2024年12月11日
7月の誕生石はルビーとスフェーン!石の魅力や意味、効果も解説!
サファイア、エメラルドと並んで世界三大宝石と言われるルビー。
ルビーは7月の誕生石としても有名です。7月生まれの人なら、ひとつは持っておきたいと思う人も多いのではないでしょうか。ルビーは美しいだけではなく、格式が高く資産価値もあるので、さまざまな目的で購入する人がいます。
7月のもうひとつの誕生石はスフェーンです。スフェーンはルビーほど有名ではありませんが、強い輝きと華やかさで近年人気が上昇してきています。
今回は、この2種類の7月の誕生石について詳しくご紹介していきます。
どちらもとても美しいので、7月生まれの人もそうでない人にとっても魅力的な宝石です。ぜひこの記事を読んで、ルビーやスフェーンを身に付ける参考にしてください!
目次
1.誕生石とは?
出典:GIA
そもそも誕生石とは何なのでしょうか。
誕生石について詳しくはないけれど、なんとなく誕生石を身に付けている……という人も多いと思います。もちろんそれでも悪くはありません。宝石はとてもきれいなので、気に入った物を身に付けているだけで気分が上昇しますし、それだけでも充分に意味があります。
ですが誕生石について少しでも知っておけば、身に付け方やコーディネートなどをもっと工夫して楽しむことができますよ!
今回は7月の誕生石について詳しくご紹介していきますので、良かったら参考にしてくださいね。
1-1.誕生石の効果
誕生石には、ふたつの効果があります。
ひとつ目は、「その月に生まれた人が誕生石を身に付けるとお守りになる」という効果です。誕生石のひとつ目の効果は有名なので、自分の誕生石を1年中身に付けているという人も多いのではないでしょうか。子どもが生まれた時に、その子のお守りになるようにと親が我が子に誕生石をプレゼントするということもよくあるそうです。
誕生石のふたつ目の効果は、身に付ける人の生まれ月に関係なく、「その月の誕生石を身に付けるとお守りになる」という効果です。こちらはあまり知られていない誕生石の効果だと思います。つまり1月にガーネットを身に付ければ、身に付ける人が何月生まれかは関係なくガーネットがお守りになってくれるということです。
このふたつの効果を期待して、その月の誕生石と、自分の生まれた月の誕生石の2種類を身に付けるという人もいるそうですよ。
1-2.誕生石の歴史
実は誕生石の始まりはいつ、どこからなのかということは、はっきりとはわかっていません。きちんとした文献が残っていないのではっきりしないのです。誕生石はおそらく18世紀頃、ポーランドのあたりで発生したというのが通説ではあります。
誕生石の由来は旧約聖書の「エジプト記」に記述のあるイスラエルの祭司長の胸当てにはめられた12種類の宝石であるとも、新約聖書の「ヨハネの黙示録」にある理想郷の城門の土台にはめられた宝石であるともいわれています。それ以外にも、それぞれの国や地域で人気のある宝石や馴染みのある宝石などが加えられるなど、誕生石は比較的自由に楽しまれてきました。それをはじめて正式に制定したのは、1912年のアメリカです。
その後アメリカで制定された誕生石を参考に、各国の宝石を扱う組合などが正式に誕生石を制定していきました。日本で誕生石が制定されたのは1958年のことです。当時の誕生石には、1月につき1種類か2種類、計19種類の宝石があてはめられました。他の国でもそうであるように、日本の誕生石には日本でなじみ深い宝石が加えられています。アメリカの誕生石にはない3月の珊瑚、5月の翡翠などは、日本のオリジナルの誕生石と言えるでしょう。
それから時がたち、2021年にはなんと10種類の宝石が新たに誕生石として追加されました。今では29種類の宝石が、日本では正式な誕生石です。
1-3.1月から12月までの誕生石
ここで改めて、各月の誕生石をご紹介しておきますね。
1月…ガーネット
2月…アメジスト・クリソベリルキャッツアイ*
3月…アクアマリン・珊瑚・ブラッドストーン*・アイオライト*
4月…ダイヤモンド・モルガナイト*
5月…エメラルド・翡翠
6月…パール・ムーンストーン・アレキサンドライト*
7月…ルビー・スフェーン*
8月…ペリドット・スピネル・サードオニキス*
9月…サファイア・クンツァイト*
10月…トルマリン・オパール
11月…トパーズ・シトリン
12月…ターコイズ・ラピスラズリ・タンザナイト*・ジルコン*
(*がついているのは2021年に新たに追加された誕生石です)
以上が、現在日本で誕生石として定められている宝石です。29種類もありますから、この中にはもしかして知らない宝石も混ざっているかもしれませんね。この宝石も誕生石だったんだ!と驚いた誕生石もあるのではないでしょうか。特に新しい誕生石は、まだまだ馴染みが薄く、誕生石とは知らずにいた人も多いと思います。
自分の生まれた月の誕生石をチェックしておいてくださいね!
