2024年5月26日
スターサファイアとは?~サファイアとの違いや偽物の見分け方~
ジュエリー
ダイヤモンド、ルビー、エメラルドと並んで世界四大宝石と呼ばれているサファイアは、青い宝石の代表とも言えるほど有名で人気の宝石です。
その美しいサファイアの中でも特に珍しい存在である、スターサファイアについてご存知ですか?サファイアの中に星を閉じ込めたように見えるスターサファイアは、不思議な魅力があり、特別な宝石です。ジュエリーとして、またパワーストーンとしても、とても人気があり、様々な使用方法で人々に親しまれています。
ですが「サファイアとスターサファイアは、同じサファイアなのに、どうして見た目が違うの?」と不思議に思う方もいるかもしれません。実はサファイアとスターサファイアの違いは、その内部にあったのです。
今回はサファイアとスターサファイアの違いやスターサファイアの正体などを中心に、スターサファイアについて詳しく見ていきたいと思います。
ぜひ最後まで読んで、スターサファイアの知識を深めてくださいね!
1.スターサファイアの基礎知識
スターサファイアは、一言で言うとサファイアの一種で、「星入り」のサファイアです。
では、サファイアとスターサファイアの違いとは?
「星」とは何か?
「星」はなぜ入るのか?
「星」はどうやってできるのか?
色々な疑問が出てくると思うので、サファイアについて、そしてスターサファイアについて、詳しく見ていきましょう。
1-1.サファイアとはコランダムの一種
スターサファイアについて詳しく見ていく前に、まずはサファイアとは何かということについて見ていきます。
サファイアというのは宝石の名前ですが、鉱石としての名前はコランダムといいます。ではコランダム=サファイアかというと、そうではありません。
コランダムという鉱石は、様々な元素を含有することで色が変わります。様々な色になるコランダムの中で、ひとつ特別なのは赤いコランダムです。クロムを含んだ赤いコランダムは、皆さんご存知の宝石の女王と呼ばれる赤い宝石、ルビーです。
そしてそれ以外のコランダム、つまり赤以外のすべての色のコランダムがサファイアと呼ばれています。
コランダムは含む元素の種類や量で色が変わります。
一番有名なのは青い色のブルーサファイアで、ただ単に「サファイア」と呼ばれる時はこのブルーサファイアであることがほとんどです。それ以外にもサファイアには、ピンクや紫、グリーン、グレーやホワイト(カラーレス)など様々な色があります。
見た目はまったく違うように見えるかもしれませんが、すべて同じコランダム、同じサファイアなのです。
サファイアは和名では「青玉」や「蒼玉」と呼ばれます。やはり青い宝石の印象が強いのでしょうね。ですが実際は、青色以外にもたくさんの色の物があるのが、サファイアの特徴のひとつです。
1-2.星の輝きを持つスターサファイア
そんなサファイアの中でも特別な「星入り」のサファイアがスターサファイアです。
スターサファイアは一見してわかるように、サファイアの中に白い線が2本か3本(まれにそれ以上)、交差するような形で入っています。
白い線が2本交差しているスターを「4条の星」、3本交差しているスターを「6条の星」と呼び、線が多いほど高品質で、値段が高いスターサファイアとされています。滅多にない物ではありますが、中には6本の白い線が入った「12条の星」を持つスターサファイアもあります。
ですが身近に流通しているものとしてよく知られているのは、やははり4条の星か6条の星を持つスターサファイアです。
それらのスターサファイアは、ジュエリーショップやストーンショップによく並べられています。
1-2-1.スターの正体
スターは一見すると白い線が交差しているように見えますが、実は一本の線というわけではありません。
スターを構成する白い線に見えるものは、実際は細かいシルクルチルというインクルージョンです。シルクルチルが規則正しく並んでいるので、直線状に見えているのです。
そのシルクルチルが複数方向に存在するものが、スターと呼ばれています。この星のように見えるインクルージョンが「スター効果」、または「アステリズム」と呼ばれています。
スター効果が入っていると認められるには、いくつかの条件があります。
たとえばシルクルチルの量は、多くても少なくてもいけません。シルクルチルが少なすぎるとスターがはっきりしませんし、多すぎるとサファイア自体の透明度が低くなり、美しくありません。
また複数の線が入っている必要もあります。一本では「スター」とは呼ばれないのです。スターサファイアと呼ばれるには、はっきりとしたインクルージョンの線の交差していなければなりません。
1-2-2.価値の高いスターサファイア
どのようなスターサファイアが、高品質で値段が高いと言われるのでしょうか。
まずは、スターの入っているサファイア自体の価値が大きく関わってきます。
