2024年7月25日
エルメスのベアンとは?定番財布のコンパクトモデルや人気色を解説!
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エルメスのベアンといえば、長財布のイメージをお持ちではありませんか?
昨今、エルメスはコンパクトサイズのお財布を数多く手がけていて、幅広い年代層にファンを拡げています。様々なサイズがあるベアンはメンズ、レディースともに人気のアイテムです。
今回はエルメスのベアンについて解説してまいります。
ベアンの種類や人気色、エルメスならではの素材にフォーカスして解説するので、購入を検討している方は参考にしてみてください。
目次
1 エルメス「ベアン」定番財布の魅力とは?
ベアンはエルメスのお財布として一番最初に名前があがる定番モデルです。ワンポイントの「H」が、さり気なくブランドを主張するルックスで長年人々の羨望のまなざしを集めてきました。
ここではベアンの魅力について解説してまいります。
1-1 さり気ないブランドアピール
フランス南西部に位置するベアン地方。
エルメスは縁のある地名や人名をもとにして、アイテムに名前をつけています。地名から命名されたベアンは2000年代初頭、日本国内において流通し始めました。
ベアンの「H」金具と開閉ベルトの存在は、さり気なくも確実にブランドアピールしてくれる魅力的なデザインです。これは長財布タイプや二つ折り、三つ折りのコンパクト財布すべてに共通したデザインとなっていて長年に渡り愛されてきました。
ベアン以外では、ボタンのような金具使いが特徴のドゴンやファスナー式のアザップといったモデルがあるものの、エルメスらしさの点で一線を画す存在といえるでしょう。
ベアンは何度か改良を重ね、初代モデルのベアンクラシックをもとに、マチを広げた次世代モデルのスフレを世に送りだしています。
1-2 バリエーション豊富なサイズ展開
ベアンは現在までに3種類の長財布モデル、4種類のコンパクトモデルが発表されています。細やかなサイズ展開で多様なニーズに応えられるのもベアンの魅力の一つといえるでしょう。特に最近はコンパクト財布の人気が高まり、エルメスでも手のひらに収まる三つ折り財布などを手がけるようになりました。現金が主流だった日本でもキャッシュレス化が進み、さらにバッグの小型化と相まって、小さなお財布を使う人が増えています。
とはいえ、やはりシステム障害などの不測の事態に備えるため、ある程度の現金は必要です。また、海外出張や旅行時に、パスポートと一緒に携帯したほうが便利なシチュエーションは多いでしょう。ビジネスやお出かけといった様々なシーンに合わせて、複数のお財布を使い分けしている方もいます。エルメスのベアンなら、どんなシーンでも機能的に使える一品に出会えるでしょう。
1-3 上質なエルメスレザー仕様
エルメスは一流の馬具職人、ティエリ・エルメスが創業したメゾンです。彼の革製品への探求心は180年以上経った今でも変わることなく受け継がれています。扱う革の種類や品質、加工技術の高さは数あるブランドの頂点とされ、世界一といっても過言ではありません。
エルメスのベアンには最高級の牛革や山羊革はもちろんのこと、アリゲーターやオーストリッチといったエキゾチックレザーを使ったものまであります。レザーによってカラーニュアンスや触感が変わり、それぞれの個性が光ります。たとえば、山羊革の滑らかな質感や軽さ、色ノリの良さを好む方もいるでしょう。また、牛革のシボは傷が目立ちにくいメリットがあります。お財布は手で直接触ることが多いので、エルメスならではのレザーを堪能できるのが魅力といえるでしょう。
さらに使い続けることで、上質なレザーだからこその美しい経年変化が楽しめます。
2 「ベアン」リニューアル後の変化とは?
