ESTIME 最速買取・高額買取
ブランドショップ エステメ

2022年3月19日

【複雑機構の父が興したブランド】ブレゲとは?歴史や魅力を徹底解説

時計の歴史を200年早めたと言われる時計師アブラアン・ルイ・ブレゲが興したブランド ブレゲはデザインとしても技術としても一流の時計で、フランスの貴族に寵愛されました。創業者であるアブラアン・ルイ・ブレゲは現代まで継承され続ける機構を数多く発明し、時計の歴史を200年早めた時計師として知られています。著名な貴族などの顧客がいながら時代の流れに翻弄され、店舗の没収やブランドの買収など何度も存続の危機を乗り越えてきました。
この記事ではブレゲの世界観を深く楽しんでいただけるよう、これまでの歴史と魅力、代表的なシリーズ、ブレゲの時計を着けている有名人、おすすめモデルについて解説をします。

目次

1 時計の歴史を200年早めた時計師のブランド ブレゲの歴史

ブレゲは時計の歴史を200年早めた時計師が興したブランドとして知られています。しかしその歴史は時代に翻弄されながらも彼のDNAの継承に尽力した人達によって、現代でも手に取ることができています。歴史を深く知ることでブレゲの時計が手にあることの貴重さを深く感じることができるでしょう。ここではブレゲの歴史についてまとめます。

1-1 フランス貴族に愛されたブレゲの時計

出典:Breguet

天才時計師アブラアン・ルイ・ブレゲはスイスのニューシャテルで生まれました。15歳になりスイスを離れ、パリの時計職人となったブレゲは1775年にパリのシテ島に高級時計工房を開き独立しました。

自分の店舗を持って最初に注力したのが、自動巻き機構の開発でした。当時数人の時計師が自動巻き機構を開発していましたが、実用に耐えうるものではなく納得させられるだけの成果を得られずにいました。ブレゲはこれに改良を加えプラチナ製の分銅を搭載した自動巻き機構によって信頼性の高い巻き上げを実現しました。これを搭載した時計をペルペチュアルと名付け販売しました。技術的にも美観の点においても優れていたペルペチュアルは今もなおブレゲの歴史を語る上で天才的な発明の一つに数えられています。

時計ペルペチュアルはヴェルサイユに続き、ヨーロッパ中の貴族たちの間で大いに評判になりました。特にマリー・アントワネットはブレゲの時計を寵愛しており、数本所有するだけでなく、刑務所に幽閉されていたときですらシンプルなブレゲの時計を注文したほどです。

1783年にマリー・アントワネットから受けた注文は歴史的です。時間と費用が無制限であり、これまで知られたあらゆる高度な技術、複雑機構、機能をすべて組み込んだ時計を製作してほしいといったとんでもない注文でした。ブレゲはこれに応えたものの、納品時にはマリー・アントワネットは処刑された後でした。

1789年にバスティーユ監獄襲撃に端を発するフランス革命が勃発。王政は廃止され、王党派とみなされると次々に粛清が始まりました。アブラアン・ルイ・ブレゲもその一員とされてしまいパリの店舗は没収、スイスへの帰国を余儀なくされてしまいました。

1-2 現代に継承される数多くの複雑機構の開発・改良

出典:Breguet

1795年、スイス帰国から2年後にパリに戻ることになるアブラアン・ルイ・ブレゲはこの期間に複雑機構の開発・改良に注力しました。トゥールビヨン、永久カレンダー、レバー式シリンダー脱進機機構、引き撃ち機構などの開発を行いました。また、ブレゲの開発は機構に留まらず、針の先端に小さな穴のあいたブレゲ針やクラシックでいて独特のインデックスデザインのブレゲ数字など、デザインも手掛けました。

これらの開発・改良によって時計の歴史が200年早まったと言われるほどに、現代において非常に強い影響を与えています。このときブレゲが開発・改良した数多くの機構や意匠は現代の時計においても非常によく使われており、現代の時計に備わっている機構の70%はアブラアン・ルイ・ブレゲが開発したと言われています。

1795年パリで再び店舗を開く際にスイスで開発した機構を搭載した時計を販売したところ好評を博し、ブレゲの店は再び活気を取り戻しました。マリー・アントワネットから注文を受けた時計は19年の歳月をかけて完成。自動巻き、永久カレンダー、ミニッツリピーターなど技術の粋を集めた時計はまさに芸術作品そのものでした。完成させた時計は彼女の没後に忠誠の証として保管されました。