サファイアは色が濃く、透明度の高いものが高品質とされ、値段も高いです。またサファイアにはたくさんの色がありますが一番価値が高いのは、人気も高く有名な青いサファイア、ブルーサファイアです。
また、色の入り方もサファイアの価値を左右します。ひとつの石の中に色の濃淡があまりなく、色が均一なサファイアも価値が高いです。さらにスター自体にも美しさの基準があります。
スターを形成するシルクルチルの量も重要です。シルクルチルの量によって、スターの見え方は変わります。スターがぼんやりしておらず、くっきりとしているスターサファイアは価値が高いです。また線がまっすぐに入っていること、スターが石の中央に来るようにカットされていることも重要なポイントです。
また単純なことですが、サイズは大きければ大きいほど価値の高いスターサファイアです。
2.サファイアとスターサファイアの違い
スターサファイアはサファイアの一種ですが、具体的にどのような点が違うのかを見ていきます。
スターサファイアにはサファイアとは違う特徴があり、サファイアと同じように考えていると失敗してしまうことがありますので、違いをしっかりと覚えておきましょう。
2-1.インクルージョンに対する評価
サファイアとスターサファイアでは、インクルージョンに対する評価が全く違います。
インクルージョンは通常、少ない方が宝石の価値が高いとされています。結晶内の異物は宝石の美しさを損ない、透明度を下げるからです。
サファイアの価値を判断する時には、もちろんこの価値基準が当てはまります。サファイアを見た時に、透明度が高い物、内部に異物がないもの、あるいはより少ないものが高品質で値段の高いサファイアです。
ですがスターサファイアは違います。
インクルージョンが少ないほうが価値が高いという宝石の基本的な価値基準が、スターという美しいインクルージョンを持つスターサファイアでは例外になります。
見た目の美しさや珍しさから、かえってインクルージョンが入っているほうが価値が高いとされているのがスターサファイアなのです。
もちろんくっきりとしたスター以外の美しくないインクルージョンは、スターサファイアでも少ない方が良いので、その点はサファイアと一緒ですね。
2-2.カットの違い
宝石はその石が美しく見えるような、様々なカットが施されます。
ダイヤモンドといえばラウンドブリリアントカット、エメラルドといえばエメラルドカットのように、石の種類ごとに定番となるカットもありますが、サファイアは石の大きさや色の見え方によって、様々なカットが施されます。
中でも比較的多いのは、楕円型のオーバルカットや四角形の角を丸くした形のクッションカットです。とはいえそれぞれの石の形に合わせているので、ダイヤモンドやエメラルドのように、「サファイアといえば、このカット!」というカット方法はありません。
ですが、スターサファイアは別です。
スターサファイアは、サファイアの中にスター効果を持つインクルージョンが内包されていますが、このスターが現れるのはカボションカットを施した時だけなのです。
カボションカットとは、底面が平らで上部は丸いドーム型になったカット方法です。スターは直接光を当てた時にだけ輝きます。その特性を活かすため、スターサファイアは、底面はインクルージョンが伸びる方向に並行、かつ上部は光をとりこむ半球状である必要があるのです。
カボションカットは通常のサファイアに施されないわけではありませんが、表面を多面にカットしたほうが光を反射してより輝くので、主流ではありません。
3.スターサファイアの色と、それぞれの意味
宝石にはその石ごとに意味があり、石を象徴する石言葉があります。またパワーストーンとしてのスピリチュアルな意味や効果を信じて、宝石を身に付ける人も少なくありません。
サファイアは9月の誕生石です。誕生石は、その月に生まれた人が身に付けるとお守りになると言われていて、プレゼントとして大事な人に贈ったり、子どもが生まれた時に誕生石の指輪を贈る親御さんもいるそうです。スターサファイアもサファイアの一種ですので、9月の誕生石と考えて差し支えないでしょう。
またスピリチュアル的には、スターサファイアは古来から現代まで、魔除けや厄除けのお守りとして、人々に身に付けられています。通常のお守りとしてはもちろん、スターサファイアは特に旅人が持つのにぴったりなお守りです。スターサファイアには旅人を導き、悪いことから守ってくれる力があると信じられています。
現在のようにGPSなどで進む方向を決めることができない時代、旅人を導くのは北に輝く北極星でした。旅人を導いていた星を宿す宝石として、スターサファイアには特別な力があると長い間信じられてきたのです。
サファイアにたくさんの色があるように、スターサファイアにもたくさん色があります。「旅人のお守り」という以外にも、その色ごとにスターサファイアにはそれぞれの意味やスピリチュアルな効果がありますので、色ごとに詳しく見ていきたいと思います。