1-4.誕生石は国によっても違う
先ほども軽くふれましたが、誕生石は国によっても違います。
たとえば、アメリカの誕生石は以下の通りです。
1月…ガーネット
2月…アメシスト
3月…アクアマリン・ブラッドストーン
4月…ダイヤモンド
5月…エメラルド
6月…パール・ムーンストーン・アレキサンドライト
7月…ルビー
8月…ペリドット・スピネル・サードオニキス
9月…サファイア
10月…オパール・トルマリン
11月…トパーズ・シトリン
12月…タンザナイト・ターコイズ・ジルコン
先ほど挙げた珊瑚と翡翠以外にも、7月のスフェーンや9月のクンツァイトなどが、アメリカの誕生石には入っていません。日本は29種類の誕生石が決められていますが、アメリカの誕生石は21種類です。
イギリスの誕生石には、どんな種類の宝石があるのかも見ていきましょう。
1月…ガーネット
2月…アメシスト
3月…アクアマリン・ブラッドストーン
4月…ダイヤモンド・水晶
5月…エメラルド・クリソプレーズ
6月…パール・ムーンストーン・カーネリアン
7月…ルビー
8月…ペリドット・スピネル・サードオニキス
9月…サファイア・ラピスラズリ
10月…オパール
11月…トパーズ・シトリン
12月…ターコイズ
イギリスでは、神秘的な水晶が人気の宝石です。そのため、4月の誕生石に制定されているんですね。4月の水晶や、5月のクリソプレーズなどは、イギリスならではの誕生石です。
2.7月の誕生石といえばルビー
出典:GIA
7月の誕生石といえば、ルビーですよね。ルビーは世界三大宝石と呼ばれるほど有名で、人気がある宝石です。赤い宝石といえばまずルビーを思い浮かべる人も多いでしょう。
ですがルビーってどんな宝石?と改めて聞かれると、そういえば詳しくは知らないな……という人も多いのではないでしょうか。
今回はルビーがどんな宝石なのか、改めて見ていきましょう。
2-1.ルビーってどんな石?
ルビーはコランダムという鉱石の中で、特に赤い物だけを指します。赤と言ってもいろんな赤がありますよね。紫っぽい赤もあれば、オレンジに近い赤、明るくてピンク色に見える赤などさまざまです。たくさんある赤い色の中でも、ルビーと呼ばれるのはほんの一部、はっきりした鮮やかな赤い色のコランダムだけが、ルビーと呼ばれます。
同じコランダムでも、ピンクやオレンジのものはサファイアに分類されます。ピンク色のピンクダイヤモンドや、緑色のグリーンガーネットのように、多くの色を持つ宝石も多いですが、ルビーには赤色しかないのです。とはいえ、赤の中でもその色合いに多少の幅はあります。
そのなかでも特に価値が高いとされるのが、「ピジョンブラッド(鳩の血)」と呼ばれる色合いのルビーです。ルビーは、含有されるクロムと鉄によって赤色に発色します。クロムが多いほど鮮やかな赤色になり、価値が高いルビーと言われます。
2-1-1.ルビーに似た宝石
今ほど科学技術が発達していなかった頃、赤い宝石といえばルビーでした。見るだけでルビーかそうでないかを見分けるのはとても難しいので、赤い宝石=ルビーという認識になってしまったのでしょう。
ルビーによく間違えられる宝石のひとつに、スピネルがあります。スピネルは8月の誕生石で、赤やピンク、青などのカラーバリエーションがあります。赤いスピネルはルビーと同じクロムによって赤色を発色するので、似ているのも当然ですね。
ルベライトと呼ばれる赤いトルマリンも、ルビーとよく似ています。しかも、特に最高品質のピジョンブラッドと呼ばれる美しいルビーに、ルベライトはよく似ているのです。ルベライトはとても美しいので、とても人気があります。
もちろん現在では、専門の機関で石の種類が何なのか、きちんと調べることができます。宝石は、見ただけでは種類がわからないことがほとんどです。ルビーに似ていると思っても違う種類の宝石かもしれませんので、気になったらきちんと確認するようにしましょう。
2-1-2.ルビーの価値
