2025年4月18日
ラボグロウンダイヤモンドとは?ダイヤモンドとの違いや見分け方も紹介!

「永遠の輝き」とも言われ、誰もが憧れる宝石・ダイヤモンド。まばゆい輝きは華やかでありながらさまざまなコーディネイトに合わせることができ、使い勝手がいいのでとても人気の高い宝石です。また、良いダイヤモンドはプラチナや金などと同様に資産価値があり、投資目的で購入する人もいます。ただ美しいだけでなく、将来のことを考えた時にもとても価値があるのがダイヤモンドです。ですがダイヤモンドが欲しいと思っても、良いダイヤモンドは値段が高くて購入できないという人も多いと思います。
そんな人が選ぶ選択肢のひとつとして、近年注目を集めているのが「ラボグロウンダイヤモンド」です。ラボグロウンダイヤモンドは人の手によって作られたダイヤモンドです。ですがキュービックジルコニアやスワロフスキーとは違います。ラボグロウンダイヤモンドは、天然のダイヤモンドと同じ成分の石なのです。
今回は天然ダイヤモンドと同じ成分であるラボグロウンダイヤモンドについて、詳しくご紹介していきます。天然ダイヤモンドや他の似ている宝石との違いや見分け方から、1カラットあたりの値段の違い、ラボグロウンダイヤモンドのメリット・デメリットなど、実際に購入する時に気になる点についても見ていきます。正しく知って、どのダイヤモンドを選ぶか、それともダイヤモンド以外の石にするのかを選ぶ手助けにしてくださいね。
目次
1.ラボグロウンダイヤモンドとは?
ラボグロウンとはラボ(Lab・研究室)でグロウン(grown・製造した)という意味です。その名前が表す通り、ラボグロウンダイヤモンドは人の手によって作り出される石です。
人の手によって作られたダイヤモンドというと、キュービックジルコニアのようなものを想像する人もいるかもしれませんね。キュービックジルコニアはダイヤモンドとよく似た見た目の安価な石で、カジュアルなジュエリーによく使用されています。ラボグロウンダイヤモンドがキュービックジルコニアと違うのは、その成分が天然ダイヤモンドとまったく同じという点です。天然ダイヤモンドは炭素という元素でできています。ラボグロウンダイヤモンドもまた、炭素という元素でできた石なのです。では、天然ダイヤモンドとまったく同じ物なのか?というと、そうではありません。ラボグロウンダイヤモンドは天然のダイヤモンドと同じ面もあれば、違う面もあります。その違いを知っておけば、ラボグロウンダイヤモンドを選ぶにしろ、選ばないにしろ、後悔せずに済むでしょう。
まずはラボグロウンダイヤモンドについて、その基本情報をご紹介します。
1-1.ラボグロウンダイヤモンドの歴史
ラボグロウンダイヤモンドの製造に初めて成功したのは、1954年のアメリカでのことでした。地球内部の環境を人工的に再現し、人工ダイヤモンドの製造に成功したのです。
ラボグロウンダイヤモンドは当初、装飾品としてではなく主に工業用として利用されていました。ダイヤモンドは装飾品としての需要の他にも、工業用や医療用としての需要があるのです。地球上でもっとも硬いダイヤモンドには、活躍の場所がたくさんあります。当時はブラックダイヤモンドやブラウンダイヤモンドが、主に工業用として利用されていました。ブラックダイヤモンドやブラウンダイヤモンドは、まだその美しさが認められておらず、安価で取引されていたのです。それでも天然のダイヤモンドは、とても高価な物でした。そこで使用されたのが、ラボグロウンダイヤモンドです。最初は人工的に作られたダイヤモンドの多くが、そのようにして使用されました。
より低コストで純度の高いラボグロウンダイヤモンドの製造方法が確立したのが、1970年代のことです。それ以降、ラボグロウンダイヤモンドは装飾用として、市場へ安定的に供給されるようになりました。
1-2.ラボグロウンダイヤモンドの価値基準
宝石の価値の基準の中でも、ダイヤモンドの価値基準は厳密に決められています。
「4C」という言葉を聞いたことがありますか?4Cというのは、ダイヤモンドの価値を決める4つの基準のこと。Carat(カラット・重さ)、Cut(カット・輝き)、Color(カラー・色)、Clarity(クラリティ・透明度)という4つのCから始まる価値基準が、ダイヤモンドにはあります。