史上最高の時計師と言われたアブラアン・ルイ・ブレゲの1823年没後には息子が、その後には孫へと引き継がれていったブレゲですが、ブレゲ流の貴族向けの時計製造は時代に逆行していました。時計が一般に普及していったことでその勢いは続かず、三代目にあたるルイ-クレマンは、1870年に工房長のエドワード・ブラウンに時計部門を売却しました。ブレゲの功績と歴史における重要さを理解していたブラウン家がブランドを率いていくこととなりました。

1-3 宝石商ショーメによりブレゲのDNAが現代に蘇る

出典:Breguet

1970年、ブレゲは宝石商ショーメの手に渡ります。ショーメはブランドを復興させるべく、「もしブレゲが現代に生きていたらどんな腕時計をつくるか」といった難題に取り組むべく優秀な時計師を招集しました。その中には後にブルガリに自分の名を冠するブランドを設立したダニエル・ロート氏が居たことが知られています。かつてブレゲが創り上げた時計を一つ一つ分解し、10年をかけて再構築することで、ブレゲの時計は再び脚光を浴びることとなります。

その後1987年に投資会社インベストコープの手に渡った後、1999年には現在のスウォッチグループに加わることとなり、スウォッチグループ創設者のニコラス・G・ハイエックとその孫でありブレゲCEOのマーク・A・ハイエックのバックアップの元で輝きを取り戻すことができ、現在に至ります。

ブレゲがかつて貴族に愛された伝統的な時計に拘った結果ブランドの存続の危機に陥った歴史を考えると、現代的なエッセンスをしっかり組み込んでいる今のブレゲは時代に沿って生き残っていくブランドに生まれ変わったのではないでしょうか。

2 時計の歴史を200年早めた時計師のブランド ブレゲの魅力

ここでは時計の歴史を200年早めた時計師のブランド ブレゲの魅力について解説します。

2-1 貴族の寵愛を受けた時計のDNAを感じることができる

ブレゲの魅力を語る上で歴史と紐付いているのが貴族の寵愛を受けていたことです。アブラアン・ルイ・ブレゲが発明・改良した自動巻き機構ペルペチュアルをきっかけに、フランス貴族達の間で評判の時計師となり、ナポレオン・ボナパルトやカロリーヌ・ミュラなどにお抱えの時計師として多数の作品を注文し、応えてきました。

特にマリー・アントワネットがオーダーしたあらゆる技術の粋を集めた時計は、時計愛好家の間では語り草になっており、歴史的にも技術の高さとしてもブレゲの魅力を語る上では欠かせません。

実際にはアブラアン・ルイ・ブレゲが生きていた時代には懐中時計や置き時計しか造られていないのですが、ダニエル・ロート氏他を中心にブランド ブレゲを復興する際のコンセプトとして掲げられた「ブレゲが現代に生きていたら」を体現しており、最新の時計たちはかつて貴族たちに寵愛されたブレゲのDNAを確かに感じさせる魅力があります。

2-2 ブレゲの技術力を継承する複雑機構の粋を愉しめる

出典:Breguet

アブラアン・ルイ・ブレゲが開発・改良した機構の数々は現代の時計に備わっている70%に達すると言われています。トゥールビヨン、永久カレンダー、ミニッツリピーターなどの複雑機構はブレゲが開発したもので、現代の複雑系モデルの多くの機能は、ブレゲがかつて発明したものと言えます。

2-3 ブレゲによる技術・センスと現代のエッセンスの融合

出典:Breguet

アブラアン・ルイ・ブレゲは前述の通り懐中時計を中心に製作していたため、現代の腕時計はブレゲが現代に生きていたら、をコンセプトに復興した際に生まれたものです。ブレゲの歴史的な時計を一度分解して、ブレゲの考えや哲学を分析し現代の時計に反映させているので、ブレゲのDNAと現代のエッセンスがしっかり組み込まれているのです。

例えばブレゲ針やギョーシェや時代やモデルに合わせて、形状や大きさを微調整しています。インダイヤルごとにギョーシェの彫り方を変えたり、スポーティーなシリーズには大きめの針や夜行処理に変更するなど、現代風にアレンジを効かせた時計が愉しめます。

3 ブレゲが開発した機構とデザイン

ブレゲは時計の歴史を200年早めたと言われる天才時計技師です。そんなブレゲが開発した機構、デザインについて詳細をまとめます。

3-1 ブレゲが開発した12の機構

1,ペルペチュアル(自動巻き)