数ある宝石の中で、最も価値があるのはダイヤモンドです。ダイヤモンドは購入する時も高価ですが、他の宝石よりも資産価値が圧倒的に高いと言えます。そのため、自分用のジュエリーとしてだけではなく、ゆくゆくは子どもに譲るためにダイヤモンドを購入するひともいるくらいです。
ダイヤモンドの次に価値が高いと言われる宝石が、ルビーです。宝石には数え切れないほどたくさんの種類がありますよね。中には購入する時は高価でも、売却する時にはほとんど値がつかないというものも珍しくありません。宝石の種類は無数にあるので、買取店でも正しく価値を判断できる人がいるとは限らないのです。
ですが、ルビーほど有名で流通量も多い宝石ならば、価値基準がきちんと定められています。きちんとその石の価値を、正しく判断してもらえるでしょう。後々売却することを考えても、ルビーを選ぶのは良い選択だと言えます。
2-2.ルビーの名前の由来
ルビーの語源は、ラテン語で色の「赤」をあらわす「rubeus(ルベウス)」です。赤い宝石といえばルビーだと思われていたのだということが、その名前からもわかりますね。
また、古代インドではルビーは「宝石の王」という意味の「ratnaraj(ラトラナジュ)」とも呼ばれていました。ルビーがそれほど特別な宝石だと思われていたことがわかります。
ルビーは和名では「紅玉(こうぎょく)」と呼ばれています。こちらも赤を表す「紅」に、宝石を表す「玉」を組み合わせて、赤い宝石という意味です。
2-3.ルビーの歴史
ルビーの歴史は古く、古来から人々はルビーを使用してきました。
赤い色が「血」を連想させるルビーは、古くから生命力の象徴とされてきました。古代ローマではルビーを粉末にして、止血剤として使っていたそうです。また、ビルマの戦士は戦場に向かう時、鎧の装飾としてルビーを使ったりもしていました。なんと皮膚の下にルビーを埋め込むという人もいたそうです。想像しただけで痛そうですよね。ですが、本物の血液を流さなくて済むように、という願いを込めて当時の人々はそんなことをしたと言われています。
中世のヨーロッパでは、ルビーは権力の象徴とされてきました。多くの権力者がルビーの装飾品を身に付けて、その権力を誇示していたそうです。
2-4.ルビーの産地
ルビーの産地で最も有名なのは、ミャンマーです。
特にミャンマーのモゴック地方で産出されるルビーは不純物が少なく、色も鮮やかで人気があります。同じくミャンマーのモンスー地方も、ルビーの産地です。モンスー産のルビーはかつてはあまり品質が良くないと言われていましたが、加工技術が向上したことで美しいルビーの産地となりました。ルビーの産地としてはスリランカも有名です。
スリランカで産出されるルビーは色合いが淡く、「チェリーピンク」と呼ばれています。スリランカ産のルビーは、そのかわいらしい色合いが特に人気です。ですが気を付けてほしいのは、色合いが淡すぎるルビーはピンクサファイアととても似ているということです。ルビーとピンクサファイアでは、かなり価値が変わります。市場価値はルビーの方が高いので、「ルビーと思って買ったのに、ピンクサファイアと言われてしまった…」ということがないように気を付けましょう。
2008年頃からは、モザンビークでもルビーが産出されるようになりました。モザンビーク産のルビーは、オレンジや紫がかった赤い色が多いと言われています。まれに透明度の高い高品質のルビーが産出されることもある、今注目の産地です。
3.ルビーのスピリチュアル的な意味と効果
ジュエリーとしての人気が非常に高いルビーですが、パワーストーンとしても強い効果を持っています。もちろんただ好きなジュエリーを探して身に付けるだけでも充分にルビーを楽しめるでしょう。ですがさらにスピリチュアル的な意味や効果を知っていれば、身に付ける楽しみも増えるかもしれませんね。
今回はルビーのスピリチュアル的な意味や効果についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください!
