2024年8月23日
エルメスのヴィクトリアとは?魅力7選・廃盤と新モデルなど徹底解説
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エルメスは1837年、フランスのパリで創業した老舗ブランドです。当初は馬具製品を専門としていましたが、時代の変化に伴い新たな道を模索しました。その結果、馬具制作で培った卓越した職人技術を活かし、高品質なレザーアイテムの展開を開始したのです。創業以来、最高級の素材と丁寧な縫製へのこだわりを貫き、エルメスは今や世界中の人々に愛される象徴的なブランドへと成長しました。
2007年、エルメスは新たなバッグライン「ヴィクトリア」を発表しました。ボストンバッグスタイルのヴィクトリアは、エルメスのバッグコレクションの中でもユニークな存在として注目を集めています。本記事では、ヴィクトリアの7つの魅力、廃盤と新モデルについて、サイズ展開などを解説していきます。
また、人気の6つの派生アイテムをご紹介するとともに、ヴィクトリア1とヴィクトリア2の違い、新モデルのヴィクトリア3についても説明します。さらに、ヴィクトリアに似ているバッグ「プリュム」との違いにも触れています。
本記事をご一読いただき、エルメスのヴィクトリアをより深く知っていただくきっかけとなれば幸いです。
目次
1 ヴィクトリアとは
ヴィクトリアの名前は、カナダのブリティッシュコロンビア州にある都市の名称に由来しています。ヴィクトリアは年間を通して降水量が少なく、美しい景観、過ごしやすい気候などから留学先としても高い人気を誇っています。
エルメスには世界中の都市にちなんだ名前のバッグが多数あり、ヴィクトリアもそのひとつです。このバッグは、ゆったりとした生活と美しい景観が特徴的なヴィクトリアをイメージして制作された、ボストンバッグとなっています。
2021年、ヴィクトリアは新しいレザー素材である「マッシュルーム・レザー」を用いたモデルを発表したことでも話題となりました。マッシュルームレザーとはキノコレザーとも呼ばれ、きのこの根の部分にある繊維質の菌であるマイセリウムからレザー成分を抽出した素材です。マッシュルームレザーは環境に配慮した新素材として注目を浴びており、エルメスがいち早く取り入れたことで話題となっています。
今後、エルメスが他のアイテムにもマッシュルームレザーを採用する可能性は高く、その先駆けとなったヴィクトリアは、ブランドの歴史においても特別なバッグと言えるでしょう。
2 ヴィクトリアの魅力や特徴7選!
ヴィクトリアは2007年に発表された、使い勝手のよい大容量のボストンバッグです。ダブルファスナーを採用し、実用性と美しさを備えています。ここでは、ヴィクトリアの魅力を7つのポイントに絞って詳しく解説します。
2-1 ①外側と内側の素材が違う
ヴィクトリアは、大容量のボストンバッグでありながら、使いやすさを追求した独自の素材使いが特徴です。まず、外側には高品質なレザー素材を採用し、エルメスならではの上質な風合いを実現しています。一方で内側には軽量な布素材を使用することで、バッグ全体の重量を抑えています。
この素材の組み合わせにより、多くの荷物を収納しても持ち運びやすい設計となっています。また、内側の布製素材は傷つきにくいため、荷物の出し入れがスムーズで、ボストンバッグとしての機能性も高めています。
ヴィクトリアの主な外装素材には、柔らかくて滑らかな質感が特徴のトリヨンクレマンスが使用されています。他にもトゴなどのレザー素材や、キャンバス素材のトワルアッシュを採用したモデルも展開されており、使用シーンや好みに合わせて選択できる豊富なバリエーションも魅力のひとつです。
2-2 ②ダブルファスナーで開口部が大きく開く
ヴィクトリアは、ダブルファスナーが設置されているのも特徴です。ダブルファスナーは両手で開け閉めできるため、使い勝手に優れています。
また、ファスナーの位置がバッグ側面の下の方まで設置されているため、開閉部を大きく開くことが可能です。大きな開口部は荷物を見渡せるため、荷物の位置をすぐに把握できるというメリットがあります。この特徴もボストンバッグならではの魅力と言えます。
2-3 ③ユニセックスで使える
エルメスのバッグは女性向けに作られたモデルが多いですが、ヴィクトリアは男性向けやビジネスシーンを意識したデザインも展開しています。また、男性向けの派生アイテムではなくてもバッグ自体が大きいため、男性からの需要が高いのが特徴です。ユニセックスで使えるバッグは珍しいため、男女で共有して使用できるのが嬉しいポイントです。
2-4 ④セミショルダーバッグとして使える
ヴィクトリアは、ハンドルが長めに作られているのも特徴です。特に最小サイズのヴィクトリア35のハンドルは長く、荷物が少なめであれば肩に掛けて使用できます。それ以上のサイズでも、ハンドルを手に持ちながら肩に掛けるセミショルダースタイルが可能です。
