2024年11月21日
ヴィンテージエルメスとは?16選の注目アクセサリーやバッグを紹介!
エルメスは、1837年、フランスのパリにて馬具工房として創業しました。エルメス製品は、品質の高さと職人の技術の高さが魅力のブランドであり、1878年に開催されたパリ万博博覧会では金賞を受賞しています。創業当初から現在まで品質を落とすことなく、技術の継承を続けるエルメスは、創業から180年以上が経過した現在も人々に愛され続けるハイブランドとして君臨し続けています。
そんな歴史あるエルメスだからこそ、注目されるアイテムのひとつに「ヴィンテージエルメス」があります。ヴィンテージエルメスと呼ばれる人気アイテムは、ブレスレットやリング、バッグなどがあります。本記事では、なぜヴィンテージエルメスが人気なのか、どのようなアイテムの需要が高いのかをくわしく解説します。
目次
1.ヴィンテージエルメスとは
出典:Hermès
ヴィンテージエルメスとは、エルメスの長い歴史の中で、現在は製造が終了している商品や、現行品であっても数十年前に制作されたため、現在の製品とは細部の作りが異なるアイテムを指します。
エルメスは創業以来、卓越した品質と洗練されたデザインを追求してきました。そのため、制作から長い年月が経過したアイテムであっても、現代において高い価値と需要を保ち続けているのです。このような特徴を持つヴィンテージエルメスは、時を超えて愛され続ける魅力を持っており、コレクターや愛好家たちから特別な存在として認識されています。
1-1.ヴィンテージの定義
「ヴィンテージ」という言葉は、フランス語の「ヴァンタンジュ(vendange)」を語源として持ち、その後英語の「ヴィンテージ(vintage)」へと変化したとされています。もともとは、この言葉はワインの収穫年や製造年を表す際に使用されていました。
時代とともにその意味は拡大し、現代では高級ブランド業界においても広く使われるようになりました。アクセサリーやバッグなどのファッションアイテムにおいても、その価値を示す言葉として定着しています。
2.唯一無二のエルメスのこだわり
出典:Hermès
エルメスは創業から180年以上にわたり、最高峰のラグジュアリーブランドとしての地位を守り続けています。その理由として、妥協のない品質と時代を超えた普遍的なデザインが挙げられ、このことは多くの人々が認めているところです。
数十年前に制作されたヴィンテージエルメスが現代でも高い評価を得ているのは、確かな品質とデザインに加え、創業以来守り続けている独自の理念が根付いているからでしょう。この理念こそが、エルメスの真髄といえるのです。
では、エルメスが世代を超えて支持され続けている理由はどこにあるのでしょうか。その秘密は、顧客を第一に考える姿勢と、7,000人以上の職人による卓越した技術の継承にあるのかもしれません。
2-1.①顧客ファースト
エルメスがブランド運営において最も大切にしている理念の一つが、顧客を第一に考える姿勢です。この精神は、エルメスのロゴデザインにも象徴的に表現されています。
エルメスのロゴには、従者が引く馬車が描かれていますが、その馬車には乗客が乗っていません。これには「エルメスは最高の馬車を用意しますが、それを使いこなすのはお客様ご自身です」という深い意味が込められているのです。
創業当初から受け継がれてきたこの顧客を敬う精神は、現代でも変わることなく守られています。このような揺るぎない姿勢こそが、多くの人々がエルメスに魅力を感じる理由の一つとなっています。
2-2.②職人の在籍割合
エルメスは2023年12月時点で、全世界におよそ2万2,000人の従業員を抱えています。その中で注目すべきは、7,000人以上もの職人が製品の制作に携わっていることです。これは全従業員の約3分の1を占める驚くべき割合となっています。
多くのラグジュアリーブランドでは、店頭での販売員が従業員の大半を占めているのが一般的です。しかしエルメスは、製品づくりを重視する姿勢から、これほど多くの職人を擁しているのです。この背景には、最高品質の製品をお客様に提供したいという強い思いが込められています。
さらにエルメスは、伝統技術の継承にも力を注いでおり、フランスには職人の養成施設も設けられています。熟練の職人たちによって丹精込めて作られる製品だからこそ、エルメスは多くのファンから信頼され続けているのでしょう。
3.ヴィンテージエルメスの魅力とは