ラボグロウンダイヤモンドの価値も、天然ダイヤモンドと同じ4Cの基準に沿って判断されます。4Cについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
1-2-1.Carat(カラット・重さ)
ひとつ目のCはカラットです。
カラットは宝石の重さを表す単位で、1カラット=0.2グラム。0.2グラムというとほんの少しのように感じますが、ダイヤモンドのように強く輝く宝石であれば、1カラットでもなかなかの存在感を持っています。
重いダイヤモンドは軽いダイヤモンドよりも価値が高い、ということですね。
1-2-2.Cut(カット・輝き)
ふたつ目のCはカットです。
採掘されたダイヤモンドは、ジュエリーに加工するためにカットを施されます。宝石のカットにはさまざまな種類があり、宝石の種類や大きさ、内部のようすなどからもっとも美しく見えるように加工されるのです。
カットは輝きのこと、と先ほど簡単にご説明しました。どんなふうにカットするかによって、石自体の輝きが大きく異なってくるのです。
1-2-3.Color(カラー・色)
3つ目のCはカラーです。
ダイヤモンドというと、透明な輝きを想像しますよね。それなのに、カラーが基準というのはどういうことだろう?と疑問に思うのではないでしょうか。実は透明に見えるダイヤモンドにも、その色味には差があります。純粋な無色透明のダイヤモンドもあれば、黄色や茶色っぽく見えるダイヤモンドもあるのです。
まったく色がない無色透明の物が、もっとも価値の高いカラー。そこからどの程度色がついて見えるのかによって、ランク分けされるのです。
1-2-4.Clarity(クラリティ・透明度)
4つ目のCはクラリティです。
クラリティとは透明度のこと。具体的に言うと、ダイヤモンドの内外にどれほどの傷がついているかでランク分けをします。傷があれば、透明ではなくなるということですね。
一番価値が高いのは、内側にも外側にもまったく傷がないダイヤモンドです。ですが自然の中で出来上がる天然のダイヤモンドには、まったく傷がない物はほとんど存在しません。傷がないダイヤモンドは、それだけ価値が高いということですね。
この4つのCによる価値基準が、ラボグロウンダイヤモンドにも適用されます。4Cを頭に入れておいて、石を選ぶときの参考にしてください。
1-3.ラボグロウンダイヤモンドの値段
低コストな製造方法が確立したこともあり、ラボグロウンダイヤモンドの価格はある程度安定しています。もちろん石の品質にもよりますが、天然のダイヤモンドと比べると20%~40%ほどは安い値段で購入することができるものがほとんどです。
値段を抑えられる分、より良い品質のものを購入することもできるでしょう。普段使いで華やかな雰囲気のジュエリーが欲しいという人にはぴったりですよ。
2.ラボグロウンダイヤモンドとダイヤモンドの違い・見分け方
ラボグロウンダイヤモンドはとても美しい石です。見た目どころか成分も天然ダイヤモンドと同じなので、天然ダイヤモンドよりも手軽なジュエリーとして人気があります。
もちろんラボグロウンダイヤモンドと知った上で購入することは、何も悪いことではありません。ところがたちの悪いことに、なかにはラボグロウンダイヤモンドを天然ダイヤモンドと偽って高額で売りつけるような業者もいます。天然ダイヤモンドだと思って購入したのにラボグロウンダイヤモンドだったとあとからわかったら、かなりショックですよね。
この項ではラボグロウンダイヤモンドと似た見た目の、天然ダイヤモンド・モアサナイト・キュービックジルコニアについてご紹介します。ラボグロウンダイヤモンドかそうでないかの見分け方も参考にしてくださいね。
2-1.天然ダイヤモンドとの違い
先ほどもご説明したように、天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドは成分はまったくおなじです。このふたつを見た目やさまざまなチェックで見分けることは、素人である我々消費者はもちろん、宝石を普段から扱っているプロでも不可能と言われています。
もし目の前にある石が天然ダイヤモンドかそうでないか知りたいなら、それを知るための唯一の方法は「鑑定書」です。ダイヤモンドの品質を記入してある書類を、鑑定書と言います。国内外多くの専門機関がダイヤモンドの鑑定書を発行しているのです。さきほどご説明した4Cのランクの査定やサイズなどの細かい数値などが、鑑定書には記入してあります。
