2025年1月23日
エルメス「クリッパー」とは?人気の理由や廃盤の理由を徹底解説!

エルメスのクリッパーは、1981年から2018年まで製造された、ブランドを代表する腕時計です。37年という長い歴史の中で、メンズ・レディース双方から支持を集め、クロノグラフをはじめとする多彩なモデルを発表してきました。廃盤後は、その希少性から価値が上昇傾向にあり、中古市場でも注目を集めています。
本記事では、クリッパーの歴史や特徴、代表的なモデルについて詳しく解説します。また、生産終了に至る背景から本物の見分け方、定価や現在の価値まで幅広く取り上げていきます。さらに、「ダサい」という評価の真相や、愛用している芸能人、現在の入手方法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.エルメスの腕時計の歴史
エルメスの腕時計の歴史は1928年にまでさかのぼり、ラグジュアリーブランドの中でも際立って長い伝統を誇っています。1928年、エルメスは3代目エミール・エルメスのもとで時計製造に着手しました。
馬具工房から世界的なメゾンへと成長を遂げていた時期であり、同じラグジュアリーブランドのシャネルよりも約60年も早い参入となりました。ただし、当時は懐中時計が主流であり、世界的なラグジュアリーウォッチブランドとしての評価を確立するまでには、長い時間を要することになります。
初期の時計製造では、スイスの名門メーカー、ジャガー・ルクルトやユニバーサル・ジュネーブと協力関係を築きながら製品を生み出していきました。そして1978年、エルメスは大きな転換点を迎えることになります。スイスのビエンヌに自社の時計専門メーカー「ラ・モントル・エルメス」を設立し、本格的な時計生産への道を歩み始めたのです。
そして2003年、高級ムーブメントで知られるヴォーシェ・パルミジャーニ社との提携により、エルメスの時計は技術面での飛躍的な進化を遂げました。この提携により、伝統的な革工芸の技術と、スイスの最先端の時計技術を見事に融合させることで、他のラグジュアリーブランドとは異なる独自の魅力を持つアイテムとなったのです。その結果、確かな時計メーカーとしての評価を獲得し、今日に至っています。
2.エルメスのクリッパーとは?
クリッパーは、1981年から2018年までの37年間にわたり製造された、エルメスを代表する腕時計です。船の舷窓からインスピレーションを得た丸いケースと、その周りを飾るビス、ブレスレットには「H」型のコマを連ねたエルメスならではのデザインが特徴的となっています。
エルメスの時計製造へのこだわりを体現したクリッパーは、さまざまなシーンや好みに応える豊富なバリエーションを展開してきました。高級時計にふさわしい機能性を備えながら、エルメスならではの美意識を随所に感じられる洗練されたモデルとして、多くの人々を魅了してきたのです。また、ダイヤルの裏面に刻まれた「H」の文字と四輪馬車のマークは、ブランドの伝統を受け継ぐ象徴としても知られています。
こうした特徴を持つクリッパーは、ファッションに敏感な女性からビジネスパーソンまで幅広い支持を集め、高い人気を誇っている腕時計です。
2-1.クリッパーの名前の由来
クリッパーは、19世紀の海運で活躍した大型帆船にちなんで名付けられました。クリッパー船は、全長に比べて細身の船体と複数のマストを持つ特徴的な帆船で、当時、その美しい姿で知られていました。
このクリッパー船の要素は、時計のデザインにも活かされています。船の舷窓を思わせる丸いケースと、その周りに配置されたビスの装飾は、クリッパー船の特徴を巧みに表現したものとなっています。
2-2.クリッパーのバックルの変化
クリッパーは時代とともにバックル(留め具)を改良し、より使いやすい時計へと進化を遂げてきました。その変化は、大きく3つの時期に分かれています。
誕生当初のモデルは、ベルトが繋がっていない構造でした。腕時計を外すと完全に開く仕様で、文字盤を上向きに置けるという特徴がありましたが、着け外しに手間がかかるという難点もありました。