ベアンはリニューアルを経て、エルメスならではのアイデンティティを高めることに成功しました。
ここではH金具とファスナーの2つの変化について解説してまいります。
2-1 H金具のデザイン
エルメスはH金具の中央にある横ラインに、二分割する空洞のラインを新たに設けました。また、旧タイプより全体のラインを数ミリ細くして、よりシャープで洗練されたデザインにまとめています。この場所に空洞があるとベルトへの摩擦が軽減されるので、旧タイプよりもスムーズな開閉ができます。ベアンは構造上この部分に負荷がかかるため、金属を削ってベルトの接触面を減らしたリニューアルは一定の効果が期待できるでしょう。
さらにいえば、ダブルラインになった場所がデザインのアクセントとして効いています。ほんの僅かな変更ですが、機能とデザインの両面にアプローチした解決策となっていて見事です。いずれにしてもエルメスらしさを保持しつつ、リニューアルに成功している点はさすがと言わざるを得ません。
もちろん「旧タイプのほうが好き」という方には、状態の良いものが中古市場を中心に流通しているので検討してみてはいかがでしょうか。
2-2 エルメス製ファスナー
それまでベアンに採用されていたファスナーは、本体の革と同色で他社製のものでした。これを全てエルメスで作り、取っ手をより大きくして機能性を高め、自社ネームを刻印したのです。
本体と色合わせしたカラーファスナーは統一感があるものの、取っ手が小さく、つかみにくいといったユーザーの声を反映したリニューアルとされています。
新タイプのファスナーは取っ手が大きくなり、旧タイプより若干の厚みと三角形の空間を大きく取っています。これが耐久性をあげることと取っ手の持ちやすさに貢献しています。また、ゴールドカラーとシルバーカラーのファスナーを本体の色に合わせて採用することで、イメージするデザインに近づけることができます。
さらに自社製の採用は、エルメス正規品としての価値を保証する役割も担っています。トップブランドが抱える課題の一つに、ひっきりなしに現れる模造品との戦いがあります。そうした課題の解決策として、ディテールを自社製に置きかえる作業が今後も必要になるかもしれません。
3 「ベアン」種類・サイズ・定価について解説 2400(400
ここではベアンの種類やサイズ、定価といった仕様について解説してまいります。
3-1 ベアンコンビネ
ベアンコンビネは、エルメスから2021年頃に発表された三つ折り財布です。他のハイブランドが三つ折りモデルを続々と手がけるなか、満を持しての登場となりました。そのため、小型化にこだわりすぎると必要なものが収まらないというジレンマを解消していて使いやすく人気を集めています。
札入れとファスナー付きコインポケットが各一つ、カードスリットが4つと領収書やチケットが入るポケットが3つの仕様は、キャッシュレスを支払のメインとする方にとって十分といえるでしょう。
サイズは、およそ縦8.5×横11×厚み3㎝となります。
エルメスらしいカラーバリエーションで定番色はもちろん、絶妙なくすみカラーなども毎年発表されています。また、本体カラーに合わせた色のステッチ(縫い目)にしたり、あえて白い糸で際立たせたりして、細やかなディテールの完成度が秀逸です。コインケースは片側のマチ付きですっきりと小銭を収納しつつ、取り出しやすい設計になっています。素材にはシェーブルミゾールやヴォーエプソンなどの展開で、バイカラーやベルトの素材違いといった限定モデルも存在します。
3-2 ベアンミニ
ベアンミニは小銭入れとしてエルメスから発表されたモデルで札入れはありません。スナップボタン式の小銭入れがメインとなり、見開きのポケットに数枚のカード収納が可能です。全く現金を持たずに出かけたり、他の財布と二個持ちをしたりする際に重宝するのではないでしょうか。またはビジネスの場で名刺を一時的に保管する使い方もできそうです。
サイズは、およそ縦7×横10×厚み2㎝となっています。
素材はヴォーエプソンを中心に展開していて、カラーは定番の黒やネイビー、ピンク系やパープル系など多彩なラインナップとなっています。
3-3 ベアンコンパクト
ベアンコンパクトは、エルメスの二つ折財布モデルとして発表されました。形状はシンプルながら、現金派とキャッシュレス派のどちらでも使い勝手が良さそうです。札入れとファスナー式の小銭入れが各一つ、カードスリットが4つ、フラットポケットが2つの仕様になっています。洋服のポケットや小さなバッグにも難なく収まるので、デイリーユースにいかがでしょうか。
サイズは、およそ縦9×横12×厚み2.5㎝、当初の発売価格は300,300円からとなり、素材によって価格が大きく変動します。
