2024年11月07日
【時計商と時計師のタッグ】ドゥ・ベトゥーンとは?歴史や魅力を徹底解説
目次
1.【時計商と時計師のタッグ】ドゥ・ベトゥーンの魅力
1-1.26以上のムーブメントを開発し、革新的な独自機構の数々
ドゥ・ベトゥーンは 26種類 以上のムーブメントを開発し、特許を取得したものを含む 30 以上の画期的なコンセプトを創り出してきました。これまでにオリジナリティに溢れた150種類以上のモデルを発表し、世界中を驚かせてきました。独創性に満ちた約 150 種類のモデルを世に送り出し、賞を受賞する機会も多く、評価の高さを裏付けるものでした。
後述するブルーチタニウムや球体ムーンフェイズ、フローティングラグなどムーブメントではなく外装についての開発も行っており、革新的な機構を次々と開発していきました。中には社内でしか製造できないこだわった製品もあり、ドゥ・ベトゥーンのこだわりの強さを感じるものです。
1-2.独特ながらスイスの伝統に則った美しいデザイン
ドゥ・ベトゥーンの時計は一見すると斬新でアバンギャルドな印象を受けますが、どれもスイスの伝統に則ったデザインとなっています。
他のブランドにはないブルーのケースや針は、これまで安定した生産が難しいとされていたチタンへ伝統的な青焼きを施したものです。DB Kind of Two Jumping GMTに搭載されているデッドビートセコンドも、限られたハイエンドモデルに搭載されることのある機構です。
新興ブランドでは時に斬新でこれまでにないデザインを開発しますが、永く使う時計としてはなかなか使いにくいものも少なくありません。ドゥ・ベトゥーンの時計は一見斬新でも、スイスの伝統的なデザインに沿ったものが多く使い勝手にも優れています。
1-3.限られた生産数と独自のルール
ドゥ・ベトゥーンでは、約30名の従業員が年に150本の時計を製作していると言われています。(2021年時点)かつて年産500本を生産していた時期もありますが、現在の経営陣は質を追求するために生産本数を絞っています。本数を絞りながら品質を向上させており、創業者が目を光らせているそう。モデルによってまちまちですが、このモデルは年間で何本まで、といった縛りを設けています。
ほとんどの工程を内製するため、本数は絞られるものの他社が模倣できないメリットがあります。例えば青焼きされたチタンは熱処理の管理が難しく、内製でないと上手く製造できないため社内でのみ生産されます。ドゥ・ベトゥーンはそうしたこだわった機構やデザインが多いため、どうしても内製する工程が増えてしまうようです。
2.【時計商と時計師のタッグ】ドゥ・ベトゥーンの独自の機構やデザイン
2-1.ブルー・チタニウム
ドゥ・ベトゥーンを代表する意匠の一つ、ブルーチタニウムは他のブランドでは生み出せない独自の手法と美しさが特徴です。通常、青焼きに使用されるのはスティールですが、ドゥ・ベトゥーンではチタンに青焼きを施し、ケースに採用しています。
熱伝導率が低いチタンは加熱の際に色むらを起こしてしまいやすく、立体的なケースでは更に難しいとされています。完全に鏡面に磨く必要があり、品質の安定性のために社内で処理を行っているこだわりよう。ドゥ・ベトゥーンは新しい手法でこれを解決し、PDV処理では出せない鮮やかなブルーを表現しています。
青焼きされたチタンを惜しみなく使っているのがDB28Kind of Blue。ケース、ムーブメントの地板、受けも青焼きされたチタンを採用しています。
2-2.球体ムーンフェイズ
その名の通り球体形状のムーンフェイズで、月の満ち欠けを測る機能としては同じものとなります。ただし精度は極めて高く、122年に1日(太陰日)の誤差。文字盤上にインダイヤルの位置に配置されたり、フローティングラグの回転に巻き込まれないようにベゼルに居たりと自由に配置されることの多い機構です。
球体はチタンを焼いてブルーにしたり、スチールを焼いてブラウンにしたりとモデルのコンセプトに合わせて調整されています。球体ムーンフェイズ自体は他ブランドでも見られますが、ブルーのチタンやブラウンなど特別な焼き入れによる美しさはドゥ・ベトゥーンでしか見られないようになっています。
2-3.フローティングラグ
ドゥ・ベトゥーンを象徴する独特な機構としてフローティングラグが挙げられます。3時位置と9時位置でケースを留めており、着けた時に手首に馴染むように回転するのが特徴です。通常の時計の場合、3時位置にあることの多いリューズは、回転を妨げないように12時位置か、もしくは6時位置にケースのくぼみに入り込むようになっています。
フローティングラグは特許を取得しており、ポリッシュ仕上げされたチタンを大胆にくり抜くことで軽量化も果たしています。これにより抜群の着け心地が楽しめる、ドゥ・ベトゥーン独自の機構です。