その後のモデルでは装着のしやすさを重視し、片側開きのバックルを採用しています。さらに後期モデルでは、使用時の負担を軽減し耐久性も向上させた、観音開きへと改良されました。このようなバックルの変遷は、クリッパーの歴史を物語る重要な要素となり、現在ではヴィンテージウォッチとしての価値を高める特徴のひとつとなっています。
3.クリッパーの注目モデル
エルメスのクリッパーは、正確な時を刻む機能性と、ブランドならではの洗練されたデザインが融合したコレクションとして親しまれてきました。基本モデルのクリッパーPMを軸に、さまざまな用途や好みに応える豊富なバリエーションを展開しています。
機能面における実用性は、使用シーンに応じて細やかに設計されてきました。デイリーユースを想定した基本モデルには、安定した精度のクォーツムーブメントと、日常生活での水濡れに対応する5気圧防水が組み込まれています。一方、アクティブな使用を想定したスポーツモデルには、自動巻きムーブメントと20気圧防水機能を備え、マリンスポーツでの使用も可能です。
購入後のカスタマイズ性も、クリッパーの大きな特徴といえるでしょう。ブレスレットには「H」型のコマを連ねたエルメスならではのデザインを採用しており、好みに応じて革ベルトへの交換も可能となっています。エルメスが得意とするレザーを組み合わせることで、品格を保ちながら個性的なアレンジを楽しめるのです。
以下、各モデルの特徴について詳しく解説します。
3-1.クリッパーPM
クリッパーPMは、エルメスの時計コレクションの中で最も親しまれているスタンダードモデルです。装飾を控えたモデルからゴージャスなモデルまで、多彩に展開されています。洗練されたデザインと確かな品質により、長く愛用できる時計として高い評価を得ています。
実用性の面では、電池式のクォーツムーブメントによって正確な時を刻み、日常生活での水濡れにも対応する5気圧防水機能を搭載しています。ブレスレットにはエルメスならではの「H」型のコマを連ねたデザインを採用することで、さりげない品格を演出しています。
クリッパーPMには、予算や好みに合わせて選べる代表的な3つのバリエーションがあります。基本となるオールステンレススチールモデルでは、ケースからブレスレットまでの全てにステンレススチールを使用しています。シンプルなデザインのため、どのようなスタイリングにも違和感なく溶け込みやすいモデルです。
より華やかな印象を求める方向けには、ゴールドとステンレススチールのコンビネーションモデルがおすすめです。ブレスレットの「H」部分とダイヤル周りにゴールドを配しており、ダイヤルにはマザーオブパールが使用されています。
ゴージャスな印象を与えるダイヤモンドモデルでは、ベゼルに42個のダイヤモンドが配置されています。オールステンレススチールモデルと、オールステンレススチールとピンクゴールドを組み合わせたモデルが展開されています。記念日や大切な方への贈り物として、選ばれることも多いモデルです。
3-2.クリッパー ナクレ
ナクレは、フランス語で「真珠層」や「真珠のような光沢の」を意味し、この言葉に由来するエレガントなモデルです。文字盤に白蝶貝を用いることで、光の角度によってさまざまな表情を見せる美しいモデルとなっています。手元で見せる繊細な輝きの変化は、他のモデルにない特別な魅力です。
白蝶貝が放つ優美な光沢が装いに気品と華やかさを添え、特別なシーンでの着用にも相応しい雰囲気を醸し出しています。基本となるクリッパーの洗練されたデザインに白蝶貝の文字盤が調和し、エレガントでありながらも主張しすぎない上品な佇まいが特徴です。そのため、オフィスでの使用からフォーマルなシーンまで、幅広い場面で活躍する時計として支持されています。
3-3.クリッパー ピンクシェル
白蝶貝を淡いピンク色に染め上げた文字盤を持つ、繊細な美しさが魅力のモデルです。通常の白蝶貝が放つ輝きに加え、優しいピンクの色合いが、着用する方の手元に柔らかな表情をもたらします。ゴールドのケースやブレスレットとの組み合わせが、この優美な印象をさらに引き立てます。
