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2024年8月01日

【世界初の自動巻き機構の開発者】ペルレとは?歴史や魅力を徹底解説

現代の時計技術はとても進んでおり、世界初の様々な機構が日々開発されていますが、どのブランドも必ず使っている自動巻き機構の開発者はあまり知られていません。自動巻き機構を開発した時計師ペルレは時計の歴史に名を残しており、一部の時計愛好家の間ではかのブレゲと同時期の時計師として有名です。この記事ではペルレの歴史、魅力、代表シリーズ、おすすめモデルについてまとめました。

1 【世界初の自動巻き機構の開発者】ペルレの歴史

1-1 1729年時計製造の街として有名なスイスの ル・ロックルで誕生

創業者であるアブラアム・ルイ・ペルレは時計製造の街として有名なスイスヌーシャテルのル・ロックルで生まれました。幼い頃から時計作りに魅了されていた彼は10代の頃から様々な精密時計の製作に没頭しました。

1777年には革新的な発明である自動巻きムーブメントを開発し、時計の歴史に名を残しています。3年後の1780年に世界初となる自動巻き懐中時計「First Pedometer」を発表しました。この懐中時計は世界初となる歩数計機能やカレンダーなどの機能も備えていた多機能時計でした。

アブラアムはその後もシリンダー脱進機・デュプレックス脱進機・カレンダー脱進機・イクエーション(均時差)脱進機の改良開発に取り組み、技術を高めていきました。

1-2 1781年祖父アブラアム・ルイ・ペルレの後を継ぐルイ・フレデリック・ペルレが誕生

1781年、天才時計師アブラアム・ルイ・ペルレの孫となるルイ・フレデリック・ペルレが生まれました。機械と数学の素質を持っていたルイは祖父の下で修行をし、パリにあったブレゲの工房でさらに磨きをかけました。

ルイは才能に恵まれており、独立時計師としてすぐに実力を発揮しました。天文学・物理学・科学への関心が高まっていたルイは、それらを駆使した高度な(インテリジェントのあると表現されています)時計をつくるようになりました。1815年に製作された天文時計は1823年のパリ万博に出品されています。ルイは技術の高さとセンスを証明し、3人のフランス国王の時計師兼機械工となりました。

1827年にフライバック針を備えたクロノグラフカウンターを発表。搭載されたスプリットセコンドクロノグラフの特許を取得し、1830年にフランスの天文学アカデミーから勲章を受賞しています。現在でも当時のままの時計をスイスジュネーブのパテック・フィリップ博物館で見ることができます。1834年にルイはヨーロッパ中に広がる彼の評判と才能、これまでの受賞歴を讃え、フランスからKnight of the Legion of Honour(レジオンドヌール勲章)の栄誉が与えられました。

1-3 1995年世界初の“ダブルローター”と呼ばれるキャリバーの開発に成功

18世紀、19世紀と輝かしい発展を遂げたペルレはその後目立った動きがなく、ほぼ休眠状態となったと見られています。1995年にダブルローター機構を引っ提げて新生ペルレとして現代に蘇りました。

ダブルローターは文字盤側と裏面にも自動巻きローターを同期させて配置し、巻き上げ効率と安定性を上げる機構で、特許を取得しています。この機構を載せたムーブメントを採用したコレクションをディプテロスと名付け発表、これまでにない機構は業界の注目を浴びました。

ダブルローター機構をさらに改良し魅せるムーブメントとして12枚のブレードでプロペラのように高速回転するさまを鑑賞できるタービンコレクションを発表。以降、多くの派生モデルが発表され、ブランドを代表するコレクションとなっています。

2021年には外周リングをローターとするペリフェラルローターの開発を行いラボペリフェラルを発表。自動巻き機構の開発者としてのペルレの名にふさわしい機構が次々と開発されています。

2 【世界初の自動巻き機構の開発者】ペルレの魅力

2-1 時計の歴史を紡いできた偉人によるブランド

アブラアム・ルイ・ペルレといえば自動巻きローターを開発したことと、跡継ぎのルイ・フレデリック・ペルレはスプリットセコンドクロノグラフを開発したことで時計愛好家に知られています。どちらも時計の歴史に名を残す偉人で、近年の独立時計師が興したブランドとはまた違った趣があります。

時計界の偉人が興したブランドといえばブレゲやランゲ&ゾーネですが、いずれも雲上ブランドでなかなか手が出しにくいものばかりです。ペルレはその点、比較的リーズナブルに入手できる偉人によるブランドのため、一つ押さえておくのも良いかもしれません。

2-2 マイナーメゾンだからこそのリーズナブルな価格帯

ペルレは知る人ぞ知るブランドです。ダブルローター等の世界初の機構を開発するなど、高い技術力を持っているものの、知名度は決して高くありません。しかし知名度を大きく上げようとするなら広告が必要となり、広告費が時計の価格に反映されることとなります。大量生産を行うには品質を一定化する必要があるため、こだわりのポイントが薄れてしまう可能性もあります。

