時計の基礎知識|スモールセコンドとは?メリットとデメリットもあわせて解説
時計

「秒針がない」
「文字盤に小さなダイヤルがある」
時計に興味のある人なら、一度はそんな腕時計を見たことがあるのではないでしょうか。
しかし、見たことはあっても「普通の時計と何が違うの?」「どんな機能なの?」といったように、意外と名前や役割を知らない人も多いはずです。
本記事では、スモールセコンドとは何なのか、メリットやデメリットも合わせて分かりやすく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.スモールセコンドとは?|サブダイヤルに配置された秒針
スモールセコンドとは、一言で言うと”サブダイヤルに配置された秒針”のことを指します。
時針や分針と同じ中央の軸に配置されているのではなく、物によっては文字盤の6時や9時の位置に秒針が独立して配置されています。
現代では時針、分針、秒針の3針が文字盤の中央に配置されている時計が一般的ですが、実はスモールセコンドの方が登場は先です。
腕時計がまだ世の中に存在しない、懐中時計が一般的だった時代は、秒針を文字盤の中央に配置するのが技術的に困難でした。
秒針を動かすための動力が十分に確保できないため、独立したスモールセコンドとして配置するのが、最も合理的だったのです。
そして1930年代~1940年代、懐中時計のデザインを受け継ぐ形としてスモールセコンドを搭載した腕時計が当時の世の中の主流となりました。
現代では実用性以上に、デザインの一部として多くの人に認知されています。
2.スモールセコンドとセンターセコンドの違いは秒針の位置

スモールセコンドとセンターセコンドの違いは主に「秒針の位置」です。スモールセコンドに関しては前章で既に説明をしているので割愛させていただきます。
センターセコンドは時針、分針、秒針が文字盤の中央の軸に配置されている、誰もがイメージするごく一般的な時計の機構のことを指します。
軍用時計やクロノグラフの普及によって視認性が求められた結果、開発技術の進化にともない誕生しました。
もちろん、スモールセコンドとセンターセコンドはただ単に見た目が違うだけではありません。時計の構造、歴史、視認性、用途、デザインなど多くの要素で明確な違いがあります。
そこで、次の章ではスモールセコンドのメリットを詳しく解説していきたいと思います。
3.スモールセコンドのメリット5選
センターセコンドの時計が現代の主流ではありますが、人によってはスモールセコンドの時計を見かける機会も意外と多いのではないでしょうか。
なぜ、スモールセコンドが採用されるのか、ここではスモールセコンドのメリットを5つ紹介していきたいと思います。
3-1.クラシックな見た目が魅力的
スモールセコンドは、懐中時計が主流だった時代から続く伝統的な機構であり、サブダイヤルの存在がクラシックで上品な雰囲気を演出します。
現代では、個性的なデザインの文字盤をよく見かけるようにもなりましたが、スモールセコンドの時計は余白の美しい文字盤が多く魅力的です。
3-2.時針と分針の視認性が高い
秒針が独立して配置されているスモールセコンドは、時針と分針の視認性が高くなるため、時刻を一目で読み取れるメリットがあります…が、正直これに関しては、大きな違いを感じない人もいるかと思います。
秒針が時針と分針に被らない分、時刻確認を優先する場面では、スモールセコンドの方がセンターセコンドよりも少しだけ見やすい程度で認識しておきましょう。
3-3.クロノグラフと相性が良い
クロノグラフでは、ストップウォッチ機能を担う秒針が文字盤の中央に配置されている個体が多いため、計測用の秒針と通常の秒針が混同しないスモールセコンドと相性が非常に良いです。
ロレックスのデイトナ、オメガやシチズンのクロノグラフなどにも同様の構造が採用されており、スモールセコンドはクロノグラフの機能性を支える重要な役割を果たしています。
3-4.時計を薄型にできる
文字盤の中央に時針、分針、秒針の3本の針を重ねる必要がないスモールセコンドは、ムーブメントの構造がシンプルになるため、時計本体を薄く製造できるメリットがあります。
パテックフィリップやヴァシュロンコンスタンタンなどの薄型を伝統としている高級時計ブランドがスモールセコンドを採用する理由もここにあります。
3-5.耐久性が高い
文字盤の中央に3本の針が重なるセンターセコンドよりも、構造的に無理がなく内部のギアの負担が少ないスモールセコンドの方が耐久性が高いです。
特に手巻きムーブメントの時計では、スモールセコンドの方が長期的に見て耐久性が高いという特徴があります。
4.スモールセコンドのデメリットはたった一つ。秒針の視認性が悪い
スモールセコンド唯一のデメリットとなるのが、秒針の視認性が悪いことです。
秒針が小さなサブダイヤルのなかで動くため、瞬時に読み取りづらく、特に「あと何秒」かを確認したい場面では不便に感じる可能性があります。
また、時針や分針がサブダイヤルと重なる時間帯には秒針が隠れてしまい、正確な秒読みができない場面もでてきます。
モデルによってはスモールセコンドの目盛りが省略されているデザインもあるため、実用性という観点では、中央で長い秒針が動くセンターセコンドの方が圧倒的に視認性に優れています。
5.スモールセコンドを搭載したおすすめの腕時計10選
ここまでスモールセコンドについて詳しく解説してきましたが、では実際にスモールセコンドが搭載された時計には何があるのでしょうか。
ここでは、スモールセコンドが搭載された当社おすすめの腕時計を10本紹介していきたいと思います。
5-1.【ヴァシュロンコンスタンタン 】ヒストリーク アメリカン1921
世界三大時計に数えられる高級時計ブランド、ヴァシュロンコンスタンタンはスモールセコンドを搭載したモデルが多く展開されています。
1755年以来続くヴァシュロンコンスタンタンが、これまでに打ち出してきたタイムピースを現代風にアレンジしたのが「ヒストリーク」コレクション。
スモールセコンドを搭載した代表的なモデルであり、そのなかのヒストリーク アメリカン1921はおすすめの一本です。
一般的に6時や9時の位置に配置されることの多いスモールセコンドですが、ヒストリーク アメリカン1921は3時の位置に配置されており非常に特徴的です。
5-2.【パテックフィリップ】カラトラバ