ダイヤモンドを購入する時には、できる限り鑑定書を確認するようにしてください。ごく小さなダイヤモンドの場合は鑑定書がないこともありますが、ある程度のものであればショップであらかじめ用意してあることも少なくありません。ところが鑑定書があれば完全に安心して購入できるかというと、そうではありません。気を付けてほしいことはふたつあります。
まずひとつ目は、その鑑定書を発行しているのはどこかということです。もっとも有名な宝石の鑑定機関はアメリカのGIAですが、それ以外にも世界中・日本中に多くの鑑定機関があります。そのすべての機関が信頼できるかと言うと、そうではありません。聞いたことがない機関の出した鑑定書なら、一旦は調べてみるようにしてくださいね。
もうひとつ気を付けてほしいのは、その鑑定書はまちがいなくその石の物なのかということです。中には偽物の石に本物の鑑定書を付けて販売するような業者もいるとか……。しっかり信頼できるショップなのかは、自分で見極めるしかありません。何度も通ったり、店について調べたりするなど、出来る限りのことはしてくださいね。
2-2.モアサナイトとの違い
ダイヤモンドにとてもよく似た宝石として、モアサナイトもあげられます。モアサナイトは1893年に隕石の中から発見された石です。天然の物はごくわずかしかなく、流通している物はほとんどがラボグロウンダイヤモンドと同じく人工的に作られています。
同じように人工的に作られていて見た目も似ているモアサナイトですが、ラボグロウンダイヤモンドと違うところはいくつかあります。まずは成分の違いです。ダイヤモンドやラボグロウンダイヤモンドは炭素、モアサナイトは炭化ケイ素で出来ています。とはいえ、成分の違いは見た目ではわかりません。
次に硬さの違いがあります。宝石の硬さを表すのによく使われるのは、モース硬度という硬さの尺度です。ラボグロウンダイヤモンドはモース硬度10で地球上でもっとも硬いと言われています。これに対してモアサナイトのモース硬度は9.25程度で、ラボグロウンダイヤモンドとモアサナイトを擦り合わせるとモアサナイトに傷がついてしまいます。ですがもちろん、この硬さは見た目ではわかりません。
ショップにある時点ではっきりとわかるのは、値段の違いです。モアサナイトは天然ダイヤモンドの10%ほどの値段なので、はっきりと違います。とはいえ、もしも悪意のある業者にモアサナイトをダイヤモンドと偽って販売されれば、もはや値段で見分けることも難しいでしょう。少しでも不審に感じたら、やはり鑑定書を確認するのが確実です。
2-3.キュービックジルコニアとの違い
キュービックジルコニアも透明で輝きが強く、ダイヤモンドに似た石としてよく装飾用に用いられる石です。自然界には存在しない人造宝石と呼ばれる石で、ダイヤモンドによく似た石でありながらリーズナブルでカラーバリエーションも豊富で人気があります。
キュービックジルコニアもやはりとてもダイアモンドに似ているので、見た目で見分けるのはとても難しいです。ですが天然のダイヤモンドやモアサナイトに比べると、キュービックジルコニアはラボグロウンダイヤモンドとのわかりやすい違いがあります。
たとえば、ラボグロウンダイヤモンドはキュービックジルコニアよりもわずかな光で輝きます。薄暗いところではキュービックジルコニアは輝きが弱いのです。また、ラボグロウンダイヤモンドは熱伝導率が高いので、息を吹きかけて表面が曇ってもすぐに曇りがはれます。ですがキュービックジルコニアは曇りがなかなかはれません。とはいえ、ショップは大抵強い光で石を照らしていますし、商品に息を吹きかけるというのもなかなか難しいですよね。やはり最終的には、鑑定書が頼りです。
3.ラボグロウンダイヤモンドを購入するメリット
なにか宝石を購入したいと思った時に、何を購入しようか迷うこともありますよね。
やはりダイヤモンドやルビー・サファイアなど、有名な宝石に目が行ってしまうのではないでしょうか。さまざまな有名な宝石がある中で、ラボグロウンダイヤモンドを選ぼうとはあまり思わないかもしれません。ですがそれは、ラボグロウンダイヤモンドについてあまり知らないからではないでしょうか。