出典:Breguet

ペルペチュアルは自動巻き機構で、使用者が歩いたりすることの振動を利用してぜんまいを巻き上げる機構です。それまでにも自動巻き機構は発明されていましたが実用性や信頼性に欠けるものでした。ブレゲはそれまでの自動巻き機構にプラチナ製の分銅を付けることで巻き上げ効率を格段に上げた時計をペルペチュアルと名付け発表したところ、王侯貴族を中心に評判が広まりました。

ブレゲが貴族たちに寵愛されるきっかけとなった機構で、ブレゲが開発した機構の中でも初めて大きな成功をおさめました。ペルペチュアルは当時技術的にも美観としてもユニークで、王に捧げる卓越した時計とされました。ブレゲの伝説はここから始まったと言っても過言ではありません。

2,ミニッツリピーター

出典:Breguet

17世紀末、暗闇でも時刻がわかる機構としてリピーターが開発されました。1680年に最初のリピーターウォッチが発表されてからは多くの時計師が改良にしのぎを削っていました。ブレゲもこれに取り組んでおり、それまで使われていた鐘の代わりに、ムーブメントを取り巻くように配置された板バネの上で音を鳴らす仕組みを採用しました。

板バネを採用したことによって、ムーブメントを薄くしつつも繊細でハーモニー豊かな音色が愉しめるようになり、多くの時計師がこれを採用しました。ブレゲはさらに30分、15分、分単位で音を鳴らす機構を開発しています。

3,ラチェット・キー

出典:Breguet

ブレゲ・キーで知られるラチェットキーもブレゲが開発した機構です。懐中時計や置き時計のぜんまいを巻く際にキー(鍵)が一般的に使われていましたが、シャフトの部分にラチェットを用いることで常に正しい方向を維持して快適に巻き上げが完了するように考案されました。ラチェット側に巻き上げても引っかからずに力が逃げるようになっており、正しい方向でだけ巻き上げができるようになっています。

4,パラシュート機構

出典:Breguet

パラシュート機構は現代の時計にもDNAがしっかり残されている機構の一つです。通常、時計を落としたり強い衝撃が加わると、振り子の役目をする時計の心臓部てんぷの軸部分にダメージが入ってしまいますが、てんぷの衝撃を吸収する機構として開発されたのがパラシュート機構です。

テンプの軸の先端を円錐形にカットし、形に合った受け皿状の部品で支えつつこれらの機構をバネを付けた台に乗せておくことで、衝撃を吸収するといったものでした。1792年以降のペルペチュアルにはすべて備わっている機構で、現代のインカブロック機構にもその思想が活かされています。ちなみにこの機構の衝撃吸収性を証明するために、貴族たちが集まったサロンでわざと床に時計を落としたという逸話が残っています。

5,ブレゲひげゼンマイ

出典:Breguet

ひげぜんまいとは時計の心臓部にあたるてんぷを動かす筋肉のようなもので、ひげぜんまいがなければ時計は動きません。仮にひげぜんまいの動きが均等でなければ時計の時刻は大きく狂うでしょう。それだけナイーブな部品です。

ひげぜんまいは1675年にオランダの数学者ホイヘンスが発明しました。初期の平ひげぜんまいは銅か鉄でできており、振り子時計と同等の等時性を発揮することで懐中時計が生まれましたが、完全とは言い難い精度でした。ブレゲはこれにぜんまい巻の最後に小さなカーブをつけることで正確な同心円状に回転させることに成功しました。

時計の精度が上がるだけではなく、てん輪の中心軸の摩耗も緩やかになることが評価され、今ではほとんどの高級時計ブランドの時計にブレゲが考案した形状のひげぜんまいが使用されています。1880年から1910年には多くのマニュファクチュールで、時計の中蓋に”Spiral Breguet”または”Breguet overcoil”と刻み込むことで敬意を表しています。

6,一針時計

出典:Breguet

一針時計はその名の通り、針が一つしかない時計です。ブレゲはスースクリプションの名で一針時計を発表しており、エナメル製の文字盤を採用したことで非常にシンプルなデザインに仕上がっています。また、左右対称のムーブメントを搭載していることで知られており、文字盤・ムーブメント共に特別仕様の一本でした。

広告を出し注文を募る方法で販売され、頭金として4分の1を支払ってもらうこととしたところ、信頼性の高さと頭金の安さが人気を博し、累計で700ケもの販売点数となりました。

7,パーペチュアルカレンダー

出典:Breguet

1795年に開発されたパーペチュアルカレンダーは日付、曜日、月、年を表示しつつ閏年の2月29日を含むバラつきにも全て対応するカレンダー表示機構です。当時の多くの時計は各月の日数差を判別することはできませんでしたが、ブレゲの開発したパーペチュアルカレンダー表示は一歩先に進んでいたと言えます。

