2024年4月29日
パパラチアサファイアとは?石言葉や値段などを徹底解説!
ジュエリー
キラキラと輝く宝石には、色んな種類があります。様々な色や風合いの宝石がありますが、その中でも特に有名なのが、ダイヤモンド、エメラルド、ルビー、サファイアの四つです。この四つの宝石は世界四大宝石と呼ばれていて、宝石の中でも特に人気が高く、皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
今回は世界四大宝石のひとつであるサファイア、その中でも特に人気のパパラチアサファイアという種類のサファイアについて見ていきます。サファイアというと青くて美しい宝石がまず頭に浮かぶと思いますが、パパラチアサファイアはなんとピンク色のとても珍しいサファイアなのです。
その不思議な色合いに魅了され、人気も値段もどんどん高騰しているパパラチアサファイア。今回は幻の宝石とも呼ばれるパパラチアサファイアについて詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.パパラチアサファイアとは?
サファイアには多くの色があり、青以外のサファイアはファンシーサファイアと呼ばれます。ファンシーサファイアの中でも特に人気も値段も高いパパラチアサファイアは、多くの人が一番最初にイメージする青いサファイアとはまったく違う色の宝石です。
]パパラチアサファイアはオレンジがかったピンク色をしたサファイアで、主にスリランカで産出されます。その産出量は非常に少なく、その希少性からアレキサンドライト、パライバトルマリンと並んで世界三大希少石とも呼ばれています。宝石というだけで希少性は高いのですが、その中でも特に数が少なく値段も高いのが世界三大希少石です。それだけでも、パパラチアサファイアが珍しく、高価で人気だというのがわかりますね。
そんなパパラチアサファイアについて、詳しく見ていきましょう。
1-1.パパラチアサファイアの基礎知識
まずは、パパラチアサファイアの基本的な情報について見ていきます。パパラチアサファイアについての基本的な情報を押さえておくことでさらに興味が湧いてくると思いますので、パパラチアサファイアがいったいどんな鉱物なのか、どのような点が他のサファイアと違うのかを知っておきましょう。
1-1-1.鉱物としてのパパラチアサファイア
サファイアは、コランダムという鉱物の一種です。コランダムは含有する元素によって様々な色になりますが、その中でも赤い物だけがルビーと呼ばれます。そして赤以外の、すべての色のコランダムをサファイアと呼ぶのです。
ですからもちろん、パパラチアサファイアもコランダムという鉱物の一種です。コランダムに酸化アルミニウムとクロムが混ざり、オレンジっぽいピンク色に発色した物がパパラチアサファイアと呼ばれます。
コランダムはとても硬い鉱物で、宝石の傷付きやすさをあらわすモース硬度は9です。モース硬度が10で最も高く、傷つきにくいとされるダイヤモンドの次いで硬い石ですので、ほとんどの鉱石・宝石よりもコランダムは硬いと言えます。宝石箱の中に並べておくと、ふとした拍子に他の宝石を傷つけてしまうことがありますので、気を付けてくださいね。
1-1-2.パパラチアサファイアと呼ばれる条件
パパラチアサファイアは、とても微妙な色合いをしています。オレンジが強ければオレンジサファイアですし、ただのピンク色であればピンクサファイアです。その間の絶妙な色合いの物だけがパパラチアサファイアと呼ばれ、他のサファイアとは違う扱いを受けることになります。
パパラチアサファイアは一般に、蓮の花の色とも、夕暮れの空の色とも言われます。この色合いはとても微妙で、見る人や見ている場所、光の具合など様々な条件によって同じ石でもパパラチアと言われたり、ピンクサファイアと言われたりします。パパラチアサファイアと思って買ったら、ピンクサファイアと言われてがっかりした…という話も珍しくありません。(もちろんピンクサファイアも素敵な宝石ですが…)
実はパパラチアサファイアには世界共通の基準がなく、各鑑別機関でパパラチアサファイアとされる色の基準は異なります。
この色がパパラチアサファイアの色!という絶対的な色があれば良いのですが、今のところそのような基準はありません。購入後にがっかりしないためにも、自分自身である程度納得の行く色の物を選んで買ったほうがいいでしょう。
1-2.パパラチアサファイアの語源