3-1.ルビーの石言葉
宝石や鉱石には、その石を象徴する石言葉というものがあります。石言葉は、その石の特徴や歴史から決められることが多いようです。
ルビーの石言葉は「愛」「情熱」「勝利」です。
ルビーの赤い色が炎や血を連想させることから、「情熱」「勝利」という石言葉になったのでしょう。また「情熱」から連想して、「愛」という石言葉になったのかもしれません。
3-2.ルビーの持つ効果
パワーストーンを身に付けると、さまざまな効果があると言われています。
少しでもその効果をアップさせることができるように、ルビーにはどんな効果があるのか知っておきましょう。
3-2-1.全体運アップ
ルビーは炎のパワーを持っているとされており、悪い物を焼き払うことで幸運を呼ぶと言われています。強い浄化の作用があるルビーは、持ち主自身の穢れやまとわりつく悪い気を焼き払ってくれるでしょう。
ルビーは幸運をつかむために持ち主の背中を押してくれるパワーストーンです。目標に向かってより積極的に動けるようになるので、自然と全体運がアップする効果が期待できます。
持ち主を良い循環に引き込んでくれるパワーストーンです。
3-2-2.魅力アップ
ルビーは、持ち主の魅力をアップさせてくれるパワーストーンです。女性の魅力をアップさせるパワーを持っているとされており、身に付けると自分でも気付いていなかったような魅力を発見し、輝かせてくれると言われています。
「宝石の女王」と呼ばれているルビーは、外面だけでなく内面からにじみだすような大人の魅力を与えてくれるでしょう。
3-2-3.自信が持てるようになる
古来から権力者が身に付けることも多く、権力の象徴とも考えられていたルビー。ルビーは、持ち主に自信と積極性を与えてくれる石です。
実力があっても自信がなさそうにしていると、人はついてきませんよね。ですが自信を持つというのもなかなか難しいものです。努力してすぐにできるわけではありません。
ルビーは、自信を持ちたい時に手助けをしてくれる石です。自信を持つことができれば、今までの自分よりも一つ上の段階に進むことができるかもしれません。
4.ルビーと他の石の相性
出典:GIA
パワーストーンは、他の種類のパワーストーンと組み合わせて使うことがよくあります。パワーストーンを売っているショップなどで、複数の種類の石を組み合わせたブレスレットなどが売られてるのを見たことはありませんか?それは適当に組み合わせられているのではなく、意味がある組み合わせなのです。それぞれの持っているパワーを考え、石同士が組み合わさった時により良い効果を発揮できるように工夫されています。では、どの組み合わせにどんな意味があるのでしょうか。
ルビーが、よりパワーを発揮できる組み合わせは何なのか、見ていきましょう。
4-1.ルビー×アイオライト
出典:GIA
アイオライトはひとつで青、黄色、灰色と豊かな色合いを見せてくれます。アイオライトの特徴は、その多色性です。光を当てる角度でアイオライトは色が変わります。その特性を利用して、GPSなどがない時代の船乗り達は太陽の方向を知る手がかりにしていました。
そのような歴史から、アイオライトは「人を導く石」と言われています。アイオライトの石言葉は「道しるべ」「明確なビジョン」などです。迷っている人に手を差し伸べてくれるパワーを持っています。
ルビーとアイオライトの組み合わせは、今後の人生や進路に迷っている人にぴったりです。ルビーは持ち主に自信を与えるパワーを持っています。積極的に動いて自信を手に入れ、進むべき方向がはっきりとわかれば、もう怖いものなしでしょう。
4-2.ルビー×サファイア
出典:GIA
サファイアは、9月の誕生石として有名な宝石です。エメラルド、ルビー、サファイアの三種類の宝石を合わせて、世界三大宝石と呼ばれています。
実はルビーとサファイアは、同じコランダムという鉱石の仲間です。赤いコランダムがルビー、それ以外がサファイアと呼ばれます。言うなればルビーとサファイアは兄弟のようなものです。そのため、ルビーとサファイアはとても相性がいい組み合わせと言えます。