8,トゥールビヨン

出典:Breguet

フランス語で「渦」を意味しており、文字通り渦のような回転運動を利用した機構です。時計を正確に動かす際に必ず壁となるのが姿勢差です。姿勢差とは時計の向きが変わるとてんぷに対する重力のかかる向きが変わるため、てんぷの回転運動に影響が出てしまう差のことを指します。

これを解決したのがトゥールビヨンです。具体的にはてんぷが取り付けてあるブリッジごと一周させることで姿勢差を均一化してしまう機構です。1801年に特許が取得されて200年が経ちますが未だに時計の技術・機構の最高峰であり、一流ブランドが技術や開発力を示すようにトゥールビヨンを発表する文化があるほどです。

それらの機構自体は他ブランドでも造られるようになり手に入りやすくなっていますが、いわゆる始祖にあたるブランドに魅力を感じるもの。例えば2021年新作のクラシック トゥールビヨン エクストラフラット アニバーサリー 5365 Ref.5365BR/15/9WUはトゥールビヨン特許取得220年を記念して製作したモデルで、トゥールビヨンへの特別感は格別です。搭載される機構そのものは横並びになりつつある現代では、そうした逸話や歴史も含めて愉しむのがツウかもしれません。

9,腕時計(1810年)

出典:Instagram

ブレゲの革新的な発明として世界初の腕時計も欠かせません。1810年にナポリ王妃からの依頼によって生まれた腕時計は髪の毛とゴールドを撚り合わせてつくられたもので、初めての腕時計ブレゲNo.2639を製作したことを証明する製造台帳が残っています。

しかし当時の人々には受け入れられなかったため、日の目を見ることはありませんでした。腕時計が多くの人々に使われるようになるのは第一次世界大戦のことでした。

10,マリンクロノメーター

出典:Breguet

マリンクロノメーターは航海用精密時計と言われ、海の上で使用することを想定した時計です。航海時代において時刻の正確さは現在地を正確に知ることに繋がっており、高い価値となっていました。視認性やパワーリザーブ表示が重要視されシンプルなデザインが多いのもそういった用途に合わせたものとされています。

ブレゲが定期的にマリンクロノメーターの製作を開始したのは王国海軍の時計師の称号を得た1815年以降と言われています。ブレゲが制作したマリンクロノメーターはスペインで人気だったようです。例えばツインバレルのモデルは脱進機全体が交換可能な地板の上に取り付けられています。

11,スプリットセコンド・クロノグラフ

出典:Breguet

スプリットセコンドクロノグラフは通常のクロノグラフとは別に2本目の針でも計測が可能な機能で、クロノ針に重なってスタートしますが、途中で独立して停止することも進行中のクロノ針に追いつくことも可能です。これを利用することで、ある区間の時間(スプリットタイム)を測りつつ、合計の時間も知ることができます。

ブレゲはスプリットタイムや同時に動く2者間の秒差を正確に測ることができる二重秒針付き、観測用クロノメーターを1820年に開発しました。これが現代のスプリットセコンドクロノグラフの起源にあたります。

12,均時差

出典:Breguet

均時差とは一年の長さを平均化し1日を24時間に区切った平均太陽時(通常の時計の計測方法)と真太陽時(地球が太陽の周りを回るの起動が楕円のため、時期によって一日の長さが違う)の差のことです。実際に時計の通りに平均された時刻とちょうど同じように時刻が進む(太陽が出て沈む)と言えるのは一年の間でたった4日間と言われています。夏至は一日が長く、冬至は一日が短いことがよく知られているため、日本に住んでいると実感しやすいでしょう。

ブレゲは前述のマリンクロノメーターにおいて当時最も精巧な均時差表示を搭載したモデルを製作していました。現代においてもそのDNAは受け継がれており、数少ない均時差表示機能を搭載したモデルを造っているブランドです。

3-2 ブレゲが開発した5つのデザイン

1,ギョーシェ彫り

今でも多くのブランドが利用する装飾技法のギョーシェ彫りを発明したのもアブラアン・ルイ・ブレゲでした。手動の旋盤によるギョーシェ彫りは一際目立つため、ブレゲ製の時計を見分ける重要なファクターになっていました。