このセミショルダーバッグとしての使用方法は、通常のハンドバッグより手首への負担を軽くしてくれるだけでなく、おしゃれに持ち歩くことができます。
2-5 ⑤底鋲があるため素材を傷つけにくい
ヴィクトリアの特徴のひとつに、底鋲の設置があります。ボストンバッグは多くの荷物を収納するため、長時間持ち続けると身体に負担がかかります。底鋲があることで、バッグを地面に置いても素材を傷つけにくく、適度に休憩をとることができます。
この特徴は、ビジネスシーンや旅行など長時間使用する場面で特に重宝します。
2-6 ⑥エルメスアイテムだと分かりにくい
ヴィクトリアは、一見してエルメス製品だと分かるような目立つデザインを避けています。このさりげない外観は、エルメスブランドを前面に出さないデザインのバッグを探している方に最適です。ファスナー金具にさりげなく刻まれた「HERMES」の文字以外に、目立つブランドの特徴はありません。
そのため、ヴィクトリアがエルメス製品だと判断できるのは、エルメスファンのみといった特別感も魅力となっています。
2-7 ⑦カラー展開が豊富
ヴィクトリアは豊富なカラー展開が特徴で、熟練した職人がひとつひとつエルメス独自のカラーを制作しています。人気カラーには、ビジネスシーンでも使いやすい落ち着いたエトゥープやブラック、濃いブラウン系があります。これらは男性からも支持が高く、需要が特に大きいです。
明るいカラーも豊富に取り揃えられており、エルメスの他のバッグラインでも人気の高い色が多く採用されています。例えば、大人の雰囲気漂うルージュ系、爽やかで鮮やかなブルー系、そしてエルメスを象徴するオレンジ系が挙げられます。この豊富なカラーバリエーションは、日々のファッションコーディネートに彩りを添え、使う人の気分を豊かにしてくれます。
3 ヴィクトリアのサイズ展開
ヴィクトリアは3種類のサイズ展開があります。ボストンバッグの特性上、最小サイズであっても他の一般的なバッグと比べると大きいのが特徴です。各サイズの具体的な寸法、収納可能な荷物量、想定される使用シーンなどを紹介します。
3-1 ヴィクトリア35
ヴィクトリア35は、ヴィクトリアシリーズの中で最小サイズであり、最も人気があります。寸法はおよそ幅35×高さ23×マチ15cm、ハンドルの長さはおよそ50cm、ハンドルドロップ(ハンドルの頂点からバッグのボディ部分までの長さ)はおよそ23cmです。ハンドルが長めのため、荷物が少ない場合は肩掛けも可能です。
このサイズは特に女性に人気が高く、日常使いからビジネスシーンまで幅広く活用できます。収納可能な荷物は、スマートフォンや財布、キーケースなどの必需品に加え、タブレットや文庫本も収納可能です。活用シーンとして、ジム通いの際に愛用している方もいます。
ヴィクトリア35の魅力は、十分な容量がありながらオールレザーバッグより軽量なことです。そのため、遠出にも最適で使い勝手に優れています。人気サイズゆえにカラーバリエーションも豊富で、中古市場でも品揃えが豊かなのが特徴です。
3-2 ヴィクトリア43
ヴィクトリア43の寸法は、およそ幅43×高さ25×マチ20cmです。ハンドルの長さはおよそ40cmとなっているため、ショルダーバッグとして使うのは難しいサイズ感です。このモデルは女性だけでなく、男性からの需要も高いのが特徴です。
男性の愛用者の中には、ブラックのようなシックなカラーを選択し、ビジネスシーンに活用する人もいます。また、ハンドルを持ちながら肩に掛ける、セミショルダーの持ち方をする人も見られます。収納力は抜群で、A4サイズの書類やノートパソコンを収納できるサイズとなっており、小旅行のお供にもぴったりです。
3-3 ヴィクトリア50
ヴィクトリア50は、ヴィクトリアシリーズの中で最大サイズです。寸法は、およそ幅50×高さ35×マチ23cmと、非常に大容量です。この大きさは、家族旅行や長期出張など、多くの荷物を持ち運ぶ必要がある場面に最適です。
このモデルの特徴として、制作数が比較的少ないことが挙げられます。そのため、中古市場では出品数が限られており、希少性が高くなっています。
4 ヴィクトリアの定価と中古価格
ヴィクトリアの定価は公表されていないため、現在の正確な価格は不明です。しかし、2023年3月時点で、ヴィクトリアⅡ 35の定価が655,600円であったことが分かっています。エルメスは年に1〜2回価格改定を実施するため、現在はこれより高額になっている可能性があります。
中古価格については、サイズによって差があります。最も人気が高いヴィクトリア35は、他のサイズに比べて中古価格が高い傾向にあり、およそ20〜40万円となっています。一方、ヴィクトリア43とヴィクトリア50の中古価格はおよそ10〜20万円代で推移しています。
ただし、中古価格はバッグの素材や状態、製造年など様々な条件によって変動します。ここに記載している中古価格はあくまで参考程度とお考えください。
5 ヴィクトリア1と2の違いとは?