サファイアには、多くの色があります。色ごとにその意味や効果が異なりますので、求める効果に応じた色のサファイアを身に付けることをおすすめします。
サファイアの一部の色と、そのスピリチュアル的な効果は以下の通りです。
ブルーサファイア:知性、魔除け
ピンクサファイア:恋愛成就・浮気防止
イエロー、ゴールドサファイア:仕事運アップ
グリーンサファイア:精神の安定
もともと相性が良いルビーとサファイアの組み合わせは、あまり難しく考えなくても大丈夫です。ルビーの効果とサファイアの効果を見て、自分の欲しい効果のある石同士を組み合わせてください。
4-3.ルビー×アメジスト
出典:GIA
2月の誕生石としても有名なアメジスト。「紫水晶」という和名をもつアメジストは紫色の水晶というイメージが強いですが、実はグリーンやピンク、ホワイトなど多くのカラーバリエーションがあります。
アメジストは「真実の愛を探す」パワーストーンだと言われています。アメジストが持ち主に差し出すのは、ただの恋愛成就ではなく「真実の愛」です。恋愛をしていても、なんとなく違うと感じることもありますよね。そんな時におすすめなのがアメジストです。
もちろんアメジストも、ただ待っているだけの持ち主に「真実の愛」を与えるわけではありません。真実の愛を前にした時に、もしだらけていたら手に入れることはできないでしょう。そんな時に効果を発揮するのがルビーです。ルビーは持ち主が自信を持てるよう、ポジティブな行動を起こすように後押しするパワーを持っています。積極的に動いて自信を持てる自分になっていれば、真実の愛に出会った時にもためらいなく掴みに行くことができるでしょう。
5.7月のルビー以外の誕生石、スフェーン
7月の誕生石と言えばルビーのイメージが強く、2021年に追加されたばかりの新しい誕生石であるスフェーンは、7月の誕生石としては影が薄いかもしれません。ですがスフェーンは、影が薄いどころか「ダイヤモンドのよう」と呼ばれるほど強い輝きを持つ宝石です。
スフェーンがどのような宝石なのか見ていきましょう。
5-1.スフェーンってどんな石?
スフェーンはケイ酸塩鉱物と呼ばれる鉱物です。チタンを多く含んでいるので鉱物の世界では「チタナイト」と呼ばれます。スフェーンは、とても扱いづらい宝石です。その理由はスフェーンの硬さに原因があります。
宝石の硬さの基準は、モース硬度と呼ばれる尺度です。モース硬度はふたつの物質をこすり合わせた時にどちらが傷つくかという基準でその硬さを決めるもので、1~10の数値で表されます。
最も硬いのは、モース硬度10のダイヤモンドです。ダイヤモンドは地球上で最も硬い宝石と言われています。もうひとつの7月の誕生石であるルビーは、モース硬度9。そしてスフェーンのモース硬度は、5~5.5です。モース硬度5は、窓ガラスとほぼ同じ硬さと言われています。窓ガラスが割れるのを、誰もが一度は見たことがありますよね。確かに硬さはありますが、割ろうと思えば誰でも割ることができる程度の硬さなのです。そのためスフェーンはとても加工がしにくいと言われています。
スフェーンを美しいジュエリーにできるかどうかは、職人の腕にかかっているということですね。
5-1-1.強い輝きを放つ
スフェーンの大きな特徴は、なんといってもその強い輝きです。
宝石の輝きには2つの要素が大きく関わってきます。「屈折」と「分散」です。理科の授業で「屈折率」という言葉を聞いたことはありませんか?水の入ったコップに光の線を当てると、光が曲がったように見えるという実験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。この現象を、「屈折」と呼びます。水の入ったコップに当てた光の線と同じ状況が、宝石でも起こるのです。
スフェーンの中に入った光は、内部で大きく曲がります。この曲がり方の程度を「屈折率」といいます。屈折率が大きければ大きいほど内部の光をたくさん反射します。輝きの強い宝石の代表といえば、ダイヤモンドですよね。ダイヤモンドの屈折率は2.41。スフェーンの屈折率は、ダイヤモンドほどではありませんが1.9~2.0と、ほかの宝石と比べてもとても高い数値になっています。