エルメスは創業以来、顧客を第一に考える精神と、ものづくりへの妥協のないこだわりを貫いてきました。そのため、エルメスの製品は制作された時代を問わず、常に最高水準の品質を誇っています。その中で、数十年前に作られた製品であっても、現代のエルメス製品と変わらぬ人気を集めているのが、ヴィンテージエルメスです。
では、時を経ても色あせることのないヴィンテージエルメスには、どのような魅力があるのか解説していきます。
3-1.普遍的なデザイン
エルメスの歴代デザイナーたちは、それぞれの時代において秀逸なアイテムを世に送り出してきました。デザイナーは時代とともに変わりますが、いずれの作品も流行に左右されない普遍的なデザインを貫いています。
その代表例として、エルメスを象徴するレザーアイテムが挙げられるでしょう。1935年に誕生したケリーバッグ、1984年に発表されたバーキンは、発売から数十年が経過した現在でも、基本的なフォルムをほとんど変えていません。この変わらぬデザインこそが、時代を超えて愛され続ける普遍的な価値を示しており、ヴィンテージエルメスの魅力となっているのです。
3-2.制作年によって素材が異なる
エルメスの製品は、制作された年代によって異なる素材が使用されているアイテムもあります。特にジュエリーにおいて、その違いが顕著に表れています。
代表的な例として、1938年に登場したシェーヌダンクルが挙げられます。現在のシェーヌダンクルはシルバー925が主流となっていますが、発売初期に制作された製品では、シルバー800が使用されていました。シルバー925は銀の含有率が92.5%であるのに対し、シルバー800は80~85%となっており、素材の性質に違いがあります。
シルバーには環境や時間の経過によって、硫黄成分や塩素と反応して変化する特徴があります。特にシルバー800は独特の経年変化を見せ、この味わい深い変化を楽しめることも、ヴィンテージエルメスの魅力となっているのです。製造から数十年が経過しても現役で使用できる品質の高さは、素材へのこだわりを持ち続けてきたエルメスの誇りと信念を物語っています。
3-3.伝統に思いをはせることができる
エルメスは毎年、年間テーマを定めており、気鋭のデザイナーたちによる新作は、常に世界中の注目を集めています。世界三大ブランドの一つとして君臨するエルメスの新作発表は、その度に大きな話題となっています。
一方、ヴィンテージエルメスは、派手な注目を集めることは少ないものの、エルメスの伝統と確かな品質が息づいています。各アイテムには、それが生まれた時代の空気が色濃く反映されており、手にする人はエルメスの伝統に思いをはせることができるのです。
特に、長年続くシリーズの最新作が発表されるとき、そのシリーズのヴィンテージアイテムを所有している人は、エルメスの歴史的な歩みをより深く感じ取ることができます。多くのエルメスファンにとって、ヴィンテージアイテムは単なる古い製品ではなく、ブランドの歴史と伝統を体現する大切な品となっています。
3-4.希少性が高い
ヴィンテージエルメスを手に入れる方法は、信頼できる中古市場を通じた購入に限られています。常時在庫があるわけではないため、運命的な出会いには絶妙なタイミングが必要となるのです。
このような希少性の高さは、多くの人々の購買意欲をかき立てる大きな要因となっています。いつ、どのようなヴィンテージアイテムと巡り会えるのかという期待感や高揚感は、新品にはない魅力といえます。
また、近年のヴィンテージブームにより、一部のアイテムは数年前と比べて評価額が2倍以上に高騰しているものもあります。特に人気の高いヴィンテージエルメスは、競争が激しく、高額でも手に入れたいという熱心な購入希望者が後を絶ちません。こうした市場の動向からも、ヴィンテージエルメスの価値は今後さらに上昇する可能性を感じることができます。
3-5.安価で購入できるアイテムもある
ヴィンテージエルメスの価値は、その希少性や人気度によって大きく異なります。確かに競争率の高い人気アイテムは高額になる傾向がありますが、比較的手の届きやすい価格帯のものも存在しています。
例えば、1990年代以降の比較的新しいヴィンテージや、市場での流通量が多めのアイテムは、比較的手頃な価格で見つけることができます。また、セール時期や在庫状況によっては、ヴィンテージショップで思いがけない掘り出し物に出会えることもあるかもしれません。ラグジュアリーブランドとして名高いエルメスのアイテムを、新品の定価よりも安価に購入できる可能性があることも、ヴィンテージエルメスの魅力の一つとなっています。