ヴィクトリアには1と2のモデルがあり、それぞれⅠ(アン)とⅡ(ドゥ)のように記載されることがあります。エルメスは公式に両者の違いを明言していませんが、実際には2点の違いがあることがわかっています。
1つ目の違いは、内ポケットです。ヴィクトリア1の内ポケットはオープンタイプですが、ヴィクトリア2ではファスナー付きとなっています。2つ目の違いは、付属品にあります。ヴィクトリア1にはネームタグが付属していますが、ヴィクトリア2には付属していません。
5-1 3(Ⅲ・トロワ)も存在する
2024年8月現在、中古市場では「ヴィクトリアⅢ」(トロワ)モデルの出品が確認されています。ただし、出品数は非常に限られており、特にヴィクトリア43や50のサイズは見当たりません。現在確認できるのは、ヴィクトリアⅢミニバッグとヴィクトリアⅢ35となっています。
注目すべきは、ヴィクトリアⅢの価格帯です。中古市場では軒並み100万円以上の高値で出品されており、これは制作数の少なさや高い人気を表しています。ヴィクトリアⅢはヴィクトリアシリーズの最新モデルとして販売されているようで、今後ヴィクトリアⅢの43や50サイズも市場に登場する可能性があります。
6 ヴィクトリアは廃盤している?
インターネット上でヴィクトリアの廃盤に関する噂が流れていますが、2024年8月現在、公式にはその事実は確認されていません。最近登場したと思われるヴィクトリアⅢの存在を考慮すると、シリーズ全体が廃盤になった可能性は低いと考えられます。
ただし、ヴィクトリアⅢの登場により、ヴィクトリアⅠやⅡの生産が終了または縮小される可能性は高いでしょう。エルメスの製品ラインの更新傾向を考えると、新モデルへの移行が進んでいる可能性があります。
7 ヴィクトリアの人気派生アイテム5選
ヴィクトリアは派生アイテムが多彩で、様々なフォルムが展開されています。ここでは、豊富な派生アイテムの中から特に注目すべき5つを厳選し、その特徴を解説します。
7-1 ①ヴィクトリア エラン
ヴィクトリアエランは、ヴィクトリアシリーズの中でも特徴的な横長フォルムを持つ派生モデルです。ヴィクトリア38としても知られるこのバッグは、およそ幅38×高さ20×マチ9cmというサイズ感が魅力です。
標準的なヴィクトリア35(マチ約15cm)と比較すると、エランはよりスリムでエレガントな印象を与えます。さらに、約60cmという長めのハンドルを採用しており、ショルダーバッグとしての使用も可能です。
7-2 ②ヴィクトリア カバス
ヴィクトリアカバスは、縦長のフォルムが特徴的なモデルです。ヴィクトリアカバス32の寸法は、およそ横32×高さ30×マチ14cmです。この縦長のデザインと十分なマチにより、多くの荷物を効率的に収納できるのが大きな魅力となっています。
また、ハンドルの長さがおよそ46cmあるため、トートバッグのように肩掛けで使用することも可能です。
7-3 ③ヴィクトリア ミニバッグ
ヴィクトリアのミニバッグは、ヴィクトリアⅢシリーズで登場した新アイテムで、伝統的なボストンバッグのフォルムを継承しています。従来のヴィクトリア同様、パドロックとダブルファスナーによる施錠機能を備えており、セキュリティ面での魅力を引き継いでいます。寸法はおよそ幅26×高さ11×マチ18cmで、コンパクトながら広めのマチにより高い収納力を実現しています。
このバッグの最大の特徴は、ショルダーストラップが付属されていることです。ハンドバッグとしての使用に加え、斜めがけして使えるため機能性を高めています。
7-4 ④ヴィクトリア ライト
ヴィクトリアライトは、スタイリッシュな印象を与えるビジネス向けのバッグです。寸法はおよそ幅38.5×高さ28×マチ6cmで、薄型ながら機能的なデザインが特徴です。ユニセックスで使えるこのモデルは、ビジネスシーンでの使用に最適ですが、ツイリーなどでアレンジを加えることで、カジュアルな普段使いにも活用できます。
7-5 ⑤ヴィクトリア2 12H
ヴィクトリア2 12Hは、メンズ向けのブリーフケースとして発表された、ビジネスシーン特化型のモデルです。寸法はおよそ幅40×高さ27×マチ9cmで、ヴィクトリアライトと似たフォルムながら、よりビジネス用途に適したデザインとなっています。
8 ヴィクトリアとプリュムの違いとは?