ラボグロウンダイヤモンドには、ほかの宝石とは違う魅力があります。ラボグロウンダイヤモンドを購入するメリットをご紹介しますので、ぜひ購入する候補に加えるかどうか、考えてくださいね。
3-1.環境や人権に配慮したダイヤモンドである
宝石はとても美しく、見るだけで心が晴れやかになりますよね。ですが宝石は、華やかなだけではありません。美しい宝石には、実はさまざまな問題があります。
そのひとつが、採掘の際に生じる環境負荷です。宝石の採掘にはいくつかの方法があります。特に今ほど環境についての関心が高くなかった時代には、採掘の後のことなどは特に気にされていませんでした。そのため取れるだけ宝石を取っていたのです。無理な採掘で河川が汚染されたり地盤がゆるんだりして、元から鉱山の近辺に住んでいた人々の生活に影響を及ぼすこともありました。また生きるために無理な採掘作業に従事する人もいて、実際に採掘作業中に大勢の人が命を落とす事故も起きています。
宝石愛好家の中にもそういった問題を気にする人は少なからずいて、宝石を好きな気持ちと宝石の採掘における環境への影響を心配する気持ちの板挟みになっていたようです。そういった問題を解決するのが、ラボグロウンダイヤモンドなど人工的に製造される宝石です。ラボグロウンダイヤモンドは採掘のために環境が破壊されることも、人が命を落とすこともありません。
近年はSDGsへの関心の高まりや各国で法整備が進んだこともあり、以前ほど無理な採掘は行われないようになってきました。特に大企業が行う採掘は環境負荷ができるだけかからない方法で行われています。ですが現地の人が行う小規模な採掘は今でも昔ながらの方法で行われ、環境負荷が大きいそうです。
環境に良い宝石を選ぶことができるというのは、ラボグロウンダイヤモンドを選ぶメリットのひとつです。
3-2.品質が安定している
多くの宝石は、自然の中で何百年・何千年あるいはそれ以上という長い時間をかけて生成されます。そのため、決して人が思う通りの品質や量が採掘できるとは限りません。たくさんの時間や手間・お金をかけて採掘しても、思ったほど品質の良い石が取れなかったり、ほんの少ししか取れなかったりすることはよくあります。だからこそ、希少で高価なのです。
ですが、ラボグロウンダイヤモンドはその問題を解決してくれます。
ラボグロウンダイヤモンドは自然の中で生成されるわけではないので、余計な物質が入り込むこともありませんし、必要以上に傷が入ることもありません。人工的に製造されるラボグロウンダイヤモンドは、天然ダイヤモンドよりも一定の品質が期待できます。天然ダイヤモンドのように、満足する品質の石がなかなか出ないということもありません。品質が安定しているのは、ラボグロウンダイヤモンドのメリットのひとつです。
3-3.値段が安い
そして私たち消費者にもっとも関係が深く、わかりやすいメリットは、値段が安いということです。ラボグロウンダイヤモンドは簡単に製造できるというわけではありませんが、それでも天然ダイヤモンドを採掘するよりはコストが抑えられます。そのためラボグロウンダイヤモンドは、天然ダイヤモンドの20%~40%ほどは安い値段で購入できます。
ジュエリーとして加工された物の値段は石以外の要素もあるので変動はしますが、天然ダイヤモンドを購入するよりもかなりお手頃な値段で購入することができるでしょう。
4.ラボグロウンダイヤモンドのデメリット
ラボグロウンダイヤモンドを購入する3つのメリットをご紹介しましたが、もちろんラボグロウンダイヤモンドはメリットばっかり!ということではありません。メリットにはデメリットも付き物です。購入する時にはメリット・デメリットの両方をよく知っておくというのが重要です。ラボグロウンダイヤモンドのデメリットを知ることは、購入後の後悔を減らすことにもつながります。
この項では、ラボグロウンダイヤモンドのデメリットを3つご紹介します。デメリットも踏まえたうえで、購入をよく検討してくださいね。
4-1.資産価値が低く投資には不向き
天然ダイヤモンドを購入する理由は、人によってさまざまです。おそらく宝石を購入する一番の理由は、美しい宝石を身に付けたいということでしょう。また、石が好きで部屋に置いておきたいという人もいます。装飾用よりは観賞用ということですね。