シンプルでありながら個性的な魅力を備えたピンクシェルは、ビジネスシーンではさりげない上品さを、プライベートでは華やかな存在感を演出します。ゴールドの輝きとピンクの優しい色合いは、幅広い年代の方に似合う組み合わせとなりました。初めての高級時計として、また大切な方へのギフトとしても選ばれることの多い一本となっています。
3-4.クリッパー クロノグラフ(メンズ向け)
クロノグラフとは、ストップウォッチ機能という意味を持ちます。時計の側面に配置された3つのプッシュボタンによって、操作できる仕様となっています。時計としての基本性能に加え、ストップウォッチとしても使える機能性の高いモデルです。44ミリメートルの存在感のあるケースも特徴的で、男性はもちろん、メンズライクな時計を好む女性から人気の高いモデルとして知られています。
スイス製の自動巻きムーブメントを搭載し、フル巻き上げの状態から46時間の駆動が可能です。腕の動きで自然に巻き上がる機構により、日常的な使用でも扱いやすい設計となっています。文字盤には3つのサブダイヤルを配置し、計測時間が正確に表示されるのも特徴です。
操作性を重視した大きめのプッシュボタンと視認性の高い文字盤により、アクティブなシーンでも使いやすい設計です。また、洗練されたサイズ感により、スポーツ時だけでなくビジネスシーンでも違和感なく着用できるでしょう。ブレスレットには、エルメスのアイコンである「H」型のコマを連ねたデザインを取り入れ、スポーツウォッチでありながらブランドの世界観も表現されています。
3-5.クリッパー ダイバークロノグラフ(メンズ向け)
通常のクリッパーシリーズから本格的なダイビング仕様へと進化を遂げ、クロノグラフを搭載したのがクリッパー ダイバークロノグラフです。20気圧防水機能を搭載し、水深190メートル相当の防水性能により、海中での使用も安心して行うことができます。通常のクリッパーが持つ上品な雰囲気とは異なり、たくましさと機能美を追求したデザインは、特に男性から高い支持を得ています。
性能面において特筆すべきは、クォーツムーブメントの採用です。機械式時計で必要とされる定期的なメンテナンスを最小限に抑えることにより、アウトドアでも気兼ねなく使える実用性を実現しています。力強いケースデザインと大きな文字盤により、水中でも優れた視認性を確保しており、ダイビンググローブを着用した状態でも操作しやすい設計となっています。
プロフェッショナルな性能を備えながらも、腕時計本来の美しさを損なわない洗練されたデザインにより、このモデルは日常使いの腕時計としても幅広い層から支持されています。
3-6.クリッパー オーバルデザイン
縦長の丸みを帯びたフォルムが特徴的なオーバルは、クリッパーコレクションの中で最も繊細な印象を与えるモデルです。時を刻む目印として、数字の代わりに均等に配置された金属パーツによって、独創的なデザインのアクセントを生み出しています。手首に自然に馴染む控えめなケースサイズは、2種類のラインナップがあり、身につける方の体格や好みに合わせて選ぶことができます。
時計としての機能性はもちろん、ブレスレットのような装飾品としての魅力も兼ね備えた一本です。ストラップには、艶のある金属製と上質な皮革の2種類を採用しており、それぞれの素材が放つ異なる表情により、日々のコーディネートの可能性を広げています。シンプルでありながら洗練された雰囲気は、どのようなシーンでも自然な存在感を演出します。
エルメスらしい優美さを備えながらも、比較的親しみやすい価格帯で展開されており、日常的に楽しめるラグジュアリーアイテムとして高い評価を得ているモデルです。
4.クリッパーの魅力・人気の理由
クリッパーは1981年の発売以来、さまざまな魅力を築き上げてきました。優れた品質とデザイン性はもちろん、時代とともに新たな価値を生み出し続け、多くの人々を魅了しています。以下では、豊富なバリエーションから希少価値まで、クリッパーが長年にわたって支持され続ける理由について詳しく解説していきます。