ギョーシェ彫りは様々な点で職人技を要求される技法です。まずゴールドのプレートにノミを用いてギョーシェを彫り込む範囲の区分けをします。パワーリザーブ、スモールセコンド、ムーンフェイズなどそれぞれのギョーシェはよく使い分けられるため、機能が多いモデルほどギョーシェも複雑です。
ギョーシェには様々なモチーフが使われています。例えば鋲打ちのようなクル・ド・パリや放射状の太陽光線のようなソレイユ、炎のようなフラメなど時計や機能によって使い分けられ、文字盤の雰囲気を大きく左右します。彫り込みによる文字盤の凹凸で光が反射しにくくなることで視認性が上がるだけでなく、美観としても価値を持ったものになります。

今でも100年以上前のギョーシェ彫り機を使い、職人の手によって造り出されています。継承されてきた昔ながらの機械、技術によって10分の1mmといった繊細さが要求され、その全てに職人の手が不可欠です。現代においてはもちろん自動彫り込み機のような便利な機械もあるのですが、手作業によるギョーシェの美しさには程遠いため、手彫りの価値は非常に高いものとなっています。

2,ブレゲ針

ブレゲ針はブレゲが開発した機構やデザインの中で最も有名かもしれません。かつての時計は重厚感があり装飾が多かったため、針も同じように太く視認性が悪いものが多くありました。そんな中で開発されたブレゲ針はエレガントでスリム、かつ見やすいことで高い評判となり、現代においても多くの時計ブランドが採用しています。

ブレゲ針は先端部に円がついたデザインの針ですが、穴の空いたリンゴや三日月など様々なものに例えられます。針は中心部から先端に向かって細くなりますが、円と合流し対角に再度針先が出て、インデックスを指し示します。開発された当時の懐中時計はもちろん、現代においては針の重さは時計の設計において重要です。ムーブメントの生み出すトルクによって動かされる針は重さがネックとなるため、軽量な針は価値が高いと言えます。

3,ブレゲ文字

ブレゲ文字はアブラアン・ルイ・ブレゲが考案したインデックスの数字のことです。ブレゲは能書家ではないものの機能性とエレガンスに優れたデザインについての天賦の才を持っており、文字についても同様でした。

元々はエナメル文字盤に使われていた書体で、当時は小さな星や百合をモチーフにした分目盛とセットで使われていましたが、現代では様々な時計に採用されています。存在感があるのに主張しすぎない、伝統を感じさせるデザインです。

4,コインエッジ装飾

コインエッジ装飾はケースの側面をコインのように細かい溝を連続して施す装飾です。これはギョーシェと同じように手作業で施されており、ブレゲの時計全てに採用されています。現代の多くの時計にもクラシックな装飾技法として採用されています。

考案したアブラアン・ルイ・ブレゲは金貨の不正回収対策としてコインの側面にギザギザの装飾を入れていたのを見て、時計に応用できないかと考えたと言われています。

5,シークレットサイン

ブレゲの時計が成功を収めるにつれて、偽造品も出回るようになりました。こうした偽造品への対策としてシークレットサインを用いるようになりました。鋭いノミで薄く刻まれたサインは光にかざしてようやく見える程度でしたが、ブレゲ独自のサインを入れることで識別が可能となりました。現行のブレゲの時計においてもほぼすべてのモデルにシークレットサインが入っています。

4 ブレゲの代表シリーズ

ここまで様々な点で魅力的なブレゲについて紹介してきましたが、ここでは一つ一つのシリーズを深堀していきます。

4-1 トラディション

出典:Breguet

トラディションはブレゲが発明した機構の一つ、スースクリプションをモチーフに創られたシリーズで、左右対称のムーブメント構造を現代に蘇らせつつ文字盤側で見せることで伝統への回帰と現代のエッセンスが効いたシリーズとなっています。

例えばRef.7097BB/G1/9WUはてんぷを含む輪列が左右対称になるようにムーブメントが設計されており、時計の心臓部を余すところなく見ることができ楽しむことができます。10時位置のレトログラード式の秒針や12時位置にオフセットされた時分針は伝統的なデザインです。裏側ではかつてブレゲがフランスの貴族に寵愛されるきっかけとなった発明ペルペチュアルに採用された錨型のローターが搭載されており、歴史に名を残す時計師の発明に思いを馳せるのも面白いかもしれません。

4-2 クラシック

出典:Breguet

クラシックは1972年に発表されたシリーズで、ブレゲがかつて創り上げた洗練されたシンプルさを体現する時計がラインナップされています。視認性、高精度、無駄のないデザインといった特徴があり、エナメル文字盤やギョーシェ彫り、ブレゲ針など18世紀から受け継がれてきたデザインで構成されています。