ペルレは今のところそれを望んでおらず、大手コングロマリットに参入することもなく独立運営を続けています。マイナーなメゾンだからこそリーズナブルな価格帯が維持できていますし、ペルレの愛好家は今のところそれもまたペルレの魅力と感じているのかもしれません。

2-3 ダブルローターの開発やトゥールビヨンモデルの発表などの技術の高さが際立つ

ペルレは自動巻きローターの開発から始まり、特許を取得したダブルローター機構の開発、トゥールビヨンモデルの発表など高い技術力を持っていることが分かります。他にもファイブミニッツリピーターなどの複雑系も手掛けており、比較的リーズナブルなモデルを中心としながらもコンプリケーションモデルの開発技術ももっています。

少量の世界限定モデルとして製作されるなど、ブランドの知名度が高くない中ではあるものの希少価値が高く、高い技術が搭載されています。広告や知名度が主にあるメジャーブランドにはない機構やデザインを楽しむことができるのもマイナーブランドのペルレならではの楽しみ方といえるでしょう。

3 【世界初の自動巻き機構の開発者】ペルレの代表シリーズ

3-1 タービン

2009年、ペルレを代表するシリーズであるタービンが発表されました。特許を取得したダブルローターのコンセプトを受け継ぎ、文字盤側に12枚のブレードによりプロペラのように高速回転します。ローターの高速回転により様々な色やモチーフが文字盤の背景に映り、見る人を楽しませます。

派生モデルが多いのが特徴で、2013年にクロノグラフを追加したタービンクロノ、トゥールビヨンモデルの2つを発表し、技術力とタービンの発展性を証明しました。2014年にはタービンと航空計算尺を組み合わせたタービンパイロット、スケルトンムーブメントと組み合わせたタービンスケルトンを発表しています。2019年、タービン発表から10周年を記念しデザインの全面的な見直しと新しい自社製ムーブメントを搭載したタービンエヴォを発表しました。COSCスイスクロノメーター検定を取得した高精度なモデルです。

3-2 ラボペリフェラル

ペルレは2009年にダブルローター機構の開発を応用したタービンの発表後、新たな機構の開発に動いていました。一時日本での正規取り扱いの一時中断もあって、2021年に待望の再上陸となった際にリリースされたのがラボペリフェラルです。

ペリフェラルローターは通常の自動巻きローターとは違い、外周に備え付けたリングが回ることで巻き上げつつムーブメントをしっかり鑑賞できる機構です。1955年に開発されたのが初めてですが、ペルレは様々な改良を施すことによって、文字盤側からはローターの動きを見ることができるようになっています。

発表されて間もないため展開されているモデルも少ないですが、ラグ幅広めのレトロなデザインが流行に左右されにくく永く使いやすくなっています。3針モデルとデュアルタイムビッグデイトモデルでのみ展開されていますが、今後の発展が見込めるコレクションです。

3-3 ウィークエンド

ペルレのオーソドックスなクラシックラインとなるウィークエンド。3針、GMT表示の2種類でのみ展開されている発展途上のコレクションです。サンレイ仕上げの光沢のある文字盤とエレガントな雰囲気をもつ5連ブレスレットの組み合わせの王道パターンです。

白文字盤、黒文字盤、深みのあるネイビーに加え、グリーンやライトブルーといったカジュアル目なカラーリングも展開されています。今後展開されるモデルが楽しみなコレクションです。

3-4 ダイヤモンドフラワー

ダイヤモンドや白蝶貝をはめ込んだ、花びらのような可憐なローターが美しいモデルです。現行で展開されているアミュトゥスか高い人気を誇ります。モデル名のアミュトゥスとは紀元前600年頃に古代メソポタミア文明において建設された空中庭園を表しています。

文字盤側に取り付けられた花びら形の自動巻きローターが腕の動きに合わせて揺れ動き、まるでバビロンの空中庭園を連想させます。自社製ムーブメントCal.P-181が搭載されており、ムーブメントへのこだわりが伺えます。

文字盤がブラック、もしくはホワイトのマザー・オブ・パールが展開されています。どちらもダイヤモンドがはめ込まれた花びら形のローターが搭載されています。ダイヤモンドベゼル仕様も用意されており、ダークグレーとホワイト・マザー・オブ・パールの2色から選ぶことができ、ローターには、ホワイト・マザー・オブ・パールとダイヤモンドがセッティングされています。

3-5 ディプテロス

1995年、ペルレはダブルローター機構を完成させました。文字盤側とムーブメント側の両面に配置したローターの2つで巻き上げる特許を取得した独創的なシステムは時計業界で話題となりました。2つのローターは完全に同期した動きを取り、巻き上げ効率は15~20%向上するとされています。このダブルローター機構を搭載した自動巻きモデルにディプテロスと名付け、発表しています。自動巻きの祖であり、こだわりをもつペルレならではの開発です。