4-1.豊富なバリエーション
クリッパーの最大の魅力は、さまざまな好みやニーズに応える豊富なバリエーションを展開していることです。スタンダードなPMモデルから、白蝶貝を使用した優美なナクレ、スポーティーなクロノグラフ、本格的なダイバーモデルまで、幅広いラインナップを取り揃えています。
使用シーンに合わせた選択肢も豊富です。ビジネスシーンではシンプルで品格のあるPMモデル、特別な場面では華やかなピンクシェル、アクティブなシーンではダイバークロノグラフというように、ライフスタイルに合わせて最適なモデルを選ぶことができます。
また、メンズ・レディース双方のニーズに応える設計となっており、男女問わず幅広い支持を集めています。同じモデルでもケースサイズやカラーバリエーションが充実しているため、性別や年齢を超えて、それぞれの個性に合った一本を見つけることができるのです。
4-2.時代に左右されない普遍的なデザイン
クリッパーが人気の理由のひとつに、時代を超えて愛され続けるデザイン性があります。1981年の発売以来、基本的なデザインコンセプトを守り続けながら、洗練された美しさを追求してきました。エルメス製品には「流行に惑わされない普遍的な価値の追求」があり、クリッパーのデザインにも息づいています。
品格のある佇まいは、時代とともに色あせることなく、むしろ着用するほどに愛着が増していく魅力があります。このような普遍的なデザインは、長期にわたって使い続けることができる腕時計として、高い評価を得ています。流行に左右されない美しさは、次の世代へと受け継ぐことのできる価値を持ち続けているのです。
4-3.高い品質
クリッパーは、エルメスの時計製造の歴史と技術が結集されて生まれた製品です。1978年にスイスのビエンヌに設立された時計専門メーカー「ラ・モントル・エルメス」で製造を行い、2003年からはヴォーシェ・パルミジャーニ社との技術提携によって、さらなる品質の向上が図られました。
実用面での品質追求も徹底しています。風防には高級時計の代名詞とも言えるサファイアクリスタルを採用し、日常使用による傷つきを防ぐ工夫を施しました。さらに、表面には特殊な反射防止加工を施すことで、時計にとって最も重要な機能である時刻の視認性を確保しています。
このように、スイスの最先端の時計技術とエルメスの伝統的なものづくりの精神を組み合わせることで、独自の品質基準を確立しました。その結果、確かな時計メーカーとしての評価を得て、多くの人々から支持されています。
4-4.時計の裏に刻まれたロゴ
エルメスブランドを象徴するロゴマークは、一部のスケルトンバックを除くクリッパーの全モデルの裏面に刻印されています。このロゴには馬車と従者の姿が描かれていますが、馬車の中には人が乗っていないという特徴があります。この意匠には「エルメスは最高の製品を提供しますが、それを使いこなし、価値を見出すのはお客様ご自身です」というブランドの理念が込められているのです。
時計の裏面という控えめな場所に刻まれたこのロゴには、エルメスが長年貫いてきた顧客第一の姿勢が表現されています。製品はお客様のためにあり、主役はお客様自身であるという考えは、時計製造においても大切に受け継がれてきました。このような謙虚な姿勢が、エルメスが世界中で愛され続けている理由のひとつとなっているのです。
4-5.ヴィンテージブーム
近年のヴィンテージブームにより、クリッパーは新たな脚光を浴びています。長い歴史を持つクリッパーの古いモデルを現代的なファッションに取り入れることで、独自の魅力を放つアイテムとしての評価が高まっているのです。
特に若い世代を中心に、新品では味わえない個性と歴史を持つヴィンテージウォッチへの関心が広がっています。クリッパーは、普遍的なデザインと確かな品質により、時代を超えて現代のスタイルにも違和感なく調和します。長年愛され続けてきたデザインと、時を重ねることで生まれる独特の表情が、現代のファッションシーンにおいても新しい価値を創り出しているのです。
5.クリッパーが廃盤になった理由は?