パパラチアサファイアは、スリランカのシンハラ族の言葉で「蓮の花」を意味する「padparacha(パパラチア)」が語源と言われています。
このパパラチアという言葉は元々はサンスクリット語とシンハラ語の「padma(パドマ)」と「raga(ラガ)」のふたつの言葉が合わさった言葉だそうです。パドマは蓮の花をあらわす言葉で、ラガは色や欲望、といった意味の言葉です。そのふたつの単語をあわせて、蓮の花という意味になりました。
元はパパラチアサファイアだけでなく、ルビーのことを示す単語でもあったそうなので、とても奥深い言葉ですね。
1-3.パパラチアサファイアの歴史
ブルーサファイアは歴史が古く、古代から人類に用いられてきましたが、パパラチアサファイアが発見されたのは1900年代に入ってからです。他の宝石に比べると比較的歴史の浅い宝石なのですが、パパラチアサファイアは硬度が高いこともあり、婚約指輪や結婚指輪としても人気があります。
特にその人気に拍車をかけたのが、2018年に結婚したイギリス王室のユージェニー王女の婚約指輪として、パパラチアサファイアの指輪です。1カラット以上の大きさの物は少ないと言われるパパラチアサファイアですが、なんとこの婚約指輪は5カラット以上のパパラチアサファイアを小粒のダイヤモンドがぐるりと囲んだデザインで、値段は日本円にして1500万円以上もするそうです。
この指輪がとても評判となり、パパラチアサファイアはさらに人気になりました。
1-4.パパラチアサファイアの産地
パパラチアサファイアは最初、スリランカで発見されました。
発見された当初、パパラチアサファイアはスリランカでのみ産出されると言われていました。ですがその後、2001年にマダガスカルのイラカカやタンザニアのソンギアでもパパラチアに近いようなオレンジを含んだピンクカラーのサファイアが産出されました。パパラチアサファイアかどうかを決めるのは色なので、鑑定機関の定めるパパラチアサファイアの色の範囲内であれば、これらもパパラチアサファイアであるといえます。
とはいえやはり、パパラチアサファイアの主要な産地といえばスリランカです。
2.パパラチアサファイアの魅力
パパラチアサファイアの魅力は、一番はなんと言ってもその美しさです。
蓮の花の色とも夕暮れの空の色とも言われる、絶妙なニュアンスのカラーは、他の宝石にはなかなかない色合いですよね。ほとんどピンク色のパパラチアサファイアもありますし、オレンジの濃い色合いのものもあり、より自分の好みにあった石が選べるのも、パパラチアサファイアの魅力です。温かみのある美しい色は、見ているだけで癒されますよね。
もちろんわかりやすい美しさ以外にも、パパラチアサファイアには様々な魅力があります。
2-1.誕生石としてのパパラチアサファイア
サファイアは9月の誕生石ですので、パパラチアサファイアももちろん9月の誕生石です。誕生石は国によって異なりますが、日本では1958年に全国宝石卸商共同組合によって制定されました。2021年に新たにクンツァイトが9月の誕生石に追加されましたが、それでもやはり、9月の誕生石といえばサファイアのイメージが強いのではないでしょうか。
クンツァイトは透明から薄ピンク色の宝石です。同じピンクと言ってもパパラチアサファイアの色とはまったく違う色合いなので、誕生石を身に付けたいけれど、ブルーサファイアの青も、クンツァイトの薄ピンク色も求めているイメージと違うという時には、パパラチアサファイアがぴったりです。
その月に生まれた人が誕生石を身に付けると、その人を守ってくれるお守りになると言われています。お守りが欲しい時に自分で購入する人もいますし、誕生石をプレゼントとして贈るのも人気です。また1日ごとに決められている誕生日石というのもあり、パパラチアサファイアは4月8日の誕生日石でもあります。
2-2.パパラチアサファイアの石言葉
花に花言葉があるのをご存知ですか?赤いバラは「愛」や「美」、カーネーションは「母の愛」など、花束を贈る時に、どんな花言葉なのかを考えてプレゼントしたりする人も多いと思います。同じように宝石にも石言葉があります。石言葉を意識しながら贈り物すると、ひとつ上のプレゼントになるかもしれません。
パパラチアサファイアの石言葉は「信頼」「慈愛」「知恵」などです。より成長するために知恵を身に付けたい時や、「慈愛を持ってあなたに接します」という意思表示として、パパラチアサファイアを贈ってみるのはいかがですか?