3-1.ブルースターサファイア
サファイアで一番有名で、かつ人気の高いブルーサファイアにスターが入ったブルースターサファイアは、スターサファイアの中でも比較的流通量が多く、ショップなどで見かける機会も多い宝石です。
サファイアは9月の誕生石ですが、実は月ごとではなく日にちごとの誕生石というのも存在します。ブルースターサファイアは9月30日の誕生石です。9月の誕生石はもともとサファイアですが、その中でも9月30日生まれの人にとってはブルースターサファイアは特別な意味がありそうですね。
ブルースターサファイアの石言葉は「知識」「先導する」です。深いブルーは冷静さを意味していますので、知識を深めたいひとや、なにか悩み事があるひとにぴったりなパワーストーンです。
3-2.ピンクスターサファイア
かわいらしいピンク色のスターサファイアは、ブルーサファイアに次ぐ人気があります。特に人気なのは鮮やかで明るいピンク色です。ピンクが薄いとスターが見えにくくなってしまうこともあり、やや濃い色のピンクスターサファイアが人気です。
ピンク色のサファイアは、色によってはルビーに似たものもあります。ルビーとピンクサファイアはとてもよく似ています。、もとの石もコランダムで同じですし、色以外に違いはありません。もしピンクスターサファイアが欲しいのであれば、スタールビーと間違えないようにしましょう。
ピンクスターサファイアの石言葉は「慈愛」「誠実」です。恋愛だけでなく、家族愛や友情など幅広い愛を象徴する石と言われています。
片思い中の人にはもちろん、家族や友人との愛情を深めたい人にもおすすめなパワーストーンです。
3-3.パープルスターサファイア
赤と青の間、紫色のサファイアで星入りの物を、パープルスターサファイア、もしくはバイオレットスターサファイアと言います。
どちらかというと赤っぽい紫をパープル、青っぽい紫をバイオレットと呼ぶとも言われていますが、明確な決まりはありません。
パープルスターサファイアは、ピンクスターサファイアにとてもよく似ています。「ピンクっぽい紫」なのか「紫っぽいピンク」なのか、その判断はとても微妙ですし、見る人によっても変わりますよね。
結局は名前にこだわるのではなく、自分の気に入った色合いのものを選ぶのが一番なのではないでしょうか。
紫色をしたパープルスターサファイアは別名「目覚めの石」とも呼ばれています。今まで眠っていた能力を開花させたい人にぴったりですね。
3-4.ホワイトスターサファイア
サファイアには様々な色がありますが、ホワイトと呼ばれるカラーレスのサファイアは滅多に見かけないとてもレアな宝石です。
通常サファイアは成長する過程で元素を取り込んでいろんな色になりますが、ホワイトサファイアは元素をほとんど含んでいない透明なサファイアです。
ただでさえ珍しいホワイトサファイアにスターが入ったホワイトスターサファイアは、とても珍しく、ショップで見かけることもほとんどないでしょう。もし見ることがあれば、よく目に焼き付けておいてくださいね。
ホワイトスターサファイアの石言葉は「知恵」「やすらぎ」です。澄んだホワイトカラーのサファイアは、心の中のもやもやを吸い込んで癒してくれそうなイメージがあります。
3-5.グレースターサファイア
たくさん色があるスターサファイアの中で、スピリチュアルなパワーが最も強いとされているのが青みがかった灰色のグレースターサファイアです。グレースターサファイアは落ち着いた色合いの石で、見ているだけで癒されるような不思議な魅力があります。
グレースターサファイアは2月6日の誕生石です。2月6日生まれの人にとっては特別な石ですね。また結婚65周年の記念の石でもあり、長年連れ添ったパートナー同士にふさわしい、深い愛をあらわす宝石でもあります。
グレースターサファイアは「信頼」「希望」を象徴する石です。また「運命の石」とも呼ばれており、ここぞという時や、運命の分かれ目のような重要な時に持ち主にスピリチュアルな力を与えてくれるパワーストーンとも言われています。
石言葉は「幸運」「吉報」と、身に付けるだけで良いことが起こりそうな石言葉ですね。
人生でここぞという時、パワーストーンに力を借りたい時にぴったりな石です。
3-6.ブラックスターサファイア
ブラックスターサファイアは、他のサファイアとは少し違う特殊な石です。
通常サファイアは含有する元素によって色が決まり、内部のシルクルチルがスター効果を引き起こします。
ですがブラックスターサファイアだけは、ヘマタイトという物質のインクルージョンがスター効果を引き起こします。さらにはそのヘマタイトの影響で青やイエローなどのサファイアが深いブラウンやブラックに見えるのです。