クリッパーは多くのファンから支持されていたにもかかわらず、2018年に惜しまれながら廃盤となりました。エルメスは正式な廃盤の理由を公表していませんが、その背景にはいくつかの要因があったと考えられます。ここでは、廃盤になった考察理由を3つ挙げてみたいと思います。
5-1.理由①:白蝶貝の確保が難しくなった
クリッパーシリーズの生産終了の背景には、人気モデル「ナクレ」に使用されている白蝶貝の調達が年々困難になっていたことが理由のひとつとして考えられます。海洋環境の変化や過度な採取により白蝶貝の生息数が減少し、安定的な確保が次第に厳しくなっていったのです。このような材料調達の困難さは、高級時計としての品質を保ちながら適正価格での製品提供を難しくしたため、生産終了の判断につながった可能性があります。
5-2.理由②:Apple Watch Hermesの登場
2015年、従来の機械式やクォーツ式の腕時計とは異なる新しい価値を提供するApple Watchが発表され、世界的な成功を収めました。エルメスはこの革新的なスマートウォッチと提携し、Apple Watch Hermèsを展開することになったのです。
このデジタル時計には、クリッパーをはじめとするエルメスの伝統的な文字盤デザインをデジタルで再現する機能が実装されています。さらに、エルメスの誇る革工芸の技術を活かした専用ストラップも用意され、伝統と革新の見事な調和を実現しました。Apple Watch Hermèsの登場と成功は、クリッパーシリーズの生産終了を検討する要因のひとつとなった可能性があります。
5-3.理由③:時代の変化に対応
1837年の創業以来、エルメスは時代の変化を敏感に察知し、柔軟な対応を行うことで長い歴史を築いてきました。クリッパーの生産終了についても、そうした時代の転換点を見据えた判断だったと考えられます。
近年のデジタル化が進む時計市場において、伝統的な腕時計の需要と生産体制のバランスを見直す必要性が生じていました。特にスマートウォッチの普及により、時計に求められる価値が大きく変化する中で、生産体制の効率的な運用を考慮した決断であった可能性が指摘されています。
また、クリッパーの生産終了は市場からの撤退ではなく、エルメスが新しい時代に向けて進化を続けるための戦略的な判断であったと考えられます。伝統を守りながらも革新を恐れないエルメスの企業姿勢は、今日においても確かに受け継がれているのです。
6.クリッパーは廃盤後に価値が高まっている?
2018年のクリッパー生産終了により、その希少性は着実に高まりつつあります。新品での入手がほぼ不可能となり、中古市場でしか手に入らなくなったことから、コレクターをはじめとする多くの時計愛好家から注目を集めています。生産終了により、市場に出回る個体数は限定的となり、特に状態の良い個体は年々入手が困難になっているため、価値の上昇傾向が続いているのです。
現在の中古市場では10万円前後で取引されているモデルが中心となっています。この価格帯は比較的購入しやすい水準であることから、クリッパーの購入を検討している方にとって、早めの決断が望ましいかもしれません。
7.クリッパーの定価と入手方法
ここからは、クリッパーの当時の定価や現在の中古価格、入手する方法について解説します。中古市場において入手する際の注意点や、本物と偽物の見分け方についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。
7-1.クリッパーの定価
生産終了前のクリッパーは、シンプルなスタンダードモデルが20万円代からという価格設定でした。クリッパーPMのステンレススチールモデルは40万円前後、ステンレススチールとゴールドのコンビネーションモデルは55万円程度となっています。さらに装飾が施されたモデルは価格が上昇し、ダイヤモンドを贅沢にあしらったモデルでは70~80万円代に達していました。
白蝶貝を使用したナクレモデルは27万円前後、縦長のフォルムが特徴的なオーバルデザインは30万円程度と、比較的手の届きやすい価格帯で展開されていたのが特徴です。一方、防水機能とストップウォッチ機能を備えたクロノグラフモデルは、70万円を超える高価格帯に設定されていました。
7-2.新品での入手は難しい?