4.注目のヴィンテージエルメス16選
ヴィンテージエルメスの品揃えは豊富ですが、その中でも特に需要が高く、価値の認められているアイテムは限られています。近年は人気の高いヴィンテージアイテムを中心に価格の高騰が続いており、今後さらなる値上がりも予想されます。
これから紹介する16点は、特に注目度の高いヴィンテージエルメスを厳選したものです。ブレスレット、リング、バッグ、メンズアイテムの4つのカテゴリーに分けて詳しく解説していきます。
4-1.ヴィンテージエルメス|ブレスレット編
エルメスのヴィンテージジュエリーの中でも、特にブレスレットは人気のカテゴリーとなっています。以下では、数多くのヴィンテージブレスレットの中から、特に価値が高く注目を集める7点を厳選してご紹介します。
4-1-1.シェーヌダンクル 初期コマ
シェーヌダンクルは、エルメスのシルバーアクセサリーを代表する象徴的なデザインとして知られています。1938年に4代目社長のロベール・デュマによって発表されたこのアイテムは、船に繋がれたいかりのチェーンからインスピレーションを得て生まれました。なお、現在では人気の高まりから、以前のような電話予約は廃止され、店舗での直接予約のみとなっており、一部店舗では予約すら受け付けていないほどの希少性を誇っています。
デザインの特徴は、丸みを帯びた輪っかに棒を通して止める構造で、これにより簡単な着脱が可能となっています。特に1960年代に発表された初期のシェーヌダンクルは、現在主流のシルバー925ではなく、シルバー800を採用していました。この素材の違いにより、経年による硫化や塩化の進行度合いが異なり、装着時の金属音にも独特の味わいが生まれています。
また、初期モデルのコマは現代のものと形状が異なり、より角張ったデザインとなっているのも特徴的です。これらの独特な特徴を持つ初期モデルは、ヴィンテージエルメスの中でも特に価値の高いアイテムとして評価されています。
4-1-2.シェーヌダンクル 初期コマ IDプレート
シェーヌダンクルの中でも、ヴィンテージエルメスの初期コマを使用した特別なモデルがあります。その特徴は、IDプレートが配置されているところにあり、大変希少な存在となっています。このIDプレート付きのモデルは、ヴィンテージアイテムを専門に扱う店舗でさえも、なかなか出会うことができない逸品です。
シェーヌダンクルはエルメスのアクセサリーとして広く愛されていますが、このモデルは特に、他の人とかぶることを避けたい方にふさわしい一品となっています。
4-1-3.ブックルセリエ
エルメスの代表的なブレスレットであるブックルセリエは、1946年に馬具のハーネスからインスピレーションを得て誕生しました。その特徴的な着脱方法は、ベルトのバックルの仕組みを応用しており、ベルトを通して装着するようになっています。シルバーチェーンのブレスレット部分は、絶妙な編み込み模様で仕上げられているのも魅力です。
現在も新作が販売されているブックルセリエですが、ヴィンテージ品は中古市場での取引価格が比較的手頃な点が特徴的です。さらに、豊富なサイズ展開により、女性のみならず男性にも広く愛用されているアイテムとなっています。
4-1-4.ヘラクレス
ヘラクレスは、「Hモチーフ」を重ねて連ねた格式高いデザインのブレスレットとして知られています。留め具はHモチーフの一部を削って作られており、それらを合わせることで連結する仕組みとなっています。この留め具は引っかけるだけで確実に固定され、外側からは連結箇所が見えないため、美しさを損なうことなく気品ある佇まいを保っているのが特徴です。
シェーヌダンクルとは異なり、パーツ同士が擦れ合う音が発生しない点も、多くの愛用者から支持される理由となっています。素材にはシルバーやゴールドが用意されており、ファッションスタイルや場面に応じて使い分けられる点も魅力です。
このヘラクレスは、1997年から2003年までエルメスのデザイナーを務めたベルギー人デザイナー、マルタン・マルジェラの時代に誕生したアイテムです。マルジェラはレディースのプレタポルテ部門を担当し、ヘラクレスのデザインも手がけました。この時期は、エルメスの伝統とマルジェラの革新的なデザインが見事に調和した黄金期として、多くの名作が生まれたことで知られています。
4-1-5.マルジェラ期の見分け方は?