素材はヴォーエプソンがメインの展開ですが、ベルトにアリゲーターを使った日本未発売のモデルなども注目されています。エルメスは中古市場や並行輸入でしか出会えないモデルが数多くあるので、視野を広げて検討してみるのがおすすめです。
3-4 ベアン レクトベルソ
ベアン レクトベルソは二つ折り財布モデルとして登場しました。先に述べたコンパクトとの違いは、カードスリットが8枚あって収納力が大幅にアップしているところです。クレジットカードだけでなく、会員証やポイントカードといったカード類のほとんどを携帯できます。ほぼ縦横のサイズを均等にしたサイズで、すっきりとしたルックスに仕上げています。外づけした小銭入れはスナップボタンで開閉する仕様で収納力が高まりました。札入れは一つで、他にポケットが2つあります。小銭が入ると若干の厚みがでる点を想定しておくといいかもしれません。
レクトベルソはH金具が両面にあり、どちらから見てもブランドアピールができるのが嬉しいポイントです。サイズは縦10×横10×厚み2㎝。当初の発売価格は20万円台からでしたが、為替の影響などから日本国内の値上がりが続いています。
素材はヴォーエプソンとシェーブルミゾールで展開していて、カラーバリエーションも豊富です。
3-5 ベアンクラシック
ベアンクラシックは、ベアンモデルの先陣を切って発表された象徴的な存在の長財布です。男性のスーツの内ポケットに、スムーズに収まるお財布として長く支持を集めてきました。現在も「財布はエルメスのベアンしか使わない」と、根強いファンに愛されている名品となっています。風水では紙幣を折らずにしまうことが金運を上げるとされていて、そうした理由から長財布を選ばれている方も多いのでしょう。
新旧型モデル共通で、お札入れとファスナー式小銭入れが各一つ、カードスリットが5つ、さらにフラットポケットが3つの仕様です。
サイズは約縦9×横17.5×厚み2㎝となり、現在の定価は素材にもよりますが30万円台からとなっています。ベアンの素材には最高級のエキゾチックレザーが採用されているモデルがあります。エキゾチックレザーを代表するアリゲーターやオーストリッチは非常に高額なため、100万円以上するものも存在しています。とはいえ、お財布は使う機会の多いアイテムですから、気に入ったものを購入してみてはいかがでしょうか。
3-6 ベアンスフレ
ベアンスフレは、ベアンクラシックの札入れ部分にマチ幅を持たせた仕様が特徴の長財布です。スフレというのはフランス料理のデザートで、卵白を泡立てたメレンゲで膨らませた焼き菓子を指しています。すぐに萎んでしまうため給仕のタイミングが難しく、店の力量が試される一皿として有名です。エルメスはマチをふっくらと膨らませた仕様を、このデザートの名前で表現したのでしょう。ちなみに、このマチ幅にぴったり入る紙幣は日本円で100万円とされています。大きな現金を携帯する機会が多い方にとって重宝するアイテムの一つといえるでしょう。
サイズは、およそ縦9×横17.5×厚み3㎝。現在の定価は50万円台からの展開となっています。
素材にはヴォーエプソン、シェーブルミゾール、エキゾチックレザーが採用され、カラーは定番色をはじめ、希少なブルー系の人気が高まりを見せています。レザーとカラーの組み合わせ次第でニュアンスが変わり、そこがエルメスレザーの真骨頂といえるでしょう。
3-7 ベアンデュプリ(2PLIS)
ベアンのカード収納量を引き上げたモデルが、ベアンデュプリ(2PLIS)です。横に三つ折りできる仕様に拡大されたカードスリットでスフレの2倍、10枚のカードが収納できるようになりました。フラットポケットも追加で4つとなり、ちょっとしたクラッチバッグ並みの収納力です。通院時に必要な保険証やマイナンバーカード、お薬手帳などが収まるので病院への携帯にもおすすめします。ポケットが多く、領収書をまとめて整理できるのも重宝しそうです。小銭入れのマチが広いため、出し入れがスムーズに行えます。
サイズはエルメス最大の長財布となり、およそ縦10×横18×厚み4㎝となっています。
素材はスフレと同様ですが、ベアンデュプリにはボックスカーフが採用されたモデルがあります。ボックスカーフとは仔牛の原皮を特殊ななめし加工をおこない、なめらかで艶やかに仕上げられたレザーを指します。エルメスが誇る一流タンナーの技術があってこその逸品は、他のレザーより若干薄いので、厚みが出やすいデュプリに最適な素材といえるでしょう。特に艶やかな濃色は、陰影が美しく見えるのでおすすめです。
2024年2月、エルメスは世界情勢にともなう為替の影響を要因として、日本国内のほぼ全てのアイテムを値上げしました。その上げ幅は14%から始まり、なかには30%を超えるものも散見されます。今後の情勢次第ではさらなる値上げが予想されていて、購入の際は公式サイトなどで定価を確認する必要があるでしょう。
4 「ベアン」クラシックとスフレの違いとは?