宝石の輝きのもう1つの要素は「分散」です。宝石の内部に入り込み屈折した光は、曲がる角度によって色を変えます。分散率が高い宝石は、入り込んだ光がキラキラと七色に光るように見えるのです。その七色の輝きは「ファイア」と呼ばれ、宝石のまばゆい輝きの大きな要因になります。
ダイヤモンドの分散率は0.044、スフェーンの分散率はなんと0.051。スフェーンは分散率においては、ダイヤモンドを上回っています。スフェーンは、鮮やかなファイアを見せる宝石なのです。もちろんこれだけで、宝石の輝きの強さが決まるわけではありません。それでもスフェーンの輝きがどれだけ強いかを、感覚的な面だけではなく数値でもはっきりと知ることができます。
5-1-2.色で見せる宝石
スフェーンは、さまざまなカラーバリエーションがあります。
中でも一番人気がある色は、グリーンです。スフェーンのグリーンには2種類あります。バナジウムを含有したものと、クロムを含有したものです。バナジウムを含有したスフェーンは黄緑色っぽい淡いグリーン、クロムを含有したスフェーンは濃いグリーンに発色します。特に淡いグリーンのスフェーンは、強い輝きをよく見ることができますよ。
イエローやゴールドっぽいスフェーンもあります。イエローっぽいスフェーンは、スフェーン特有の強い輝きによる鮮やかな表情を見ることができます。
スフェーンの多くは多色性と言って、見る角度によって色を変えるという性質を持っています。鮮やかなファイアとも相まって、スフェーンはずっと見ていても飽きないような色、輝きを見せてくれる宝石と言えるでしょう。
5-2.スフェーンの名前の由来
スフェーンの語源は、ギリシア語の「Sphenos(スフェノス)」、意味は「くさび」です。これはスフェーンの原石の形に由来しています。
スフェーンの原石は、先のとがった形をしています。それがくさびに似ていることから、スフェーンという名前になったそうです。
スフェーンの和名である「楔石(くさびいし)」も、その形に由来しています。
5-3.スフェーンの歴史
スフェーンの歴史は比較的新しく、チタナイトという名前で正式に認められたのは1975年のことでした。ですが実際にはそれよりも早く、1787年頃にはスフェーンは世間にすでに知られていたようです。ですがスフェーンは欠けやすく加工しづらいということもあって、ジュエリーとしてはあまり使用されていませんでした。
18世紀頃になってようやく、加工技術の発達に伴って、スフェーンの美しさが世に知られはじめたのです。
5-4.スフェーンの産地
スフェーンの産地として有名なのは、ロシア、ブラジル、ミャンマー、マダガスカルなどです。
スフェーンは産地によってその色が異なります。ミャンマー産のスフェーンはオレンジ色が強く、マダガスカルやロシア産のスフェーンは緑や黄色のものが多く産出されます。
6.スフェーンのスピリチュアル的な意味と効果
強い輝きを持っていて、ジュエリーとしても人気のスフェーン。スフェーンの強さは、輝きだけではありません。パワーストーンとしても、スフェーンは強いパワーを持っています。
ただ美しい宝石として身に付けるだけでも充分ですが、スフェーンの持つ強いパワーの効果を受けることができたらもっといいですよね。
スフェーンの持つスピリチュアル的な意味と効果について、詳しく見ていきます。
6-1.スフェーンの石言葉
スフェーンの石言葉は「永久不変」「強さ」「光」などです。
力強い輝きに、人はスフェーンを「永久不変」だと感じたのかもしれません。強い輝きを見せる石ですから、「強さ」「光」という石言葉も納得ですね。
その強さを信じて、スフェーンを身に付ける人もたくさんいます。
6-2.スフェーンの持つ効果
スフェーンは強いパワーを持つ石です。そのパワーで、身に付ける人をサポートしてくれます。ただしそのパワーは無限ではありません。スフェーンはもともと欠けたり割れたりしたすい宝石でもありますが、スピリチュアル的なパワーを出し切った時にも欠けたり割れたりしてしまうと言われています。何かにぶつかったり擦ったりしていないのに、急に欠けてしまった時は、身に付けるのをやめたほうが良いでしょう。
それを踏まえたうえで、スフェーンを使用してくださいね。