2018年に廃盤となったクリッパーの入手方法は、現在では中古市場の利用が主な選択肢となっています。廃盤直後はエルメスの実店舗に在庫が残っていることもありましたが、7年近くが経過した現在、新品での入手はほぼ不可能な状況です。
ただし、インターネットの中古市場や中古品専門店を丹念に探せば、状態の良いクリッパーを見つけられる可能性は十分にあります。時間の経過とともに新品に近い状態の商品は減少していく傾向にあるため、お気に入りのモデルを手に入れたい方は、早めの行動がおすすめです。
7-3.クリッパーの中古価格
クリッパーの中古市場では、製品の状態、製造年、傷の有無などの要因によって価格が大きく変動しています。同じモデルであっても価格に幅があることが特徴的であり、以下で紹介する価格はあくまでも参考値としてお考えください。
中古市場における取引価格を見ると、定価に大きな差があるクロノグラフモデルとスタンダードモデルが、意外にも同程度の10万円前後で取引されている傾向にあります。一方で、特に人気の高いモデルや装飾が施されたもの、状態の良好な商品については20万円台での取引が一般的となっており、中には30万円台で取引されるケースも見られます。
このような価格帯の幅広さを考慮すると、購入を検討する際には、同程度の状態にある複数の商品を比較しながら、自身の予算に見合ったモデルを選ぶことが賢明でしょう。
7-4.入手方法と中古で購入する際の注意点
クリッパーは現在廃盤となっているため、入手するには中古市場を利用することになります。中古品を取り扱う販売店は多岐にわたり、ブランド品専門店から一般の中古品店まで、さまざまな選択肢があります。また、ネットオークションやフリマアプリなども利用できますが、どの販売経路においても偽物が流通している可能性があるため、慎重な購入が求められます。
実店舗で購入する際は、実物を直接確認できる利点を活かし、文字盤の状態や針の動きなどの機能面、そして傷の有無といった外観の細部まで入念にチェックすることが望ましいでしょう。また、保証書や付属品の確認を通じて、商品の真贋判定を行うことも重要となります。
一方、インターネットでの購入に際しては、商品を画像でしか確認できないという制約があるため、より慎重な判断が必要となります。実店舗での購入時と同様の確認事項に加えて、出品者の信頼性も重要な判断材料となるでしょう。取引実績が少ない、あるいは評価の低い出品者との取引は避けることが賢明です。
低評価には何らかの理由があると考えられるため、トラブル防止の観点から出品者の評価履歴などもしっかりと確認することをおすすめします。また、気になる点があれば、購入前に出品者へ質問し、不安要素を解消しておくことも重要です。
7-5.本物と偽物の見分け方は?
エルメスの中古クリッパーを購入する際には、本物と偽物を見分けるポイントを理解しておくことが大切です。なぜなら、正規品のクリッパーには、エルメスならではの卓越した品質が細部にまで表れているからです。
高品質な仕上げは、真贋を見分ける重要な要素となっています。具体的には、文字盤の印刷の精度、針の取り付け状態、そしてケースの研磨状態などが挙げられるでしょう。特にロゴやインデックスの印刷においては、にじみや歪みのない鮮明さが求められ、それが正規品の証となります。
ブレスレットの品質も見逃せない判断基準です。エルメスを象徴する「H」のモチーフには精密な加工が施され、コマの接合部分にも丁寧な仕上げが見られます。さらに、裏蓋に刻まれたロゴマークや各種刻印については、その深さと文字の鮮明さが本物であることを示す重要な特徴となっているのです。
しかしながら、これらの判断基準はあくまでも一般的な目安に過ぎません。近年の偽造技術は著しく向上しており、素人目での判断は困難になってきています。そのため、確実な真贋判定には、必ず専門家による鑑定を受けることが望ましいと言えます。
購入を検討する際には、信頼できる販売店を選び、専門家による鑑定書の有無も確認するようにしましょう。
7-6.クリッパーは何年使える?
クリッパーは高い耐久性を誇る時計であり、適切なメンテナンスを実施することで、数十年という長期間にわたる使用が可能となります。クォーツモデルであれば定期的な電池交換を、機械式モデルの場合は定期的なオーバーホールを行うことで、長きにわたって良好なコンディションを保つことができます。
優れた基本性能も、クリッパーの特徴のひとつです。十分な防水性能と耐久性を備えており、日常生活での使用に伴う負担にも余裕を持って対応できる設計となっています。また、文字盤にはサファイアクリスタルガラスが採用されているため、傷がつきにくく、長期使用においても視認性が損なわれにくいという利点があります。
ただし、クリッパーを末永く愛用するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。特に防水性能は時間の経過とともに低下する傾向にあるため、数年ごとの点検を受けることが推奨されています。さらに、ベルトやリューズといった消耗部品については、使用状況に応じて適切な時期での交換が必要となります。
エルメスではリペアサービスを提供しており、これをうまく活用することで時計の寿命を大幅に延長することができます。適切なケアと定期的なメンテナンスを心がけることにより、クリッパーは世代を超えて受け継がれていく価値ある腕時計としての性質を保ち続けることができるのです。
8.クリッパーはなぜ「ダサい」といわれるの?