3.パパラチアサファイアの価値
物の価値は、様々な要素で決まります。人それぞれに価値基準があり、一概に良い悪いと判断できるわけではありません。
例えば世間的には何でもないような価格が低い物でも、思い出が詰まっていればその人にとっては価値がありますし、嫌な思い出を連想するから高価な物でも身に付けたくない、という人もいますよね。最終的には物の価値は自分で決めるしかないのですが、それでも世間一般で言われている価値基準はあります。その基準を知っておくことは、特に宝石というジャンルにおいてはとても重要なことです。世間的な価値基準を知っておけば、法外な値付けに異を唱えることもできますし、あるいは「安すぎる=偽物かもしれない」という判断も可能になってくるからです。
パパラチアサファイアは、サファイアの中でも特に希少性が高いことから、「幻の宝石」「幻のサファイア」と呼ばれています。本来とても価値が高いパパラチアサファイアを購入するとなると、それなりの金額が必要になってくるでしょう。購入した後に公開しないためにも、パパラチアサファイアの価値について知っておきましょう。
3-1.パパラチアサファイアの値段
物の価値というのは、様々な要素で決まりますが、一番わかりやすいのは、その物の値段です。
その点で言うと、パパラチアサファイアは間違いなく価値が高い宝石です。様々な色のサファイアがありますが、パパラチアサファイアは他の色のサファイアの中でもとても値段が高い宝石ですし、サファイアに限らず、すべての宝石の中でも高価な部類です。
購入する時、あるいは売却する時にいくらくらいで買えるのか、売れるのかというのは分かりやすい価値ですよね。ところがすべての物がそうであるように、値段というのは一定ではありません。日用品でも食料品でもなんでも、価格が上がったり下がったりするのは日常茶飯事です。そして宝石は、値段の上下がよりはっきりとしています。
宝石の値段が決まる要素はいくつかあります。
ひとつ目は、宝石自体の品質です。色や大きさ、傷が入っていないか、インクルージョンと呼ばれる内包物が入っていないかなどによって、宝石の品質が決まり、そこから値段が決まります。
ふたつ目は、宝石の希少性です。どんなにきれいな色で、大きくて傷が入っていない宝石でも、たくさん採れる宝石はどうしても値段が低くなります。逆になかなか手に入らないと思うと、人は大金を出しても買いたいと思うものです。珍しい物を持っているというだけである種のステータスになりますからね。
三つ目は、宝石の人気です。人気は需要とも言い換えられますが、欲しいという人が多ければ、当然値段は高くなります。人気は、ふたつ目の要素とも関わってきますが、珍しい物であれば、欲しいという人が増えて人気が上がる。人気が上がると買う人が増えて市場に流通する数は減り、さらに希少性が上がるので、値段は上がる一方というわけです。
特に宝石は、日用品のように売れるからといってたくさん製造できるものではありません。自然の産物である宝石は無限に湧いてくるわけではありませんし、パパラチアサファイアのように産出量が限られているものは、特に値段が高騰してしまいます。万が一どこかでパパラチアサファイアの大規模な鉱脈が見つかれば話は別ですが、今のところパパラチアサファイアの値段が極端に下がるということはなかなか考えづらいです。
3-2.パパラチアサファイアの処理
宝石には様々な理由から、人の手によって加工が施されることがあります。宝石に施される処理には様々な種類があり、宝石の価値にはまったく関わらない処理もありますが、処理の種類によっては宝石自体の価値に大きく関わってくるものもあります。
パパラチアサファイアは間違いなく値段の高い宝石ですが、そのパパラチアサファイアにどのような処理がされているかは、購入前に知っておいた方が良いでしょう。でなければ、購入してから思っていたほど価値が高くなかったと後悔することになりかねません。
宝石の価値にあまり関わらない処理には、加熱処理があります。加熱処理はサファイアによく施される処理で、産出されたサファイアを高温で加熱することによってブルーサファイアの青をより鮮やかにしたり、細かなインクルージョンを除去したりすることができます。加熱処理はサファイアの95%に施される処理で、宝石の価値を大きく上下させることはありません。
一方で気を付けたほうが良いのは、ベリリウム拡散加熱処理です。
産出された時点で、パパラチア独特のオレンジがかった美しいピンク色をしているサファイアは、本当にごく稀です。それゆえパパラチアサファイアは、希少性も値段も高いとされています。ですが比較的産出量の多いピンクサファイアにベリリウム拡散加熱処理を施すと、よりパパラチアサファイアに近い色合いに変化し、しかも内部のインクルージョンも少なくなるのです。
