2023年7月15日
【パライバトルマリン】他の宝石と比べてどのくらいの硬さ?お手入れ方法まで紹介
ジュエリー
パライバトルマリンは、その鮮やかな色と希少性から、宝石愛好家やコレクターの間で非常に高い評価・人気を得ている宝石です。この美しい宝石は、ブラジルのパライバ州で最初に発見され、その地名を取ってパライバトルマリンと名付けられました。
パライバトルマリンは、宝石の中でもお手入れも含めて比較的扱いやすい石です。宝石の硬さを表すモース硬度では、10段階中で硬度7と傷はつきにくい宝石です。アクセサリーとして普段づかいしている分には、それほど傷や割れの心配はないでしょう。
さて、この記事では、そんなパライバトルマリンはどのくらいの硬さがあるのか。また、それに応じたお手入れ方法などなどを徹底解説していきたいと思います。
目次
1. パライバトルマリンはトルマリンの一種
名前 |
パライバトルマリン
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英語表記 |
Paraiba Tourmaline
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和名 | リチア電気石 |
色 |
ネオンブルー(青系)、ネオングリーン(緑系)
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光沢感 | ガラス光沢 |
誕生石 | 9月15日 |
宝石言葉 |
ルーツ、友情、勝利、真実
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意味 |
他人からの好意を引きつけ、周囲との人間関係を円滑にする
|
パライバトルマリンはトルマリンの一種で、その特徴的な色は銅(Cu)の含有が関係しています。この銅がパライバトルマリンの独特のネオンブルーを生み出しています。また、色が比較的濃く、インクルージョン(内包物)が多いことも特徴的です。さらに、宝石品質で大粒のものが産出されにくいため、0.3ct程度でも発色が良く透明度が高いものは少ないとされています。
パライバトルマリンの人気が一気に火が付いたことから、産地であるパライバ州の鉱山は早くも枯渇し、その希少価値はどんどん上昇しています。その結果、パライバトルマリンは、ダイヤモンドやエメラルド、サファイア、ルビーではなく、トルマリンの中でも最も価値が高いとされています。
2. パライバトルマリンの宝石言葉は「希望」「友情」「真実」「勝利」
パライバトルマリンは、その美しい色と希少性だけでなく、まるで少年漫画のような素敵な宝石言葉によっても人々を魅了しています。宝石言葉は、その宝石が持つ意味や象徴するものを表現したもので、パライバトルマリンの宝石言葉は「希望」「友情」「真実」「勝利」です。
また、トルマリン自体は10月の誕生石ですが、パライバトルマリンは9月15日の誕生石でもあります。新たなことを始める時や何かを改善しようとする時には、パライバトルマリンが強力な味方となり、物事をポジティブな方向に導いてくれると言われています。
<それぞれの言葉に込められた意味>
「希望」・・・パライバトルマリンが自然の美しさと力を象徴。
「友情」・・・この宝石が人々の間に深い絆を作り出す力を持つこと。
「真実」・・・パライバトルマリンが持つ透明感と純粋さを象徴。
「勝利」・・・その鮮やかな色が勝利をもたらす。
3. パライバトルマリンの硬度について
パライバトルマリンは、その美しい色と希少性だけでなく、その硬度によっても注目されています。宝石の硬度は、その耐久性と取り扱いやすさを示す重要な指標であり、パライバトルマリンはその点でも優れた特性を持っています。
ここからは、パライバトルマリンの硬度について深掘りしていきたいと思います。
3-1.モース硬度という数値を基準にしている
宝石などの鉱物の硬さは、「モース硬度」という数値を用いて評価されています。
※モース硬度の数値は「モース硬度スケール」と呼ばれている。
名前の由来は、この尺度を見つけたフリードリッヒ・モースという鉱物学者から来ています。モース硬度は1~10段階評価となっていて、単位の表記は「mohs/モース」。地球上で最も硬い鉱物といわれているダイヤモンドはもちろん10mohsの最高評価を持っています。
モース硬度の評価基準となるのは「鉱物同士を擦り合わせてどちらに傷がつくか」というところ。傷がついた方の鉱物がモース硬度が低いと評価を受けます。しかし、ここで疑問になってくるのは「叩いた時の壊れやすさ」。モース硬度と叩いた時の壊れやすさはイコールにはなりません。ダイヤモンドほどのモース硬度持っていたとしても、ハンマーでたたいたら簡単に割れてしまします。
モース硬度はあくまでも、ひっかくように擦り合わせた時に傷のようなものがつくのはどちらか。というのが重要事項となっています。