その他にも、ダイヤモンドを投資目的で購入するという人もいます。ゴールドやプラチナのように、さまざまな要素で値段が変わるのがダイヤモンドです。供給量や世界情勢、あるいはブランド物であればプレミアが付いたりすることもあります。将来価値が出ることを見越して、ダイヤモンドを購入するのです。
天然ダイヤモンドには資産としての価値があり、いざという時は売却することができます。ですがラボグロウンダイヤモンドには、資産価値がほとんどありません。ラボグロウンダイヤモンドは購入金額も安価ですが、その分売却金額も安いか、石自体にはほぼ値段がつかないこともありますので、投資目的で購入するのには不向きです。
4-2.「天然ダイヤモンドと同じ」ではない
ラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドと成分が同じだとご説明しましたが、それでも「天然ダイヤモンドとまったく同じ」かというとそうではありません。資産価値が低いこともそうですが、「成分が同じ=まったく同じ物」ではないのです。養殖の魚と天然の魚では、同じ魚であってもその価値や値段が同じではないように、天然のダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドは同じものではないと思っておいてください。
天然のダイヤモンドには、ラボグロウンダイヤモンドにはない希少性という価値があります。宝石の希少性にこそ価値を見出す人は少なくありません。特に品質の高い天然ダイヤモンドは限られているので、珍しいからこそ購入したいという人にとっては、ラボグロウンダイヤモンドを購入することはデメリットでしかないのです。
4-3.均一すぎて個性がない
ラボグロウンダイヤモンドのメリットとして「品質が安定している」ことをあげましたが、逆にそれを「均一すぎて個性がない」デメリットととらえる人もいます。
天然の宝石は、自然の中で長い時間をかけて出来上がります。数百年・数千年という長い時を過ごす間にさまざまな環境の変化があり、たくさんの影響を受けてひとつの宝石になっていくのです。自然にできる物なので、ひとつとして同じものはありません。宝石によっては傷がついていたり、インクルージョンと呼ばれる内包物が含まれていたりします。一般的な宝石の価値としては下がりますが、その石にしかない唯一無二の個性を持っているのです。
石それぞれの個性を楽しみたいという人には、ラボグロウンダイヤモンドは向かないでしょう。
5.ラボグロウンダイヤモンドの豆知識
ここまで、ラボグロウンダイヤモンドのさまざまな情報をお伝えしてきました。
最後にラボグロウンダイヤモンドの、ちょっとした豆知識をご紹介したいと思います。ここまで読んでみても、ラボグロウンダイヤモンドを買おうかどうしようか迷っているという人もいるでしょう。そんな人をちょっとだけ後押しできる豆知識ですので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
5-1.ラボグロウンダイヤモンドのさまざまな色
ダイヤモンドと言えば、無色で透明度の高い石をイメージする人が多いのではないでしょうか。ですが実は、ダイヤモンドにはさまざまな色の石が存在しています。ピンクダイヤモンドやブルーダイヤモンドという名前を聞いたことがある人もいるでしょう。天然のダイヤモンドはその他にもイエローやブラウン・グリーン・レッドなど多くのカラーバリエーションがあります。ではラボグロウンダイヤモンドには、何色の物があるのでしょうか。実はラボグロウンダイヤモンドにも、無色以外のカラーダイヤモンドがあります。
ただ天然のカラーダイヤモンドがなぜその色になっているのか、原因がわからないものも多く、すべての天然カラーダイヤモンドをラボグロウンダイヤモンドで再現できるわけではありません。ラボグロウンダイヤモンドのカラーは現在の所、ピンク・ブルー・グリーン・イエローがあります。
透明以外のダイヤモンドはとても希少で、価格も高価です。特にグリーンダイヤモンドなどはほとんど流通していないので、カラーダイヤモンドが欲しいと思ったら天然よりもラボグロウンダイヤモンドを探す方が現実的かもしれませんね。
5-2.ラボグロウンダイヤモンドの鑑定書はどうなる?