例えばRef.5140BB/12/9W6はシンプルな2針+スモールセコンドのモデルですが、文字盤中央部とスモールセコンドのインダイヤル内のギョーシェは彫り方を変えることで光の反射の仕方が変わり、平面の文字盤に変化を感じさせることができます。ミニッツマーカーとインデックスを挟み込むように円形に彫られたギョーシェは均一で、端正な雰囲気を担っています。ブルースチールのブレゲ針はミニッツマーカーへぴったりの長さに設定されているなど、ディテールが極まっているモデルです。ブレゲのシンプルさを体現したシリーズですが、ディテールを見た時に最も深みがあり、楽しみを見つけていくシリーズです。

4-3 クラシックコンプリケーション

出典:Breguet

前述のクラシックをベースデザインに、現代の機構の70%を発明したとされるブレゲの技術・DNAが遺憾なく発揮されている複雑系シリーズがクラシックコンプリケーションです。中にはトゥールビヨン、ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダー、スプリットセコンド・クロノグラフ、パワーリザーブ・インジケーター、レトログラード、ムーンフェイズ
といった世界七大複雑機構を2つ以上搭載したグランドコンプリケーションもあり、スケルトン化されているモデルが多いため、ブレゲから継承されてきた技術の粋が楽しめます。

例えばRef.3797BR/1E/9WUはインダイアルの外・内など含め4種類のギョーシェを使い分けることで文字盤に深い立体感を生み出しています。12時位置にレトログラード式の日付表示、3時位置に月と閏年表示、6時位置にはトゥールビヨン機構とスモールセコンド、9時位置で曜日表示の永久カレンダーを搭載したグランドコンプリケーションモデルです。

4-4 マリーン

出典:Breguet

マリーンは18世紀にブレゲがフランス海軍に納めていた航海用時計マリーンクロノメーターをモチーフに1990年に創り上げたシリーズです。大ぶりで無骨ささえ感じるシンプルさのあるマリーンクロノメーターを現代のトレンドに合わせスポーティーに仕上げています。ブレゲによるラグジュアリースポーツラインです。

例えばRef.5547TI/Y1/9ZUは3時位置のインダイアルでアラームの時刻設定、6時位置に日付表示、3時位置に24時間計を備えています。海のような深い青の文字盤とかつてのマリーンクロノメーターを想起させる植字のローマンインデックスが採用されています。

4-5 タイプトゥエンティー・タイプトゥエンティーワン

出典:Breguet

タイプトゥエンティー・タイプトゥエンティーワンはパイロットウォッチシリーズで、1950年代にフランスの海軍航空部隊のパイロットのために開発された時計が始まりです。手巻きで製作されたオリジナルに対し、民間用として自動巻き化され1955年に発表されたモデルをシリーズ化したものです。

タイプトゥエンティー・タイプトゥエンティーワンにはアエロナバル(海軍航空隊の意)が時計愛好家の心を掴み人気だったことで、デイト表示付きのトランスアトランティックが展開されました。ケースサイズのアップとデイアンドナイトインジケーターを搭載したタイプトゥエンティーワン、さらにケースを大きくしつつ高速振動の脱針機を備えたムーブメントを搭載したタイプトゥエンティーツーが展開されています。

4-6 クイーン・オブ・ネイプルズ

出典:Breguet

クイーン・オブ・ネイプルズはブレゲを代表するレディースウォッチラインで、クイーン・オブ・ネイプルズとはナポリの女王という意味です。ナポレオン・ボナパルトの妹でナポリ王妃になったカロリーヌ・ミュラはブレゲの懐中時計・置き時計を合わせて30点以上買い付けたと言われており、王妃のための時計を開発していました。それは腕に着けて使うように設計されたもので、まさに世界初の腕時計とされるものでした。細長いケースとギョーシェが特徴だった時計をモチーフにシリーズ化したものがクイーン・オブ・ネイプルズです。

クイーン・オブ・ネイプルズは細長い卵のようなケース形状が特徴で、文字盤にはギョーシェだけではなくラッカー仕上げやマザーオブパールなど現代の高い技術と組み合わせることでさらに美しさが際立っています。ベゼルにダイヤモンドがセットされたモデルもあり、どこか高貴さを感じさせる雰囲気はまさに貴族に寵愛された時計といえるでしょう。

4-7 ヘリテージ

出典:Breguet

ユニークなシリーズが多いブレゲにおいて一際ユニークなシリーズがヘリテージです。特徴的なのは大型のトノーケースで、文字盤もケースも手首に沿うようにカーブしています。モデルによって何種類ものギョーシェやケースサイドへのコインエッジ、ブレゲ針などブレゲの時計によく用いられていた伝統的なデザインが採用されています。