よくある加熱処理と違い、ベリリウム拡散加熱処理をしたサファイアは宝石としての価値が非常に低くなります。この処理を施されたサファイアは、パパラチアサファイアと非常に似た色をしているので、素人が見分けることは不可能です。ですが、鮮やかすぎるパパラチアサファイアや、値段が極端に安いパパラチアサファイアには注意を払ったほうが良いでしょう。
4.パワーストーンとしてのパパラチアサファイア
宝石の愛好家には、ジュエリーとしてではなくパワーストーンとしてパパラチアサファイアを使用する人も少なくありません。
パワーストーンとしてのパパラチアサファイアは、ジュエリーとしての使用目的や価値とはまったく違った意味を持っています。パワーストーンとしてのパパラチアサファイアがどのような意図を持って用いられているかを見ていきます。
4-1.パパラチアサファイアの意味
パワーストーンとしてのパパラチアサファイアは、持ち主に良縁を授ける縁結びの石として知られています。「信頼」「慈愛」という石言葉にも通じるものがありますね。
パパラチアサファイアは、身に付ける人に良縁をもたらす石です。スピリチュアル的には、パパラチアサファイアのオレンジがかったピンク色は恋愛に積極的になれる色とされています。ただ待っている恋愛ではなく、恋愛に対して積極的な行動をとる後押しをしてくれるのが、パパラチアサファイアなのです。
また、パパラチアサファイアは成長や自己実現のパワーを持っているとも言われています。「知恵」という石言葉もぴったりですね。パパラチアサファイアは積極的になれる石なので、自分が成長するための後押しをしてくれます。パパラチアサファイアの語源とも関係がある蓮の花は、泥水の中に美しい花を咲かせることから、苦しい状況でも耐え忍んで成長するという意味があります。パパラチアサファイアにもそういった、逆境をはねのけて大きな成果をあげる、そのために積極的に努力する力を持ち主に与えてくれるパワーがあるとされているのです。
パパラチアサファイアは、清らかなパワーを持っています。自ら悪い状況を脱して持ち主の周囲を正常な状況に整えると言われていて、環境が良くないと感じていたり、精神的に乱れていると感じている人におすすめのパワーストーンです。
4-2.パパラチアサファイアと相性が良い石
パワーストーンの使用方法は必ずしも決まっていません。置物として家の中に配置したり、お守りやアクセサリーにして身に付けたりと、それぞれが使いやすい方法を選んで使用してください。パワーストーンとしてパパラチアサファイアを使う場合、他のパワーストーンと組み合わせることでパパラチアサファイアの持っているパワーを増幅させたり、逆にパパラチアサファイアにはないパワーを足したりすることができます。ですが複数のパワーストーンを使う時は、自分が今求めているのはどんなパワーなのか、石同士の相性はどうかを確認してから使うようにしましょう。
4-2-1.パラチアサファイア×ダイヤモンド
ダイヤモンドは最強のパワーストーンと呼ばれていて、大きなパワーを持っています。強い輝きは増幅の効果があるとされ、組み合わせるパワーストーンの持っている力を大きくしてくれる石です。ダイヤモンドはパパラチアサファイアの持つ縁結びや自己実現のパワーを大きくして、持ち主に授けてくれるでしょう。
ただし気を付けたほうが良いのは、ダイヤモンドはとても大きな力を持っているので、その力を受け入れる準備ができていない人にはかえって逆効果になってしまうことがあるということです。人はいつも元気いっぱいで、前向きでいられるわけではありませんよね。少し休みたい時、癒されたい時には向かない組み合わせです。
自分の体調や気分をしっかり見極めて、今なら頑張れる、積極的に動きたいという時には、持ち主の背中を強く押してくれる最強の組み合わせです。
4-2-2.パパラチアサファイア×ルビー
ルビーは情熱と恋愛のパワーストーンで、パパラチアサファイアと同じコランダムという鉱物ですので、とても相性が良いです。ルビーとサファイアはいわばきょうだいのようなもので、違和感なくお互いの力を発揮できます。
特にルビーは宝石の女王とも呼ばれるパワーストーンで、女性の魅力を引き出してくれる石と言われています。恋愛的な魅力はもちろん、人間としての魅力もプラスされるような石なので、パパラチアの自分を成長させてくれるパワーと合わさって、周囲の人に力を認められるでしょう。パパラチアサファイアの積極性も加わるので、より活き活きとポジティブな生活を送ることができるようになります。
自信がなくて一歩踏み出せない人や、もっとポジティブになりたいひとに、パパラチアサファイアとルビーの組み合わせは大きな力を授けてくれるでしょう。
4-2-3.パパラチアサファイア×ローズクォーツ
ローズクォーツは薄いピンク色の水晶で、優しい雰囲気が人気のパワーストーンです。キラキラと輝きが強い石ではありませんが、やわらかくて包み込むような魅力があり、持ち主の魅力を引き出してくれる恋愛の石として有名です。