マルタン・マルジェラのエルメス在籍期のアイテムには、独特の特徴があります。プレタポルテのアイテムには横長のタグが使用され、そこには「HERMES-PARIS」という文字が記されています。これに対し、近年のプレタポルテでは同じ「HERMES-PARIS」の表記でも、タグの形状が四角くなっているため、見分けることができます。
また、日本の正規販売店で取り扱われたマルジェラ期のアイテムには、通常のタグに加えて追加のタグが付けられているという特徴があります。このことも、マルジェラ期のアイテムを判別する重要な要素となっています。
レザーアイテムについては、エルメスでは製造年を示す刻印が定められており、1997年から2003年までの期間はアルファベットで表されていました。具体的には、Aから始まり、B、Cと順に年を追って変化し、2003年にはGの刻印が使用されていたことがわかります。マルジェラ期のレザーアイテムに興味をお持ちの方は、これらの刻印を確認されることをおすすめします。
4-1-6.トルサード 廃盤品 初期モデル
トルサードはエルメスの代表的なモチーフであるロープをデザインに取り入れたブレスレットです。留め具部分には、二つの大きな輪っかとそれらをつなぐ小さな輪っかが特徴的な配置となっています。
2022年の春夏コレクションで新作として発表されたことにより、廃盤となった初期のヴィンテージモデルがさらに注目を集めるようになりました。その理由として、細部の仕様や素材の違いが挙げられます。特に留め具の仕様において、新作では小さな輪っかが開閉部分になっているのに対し、初期モデルでは大きな輪っかの一方が開閉部分となっており、職人の緻密な手仕事が感じられます。
素材面においても、現行品がシルバー925を採用しているのに対し、初期モデルではシルバー800が使用されていました。発売当初のエルメスは、ジュエリー工房の規模も小さく、ライン製造を行っていなかったことから、このような丁寧な作りのモデルを生み出すことができたのです。
価格に関しては、2022年の新作モデルが約44万円であるのに対し、ヴィンテージモデルは70万円前後で取引される場合もあります。近年のヴィンテージエルメスは価格が高騰しており、定価を上回るアイテムが増加傾向にあることから、資産価値の高さがうかがえます。特に初期モデルは希少価値も高く、今後さらなる価値の上昇が予想されています。
4-1-7.アクロバット
アクロバットは、シルバー製のコマが連なって構成されたブレスレットで、各コマに取り外しと取り付けが可能な隙間が設けられているのが特徴です。この精巧な仕組みは、熟練したエルメスの職人だけが作り出すことのできる技術であり、その価値の高さを物語っています。
一般向けの販売は2006年秋冬コレクションのワンシーズンのみでしたが、一部の特別な顧客に対しては2020年頃まで特別オーダーを受け付けていたとされています。このような限定的な販売形態が、ヴィンテージエルメスとしての希少価値を一層高めているのです。エルメスファンの間でも大変珍しいモデルとして知られているアクロバットですが、偽物や類似品も市場に出回っているため、購入の際は慎重な真贋確認が求められます。
4-1-8.シェーヌダンクル ファランドール
シェーヌダンクルは船の錨のチェーンからインスピレーションを得たデザインであり、その派生モデルであるファランドールは、大中小のモチーフが連なる独特な魅力を放っています。留め具には、シェーヌダンクルと同様の仕様が採用され、輪っかに棒を通して留める機構となっているのが特徴です。
1938年の登場以来、このモデルは途切れることのない人気を博しており、現行品であっても入手までに1年以上の待機期間が必要となることもしばしばです。このような根強い需要を背景に、ヴィンテージ品の価値も上昇を続けている状況です。
4-2.ヴィンテージエルメス|リング編
ヴィンテージエルメスのリングには、シンプルなデザインから存在感のある華やかなものまで幅広く展開されています。それぞれのアイテムについて、デザインの特徴や魅力を解説します。
4-2-1.シェーヌダンクル アンシェネ
エルメスを代表するアイコニックなデザイン、シェーヌダンクルをモチーフにしたリング、アンシェネは優美な佇まいを見せています。いかりのチェーンを洗練されたシンプルさで表現したモデルから、チェーンを3連に重ねて立体感を演出したモデルまで、バリエーション豊かに展開されているのが特徴です。