3-2.パライバトルマリンのモース硬度は水晶と同じくらい
前述のようにモース硬度スケールは、1から10までの数値で表されていて、宝石の硬度を評価するための一般的な方法です。パライバトルマリンのモース硬度スケールは7~7.5mohsと評価されています。この評価数値は日常的な使用にも耐えることができる硬度を持っている宝石と言えます。
ちなみに・・・ダイヤモンドが10mohsで最も硬く、トパーズが8mohs、石英が7mohs。
しかし、硬度が高いといえど、その宝石が無敵であるというわけではありません。宝石は全般的に衝撃や高温、化学物質に対して耐性があまり強くない性質を持っている場合があります。特にパライバトルマリンは、その美しい色を保つためには、適切なケアが必要です。そのため、パライバトルマリンを取り扱う際には、その硬度を考慮に入れつつ、適切なケアを心がけることが重要です。
3-3.ほかの宝石のモース硬度
パライバトルマリンの硬度は、7~7.5mohsと説明しました。
ほかのメジャーな宝石の硬度に関しては以下の通りです。
硬度1 | タルク |
硬度2 |
石膏(ジプサム)
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硬度3 | 大理石・方解石 |
硬度4 |
蛍石・マラカイト・フローライト
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硬度5 |
アパタイト・黒曜石・燐灰石
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硬度6 |
トルコ石・ラピスラズリ・オパール
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硬度7 |
水晶・ガーネット・翡翠・エメラルド
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硬度8 |
トパーズ・アレキサンドライト
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硬度9 |
ルビー・サファイア
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硬度10 | ダイヤモンド |
4. パライバトルマリンを傷つけないためにはお手入れと保管が大事
パライバトルマリンはその美しさと希少性から非常に高い価値を持つ宝石です。その価値を保つためには、適切な保管方法とお手入れが必要です。硬度が高めな宝石ということもあり、お手入れも比較的簡単に行う程度で済んでしまうのでとても扱いやすいと思います。
ここからは、パライバトルマリンを傷つけないために、適切な保管方法とお手入れの仕方まで紹介していきたいと思います。
4-1.パライバトルマリンの保管方法
保管する際には、以下の注意点に留意することが重要です。
<汚れを取り除く>
パライバトルマリンを保管する前に、優れた品質の柔らかい布を使用して、宝石の表面の汚れや指紋を注意深く取り除いてください。これにより、保管中に宝石が傷つくリスクを軽減できます。
<個別に保管>
パライバトルマリンは他の宝石と一緒に保管しない方が良いです。他の宝石や金属との接触によって傷つく可能性があるため、個別の宝石袋や宝石箱に保管してください。
<直射日光を避ける>
パライバトルマリンは長時間の直射日光にさらされると色味が変わることがあります。保管する場所は、日光が当たらないクールで乾燥した場所を選びましょう。また、窓際や明るい場所に保管しないようにしてください。
<温度変化や衝撃から守る>
パライバトルマリンは温度変化や急激な衝撃に敏感です。急激な温度変化は宝石の割れや欠けの原因となる可能性があるため、極端な温度変動のある場所や熱源から離れた場所に保管してください。
<定期的なメンテナンス>
パライバトルマリンは美しい輝きを保つために、定期的なメンテナンスが必要です。定期的に宝石店でのクリーニングや点検を受けることをおすすめします。
4-2.パライバトルマリンのお手入れの仕方
パライバトルマリンの美しさと輝きを長く楽しむために、以下の手入れ方法をオススメします。ただし、貴重な宝石の場合は、専門家のアドバイスや指示に従いましょう。
<温水と中性洗剤を使用したクリーニング>
柔らかい歯ブラシや柔らかい布に少量の中性洗剤を付け、温水で軽く宝石を洗浄します。洗った後は、十分にすすいで水分を拭き取り、乾燥させてください。ただし、パライバトルマリンのような貴重な宝石の場合、クリーニングは宝石店での専門家に任せる方が安全です。
<金属製品との接触を避ける>
パライバトルマリンは他の宝石や金属との接触によって傷つく可能性があります。保管する際には、個別の宝石袋や宝石箱に入れて金属製品との接触を避けましょう。