ダイヤモンドの品質を証明する鑑定書。宝石の情報が記入されている鑑別書とは違い、ダイヤモンドの場合は4Cなどの価値基準の評価が記された鑑定書が発行されます。
ではラボグロウンダイヤモンドも、鑑定書が発行されるのでしょうか。実は当初、ラボグロウンダイヤモンドには鑑定書が発行されませんでした。ですが2018年にアメリカでラボグロウンダイヤモンドがダイヤモンドと認められたことをきっかけに、鑑定書が発行されるようになったのです。すべての鑑定機関でラボグロウンダイヤモンドの鑑定書が発行されるわけではありませんが、アメリカの大手鑑定機関であるIGIやGIA、日本国内CGLなどが、ラボグロウンダイヤモンドの鑑定書を発行しています。
ラボグロウンダイヤモンドの鑑定書には『LAB GLOWN』や『合成ダイヤモンド』などと表記されますので、確認してください。
5-3.ラボグロウンダイヤモンドの価値はこれから下がる?
宝石を購入する時には、今後の価値についてが気になるかもしれませんね。どうせなら今後価値が上がる宝石を買いたいと思う人もいるでしょう。結論から言うと、ラボグロウンダイヤモンドの価値が今後上がるかどうかは、実際のところわかりません。ラボグロウンダイヤモンドは、今も改良が進められています。ラボグロウンダイヤモンドの発展によっては、あるいは価値が上がることもあるかもしれません。
ですがラボグロウンダイヤモンドは投資には向かないとご説明した通り、今のところはあまり価値が上がりそうな物だとは考えられていません。今後の価値を期待して購入するのはやめたほうがいいでしょう。
ラボグロウンダイヤモンドは間違いなく美しい宝石ですので、資産的な価値よりもその美しさに価値を見出したほうが良さそうです。
6.まとめ
今回は人の手によって作り出された宝石・ラボグロウンダイヤモンドについてご紹介してきました。
ラボグロウンダイヤモンドは1954年に初めて製造されました。天然ダイヤモンドとまったく同じ成分のダイヤモンドで、見た目は天然ダイヤモンドと見分けが付かないほどの美しさです。天然ダイヤモンドと同じく4Cと呼ばれる基準でその価値が決まりますが、品質は自然界で採掘される天然ダイヤモンドよりもむしろ安定しています。そして人工的に作られていて供給も安定していることから、天然ダイヤモンドよりも安価で購入することができるダイヤモンドです。
宝石に何を求めるかは人それぞれ違います。美しければそれでいいという人、資産価値が一番大事だという人、好きな色の宝石を集めたい人、価値観はそれぞれですし、正解はありません。自分にとって宝石の何を一番大事にしたいのか、一度よく考えてみてください。そしてラボグロウンダイヤモンドがそれに合うなら、ぜひ購入して大事にしてあげてくださいね。