例えばRef.5497BR/12/9V6は18Kローズゴールド製のトノーケースで、トゥールビヨンを搭載しています。オフセンターされた時分針は放射状の規則正しいギョーシェが使われていますが、それ以外はアトランダムな規則的ではないギョーシェが波のように彫られています。

5 ブレゲを着けている芸能人・有名人5選

ブレゲは奥深く語りたくなる歴史、格式の高さ、デザイン・機構が複雑でありユニークであることから、世界中の芸能人や有名人が好んで着けています。ここではブレゲの時計を着けている芸能人・有名人の情報をまとめます。

5-1 アーティスト TAKA

出典:Instagram

アーティスト TAKA氏が着けているのは マリーンⅡクロノグラフ Ref.5817ST/92/5V8です。Taka氏はInstagramやTwitterで着用しているシーンを発見され、ブレゲを好んでいることがわかります。

Ref.5817ST/92/5V8は現行ブレゲの中でも人気が高いモデルです。海の波を想像させる波のようなデザインをブレゲの伝統的なギョーシェ彫りで表現されたブレゲのイメージに沿っているモデルとなっております。

5-2 政治家 麻生太郎

政治家 麻生太郎氏が着けているのはクラシック Ref.5930BA/12/986です。高級時計の愛好家で知られており、他にパテック・フィリップの時計を着けているのを見ることができます。

Ref.5930BA/12/986は18Kイエローゴールドケース、自動巻き、日付表示有りの中三針モデルです。香箱を2つ積んだツインバレル仕様のため、パワーリザーブは96時間と標準の倍ですが、スチールバックのためデザインからの判別はできないようになっています。ブレゲ針、ケースサイドのコインエッジ、ローマンインデックスといったクラシックなデザインにまとまっています。

5-3 アイドル 木村拓哉

アイドル 木村拓哉氏が着けているのはマリーンⅡラージデイト Ref. 5817ST/Y2/SV0です。木村氏は若者のファッションアイコンと同時に時計愛好家としても知られており、ロレックス、オメガ、ブレゲなどの高級ブランドはもちろん、G-SHOCKなどのファッションブランドまで幅広く時計を着用されております。

Ref.5817ST/Y2/SV0はステンレススチール、自動巻き、ビッグデイト搭載モデルです。文字盤中央のギョーシェは波のようで海を想起させます。

5-4 アイドル 櫻井翔

アイドル 櫻井翔氏が着けているのはタイプXX トランスアトランティック Ref.3820ST/H2/9W6です。櫻井氏は時計愛好家でジャガールクルトやロレックスを所有しており、度々それぞれを着けているのを見られています。

Ref.3820ST/H2/9W6はステンレスケース、自動巻き、フライバッククロノグラフ搭載モデルです。フランス空軍に納めていた時計が基になっているパイロットウォッチで、夜行処理された針とインデックスや5刻みにインデックスされた回転ベゼルなど実用的でパイロットウォッチの王道のデザインとなっています。ケースサイドのコインエッジや丸みのあるケースデザインなどで気品漂うパイロットウォッチに仕上がっています。

5-5 俳優 伊藤英明

俳優 伊藤英明氏が着けているのはマリーン ロイヤル Ref.5847BR/Z2/5ZVです。伊藤英明氏はブレゲの他にもIWCやジンなどスポーティーなデザインを中心に所有しています。Ref.5847BR/Z2/5ZVはTVの企画で購入したもののようで愛用しています。

Ref.5847BR/Z2/5ZVは18Kローズゴールドケース、自動巻き、アラーム機能搭載モデルです。12時位置の小窓はアラームのオンオフ表示となっており、ラグジュアリースポーツの雰囲気を崩さない配慮がされています。無骨でスポーティーなケースデザインは、ケースサイドのコインエッジやブレゲ針でクラシックなデザインとバランスが取られています。

6 ブレゲのおすすめモデル5選

ここまでブレゲの歴史や魅力について語ってきましたので、特におすすめしたいモデルについて紹介します。

6-1 マリーン Ref.5517BB/Y2/5ZU

Ref.5517BB/Y2/5ZUは18Kホワイトゴールドケース、自動巻き、日付表示有りの中三針モデルで、2018年に第3世代として発表されています。文字盤中央の波模様のギョーシェが特徴的で、海を象徴するマリーンらしいデザインです。船のハンドルをイメージしたローターをシースルーバックの裏側から見ることができます。