クリッパーは時として、「ダサい」という評価を一部の方から受けることがあります。この評価には、時計専門メーカーではないエルメスへの先入観、女性向けブランドというイメージ、比較的手頃な価格帯など、さまざまな要因が関係しています。
以下では、なぜクリッパーが「ダサい」と評価されることがあるのか、その具体的な理由と真偽について見ていきましょう。
8-1.ダサいと言われる理由①:レザーバッグの印象が強い
エルメスが革製品、特にバッグや小物類で世界的な評価を得ているメゾンであることは広く知られています。しかし、このイメージの強さゆえに、一部の人の間では、クリッパーを含むエルメスの時計に対して厳しい評価が向けられることがあります。
その主な理由として、エルメスが時計専門のブランドではないという点が挙げられます。時計コレクターの中には、時計専門メーカーと比較して、時計製造における専門性や歴史的な深みが不足しているのではないかと考える人々も存在するのです。
しかしながら、このような見方は時計そのものの価値を正当に評価していないと言えるでしょう。エルメスは1978年にスイスに時計専門メーカーを設立して以来、着実に技術力を蓄積してきました。実際に、クリッパーは確かな品質とデザイン性を備えた製品として、多くのユーザーから高い支持を得ています。
8-2.ダサいと言われる理由②:女性が愛用するイメージがある?
エルメスに対して、「女性向けのブランド」というイメージを持つ人は少なくありません。この認識は、バーキンやケリーといった象徴的なバッグが女性たちの間で圧倒的な支持を得ていることに起因しており、そのイメージがクリッパーの評価にも影響を及ぼすことがあるのです。
しかしながら、この認識は実態とは大きく異なっています。クリッパーは誕生以来、性別を問わない幅広い層をターゲットとして展開されてきました。そのラインナップには、クロノグラフやダイバーモデルなど、スポーティで力強いデザインと高い機能性を兼ね備えたモデルも含まれています。
また、1970年代後半という比較的早い時期から、性別にとらわれないデザインを追求してきた点は、現代のユニセックスデザインの先駆けとも言えるでしょう。
8-3.ダサいと言われる理由③:一部の部品が自社製造ではなかった
エルメスが本格的な時計製造を開始したのは、1978年にスイスのビエンヌに「ラ・モントル・エルメス」を設立してからです。それ以前は、ジャガー・ルクルトやユニバーサル・ジュネーブといったスイスの時計メーカーと協力しながら時計製造を行っており、一部の部品を外注していました。
このような歴史的背景について、時計に詳しい愛好家たちからは批判的な意見が聞かれることがあります。特に、自社での一貫製造にこだわりを持つ時計専門メーカーと比較した際、技術力や独自性の観点から評価が分かれる傾向にあるでしょう。
しかしながら、エルメスの時計製造は2003年を転換点として大きく進化しています。ヴォーシェ・パルミジャーニ社との技術提携を契機に、革製品で培った独自の美意識と確かな時計技術を融合させることで、新たな価値を生み出してきたのです。エルメスの変わらぬ理念である高品質なアイテムを届けるという姿勢は、時計製造においても確実に受け継がれています。
8-4.ダサいと言われる理由④:比較的手の届きやすい価格帯
高級時計コレクターの中には、クリッパーの比較的手頃な価格帯を、逆に評価を下げる要因として捉える人もいます。特に中古市場においては10万円台から入手できるモデルも存在しており、数百万円から数千万円規模の超高級時計と比較した際に、ステータス性の観点から厳しい評価を受けることがあるのです。このような価格帯は、高級時計コレクターの一部からすると、むしろ評価を下げる要因として捉えられてしまうこともあります。