ベアンクラシックとスフレの違いは、そのマチ幅にあります。その他の仕様は同じですが、お札入れ部分にマチがあるベアンスフレは約1㎝ほどの余裕が生まれています。サイドから並べて見てみるとマチが視認できるので、どちらか迷ったら確認してみてください。
たった1㎝の違いですが、収納できる紙幣の枚数は大幅にアップします。日本円で帯付きの新札なら150枚、通常のお札なら100枚程度が収まります。ただ、ベアンクラシックでも20枚程度なら出し入れに支障ありません。お札以外で通帳などの携帯にも最適なので、スタイルに合ったベアンを選んでみてはいかがでしょうか。
5 エルメス「ベアン」の人気色とは?
エルメスの最高級レザーが堪能できる、ベアン。
素材によって、色のニュアンスやバリエーションは無限大です。
ここでは、ベアンの人気色について解説してまいります。
5-1 メンズ一番人気は黒
ベアンはレディースだけでなく、メンズにもファンが多いアイテムです。男性から最も人気を集める色は黒といわれています。ビジネスシーンに馴染みやすく、長く使っていても汚れが目立たないことから選ばれているようです。
エルメスの高級レザーは使い続けるとツヤ感が増してきたり、柔らかな手触りに変わったりする経年変化が楽しめます。特に黒は美しいツヤが分かりやすいので好まれている側面があるのでしょう。
同じ黒でも素材によって様々な変化があります。たとえば、オーストリッチの経年変化はクイールマーク(羽の毛穴)が艶めくようになり、触感が柔らかくなってきます。ヴォーエプソンは表面のシボ(肌のきめ)にシャープなツヤが生じるようになります。これらの変化がよくわかるのが黒であり、エルメスファンに好まれる色の一つになっているのです。
5-2 定番のゴールド
エルメスの定番となっているゴールドは、明るめのキャメルブラウンカラーです。どのアイテムでも人気色となっていて、入荷を心待ちにしているファンは少なくありません。
ベアンでも人気は高く、落ちついた色味は飽きずに使える定番色といえるでしょう。H金具がシルバーカラーならシャープな印象になり、ゴールドカラーであればエレガントに演出できるので両方を見てから選んでみてください。
エルメスならではの白いステッチは、一針一針縫いとめていく馬具加工のクラフツマンシップが感じられるのではないでしょうか。
5-3 シックなエトゥープ
2000年ごろからエルメスで定番色の仲間入りを果たしたエトゥープ。
グレイッシュなベージュは、落ち着きと都会的なセンスをイメージさせます。バッグにエトゥープを選んでいる女性なら、お財布もお揃いにしてみてはいかがでしょうか。常に目につくアイテムなので、背景のように馴染んでくれるエトゥープは長く使っていても飽きがこないおすすめカラーです。
またベアンでは、このエトゥープと派手色をバイカラーにしたモデルが発表されています。ピンクやイエロー、オレンジといった派手目な色を内側に配したバイカラーは、お財布を見るたびに元気になれそうですね。社会人になると派手色のお財布は挑戦しにくいですが、バイカラーモデルなら、お気に入りのカラーを密かに楽しめるでしょう。
5-4 気分爆上げ!ローズティリアン
ビビットなピンクで上げていきたい!そんな時はローズティリアンがおすすめです。ピンクのなかでも主張がしっかりあるカラーで、手元を華やかに見せてくれます。バッグから取り出すときに目につきやすく、暗くても視認性は抜群です。人が色から受ける影響は大きいので、くっきりとした色彩からパワーチャージできるのではないでしょうか。
ベアンのローズティリアンは人気カラーなので、正規店だけでなく、中古市場でも流通量が限られた存在です。もし購入のチャンスがあれば、早めの決断をおすすめします。
6 「ベアン」エルメスならではの素材とは? 1750 ( 350
ベアンにはエルメスのさまざまな最高級レザーが使われています。特に、現在希少となっているエキゾチックレザーは、エルメスならではの卓越した加工技術が光ります。
ここではベアンに採用されている素材について解説してまいります。
6-1 オーストリッチ