文字盤の深い青は海を想起させ、ホワイトゴールドケースと相性のよいカラーです。夜行処理されたブレゲ針とインデックス、一体化されたラグの形状はスポーティーな印象が強く、マリンスポーツのような雰囲気をもったモデルです。

6-2 クラシック グランドコンプリケーション ミニッツリピーター 7637Ref.7637BB/12/9ZU

Ref.7637BB/12/9ZUはグランドコンプリケーションモデルで、18Kホワイトゴールドケース、ミニッツリピーターと3時位置に24時間計、9時位置にレトログラード式の秒針表示を備えています。文字盤中央と24時間計、レトログラードの秒針はそれぞれ異なるギョーシェが施されているため、視認性が高く美しい文字盤です。

ブレゲ針、ローマンインデックス、バリエーション豊かなギョーシェといった王道のクラシックデザインをベースに、ブレゲの真髄である複雑機構が愉しめます。チャイムで時刻を分単位で知ることができるミニッツリピーターはチャイム系の最高峰の機構です。また、手巻きのため、シースルーバックの裏蓋からは見事なエングレービングが施された地板やてんぷの動きを愉しむことができます。

6-3  トラディション インディペンデント クロノグラフ 7077 Ref.7077BR/G1/9XV

Ref.7077BR/G1/9XVは左右対称のムーブメントがモチーフとなったトラディションシリーズの複雑機構モデルです。18Kピンクゴールドケース、てんぷ1ケをクロノグラフ専用にした機構を搭載しています。2時位置のレトログラードは最大55時間のパワーリザーブ表示、10時位置のレトログラードは最大20分のクロノグラフ積算計です。

5時位置のてんぷは12時位置の時分針のために動き時刻を計測しています。7時位置のてんぷはクロノグラフ専用のてんぷのため、作動させたときだけ動きます。2つのてんぷが同時動くさまは時計愛好家の心を強く掴む魅力があるので、見かけた際にはぜひ見ていただきたい機構です。クロノグラフ針はこのモデル唯一の文字盤中央に設定されているため他の針よりも長いため、クロノグラフ動作時の針の動きもインパクトのあるデザインとなっています。

6-4 クラシック トゥールビヨン エクストラフラット アニバーサリー 5365Ref.5365BR/15/9WU(2021年新作)

Ref.5365BR/15/9WUは18Kローズゴールドケース、トゥールビヨンを搭載した2021年新作です。ブレゲがトゥールビヨン機構の特許を取得して220年記念に製作されたモデルで、トゥールビヨンの上に描かれた「Brevet No 157」の文字は1801年に認可された特許第157号を示しています。

文字盤中央ではなく10時方向にわずかにオフセンターされた時分針と5時位置のトゥールビヨンが特徴です。トゥールビヨンのブリッジにブルースチールが採用されるのもクラシックモデルとしては珍しいデザインです。シースルーバックの裏蓋からは1801年の特許登録の際に用いた水彩による機構図の原画をエングレービングで再現しています。

6-5  タイプ XXI 3815 Ref.3815TI/HO/3ZU(2021年新作)

Ref.3815TI/HO/3ZUはチタンケース、センター針と同時に作動するクロノグラフを搭載したモデルです。1950年代に初めてフランス海軍航空隊からの依頼でパイロットウォッチを製作したときから、デザインのベースは変わっていません。前のモデルのRef.3817よりも現代的でスポーティーな雰囲気に仕上がっています。

Ref.3815TI/HO/3ZUは世界限定250本で、オレンジ色のインデックスは今は使用できなくなった夜光塗料トリチウムを使用したインデックスをモチーフにしています。3時位置に24時間計、9時位置にスモールセコンド、センターの針はクロノ針と60分積算計となっています。

7 時計の歴史を200年早めた時計師のブランド ブレゲ

ブレゲの歴史や魅力についてまとめました。ブレゲは時計の歴史を200年早めた時計師が創業したブランドで、伝統的なスイス時計の雰囲気と数々の複雑機構が愉しめます。かつて貴族に寵愛された時計のDNAを感じることができる歴史的にも貴重な時計です。店頭でブレゲの時計を見た際にはぜひ一度手にとってみてください。

かんたん30
お手軽査定

手数料0

査定料、キャンセル料、買取手数料等

やさしい相場説明

売るのが初めての方でもご安心ください

店舗が近くにないお客様のために 宅配買取をご用意!

宅配キットを無料で申込む

人気のコラム

コラムカテゴリー

ブランド

タイトルとURLをコピーしました