しかし、この手の届きやすい価格帯は、多くの人々にとってクリッパーの大きな魅力となっています。エルメスというハイブランドの時計を、比較的リーズナブルな価格で手に入れられる点は、幅広い層から支持されているのです。また、クリッパーは豊富なバリエーションを揃えており、購入者は自分の好みに合った時計を見つけやすい特徴を持っています。
8-5.ダサいと言われる理由⑤:装いに合っていない
高級ブランドであるエルメスの時計は、身に付ける人の装いとの調和が重要な要素となります。クリッパーは、比較的入手しやすい価格帯ではありますが、エルメスならではの気品と格調の高さを備えた腕時計として知られています。
しかし、全体的なコーディネートとの調和を十分に考慮せずにクリッパーを着用するケースが見受けられ、そのような場合に「ダサい」という評価を受けることがあります。例えば、過度にカジュアルな服装や、場面にそぐわない着用方法は、この時計が持つ本来の価値や魅力を下げてしまう原因となるでしょう。
ただし、これは時計自体の欠点というよりも、着用する側の課題として捉えるべきものです。クリッパーの洗練された佇まいを十分に引き立てるためには、時計の品格に見合った装いを心がけ、それぞれの場面に相応しい着用方法を意識することが大切なのです。
9.エルメスのクリッパーを愛用している芸能人
ファッションの最先端を行く芸能人たちの間で、クリッパーは高い支持を得ています。一部では「ダサい」という評価も聞かれますが、実際に多くの著名人がこの時計を愛用しているのです。ここでは、クリッパーを愛用している芸能人を3人紹介します。
1人目の芸能人は、タレントの小倉優子さんです。小倉さんは、ベゼルに42個のダイヤモンドが配置された、クリッパーPMのダイヤモンドモデルを愛用しています。オールステンレススチールとピンクゴールドを組み合わせたこのモデルは、柔らかな雰囲気を持つ小倉さんの魅力を引き立てる存在となっています。
また、ベテラン女優として知られる鈴木京香さんも、クリッパーの愛用者として知られています。ドラマ「平成猿蟹合戦図」での着用が確認されており、大人の女性が身に着けても違和感のない、洗練された雰囲気を醸し出しています。
3人目に紹介する芸能人は、女優やタレントとして活躍する高岡早紀さんです。映画「ちょっと思い出しただけ」でクリッパーを着用していました。ステンレススチールにゴールドプレートを施したモデルは、高岡さんの持つ気品と見事に調和していたと言えるでしょう。
このように、多くの著名人たちがクリッパーを選択している事実は、エルメスの品質の高さと、この時計の持つ魅力を物語っています。
10.エルメスのクリッパーは多彩なモデル展開で廃盤後も人気の腕時計
エルメスのクリッパーは、1981年の発表以来、同ブランドを代表する腕時計として親しまれてきました。デザインの元となったのはクリッパー船であり、舷窓を思わせる丸いケースと、その周囲に配置されたビスの装飾に、そのインスピレーションが反映されています。品質面においても、5気圧防水機能を備え、風防には高級時計の代名詞であるサファイアクリスタルを採用するなど、実用性と高級感を両立させているのが特徴です。
クリッパーの魅力は、その豊富なバリエーションにも表れています。スタンダードなモデルから、20気圧防水機能を備えたダイビング仕様のクロノグラフ、さらには縦長の丸みを帯びたオーバルデザインまで、幅広いラインナップを展開してきました。このような多様性により、性別や年齢を問わず多くの人々から支持を得ています。
2018年に惜しまれつつ廃盤となったクリッパーですが、これを機にその価値は徐々に高まりを見せています。生産終了により入手可能な数が限られていることから、中古市場での需要が増加傾向にあるのです。現在、多くのモデルが10万円前後で取引されており、購入を検討する方にとっては、絶好の機会かもしれません。
このように、廃盤後も変わらぬ人気を誇るクリッパーは、エルメスの時計史に輝く重要なモデルとして位置づけられています。