種類が展開されており、最も大きな34はビジネスバッグとしても使えるほどのボリュームです。フォーマルからカジュアルまで幅広く使うことのできるバッグです。

5-5.ボリード

ボリードは世界で初めてファスナー付きのバッグとして発表されました。発表当時、フランスやヨーロッパではファスナーはあまり普及していませんでしたが、自動車をほこりや雨から守るための幌を固定するファスナーに注目して開発されました。発表当初は走る宝石を意味するブガッディという名前で旅行バッグとしての展開でしたが、人気が高まるに連れデイリーバッグにも展開されていき現在のボリードとなりました。

サイズバリエーションは7種類とかなり多く、旅行バッグとしても肩がけにしても良いサイズ幅です。

5-6.フールトゥ

フールトゥはキャンバス地でつくられた鞄で、レザーにはない頑丈さやキズや汚れに強い特徴を持っており、気兼ねなく持ち歩ける使い勝手の良さが人気です。上質な革製品としてのエルメスから発表されたコットンキャンバス地の鞄は当時注目を集めました。

トートバッグのタイプで3種類のサイズ展開です。トートタイプなので少し大きめで、雑誌やPCなども問題なく収納できます。女性だけでなく男性からも人気だったフールトゥですが現在は廃盤。中古のみとなります。

5-7.ビニールケリー

ビニールケリーはケリーをベースにビニール素材を採用したことでスケルトン化された鞄です。金具やベルトもビニールで再現されています。1997~98年に開催された「不思議の国、エルメスへの旅」という展示会だけで販売されており、希少価値が高い鞄です。鞄の全面には「 SOUVENIR DE L’EXPOSITION 」(不思議な国への旅)とプリントされています。

クリアとオレンジの2色展開で、サイズは40だけと少し大きめ。現在でも中古市場に出回っている分だけとなります。

5-8.エールバッグ

エールバッグは組み立て式のバッグで、パーツごとにバラバラにすることができる鞄です。パーツごとに分解できるため、組み合わせ方しだいではオリジナルの鞄へ作り替えることも可能な斬新なつくりです。

その日の気分やコーディネートに合わせて調整できるエールバッグは現在では廃盤となっているため入手が困難な鞄の一つです。実はエールバッグとしては廃盤ですが、人気を受けエールバッグ・ジップとして再販されており、こちらは背面にファスナーが付いたタイプとなっています。

サイズは4種類の展開でショルダーバッグからビジネスバッグのようにまで幅広いサイズ展開です。

5-9.エブリン

エブリンは大きなHマークのパンチングが最大の特徴のショルダーバッグです。内ポケットがなくなったり外ポケットが追加されたりなど、数回のリニューアルを経て現在のデザインとなっています。

カジュアルな形状ですが、エルメスによる上質な革製品により上品さも持ち合わせた鞄です。名前の由来はデザイナーのエブリン・ベルトランから。サイズバリエーションは3種類で、ショルダーバッグサイズのものから男性向けの大きめのサイズも展開されています。

5-10.ピコタン

ピコタンは馬の餌入れの鞄が元になっており、馬や牛が歩きながら餌を食べられるようにオープン型の鞄になったと言われています。特別目を引くデザインはないもののシンプルで廃れないバランスの美しさは革製品のエキスパートであるエルメスらしいデザインといえます。

ピコタンの名前の由来は牛や馬の餌を入れるボワソー升の4分の1を示すのにピコタンという単位が使われていたためです。ピコタンロックと呼ばれる南京錠と鍵が付属しており、バッグに鍵が取り付けられるようになっています。

サイズバリエーションは3種類。サイズに大きな差はつけていませんが、ビジネスバッグのように使うこともできます。

5-11.ガーデンパーティ

ガーデンパーティは園芸用品を入れるバッグとしてつくられたことが名前の由来です。底部が台形の形状に広めにとってありバッグの口も大きく開くため荷物が出し入れしやすく実用的です。書類はPCなども持ち運べるため、ビジネスにも使いやすい鞄です。素材はキャンバス地とレザー地、サイズは5種類展開されているため、好みの雰囲気を探しやすいのも人気です。

現行の旅行にそのまま使えそうな大きめサイズから、廃盤となっているミニバッグのサイズまで幅広いサイズ展開です。

6.エルメスの刻印について

エルメスのバッグや鞄などの革製品には刻印がされていることで知られています。ここでは刻印の示す意味についてまとめます。

6-1.刻印の種類と意味について

製造年、アトリエ、職人を示す刻印が最も有名です。

左の「C」が製造年、右の「PM 002」が工場・アトリエと職人を示しています。製造年の「C」が意味するのは2018年に製造された製品だということですが、「PM 002」については明らかにされておらず、店頭の販売員ですら知らされていないと言われています。

6-2.刻印によって製造年がわかる

確認されている最も古い製造年は1964年で、アルファベット一文字で示されています。1964年は「T」、65年は「U」といったように毎年変わっていますので、刻印を見れば製造年が判別可能です。

製造年 刻印
1964年 T
1965年 U
1966年 V
1967年 W
1968年 X
1969年 Y
1970年 Z

上記のような順になっており、以降1971年から1996年まではAから始まり、丸枠がついたアルファベットとなっています。翌年、1997年から2014年までは同じようにAから始まりますが、四角枠がついています。

2015年はこれまでのルールに従うと四角枠のSとなるところですが、実際には枠なしのTでした。これは後述しますがセール品を示す「S」(ソルドマーク)と混合することを避けたのではないかと言われています。

さらに2016年は枠なしのUかと思いきや枠なしのX、2017年は枠なしのA、2018年は枠なしのC、2019年は枠なしのD、2020年は枠なしのY、2021年は枠なしのZと順番ではなくなっています。2022年は枠なしのUとの情報があり、予想ができなくなっています。

6-3.素材を示す刻印

刻印には一部の素材を示すものもあります。エキゾチックレザーといわれる爬虫類系の素材は判別がつきにくいことと最高級であることもあり、それぞれが判別できるように特別な刻印が刻まれています。

位置はブランド名の刻印の横で、「HERMES PARIS MADE IN FRANCE」の横に刻まれています。

素材 刻印
ポロサスクロコダイル Λ
ニロティカスクロコダイル ●●
アリゲーター
リザード

となっています。

6-4.その他の刻印

他にも特殊な刻印が入るケースがあります。通常とは違う品質を示す刻印で、通常ではなかなか見ることができないものもあります。

パーソナルオーダーと呼ばれる品物に入る刻印は馬蹄です。エルメスのVIP顧客だけが利用できるオーダーシステムで、素材・配色・配置・金具など自分だけのエルメス製品をオーダーできます。パーソナルオーダーでつくられた製品には馬蹄の刻印が入ります。

さらに稀なケースとしてスターマーク(流れ星マーク)も存在しています。これはエルメス関係者向けにつくられた製品に刻印されており、市場に流通することはありません。

前述しましたが、ソルドマーク(Sマーク)もありセールで販売された製品への刻印となります。といっても上顧客向けのセールのため、売れ残りといった刻印では決してありません。セールといってもバーキン等は相変わらず高級です。

まとめ

エルメスの歴史や魅力、特別なカラーや素材についてまとめました。伝統あるブランドの歴史が長く格式も非常に高いエルメスの魅力や世界観に少し触れることができたでしょうか。
店頭でエルメスの革製品を見た際にはぜひ一度手にとってみてください。

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