<化学物質から守る>
パライバトルマリンは化学物質に敏感です。ヘアスプレーや香水、化粧品、漂白剤、薬品などの接触を避けてください。これらの化学物質は宝石の輝きを損なうだけでなく、宝石自体にも損傷を与える可能性があります。
<過度な力や衝撃を避ける>
パライバトルマリンは硬度が比較的低いため、過度な力や衝撃を与えると傷がつく可能性があります。日常の使用や保管中には慎重に扱い、運動や激しい活動の際には宝石を取り外すことをおすすめします。
<定期的な点検>
宝石店での定期的な点検やクリーニングを受けることで、パライバトルマリンの状態を確認し、美しい輝きを保つことができます。専門家が宝石を点検し、必要に応じてクリーニングや修理を行ってくれます。
5. 産地によって価値も色合いも変わるパライバトルマリンの魅力
パライバトルマリンの最大の魅力は、その美しい色にもあります。トロピカルな海を思わせる鮮やかなブルーで、他の天然石と比較しても一線を画す存在感を放っています。この色は、パライバトルマリンに含まれる銅(Cu)によるもので、ネオンライトのような蛍光ブルーを目で見て取ることができます。
また、パライバトルマリンの色は、産地によってその価値を大きく左右します。ブラジル、モザンビーク、ナイジェリアなど、世界の特定の地域でしか産出されません。色が濃く、内包物がほとんどないSランクのものは、1カラットあたり50万円以上することも珍しくありません。一方、色が薄いものや内包物が多いものは、価値が下がる傾向にあります。そのため、産地はパライバトルマリンの希少性と価値を決定する重要な要素となります。
パライバトルマリンの産地を特定するためには、高度な分析技術が必要です。LA-ICP-MS(レーザーアブレーションICP質量分析)などの技術を用いることで、宝石の微量元素の種類と濃度、組合せを検出でき、原産地特定に大きく寄与しています。また、パライバトルマリンの色の魅力を最大限に引き出すためには、適切なカットと研磨が必要です。パライバトルマリンのジュエリーを選ぶ際には、その色だけでなく、カットの質にも注意を払うことが重要です。パライバトルマリンの価値はその品質と分類(S, A, B, C, D)によって大きく変わります。
ブラジル産とナイジェリア産の鉱山は既に枯渇しており、現在は主にモザンビークで採掘されています。そのため、パライバトルマリンの価格はその供給量の限られさから上昇傾向にあります。
ここからは、パライバトルマリンの産地によって変わる色の魅力とその価値の違いについて詳しく説明していきたいと思います。
5-1.ブラジル産のパライバトルマリン
パライバトルマリンは、パライバ州のバリターニャで初めて発見された関係でブラジル産のパライバトルマリンは現在でも高い人気を持っています。その鮮烈な色と希少性から、すぐに世界中の宝石愛好家の間で注目を集め、高値で取引されるようになりました。
ブラジル産のパライバトルマリンは、マンガンと銅の含有量が非常に多く、きれいで美しいネオンブルーカラーを表現していることが大きな特徴です。しかし、前述の通り現在ではブラジルの鉱山はほぼ枯渇している関係でブラジル産のパライバトルマリンは非常に希少となりました。そのため、価値は非常に高いです。
ちなみに、同じブラジルのリオグランデノルデ州でもパライバトルマリンは産出されていますが、パライバ州から産出されているものよりも色が薄いなどなど品質は劣ってしまいます。
5-2.アフリカ地域産のパライバトルマリン
2001年と2005年には、アフリカのナイジェリアとモザンビークの鉱山でパライバトルマリンが発見され、非常に話題になりました。しかし、リオグランデノルデ産のものと同じく、ナイジェリア産のパライバトルマリンは、アクアブルーやミントグリーンといった薄い色合いをしたものが多いです。
アフリカ産のパライバトルマリンは、パライバ産のものと比較すると基本的に銅の含有量が少ない関係で色味が薄くなっているのが特徴的ですが、最近では濃い色合いを持った品質の高いパライバトルマリンも産出されるようになってきたと言われています。また、サイズが大きかったり、インクルージョンなどが少なく透明度の高いものが産出される傾向にあり、その美しさは高く評価されています。
6. 最高級のパライバトルマリンを見分ける方法
パライバトルマリンはその美しい色と希少性から、宝石愛好家の間で非常に高い評価を受けています。特に最高級のパライバトルマリンは、その価値が一層高まります。しかし、その価値を正しく評価し、信頼できる宝石鑑定士や専門家の意見を求めることも重要です。最高級のパライバトルマリンを見分けるためには、以下のポイントに注意する必要があります。
6-1.色やデザインで選ぶ