ダチョウからとれる、クイルマーク(斑紋)が特徴のオーストリッチ。ダチョウはワシントン条約で保護され、希少性が高いレザーの代表とされています。均一なクイルマークをアイテムの表裏に惜しみなく使ったエルメスのフルポイントは最高級とされる仕様です。
エルメスはベアンにも、こうした贅沢な使い方をしていて、どの角度から見ても美しく仕上がっています。オーストリッチの特性としてコシのある柔らかな手触りが挙げられますが、触れる機会が多いお財布に最適な素材とされています。
エルメスは、凹凸のあるクイルマークを一つ一つ平らに加工することで、さらに手触りを良くしています。オーストリッチは軽さや経年変化の美しさ、さらに耐久性をそなえている優れた素材です。また、染色しやすく色ノリが良いため、カラーバリエーションで楽しめるのも特徴になっています。
独特な水玉模様が気になる方は、ぜひ一度実物に触れて感触を確かめてみてください。
6-2 アリゲーターリセ
米国ミシシッピ川流域のアリゲーターの原皮に、シャイニング加工をしたアリゲーターリセ。野性的な鱗模様とツヤが美しく、古来からバッグやお財布として親しまれてきました。クロコダイルは同じワニの仲間ですが、アリゲーターのほうが鱗が大きいのが特徴です。
エルメスのアリゲーターは腹側を使っていて、大きめの鱗が中心から放射状に広がり、サイドに細かい鱗が配置されるよう計算してカッティングを行っています。H金具を正面にして裏返しても縫い目のない模様は、一匹物をセンター取りにした贅沢な仕様といえるでしょう。
リセとは、メノウを使って艶出しする加工のことです。艶出しをしない加工はマット仕上げとされ、こちらも近年人気を集めています。耐久性と経年変化でツヤが増すので、長く使い続けることができます。
6-3 リザード
主に東南アジアを中心に生息しているミズオオトカゲなどを原皮としたリザード。繊細で細やかな鱗模様が特徴です。均一な大きさの鱗が密集している表面をワニと同様に、マットとシャイニングの2種類の加工でテクスチャーを変えることができます。ワシントン条約の規定から希少性が高く、高価なレザーになっています。
エルメスではベアンに背中側のリザードを使っていて、おもにシャイニング加工をほどこしています。凹凸が少なく、染色がしやすいのでカラーバリエーションが豊富です。また、ベルトだけにリザードを使ったバイカラーモデルもあります。
2007年、エルメスはベアンに本来の模様を活かしたリザードナチュラを発表しました。それまで染色のために斑紋を消していたのですが、逆に活用してデザインに落とし込んでいます。ヒョウ柄のような模様がアクセントになっていて、今では入手困難なレアアイテムとなっています。クールで個性的なルックスは、ワイルドな印象を演出できるでしょう。
6-4 シェーブルミゾール
シェーブルとは山羊革を指し、ミゾールは原産地インドの地名を冠しています。日本では2002年ごろから発売された比較的新しいレザー素材です。深すぎないシボと柔らかいテクスチャーで人気となり、ベアンではすでに定番となっています。
エルメスではシェーブルミゾールをバーキンにも採用していて、耐久性なども問題ありません。染色がしやすくカラーバリエーション豊富で、ややマットな質感は汚れが目立ちにくいとされています。しっかりとした張りのある手触りは、使い込むと柔らかくなるエイジングが期待できるでしょう。
6-5 ヴォーエプソン
近年、エルメスで最も幅広いアイテムに採用されているヴォーエプソン。雄牛レザーに細かなシボを型押しして仕上げています。耐久性とコストパフォーマンスの良さ、さまざまな加工がしやすいことが特徴です。ベアンのほとんどのモデルに採用されています。エプソンはイギリスの地名が由来。
型押しなので統一感のあるシボがきれいに並び、しなやかな手触りと豊富なカラーバリエーションでベアンでも一番人気の素材になっています。
7 ベアンは壊れやすい?売ってない?真相を解説
エルメスのベアンは「壊れやすい」または「売っていない」といわれることがあります。
ここでは、そうしたベアンの噂の真相について解説してまいります。
7-1 メンテナンス次第で10年は使える!