DB Kind of Two Tourbillonではケースを回転させることで文字盤の表と裏を切り替えて使う仕様にも利用されています。片方の文字盤にはトゥールビヨン、もう一方にはオーソドックスな3針を配置しており、切り替えて使用できます。
3.【時計商と時計師のタッグ】ドゥ・ベトゥーンの代表シリーズ
3-1.DB KIND OF TWO
2021年に発表されたKIND OF TWOは2つの文字盤をもち、フローティングラグによってケースが回転し、2種類の使い分けができるコレクションです。手首へのフィット感を追求するために開発されたフローティングラグですが、このコレクションでは文字盤を回転させることができるようになっています。文字盤上で目を引くブルーの針はドゥ・ベトゥーンを象徴する青焼きされたチタンによるものです。現在はDB Kind of Two TourbillonとDB Kind of Two Jumping GMTの2種類が展開されています。
DB Kind of Two Tourbillonは2つの面で全く違う顔を見せます。片面は6時位置にトゥールビヨンを配し、三角形と円を組み合わせたデザインです。もう片面はオーソドックスな3針で、美しいギョーシェの代わりにトゥールビヨンは見えない構造になっています。
DB Kind of Two Jumping GMTは第二時間帯表示となる文字盤を2面もっており、デュアルタイム機能のように2つの時刻を設定可能です。オーソドックスな3針側はDB Kind of Two Tourbillonと共通ですが、裏面は6時位置のバランスホイール上を走る<の時のような時針と文字盤外周を周る分針で時刻を表します。また、デッドビートセコンド機構によって、秒針は1秒ずつ動くステップ運針になっており、一見するとクオーツ時計に思える動きとなっています。
3-2.DB EIGHT
DB EIGHTはギョーシェが施された文字盤、リーフ針といったクラシックな世界観を強調したモデルです。リューズとプッシュボタンが一体化したワンプッシュクロノグラフで、ケースサイドがすっきりしているのは、プッシュボタンを持たないからです。6時位置のインダイヤルは60分積算計です。
幅広めのラグは特徴的な形状のため、一目でDB EIGHT1だと判別可能です。白文字盤、黒文字盤に金針、ネイビー文字盤の3種類がラインナップ、幅広い層が使用できるように展開されています。シースルーバックでクロノグラフの複雑なムーブメントを鑑賞可能です。
3-3.DBD
12時位置にリューズをもち、上下でアシンメトリーなデザインのDBD。デジタル表示を採用しており、文字盤上に針は存在していません。全て小窓で表示します。
6時位置の小窓が時間、中央が分表示です。12時位置のブランドロゴの下の窓では左から曜日、日付、月を表示しています。文字盤は縦にコートドジュネーブが施されており、淡白な時刻表示にメリハリをつけています。
現行ではシーズン2と名付けられた赤文字盤と、エバーグリーンと呼ばれる20本限定生産モデルが展開されています。エバーグリーンは2023のドバイウォッチウィークでお披露目されたモデルで、中東の歴史や文化に関連する色を選んだとされています。
3-4.DB25
星空を表現したブルーチタニウムの文字盤が特徴で、様々な機能を搭載したシリーズとなっています。光の入り方で絶妙な色の濃淡を魅せる文字盤で注目を浴びたDB25 STARRY VARIUSはドゥ・ベトゥーンを代表するモデルの一つとなっています。
隕石を文字盤に採用したStarry Variusエアロライト、Starry Variusクロノメータートゥールビヨンはケースバックにトゥールビヨンを搭載したモデル、永久カレンダーを搭載したモデルなど、幅広い機能で展開されています。
ギョーシェやリーフ針をメインに使うためクラシックな趣が強調されたデザインで、ドゥ・ベトゥーンの独特なラグや機構はスイスの伝統的なデザインにより、王道らしい雰囲気を纏っています。
3-5.DB27
コンテンポラリーなDB28とクラシックなDB25の間を埋めるDB27。チタンをくり抜いてつくったフローティングラグを搭載したケースはDB28を象徴するものです。アバンギャルドな文字盤はDB25のクラシックな王道デザインを採用することで、両社の特徴を兼ね備えたコレクションとなっています。
DB28のような先進的なデザインは日常使いしにくいため、DB25のようにDB28を使いたいユーザーに刺さるものとなっています。機能はシンプルな3針のため、先進的な機能を外しシンプルなつくりとなっているため、永く使える時計です。
3-6.DB28