スターも特殊で、元のサファイアが青やグリーンの時はスターはシルバーに輝きますが、イエローサファイアの時にはゴールドのスターがあらわれるそうです。このゴールドのスターを持つブラックスターサファイアはとても珍しく、ごくまれにしか存在しません。
ブラックスターサファイアは11月30日の誕生石です。主張しすぎないシックな石なので、ブラックスターサファイアはお守りにぴったりです。11月30日生まれの人はぜひ身に付けてください。スピリチュアルな効果を感じられるかもしれません。
ブラックスターサファイアの石言葉は「中心的存在」です。
派手ではないのになぜか目をひく不思議な魅力を持ったブラックスターサファイアにぴったりな石言葉ですね。持ち主の集中力や洞察力を高め、ピンチを切り抜ける力を授けるパワーストーンともいわれています。
4.スターサファイアの本物と偽物の見分け方
スターサファイアは地中から採掘される天然の物だけでなく、人工的に作られたスターサファイアも存在します。天然のスターサファイアはとても珍しく値段も高いので、購入しようと思うとどうしてもハードルが高くなってしまいます。
人工のスターサファイア自体が悪い物というわけではありません。とても高価な天然のスターサファイアと違い、人工スターサファイアは値段も安価でずっと手に入りやすいです。
ですが、天然スターサファイアを買ったと思ったのに、それが人工のスターサファイアだったということが後でわかったらとても悲しいですよね。
そんなことにならないように、本物のスターサファイアと人工のスターサファイアの見分け方を知っておきましょう。
4-1.光を当てて見る
スター効果の特徴のひとつに、「光を当てるとスターが輝いて見える」というのがあります。天然のスターはあくまでも光に反応して姿をあらわすのです。
ショップの中では照明があるのでわかりにくいとおもいますが、もし可能なら手で影をつくるなど光の当たらない状態を作ってみてください。それでも変わらずスターがくっきりと見えるようであれば、人工か、あるいは合成宝石の可能性が高いです。
4-2.スターの動きを見る
天然のスターサファイアのもうひとつの特徴に、光源の方向に反応して位置が動くというのがあります。
光を右から当てればスターは左に、左から当てればスターは右に動くのです。
光源の方向を変えてみて、スターの位置が動くかどうかを見ましょう。光源の方向を変えてもスターが動かない、もしくは光源と同じ方向にスターの中心が移動するようであれば、天然のスターサファイアではないと考えて良いでしょう。
4-3.石の裏面を見る
天然のスターサファイアの裏面は処理されておらず、凹凸が残っていることが多いです。
その反面人工のスターサファイアは、裏面も綺麗にカットされていることが多いです。
スターサファイアが天然かどうか、一見してわかりやすいのは裏面ですが、石自体が小さかったり、ショップの状況によってはなかなか確認しづらいこともあるので難しいですね。できる範囲で確認してみてください。
4-4.品質と価格を見る
最後は感覚的なことになるのですが、スターサファイアを見た時に「あまりにきれいすぎる」「あまりに安すぎる」ものはもしかしたら天然のスターサファイアではないかもしれません。
天然のスターサファイアは、成長過程でどうしても色やスターにムラが出ます。色が均一すぎたり、スターの太さが均一すぎるものはもしかしたら天然のスターサファイアではないかもしれません。
また、価格が安すぎるスターサファイアも、天然のスターサファイアではない可能性があります。スターサファイアは通常、とても希少で価格も高い品物です。品質と価格が釣り合っていない、あまりに安すぎるのは天然のスターサファイアかどうか疑ったほうがいいでしょう。
もちろん人工のスターサファイアとわかったうえで、あくまでもアクセサリーとして楽しむのであれば何の問題もありません。
問題は、人工のものを天然スターサファイアと思って買ってしまうことです。
スターサファイアについてある程度の知識を持っていれば、そのような悲劇は避けられるでしょう。
5.(まとめ)スターサファイアの魅力
今回は、スターサファイアについて、サファイアとの違いやスターの正体、またそれぞれの色ごとの意味や効果などについてお伝えしました。
スターサファイアがどのような存在なのか、なぜあんなに美しい星の形があらわれるのか、わかっていただけましたか?
美しいサファイアの中に輝く星を宿すスターサファイアは、特別な存在です。指輪やネックレスなどのジュエリーとして、また大事な時に自分を守ってくれるパワーストーンとして、様々な場面で使うことができます。
スターサファイアはただ美しいだけでなく自分の使い方や気の持ちようで、身に付けているだけで明るい気持ちになれたり、前向きになれたりもします。
色やスターの大きさなど、スターサファイアはひとつひとつ違い、同じものはふたつとありません。個性的なスターサファイアの中から、ぜひ自分にとって一番のスターサファイアを探してみてください。