当初は一つのコレクションとして展開されたものの、現在ではタービンやラボペリフェラルコレクションの機構として搭載されるようになり、ダブルローターコレクションとしては消滅しています。引き継いだ2つのコレクションにはクラシックなデザインによるモデルが多くないため、ヴィンテージ市場でのダブルローターコレクションは人気が衰えていません。

3-6 パワーリザーブ

シリーズ名の通り、パワーリザーブを共通項とするモデルが展開されています。珍しいのはパワーリザーブを主軸にしており、ラウンドモデルもトノーケースモデルも同じシリーズとなっている点です。

クロノグラフモデルも展開されていますが、クラシックで独特な世界観がより楽しめるのはデイト表示モデルです。時分針をオフセットし6時位置に大きくパワーリザーブを表示することで、クラシックかつパワーリザーブを主役級に目立たせたデザインに仕上がっています。文字盤のギョーシェやケースサイドの溝など、ペルレらしさも表現されています。

4 【世界初の自動巻き機構の開発者】ペルレのおすすめモデル5選

4-1 タービン ポーカー Ref.A4018/1

文字盤側で高速回転するローターを魅せるタービンのデザインを活かしたモデルです。チタン製の10枚のブレードのホイールが高速回転することにより、トランプの絵柄が浮かびあがるユニークで遊び心のあるデザインが特徴です。文字盤上の12箇所の隙間からトランプの絵柄と数字が見えます。

ブラックDLCコーティングされたステンレスケースを採用し、全体のカラーリングもトランプに使われる白・黒・赤に統一されています。シックな印象ながら、トランプと組み合わせることでタービンをエンターテインメントのある機構に生まれ変わらせています。

4-2 チタニウム・コレクション セントラル ルナフェイズ Ref.A5000-1

チタンとカーボンを文字盤に採用したスポーティーなモデルです。通常6時位置にスモールセコンドと同等の大きさでデザインされることが多いムーンフェイズを12時位置に大型配置。文字盤で最も目立つようにデザインされ、月が東から西へ沈むさまがハッキリわかります。

月齢表示としては頂点の満月時に”FULL”の記載、最終日には29 1/2と表示する珍しいモデルです。月齢は正確には29日と12時間44分2.9秒なのでかなり正確に表記されており、文字盤外周で動くポインターデイトと合わせ、機能的でクラシックな世界観を演出しています。

4-3 ファーストクラス ダブルロータースケルトン ダブルローター20周年記念製品 Ref.A3052/1

2015年にペルレを象徴するダブルローターが誕生から20周年を迎えた際に発表された記念モデル。中央でゆったりと回転するローターはインパクトあり、ローズゴールド製のローターには、コート・ド・ジュネーブと“20 YEARS DOUBLE ROTOR”の文字が刻印されています。ローターはスケルトナイズされ、向こう側が見えるためムーブメントも鑑賞できます。

ダブルローターは文字盤側にひとつ、ムーブメントの裏側にもうひとつローターがあり、これらふたつのローターによって、ゼンマイが効率良く巻き上げられます。ケースサイドには、縦に彫られた溝が、立体感と重厚感を与えています。

4-4 ペリフェラル ダブル ローター Ref.A1063/1

ペルレにより特許を取得したダブルローターをペリフェラルローターへ応用したモデルです。DLCコーティングされたブラックのステンレスケース、文字盤中央の格子模様のエングレービングなど、スポーティーに仕上がっています。文字盤外周のペリフェラルローターに斜めに描かれた線は銃のライフリングのようならせん回転を見せてくれます。

ダブルローターの通り、文字盤裏面にもムーブメント・ローターがあり、同期させた回転を行うことで巻き上げ効率が向上しています。42mmケースや5気圧防水など実用性が高く、使い勝手のいいモデルです。

4-5 ニュー ダイヤモンド フラワー Ref.A2066/3

ペルレが特許を取得しているダブルローターをアレンジしたモデルで、鮮やかな花を文字盤上で表現しています。文字盤は美しいエングレービングが施され、見る角度によって光の反射が変わります。花びらのモチーフが優雅に揺れ動く、可愛らしくエレガントな一本です。従来の38ミリから36.5mmにサイズダウンしてさらに使いやすくなりました。

5 【世界初の自動巻き機構の開発者】ペルレ

ペルレの歴史、魅力、代表シリーズ、おすすめのモデルについてまとめました。時計の歴史に名を残した偉人によるブランドで、復活後は様々な機構やモデルを発表しています。マイナーなブランドだからこそリーズナブルに楽しめるため、もしかすると今のうちだけかもしれません。今後が楽しみなブランドの一つです。もし街中でペルレの時計を見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。

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