6-2-1.ヒーリング
スフェーンは身に付けた人を癒す、ヒーリングのパワーを持っています。
ですがそのヒーリングのパワーは、他のパワーストーンの持つパワーとは少し異なるものです。多くのパワーストーンの持つヒーリングのパワーは、持ち主を優しく包み込み癒してくれるものです。ですがスフェーンのパワーは、そうではありません。
スフェーンは、その強い輝きで持ち主を照らします。例えるなら他のパワーストーンのヒーリング効果は森林浴のようなイメージで、スフェーンのヒーリング効果は日光浴のようなイメージです。日光浴は気分転換にもなりますし気持ちいいですが、やりすぎると日焼けしてしまいますよね。それと同じで、スフェーンのパワーはヒーリングと言っても、少し強いパワーなのです。
もしスフェーンのパワーが強すぎると感じる時は、イエローやゴールドのスフェーンではなくグリーンが強い色味のスフェーンのほうがいいでしょう。
6-2-2.目標達成
スフェーンは強い光で持ち主とその未来を照らし、先へと進む後押しをしてくれるパワーストーンです。
目標達成までには、さまざまな困難がありますよね。「失敗したらどうしよう」「他の人に邪魔されるかもしれない」という心配がどうしても頭をよぎってしまうことも、あると思います。そんな時に迷いを取り去ってくれるのがスフェーンです。
スフェーンは目標達成のために邪魔な、あらゆるものを取り除いてくれるパワーを持っています。絶対に達成したいという目標がある時、スフェーンのパワーを借りると力強くサポートしてくれるでしょう。
6-2-3.人間関係を改善する
スフェーンは「成長の石」と呼ばれているパワーストーンです。そのパワーで持ち主を導いて目標を達成させることもありますし、持ち主の周囲の人間関係をうまく成長させてくれることもあります。
人間関係には悩みが付き物です。「人間関係がうまくいってないな」という時には、自分と相手がうまくかみ合っていないということが多いのではないでしょうか。ですが、どうにかしたいと思っても、どうにもならないことが多いのが人間関係ですよね。
そんな時にスフェーンはその悩みを明るく照らしてくれるでしょう。
7.スフェーンと他の石の相性
スフェーンは力強いパワーストーンで、大きなパワーを身に付ける人に授けてくれます。ですがその反面、持ち主が疲れてしまったりすることもあるパワーストーンです。
持ち主が前向きな気持ちでやる気にあふれ、体調も万全だ!という時ならいいのですが、誰しも疲れてしまう時、癒されたい時はありますよね。そういう時には、組み合わせるパワーストーンの種類を工夫いましょう。石の種類によっては、スフェーンの強い効果をちょうどよく中和してくれるでしょう。
スフェーンと相性の良いパワーストーンをご紹介しますので、参考にしてくださいね。
7-1.スフェーン×ローズクォーツ
出典:GIA
ローズクォーツは、淡いピンク色が優しい印象を与えるパワーストーンです。石英という水晶の仲間がピンク色になったもので、癒しや恋愛成就のパワーを持っています。「愛の告白」「真実の美」といった石言葉を持っており、そのかわいらしい見た目もあって女性に非常に人気の高いパワーストーンです。
ローズクォーツはスフェーンと同じ効果をいくつか持っています。たとえば、ヒーリングのパワーです。ですがローズクォーツのヒーリングのパワーはスフェーンのヒーリングのパワーとは種類が違います。ローズクォーツの癒しのパワーは、持ち主を優しく包み込むような種類の癒しのパワーです。またローズクォーツは、持ち主を愛してくれるパワーストーンでもあります。その結果、持ち主は自信を持ち、能力がアップしたり周囲の人に優しくできるようになって人間関係が良くなったりします。
ローズクォーツのような優しいパワーを持つ石は、スフェーンのような、強く強引なパワーは持っていません。スフェーンの確かな効果は欲しいけれど、ちょっと優しめで……という人は、ローズクォーツと組み合わせて使うことをおすすめします。
7-2.スフェーン×アクアマリン
出典:GIA
3月の誕生石としても有名な薄水色の宝石、アクアマリン。アクアマリンは海や水を象徴する宝石です。幸せな結婚生活をもたらす石として、結婚する人に贈られることもよくあります。