カジュアルな装いにも馴染みながら、エルメスならではのエレガントさを漂わせるこのデザインは、多くの人々を魅了しています。特に2000年前後に製作されたアンシェネは、現在ヴィンテージエルメスとして高い評価を受け、注目を集めています。
4-2-2.リマ
リマは両サイドから指を優しく包み込むような独特の設計で、洗練されたシンプルさが特徴です。シルバーの美しい輝きを際立たせたこの逸品は、ダブルリングとの重ね付けにも自然に調和することから、幅広い着け方を楽しむことができます。現在は廃盤となっているリマですが、その完成されたデザイン性から中古市場での需要が高まり、価格も上昇傾向が続いているアイテムとなっています。
4-2-3.オスモズ
エルメスの頭文字「H」を指に巻きつけたようなデザインを特徴とするオスモズは、ブランドの象徴的なアイテムとして知られています。一見シンプルな印象を受けますが、太めのリング幅が織りなす存在感は、装いのアクセントとして際立つでしょう。
エルメスファンにとって、このヴィンテージエルメスのリングの魅力は二つあります。一つは象徴的な「H」の文字を身につける喜び、もう一つはヴィンテージならではの味わい深い硫化の表情です。この二つの要素が見事に調和し、唯一無二の魅力を放っています。
4-2-4.セリエ
丸いモチーフに「HERMES PARIS」の刻印が施されたセリエは、エルメスを代表するリングの一つです。素材にはシルバーをはじめ、ウッドやピンクゴールドなど多彩な展開があり、丸いモチーフの色合いにもバリエーションが見られます。
ヴィンテージエルメスのセリエは、制作時期による違いや、経年変化によってそれぞれ異なる表情を見せることも大きな魅力となっています。お気に入りの一点と出会えれば、長く愛用できる特別なジュエリーとなることでしょう。
4-3.ヴィンテージエルメス|バッグ編
エルメスの代名詞とも言えるレザーバッグは、多くの人々を魅了し続けています。ここでは、特に注目すべきヴィンテージエルメスのバッグを3点ご紹介します。
4-3-1.アリーヌ
シンプルなデザインが魅力のショルダーバッグ、アリーヌは、エルメスのアイテムとしては珍しく「HERMES SELLIER PARIS」の文字がプリントされています。本体にはキャンバス生地、ショルダーストラップにはレザーを採用した、カジュアルな雰囲気を持つバッグとなっています。
もともとアリーヌは、VIP顧客向けの特別なアイテムとして製作され、一般販売は行われていませんでした。しかし、SNSでの情報拡散をきっかけに需要が高まり、2020年春夏コレクションから一般向けの販売が開始されることとなりました。
比較的手の届きやすい価格帯も魅力となり、中古市場でも多く見かけるようになりましたが、一般販売開始から日が浅いにもかかわらず大量に出回っている状況から、その約9割が偽物との指摘もあります。つまり、真のヴィンテージエルメスとして価値があるのは、VIP顧客向けに製作された初期のアリーヌということになります。
このような状況から、アリーヌの購入を検討する際は、真贋鑑定の確かな実績を持つブランド専門店やエルメス正規店での取引をおすすめします。魅力的な価格で取引されていても、偽物であれば価値はなくなってしまうため、慎重な判断が必要です。
4-3-2.エヴリンⅠ・Ⅱ
1978年に誕生したエヴリンは、バッグ中央にHermèsの頭文字「H」がパンチングで施された、レザー素材のショルダーバッグです。現在は第三世代のエヴリンⅢ(トロワ)が販売されていますが、初代のエヴリンⅠ(アン)は2006年頃に、第二世代のエヴリンⅡ(ドゥ)は2014年頃に生産が終了しています。
エヴリンⅠの特徴は、ポケットが内側に配置され、ショルダーストラップの長さ調節ができない仕様となっています。一方、エヴリンⅡではポケットが外側に移動されましたが、ストラップの調節不可という仕様は引き継がれました。現行のエヴリンⅢでは、外側ポケットとストラップの調節機能が標準装備となっています。
入手困難な現行品の人気に伴い、ヴィンテージモデルであるエヴリンⅠとⅡへの注目も高まっています。一見些細な仕様の違いに思えるかもしれませんが、各世代特有の機能性や、レザーの味わい深い経年変化を愛する人々から高い評価を得ているのです。
4-3-3.ピコタン
ピコタンは、馬の飼料入れ袋からインスピレーションを得て誕生したトートバッグです。その特徴は、開閉部にファスナーなどを設置せず、ベルトのみというシンプルな作りにあり、エルメスの最高品質を誇るレザーを1枚革で仕立てていることです。