ヴィクトリアと外見が似ているバッグとして、プリュムがよく挙げられます。プリュムはブランケットホルダーからインスピレーションを得て制作されたバッグで、ボストンバッグのヴィクトリアと同様、旅行用バッグとして適しています。
プリュムはフランス語で「羽のような軽さ」を意味し、その名の通り軽量性が特徴です。しかし、ヴィクトリアとプリュムには明確な違いがあります。以下では、この二つのバッグの違いを4つのポイントに分けて解説していきます。
8-1 違い①歴史の長さ
プリュムは1967年に登場し、2006年デビューのヴィクトリアと比べると、はるかに長い歴史を持っています。この歴史の差は多くの方を驚かせるかもしれません。プリュムは現在も現行品として販売が続いており、その長い歴史と人気の高さを物語っています。
8-2 違い②サイズの種類
プリュムの特徴のひとつに、豊富なサイズ展開があります。様々な使用シーンに合わせて細かく選択できる点が、多くのユーザーから支持を得ています。以下に、プリュムのサイズ展開を表で示します。
商品名 | サイズ(幅×高さ×マチ) |
プリュム20 | およそ20×15×7cm |
プリュム28 | およそ28×20×10cm |
プリュム32 | およそ32×24×11cm |
プリュム35 | およそ35×25×11cm |
プリュム40 | およそ40×30×20cm |
プリュム45 | およそ45×33×20cm |
プリュム55 | およそ55.5×38×21cm |
この豊富なサイズ展開により、プリュムは日常使いから旅行用まで、幅広いニーズに対応できる多様性の高いバッグラインとなっています。
8-3 違い③ファスナーの数
ヴィクトリアとプリュムは、ファスナーの数と構造に違いがあります。ヴィクトリアはダブルファスナーを採用し、ロック可能な金具が配置されているのが特徴です。これにより、セキュリティ面での安心感が高まっています。
一方、プリュムはシングルファスナーを採用しており、よりシンプルなデザインとなっています。この違いは、それぞれのバッグの用途や使い勝手に影響を与えており、ユーザーの好みや必要性に応じて選択できる点も魅力の一つと言えるでしょう。
8-4 違い④ハンドル
ヴィクトリアとプリュムは一見似た外観を持ちますが、ハンドルとバッグ本体のつなぎ目に違いがあります。プリュムは、ハンドルとバッグ本体のつなぎ目に金具を使用しています。この設計により、ハンドルの可動域が広くなっています。
一方、ヴィクトリアのハンドルは金具を使用せず、バッグ本体に直接縫製されています。この構造は、よりシンプルで洗練された印象を与えますが、ハンドルの動きはプリュムに比べてやや制限されます。
この一見小さな違いは、実際の使用感に影響を与えます。プリュムはより柔軟な持ち方が可能で、ヴィクトリアはより安定した持ち心地を提供します。バッグの選択肢には、この違いも考慮に入れるとよいでしょう。
9 ヴィクトリアは派生アイテムが多彩な大容量のボストンバッグ
ヴィクトリアは2006年に登場した、大容量の荷物を収納できる人気のボストンバッグです。その優れた使い勝手から高い評価を得ており、魅力は多岐にわたります。ダブルファスナーによる使いやすい構造、底鋲設置による素材保護、ユニセックスデザインなどが特徴的です。
常に進化を続けるヴィクトリアは、現在Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのバージョンが展開されています。さらに、豊富な派生アイテムのラインナップも大きな特徴となっています。この多様性と革新性により、ヴィクトリアは幅広いニーズに応える多機能なバッグとして支持を集めています。
今後も新たなデザインや機能の登場が期待される中、ヴィクトリアはエルメスの代表的なバッグラインとして注目を集め続けるでしょう。本記事を通じて、ヴィクトリアの魅力と多様性をより深く理解していただけたなら幸いです。