パライバトルマリンの最も魅力的な特徴はその色です。最高級のパライバトルマリンは、鮮やかなネオンブルーまたはネオングリーンの色を持ち、その色の鮮やかさと深みが価値を決定します。銅の含有量が多いほど色が鮮やかに。パライバトルマリンの美しさを引き立てるかつ自分好みのデザインを選びましょう。
また、パライバトルマリンと相性の良い金属素材は、パライバトルマリンの色を引き立て、その美しさを一層際立たせます。例えば、シンプルなデザインは、パライバトルマリンの色を主役にすることができ、存在感を表現することができます。鮮やかなブルーが特徴的。色が鮮やかなものほど価格が高くなります。
6-2.インクルージョンなどがないか透明度を見る
パライバトルマリンは透明度が高いほど価値が上がります。内部に含まれるインクルージョン(内部に含まれる微細なクラックや結晶)が少ないほど、宝石は透明感があり、光をより美しく反射します。
インクルージョンがないものはSランクに値する可能性が非常に高いため、パライバトルマリンの中でも最高級のものになり得ます。ランクはSからDまであり、Sランクが最も高品質で、Dランクが最も低品質を示します。品質は色の鮮やかさ、透明度、サイズなどによって決まり、これらの要素を総合してランクがつけられます。
6-3.カットの仕上げ方による光の反射
宝石のカットはその輝きと美しさを引き立てます。良いカットは、宝石が光を最大限に反射し、その色を最高に引き立てます。
6-4.サイズや重量も大事
パライバトルマリンはその希少性から、カラット重が大きいほど価値が上がります。しかし、色や透明度、カットの品質が犠牲にならない範囲での重量が重要です。また、パライバトルマリンのサイズも重要です。
大きな石は存在感がありますが、小さな石でもその色が鮮やかであれば十分に魅力を発揮します。特に1カラット以上の大きさのものは非常に希少で、その価格は数百万円から数千万円にも及ぶ高級品となっています。
6-5.産出された場所による希少性を見る
パライバトルマリンはブラジル、モザンビーク、ナイジェリアなど、限られた地域でしか産出されません。特にブラジル産のパライバトルマリンは非常に希少で、その価値は非常に高いです。
最高級のパライバトルマリンを見分けるためには、これらの要素を総合的に評価する必要があります。
7.パライバトルマリンには偽物も。購入時の注意点
パライバトルマリンを購入する際には、その色、透明度、サイズ、そして何よりもその希少性を確認することが重要です。
また、パライバトルマリンの偽物にも注意が必要です。一般的な偽物には、アパタイトやパライバブルートパーズなどがあります。これらはパライバトルマリンに似たネオン色を持つものの、価格は低く、硬度も弱いです。特に新たな偽物として出現したパライバブルートパーズは、薄いコーティングが簡単に剥がれてしまう特徴があります。
ここでは、パライバトルマリンの購入ガイドとして、パライバトルマリンを購入する際に注意するべき点をいくつか紹介させていただきます。
7-1.産地を確認する
パライバトルマリンはブラジルのパライバ州で初めて発見され、ほかにはモザンビーク、ナイジェリアなどがあります。ブラジル産のものが最も価値が高いとされています。
産地によって微妙に色や品質が異なるため、産地を確認することが重要です。そのため、購入時には産地を確認し、可能であれば産地を証明する書類を求めることが重要です。
7-2.鑑定書がついているものを購入する
高価な宝石を購入する際には、鑑定書が付いていることを確認しましょう。鑑定書はその宝石の品質を保証するもので、信頼できる鑑定機関から発行されたものであることが重要です。
また、パライバトルマリンはその美しい色と希少性から偽物が出回ることもあります。そのため、購入時には信頼できる販売店から購入し、鑑別書を必ず受け取るようにしましょう。
7-3.サイズによる価格の確認
パライバトルマリンの価格はそのサイズによって大きく変わります。特に1カラット以上の大きさのものは非常に希少で、その価格は数百万円から数千万円にも及びます。そのため、購入時には自分がどの程度のサイズのものを求めているのか、またその価格が妥当なものなのかをしっかりと確認しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
パライバトルマリンについて詳しく解説させていただきました。
その美しさと希少性から非常に高い価格を持つ宝石のパライバトルマリン。その鮮やかな色は他の宝石と比較してもひときわ目立っていて、この宝石ならではの価値を高めています。また、その硬度は7.5と比較的高く、ジュエリーとしての耐久性も申し分ない宝石となっています。
パライバトルマリンの産地はブラジル、モザンビーク、ナイジェリアなどがあり、それぞれの産地で微妙に色や品質が異なります。特にブラジル産のパライバトルマリンはその美しさと希少性から非常に高い価格で取引されています。その美しさと希少性から、パライバトルマリンは宝石の中でも特に人気のある宝石と言えるでしょう。