ベアンを実際に使ってみると「ベルトが壊れやすい」との噂が真実でないことが分かります。ただ、使うたびにベルトをH金具に抜き差しするので、ベルトの先端が傷みやすいとはいえるでしょう。お財布は、どうしても使う頻度が高いため丁寧に扱うよう心がけておくことが肝心です。ベルトを丁寧に扱ったり、小銭を入れすぎたりせずに使うことは耐用年数を伸ばすのに有効となるでしょう。
ベアンに採用されているレザー自体が、いずれも耐久性にすぐれているので、それほど神経質になる必要はありません。
とはいえ、年数が経過するとメンテナンスが必要になることもあるでしょう。色あせや角のスレなどはリペアによって見違えるようにきれいになります。使用状況によるものの、使い始めてから5年を目安にメンテナンスを検討してみてください。
エルメス製品のメンテナンスを正規店以外で行った場合、正規店でのメンテナンスを受けられなくなることがあります。初回からエルメスのメンテナンスサポートに相談することがおすすめです。
7-2 エルメスは中古市場がねらい目!
春にお財布を新調すると金運が上がる、という風水を実践している方は意外と多いのではないでしょうか。いわゆる「張る」財布と「春」をかけているのですが、いっそ消耗品として短期間で買い替えるのも気分が改まって良いものです。そんな時は信頼できる中古市場を上手く活用してみてはいかがでしょうか。
エルメスはお財布はもちろんのこと、どのアイテムも中古市場が充実しているブランドです。輸入並行品などは日本未発売のものが多く、中古市場でしか出会えないレアアイテムが入手できるかもしれません。
中古市場なら「お目当てのベアンが売ってない」「エルメスの正規店は敷居が高い」といったお悩みも解消されるのでおすすめです。
8 「ベアン」買取に出すなら要チェック!刻印の意味とは?
エルメス製品を中古市場で売買する予定があるなら、押さえておきたいのが刻印の知識です。
ここではベアンを含むエルメス製品の刻印について解説してまいります。
8-1 エルメスの刻印が意味すること
エルメスは正規品であることの証明として、ほとんどの製品に刻印がほどこされています。現在のところギャランティカードの発行は確認されていません。刻印までして正規品であることを証明しなければならない背景には、ハイブランドの宿命である模造品が数多く横行しているからです。非常に精巧に作られた模造品は一般人には見分けがつかないので、この刻印は一つの目安として確認しておいて間違いありません。また、正規品であっても刻印無しのモデルが存在するので注意が必要です。
刻印が表す情報はアルファベットを用いて製造年、職人名、アトリエを表現しています。そのアルファベットを〇や▢の囲み文字で区別したり、数字や記号を複雑に組み合わせたりして入念なコピー対策を取っているのです。その組み合わせは毎年変更されるほど念入りに行われていて、模造品との凄まじい戦いに驚きを禁じえません。
さらにエキゾチックレザーには、HERMÈS PARIS MADE IN FRANCEの横に特別な記号でレザーの種別を表しています。リザードなら「ー」表記です。
また、関係者のみの限定モデルの場合は、流れ星のようなスターマークがロゴ下に刻印されます。
8-2 ベアンの刻印場所について
エルメスの刻印は、アイテムごとに刻印場所が違います。ほとんどは表から見えない場所にあり、手作業のため薄くて判別が困難なものもあるようです。
ベアンの場合は、小銭ケースのマチ内側部分に押されているので確認してみましょう。ちなみに、バーキンなら左内側のベルト近くか、正面ベルト裏側に押されています。
9 定番財布ベアンはエルメス屈指の人気アイテム
今回はエルメスのベアンについて解説してまいりました。
ベアンとは、エルメスの頭文字「H」の金具がデザインポイントとなったお財布モデルです。
シンプルでありながら機能性に富んだ多彩なサイズ展開は大人の男女に長く愛されています。エルメスならではのレザー使いは、お財布だからこそ楽しめる素材が厳選されていて、初めてのエルメスにもおすすめしたいものばかりです。
エルメスへの第一歩を、まずベアンから踏みだしてみてはいかがでしょうか?