DB28はドゥ・ベトゥーンの開発してきた数々の機構に裏打ちされた技術力をアバンギャルドなデザインと極限の軽量化にぶつけたコレクションです。肉抜きされたラグや12時位置のリューズなど先進的、かつ特許を取得しているフローティングラグにより時計本体が手首に合わせて回転をすることにより快適な着け心地へと進化しています。
機構や世界観をそのままに隕石を文字盤に採用したモデルやトゥールビヨン、青焼きしたチタンケースを採用したモデルなど幅広く展開されており、ブランドが注力しているコレクションの一つです。
DB27やDB Kind of Two Tourbillonなど他モデルへ派生する事も多く、ドゥ・ベトゥーンを象徴するデザインとなっています。
4.【時計商と時計師のタッグ】ドゥ・ベトゥーンのおすすめモデル5選
4-1.DB28 Kind of Blue 天の川
鮮やかなブルーチタニウムと斬新な機構といったドゥ・ベトゥーンを象徴する機構を併せ持ったDB28 Kind of Blue。鮮やかに青焼きされたチタンの文字盤には、レーザーによる彫り込みへ24Kゴールドを流し込むことで天の川を表現しています。ケース、ムーブメントの地板、受けなどもブルーチタニウム製で、PVD処理では表現できない色合いは、一目でドゥ・ベトゥーン製だとわかります。
6時位置にはもう一つのドゥ・ベトゥーンのアイコニックな機構の球体ムーンフェイズを備えています。122年調整不要な設計はハイエンドモデルでは今や常識となりつつありますが、球体で実現しています。球体ムーンフェイズにも青焼きを採用する徹底ぶりも。
4-2.DB28 Steel Wheels サファイア トゥールビヨン
上記のDB28 Kind of Blueをベースにハイエンドに仕上げたモデルです。鮮やかに青焼きされたブルーチタニウム製のケースや文字盤、地板などはそのままで、文字盤6時位置に球体ムーンフェイズの代わりにトゥールビヨンを備えています。
3時・9時位置を軸に手首に合わせて時計本体が回転するフローティングラグは健在。バゲットダイヤモンドがベゼルを埋めつくすように配置されています。DB28のアバンギャルドなデザインとエレガントでラグジュアリーなサファイアが上手く調和しています。
4-3.DB28 Yellow Tones
ドゥ・ベトゥーンの開発してきた数々の機構に裏打ちされた技術力をアバンギャルドなデザインと軽量化へ向けたDB28。DB28をベースに黄色に焼いたチタンケースを採用したモデルで、アメリカのイエローストーン国立公園の名前にかけています。グレード5のチタンに独自のノウハウで熱処理することで温かみのあるイエローへと変色させ、ポリッシュ仕上げを施しています。
6時位置の球体ムーンフェイズはパラジウムと熱処理によってブラウンに変色させています。文字盤が回転することで手首への装着感が向上するフローティングラグなど、ドゥ・ベトゥーンを代表する機構やデザインが詰まった一本です。
4-4.DB Kind of Two Tourbillon
2つの文字盤をもち、フローティングラグによってケースが回転し、2種類の使い分けができるコレクションです。手首へのフィット感を追求するために開発されたフローティングラグですが、このコレクションでは文字盤を回転させることができるようになっています。
2021年に発表されたDB Kind of Two Tourbillonは2つの面で全く違う顔を見せるのが特徴です。6時位置にトゥールビヨンを配し、三角形と円を組み合わせた面とオーソドックスな3針で、美しいギョーシェの代わりにトゥールビヨンは見えない2つの面を持っています。文字盤上で目を引くブルーの針はドゥ・ベトゥーンを象徴する青焼きされたチタンです。
4-5.DB Kind of Grande Complication(2024年新作)
ドゥ・ベトゥーンの新作は文字盤をリバーシブルに使用できる3本目のモデルです。トゥールビヨンを含む8つの機能を備えており、22年間の集大成といえる一本です。
コンテンポラリーの文字盤側では時分表示、デッドビートセコンド、パワーリザーブ表示、月齢のレトログラード表示、チタン製の30秒トゥールビヨン、チタン製のひげぜんまい、シリコン製のガンギ車、ドゥ・ベトゥーンヒゲゼンマイを備えています。
クラシックの文字盤側では永久カレンダー、球体ムーンフェイズを備えており、閏年表示も備えています。文字盤にはブルーに焼き入れされたチタンを使用し、手作業でホワイトゴールドのピンをはめ込んで星を描いています。年間で最大5本のみ生産される希少さも魅力です。
5.【時計商と時計師のタッグ】ドゥ・ベトゥーン
ドゥ・ベトゥーンの魅力、独自の機構やデザイン、代表シリーズ、おすすめモデルについてまとめました。新たに開発される独特の機構とスイスの伝統的なデザインに則りつつ他では見ないデザインが魅力です。もし街中でドゥ・ベトゥーンの時計を見かけたらぜひ一度手にとってみてください。