パパラチアサファイアとローズクォーツの組み合わせは、恋愛に強い組み合わせと言えますが、その中でも特に結婚を見据えた良い出会いをしたいひとにおすすめです。ローズクォーツだけでも恋愛のパワーを持っていますが、パパラチアサファイアは持ち主にふさわしい、良い縁を運んでくる石です。そして持ち主に積極性をもたらしてもくれるので、その良縁を逃さず掴むことができるでしょう。
掴んだ縁を離さず保つために、自分の魅力をさらに引き出す効果もある組み合わせなので、より良いパートナーと、末永く良好な関係を築くこともできるパワーストーンです。
5.パパラチアサファイアに似た石
ジュエリーとしても、パワーストーンとしても魅力的なパパラチアサファイアですが、中にはパパラチアサファイアによく似た宝石もあります。それぞれの宝石にそれぞれ良い所がありますが、もし混同してしまって、パパラチアサファイアを買ったつもりだったのに違う石だったということになってしまうとショックですよね。
自分が納得する宝石を購入できるように、パパラチアサファイアとよく似た石についても知り、その違いを認識しておきましょう。
5-1.ピンクサファイア
サファイアには様々な色があり、パパラチアサファイアのそのうちのひとつです。パパラチアサファイアは色の範囲に幅があり、中には同じサファイアであるピンクサファイアと非常に近い色合いの物も存在します。
ピンクサファイアは、ブルーサファイアに次いで有名で流通量も多いので、実物を見たことがあるという人も多いと思います。ピンクサファイアはクロムとチタンが含有されたコランダムで、色合いはパステル調の薄いピンクから紫がかったピンク、ルビーに近いような赤っぽいピンクまで様々です。
パパラチアサファイアとピンクサファイアはとてもよく似ていますので、ふたつの違いを見分けるのは非常に困難です。たしかにパパラチアサファイアと言われて購入したのに鑑別に出してみたらピンクサファイアと言われたというような話は珍しくありませんし、鑑別機関によってもその結果は異なります。それほどささいで微妙な違いしかないのが、この2種類のサファイアなのです。
とてもよく似た宝石ですが、ピンクサファイアと世界三大希少石とも呼ばれるパパラチアサファイアとでは値段は大きく異なります。宝石自体の大きさや透明度などの品質にもよりますが、ピンクサファイアはパパラチアサファイアではありえないような安価で売られていることも珍しくありません。もちろん、安いから悪いというわけではありませんので、ピンクサファイアと分かっていて、気に入った石を購入することには何の問題もありません。
ですがパパラチアサファイアと名前がついていても、ピンクサファイアととても近い色であったり、値段が極端に安いものをパパラチアサファイアとして購入する時は、十分注意してください。
5-2.パパラチアカラーサファイア
パパラチアサファイアにとてもよく似た宝石として、パパラチアカラーサファイアというものがあります。パパラチアカラーサファイアというのは、パパラチアサファイアの処理の項でお話したベリリウム拡散加熱処理を施したサファイアのことです。パパラチアカラーサファイアは色合いはとても美しいですし、天然のパパラチアサファイアよりも彩度が高かったりインクルージョンも少なかったりするので、品質の良いパパラチアサファイアに見え、素人が肉眼で見分けることは不可能です。ですが表面の色を加工しているので、美しいのは表面だけで、割ってみると内部はまったく違う色をしています。
ややこしいことに、かつてこのパパラチアカラーサファイアにパパラチアサファイアだという鑑別書がついていたことがありました。現代では、ベリリウム拡散加熱処理を施された石はパパラチアサファイアとは呼べないとされ、宝石としての価値はほぼないという認識が広まっていますので、このような鑑別書がつけられることはありません。
まちがいなくパパラチアサファイアを購入したいのであれば、鑑別書はいつ、どこから発行された物なのかをきちんと確認しましょう。
6.(まとめ)後悔しないパパラチアサファイアを選ぼう!
サファイアの一種でありながら、オレンジがかったピンク色という希少な色を持つパパラチアサファイアは、とても美しいというだけではなく、産出量も少なく珍しい石なので「世界三大希少石」ともいわれ、人気が高い宝石です。
ですがその人気のため、ベリリウム拡散加熱処理を施され、色をより鮮やかに加工して販売されているものもあります。このような石は、正確にはパパラチアサファイアとは呼べず、パパラチアカラーサファイアといって区別されます。しかしパパラチアカラーサファイアの中には、鑑別書のついたパパラチアサファイアよりも表面の色が美しいものもあります。逆にいえば、鑑別書がついたパパラチアサファイアでも、加工済みのパパラチアカラーサファイアに比べて色がくすんでいる物もあるのです。
鑑別書にこだわるのもひとつの価値観ではありますが、たとえ鑑別上ではパパラチアサファイアとは呼べなくても、美しいと思った石を購入するのも選択肢のひとつです。自分のために宝石を選ぶのであれば、本当の意味で自分が気に入るような石を探してみるのもいいかもしれませんね。