西洋には、結婚式で花嫁が身に付ける「サムシング・フォー」という習慣があります。何か古い物、何か新しい物、何か借りた物、何か青い物の4つを花嫁が結婚式で身に付けると、幸せになれるという言い伝えです。その青い物として、アクアマリンのジュエリーが使われることがよくあります。
アクアマリンはパワーストーンとしては、人間関係を良好にするというパワーを持っています。身に付けた人の周囲の人間関係を整え、コミュニケーションを円滑にしてくれるのです。アクアマリンはポジティブに幸せを運んでくれる優しいパワーストーンなので、優しい雰囲気を保ちつつ明るく前に進んでいきたいという人に、アクアマリンとスフェーンの組み合わせをおすすめします。
今ある人間関係を改善したいという人にもいいですが、特におすすめなのは環境が変わる時。入学、進学や就職、転職などでガラッと人間関係が変わるという時におすすめの組み合わせです。スフェーンとアクアマリンが、新しい環境で明るく優しい人間関係を築くサポートをしてくれるでしょう。
7-3.スフェーン×シトリン
出典:GIA
オレンジやレモンなどの柑橘類をあらわすシトラスと同じ語源を持つシトリンは、黄色く発色した水晶です。11月の誕生石でもあるシトリンは、パワーストーンとしても人気があります。
天然のシトリンはとても希少です。実はショップでシトリンとして売られているものは、ほとんどがアメジストを加工した物だと言われています。アメジストを加熱すると色が変わり、シトリンになります。天然のアメジストがマグマなどによって熱が加えられた時にシトリンになるのですが、滅多にあることではありません。そこで産出されたアメジストを加熱して、シトリンの黄色にしているのです。
シトリンは、イエローやゴールドっぽい色合いをしています。この色は金運を象徴していると言われていて、古来から商人に人気のパワーストーンでした。現在でも自分で事業を行っている人や、営業職の人に人気があります。ただ単に金運をアップしたいという人にも、効果を発揮してくれるパワーストーンです。金運アップの効果はスフェーンにはないので、スフェーンの効果にプラスして金運もアップしたいという人は、シトリンを組み合わせることをおすすめします。
8.カーネリアンも7月の誕生石?
7月の誕生石として、カーネリアンが挙げられていることもあります。カーネリアンは不透明~半透明のやわらかい印象の石で、縞模様の入ったオレンジ色っぽい赤色をしています。ジュエリーとしてよりはパワーストーンとして人気がある石です。ですが結論から言うと、カーネリアンは正式な7月の誕生石ではありません。
カーネリアンが7月の誕生石と言われるようになったのはなぜかわかりませんが、少なくとも1958年に誕生石を定めた全国宝石卸商協同組合には誕生石として記載されていないようです。正式に誕生石として定められたものではありませんが、カーネリアンは7月の誕生石として、占いなどでカジュアルに楽しまれているようです。
9.【まとめ】7月にはルビーとスフェーンを身に付けよう!
今回は7月の誕生石であるルビーとスフェーンについて、詳しく見てきました。ルビーは世界三大宝石とも呼ばれる、有名で人気も高い宝石です。美しいだけでなく資産価値があり、何代も受け継いでいくこともできます。スピリチュアル的にも、持ち主の魅力をアップしてくれたり、持ち主が自信が持てるようにサポートしてくれるパワーストーンです。
もう1種類の7月の誕生石は、スフェーンです。スフェーンはダイヤモンドに負けないくらい輝くと言われている宝石で、知名度はそう高くはありませんが、眩しいほどの美しさを持っています。その眩しさで持ち主とその未来を照らしてくれるパワーを持っていて、積極的に前に進みたい人の背中を押してくれる石です。
どちらも7月の誕生石として、7月生まれの人のお守りになってくれるでしょう。そして7月生まれでない人も、7月に身に付ければルビーとスフェーンがサポートしてくれるはずです!ぜひ7月にはルビーとスフェーンを身に付けて、見た目は華やかにそして気持ちの面でも後押ししてもらいましょう。