出典:パテックフィリップ
パテックフィリップのなかでもスモールセコンドを搭載した代表的なモデルとなるのが、カラトラバです。
初代Ref.96を忠実に受け継いだデザインが特徴的で、シンプルな白文字盤は、上品で美しい仕上がりです。スモールセコンドという原初的な機構を最も洗練された形で表現した一本と言えるでしょう。
5-3.【ブレゲ】クラシック7147

出典:ブレゲ
1775年に創業された世界最高峰の高級機械式時計ブランド、ブレゲのなかで最も知名度の高いスモールセコンドモデルがクラシック7147。
ギョーシェ彫りの文字盤、ブレゲ針、ローマンインデックスという王道の組み合わせに、6時位置のスモールセコンドが上品な雰囲気をさらに引き立てています。
またクラシック7147のスモールセコンドは、僅かにくぼんだ段差仕上げになっており、特有の立体感が生み出されているのが特徴的です。
5-4.【ランゲ&ゾーネ】サクソニア オートマティック

出典:ランゲ&ゾーネ
1845年創業のドイツ製高級時計ブランド、A.ランゲ&ゾーネは世界五大時計に数えられ、クラシックな雰囲気が特徴的です。
A.ランゲ&ゾーネのタイムピースにおいて、スモールセコンドはブランドの要ともいえる機構であり、代表作サクソニアに多く搭載されています。
今回紹介するサクソニア オートマティック(Ref.315.032)は、文字盤に対してサブダイヤルが大きめにデザインされているのが特徴です。視認性を確保しながらも、文字盤全体の邪魔にならず上品な仕上がりになっていると言えるでしょう。
5-5.【パネライ】ルミノール マリーナ

出典:パネライ
1860年にイタリアのフィレンツェで創業された高級腕時計ブランド、パネライは多くのモデルにスモールセコンドが搭載されており、視認性の高い文字盤にワンアクセントを与えています。
そのなかでも、ルミノール マリーナはパネライのスモールセコンドを代表するモデルといえ、大型のケースに対して控えめな9時位置のサブダイヤルがよく映えます。
5-6.【オメガ】シーマスター アクアテラ

出典:オメガ
スイスの高級時計ブランド、オメガと言えばスピードマスターが代表的なモデルとなりますが、今回紹介するのはシーマスター アクアテラ(Ref.220.10.41.21.02.004)。
シーマスターはスモールセコンドを搭載した時計が多く、ドレスウォッチとしての存在感は抜群です。
そのなかでも、シーマスター アクアテラ(Ref.220.10.41.21.02.004)はステンレス素材にネイビーの差し色がよく映えるため、カジュアルな場面でも自然に溶け込む魅力があると言えます。
5-7.【ゼニス】クロノマスター スポーツ

出典:ゼニス
1865年に創業したスイスの高級腕時計ブランド、ゼニスはスモールセコンドを搭載したモデルが多く存在しており、代表作のクロノマスター スポーツは時計好きに広く知られています。
今回紹介するクロノマスター スポーツ(03.3100.3600/69.M3100)は、9時位置にスモールセコンドが配置されており、薄いグレーの配色が控えめながらも上品なアクセントになっていると言えるでしょう。
5-8.【ノモス】ラドウィッグ

出典:ノモス
1990年に創業したドイツ・グラスヒュッテの機械式時計ブランド、ノモスはバウハウスの思想を取り入れた無駄のないミニマルなデザインが、世界中の時計愛好家から支持されています。
ラドウィッグはノモスのなかでもスモールセコンドが搭載された代表的なモデルであり、6時位置の小さなサブダイヤルが文字盤全体の余白を作り、ノモスらしい“美しさ”を際立たせています。
5-9.【シチズン】エコドライブワン

出典:シチズン
1918年に創業された日本を代表する時計ブランド、シチズンは日本人であれば一度は耳にしたことのある時計ではないでしょうか。
そんなシチズンの代表作でもある、エコドライブワンには6時位置にスモールセコンドが搭載されており、クラシックなデザインがシチズンの伝統を感じさせてくれます。
5-10.【セイコー】セイコーシャ

出典:セイコー
最後は日本を代表する時計ブランド、セイコーから。セイコーはセンターセコンドが一般的で、現行品でスモールセコンドを搭載したモデルはほとんどありません。
しかし、昔に製造されていたセイコーシャという懐中時計にはスモールセコンドが搭載されていました。
セイコーシャは当時のセイコーが手掛けた精度の高い懐中時計で、6時位置に配置されたスモールセコンドが特徴的です。
腕時計…ではありませんが、中古市場でも比較的見つけやすく、状態の良い個体が残っていることもあるため、スモールセコンドの歴史を知るうえでも興味深いタイムピースと言えるでしょう。
6.【まとめ】スモールセコンドは時計の伝統的な機構
スモールセコンドは、懐中時計の時代から受け継がれてきた伝統的な秒針の配置であり、クラシックな雰囲気や余白の美しさを楽しめる魅力的な機構です。
現代ではセンターセコンドが主流ですが、スモールセコンドならではの落ち着いたデザインや負荷のかかりにくいムーブメント構造は、薄型にこだわる時計ブランドを中心に今でも選ばれています。
本記事をご覧いただき、魅力を知ったうえで是非スモールセコンドの腕時計を身につけてみてはいかがでしょうか。