2003年に発表されたピコタンは、2008年にピコタンロックへとモデルチェンジされ、その際に従来のピコタンは廃盤となりました。現在、通称「ピコタン」と呼ばれているものは、実際にはピコタンロックを指しています。
ピコタンからピコタンロックへの主な変更点として、開口部のベルトにカデナ(南京錠)が取り付けられ、底鋲が追加され、さらにサイズがよりコンパクトになったことなどが挙げられます。2003年から2008年という比較的短い期間のみ販売されていたピコタンは、現在ではヴィンテージエルメスとして高い人気を誇っています。また、ピコタンロックの入手困難な状況も、元のピコタンの価値をさらに高めている要因となっているのです。
4-4.ヴィンテージエルメス|ネックレス・メンズ編
ヴィンテージエルメスというと、女性向けアイテムが中心というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし実際には、メンズアイテムも数多く展開されており、高い人気を集めています。ここでは、ヴィンテージエルメスと言われるメンズ向けのネックレスを2点ご紹介します。
4-4-1.ヘラクレス
先にブレスレットでご紹介したヘラクレスシリーズでは、ネックレスも展開されています。サイズは42cmと50cmの2種類があり、特に50cmはメンズサイズとして着用しやすい長さとなっています。
このネックレスは、シンプルながらも上品なデザインが特徴で、派手すぎることなくファッションの品格を高めてくれます。また、シルバーとゴールドの2色展開により、着用するシーンや好みに応じて選択できる点も魅力です。
4-4-2.クレッシェンド
クレッシェンドとは、演奏の音を徐々に強くするという音楽用語に由来しています。エルメスのシルバーネックレスであるクレッシェンドは、連なる輪のサイズが変化していく独特なデザインを特徴としています。
着用方法は、胸元に位置する最も大きな輪に棒を通して使用します。そこから下部へと続く輪は、へそ付近にかけて徐々にサイズが小さくなっていく仕様となっています。このユニークなデザインは、男女問わず高い人気を誇っているのが特徴です。一般的な男性の首回りが約37cmとされるため、39cmモデルを選べば程よいフィット感で着用できます。
2010年頃までに製作されたヴィンテージクレッシェンドには、それ以降のモデルにはない特徴があります。輪と輪の間隔が近く配置されており、よりシルバーの存在感が際立つデザインとなっているため、コレクターからの評価も高くなっています。
5.ヴィンテージエルメスの偽物を見分ける方法は?
人気ブランドが誇る需要の高いアイテムには、偽物が出回ってしまうのが世の常です。特にエルメスの人気商品は、入手困難な期間が続いているものも多く、需要と供給のバランスが崩れています。そのため、精巧に作られた偽物と本物の区別がつかず、被害に遭われる方もいらっしゃるのが現状です。
そこで、ヴィンテージエルメスのジュエリーにおける、偽物の見分け方の一つをご紹介します。エルメスのジュエリーは、ドイツ、イギリス、イタリア、フランスに構える工房でハンドメイドにより製作されています。各工房のマークは、ルーペがなければ確認できないほどの小さな刻印として、アイテムに刻まれており、これが真贋を見抜く重要なポイントとなるのです。
エルメスのジュエリーは高額な商品であるため、ヴィンテージエルメスを購入する際は、インターネットショップではなく、信頼のおけるヴィンテージショップで実際に商品を手に取って確認することをおすすめします。
6.ヴィンテージエルメスは歴史が紡がれた逸品
エルメスは創業から180年以上の歴史を持つブランドとして、高品質な素材と卓越した技術によって、優れたアイテムを生み出し続けています。馬具工房としてスタートしたエルメスは、時代の変化に応じてアクセサリーやバッグなどのラグジュアリーアイテムへと販売の軸を移しながらも、その高い品質と技術の継承を守り続けてきました。
このような歴史の中で生み出された数々のアイテムは、現代では「ヴィンテージエルメス」として大きな注目を集めています。その魅力は、単に古いアイテムというだけでなく、エルメスならではの職人技やこだわりの素材を今なお感じられる点にあります。また、希少性が高いにもかかわらず、比較的手の届きやすい価格帯であることも、人気の理由となっているのです。
ヴィンテージエルメスは、創業以来守り続けてきた顧客第一の理念が形となって表れた逸品といえるでしょう。それは、エルメスの歴史が紡いできた物語を今に伝える、かけがえのない存在となっています。