2025年2月12日
エルメスのトゴとは?経年変化やトリヨン・エプソンとの見分け方も解説!

エルメスのトゴは1997年に誕生した、雄仔牛から作られる高級な革素材です。適度な柔らかさと柔軟性を備えながら、優れた耐久性を持ち合わせているため、バッグや財布、小物など、さまざまなアイテムに用いられています。革の表面に施された細かな革目により、傷が目立ちにくいという特徴があり、日常使いからビジネスまで幅広いシーンで重宝されています。
この記事では、トゴの特徴や魅力をくわしく解説するとともに、トゴを使用した人気のバッグや財布を紹介していきます。さらに、エルメスを代表する革素材として知られるトリヨンクレマンスやエプソンなど、他の素材との違いについても解説していますので、エルメス製品の素材選びの参考にしていただければ幸いです。
目次
1.エルメスは厳選された高品質素材を使用
出典:Hermès
エルメスの創業は1837年と古く、馬具工房からスタートしました。創業当初から手を抜かない高品質な素材選びと職人の高い技術力で知られ、多くの人々を魅了し続けています。
トゴなどのレザー素材は、原皮を革になめす加工が必要となります。この作業を行うのがタンナーと呼ばれる専門業者で、企業によって仕入れ先やなめし方が異なるのが特徴です。
エルメスが素材の仕入れ先として長年信頼を寄せていたのが、老舗タンナーのデュプイ社でした。デュプイ社は、他のタンナーの2倍以上の時間をかけて丁寧になめす加工を行うことで知られ、ヨーロッパ産の高品質な原皮を使用しています。エルメスは2015年にデュプイ社を買収し、自社グループの一員としたのです。
その後、エルメスは老舗タンナーのアノネイ社も傘下に収めており、現在はデュプイ社とアノネイ社の素材を中心に使用しています。この2社を傘下に置いたことで、他のブランドはこれらの高品質なレザーを入手できなくなりました。このような厳選された素材へのこだわりが、エルメスの高い品質と人気を支え続けているのです。
2.エルメスのトゴとは?
エルメスのトゴは、正式名称を「ヴォー・クリスペ・トゴ」とする雄仔牛の革素材です。1997年に登場した素材で、フランス語で「柔らかい革」を意味します。エルメスには30種類以上の素材が展開されていますが、牛レザーの中で最も高い人気を誇り、バッグから財布、小物に至るまで幅広いアイテムに採用されています。
3.トゴの特徴と魅力
エルメスの製品ラインナップにおいて、トゴは幅広いアイテムに採用されており、多くの人々から支持されています。
ここからは、トゴの特徴や魅力を紹介していきます。
3-1.特徴①細かな革目と血筋
トゴは、細かな革目と血筋が特徴的な素材です。エルメスが厳選した高品質な素材ならではの細かな革目は、上質さを実感できるだけでなく、傷が目立ちにくいという実用的な利点も兼ね備えています。また、この革目は製造年によって変化が見られ、年式が古いものほど革目がはっきりとしているという特徴があり、時にはトリヨンクレマンスと見分けがつきにくい場合があります。
血筋は、牛の血管の跡が革に残った自然な模様のことを指します。横から見ると、その特徴的な血筋の入り方がよく観察できます。この血筋は一つとして同じものが存在しないため、トゴの大きな魅力です。
血筋の出方によってアイテムの印象が大きく変わることから、トゴ素材の購入を検討する際は、実物の血筋の様子を確認することをおすすめします。
3-2.特徴②ほどよい柔らかさと耐久性を兼ね備えている
エルメスを代表する素材の一つであるトリヨンクレマンスは、柔らかくくたっとした質感が特徴であり、一方のエプソンは型崩れしにくい硬い素材として知られています。トゴはこの両者の中間的な硬さを持ち、絶妙な柔らかさと優れた耐久性を兼ね備えています。
その特性により、バッグに重い荷物を入れても適度な柔軟性を保ち、かつ柔らかすぎないため、長年使用しても自立性が保たれるという実用的な利点があります。このほどよい柔らかさと耐久性の両立は、トゴ素材の大きな魅力です。
3-3.特徴③経年変化を感じられる
トゴは使い込むほどに革が馴染み、美しいツヤ感を感じられる素材です。また、時間とともに革目が深みを増していく様子は、レザー素材ならではの魅力となっています。この経年変化は、使用頻度やお手入れ方法によって異なる表情を見せ、愛用者一人ひとりに独自の味わいをもたらすことから、多くの人々を魅了しています。
3-4.特徴④落ち着いた繊細な発色
豊富なカラー展開を誇るトゴ素材は、落ち着いた繊細な発色が特徴です。特にノワールやエトゥープ、ゴールドといった落ち着いたカラーとの相性が良く、トゴ素材ならではの繊細さがより一層引き立ちます。
同じカラーでも革素材によって発色が異なるため、アイテムの印象は大きく変化します。素材選びに迷った際は、発色の違いに注目することで、理想のアイテムに出会えるきっかけとなるでしょう。
4.トゴとトリヨンクレマンスの違いとは?
エルメスを代表する素材のひとつとしてトゴは、トリヨンクレマンスとよく比較されます。両者の特徴を理解することは、エルメス製品を選ぶ上で重要です。
ここでは、トゴとトリヨンクレマンスの違いについてくわしく解説します。
4-1.見た目
トゴとトリヨンクレマンスの革目の大きさは同じくらいで、トゴの製造年によっては見分けがつかないものもあります。ただし、一般的にトリヨンクレマンスよりトゴのほうが型押しが深く、大きめであることが特徴です。また、血筋を確認できるのはトゴのみであり、この点が両素材を見分ける重要な判断基準となっています。
4-2.発色の仕方
トゴとトリヨンクレマンスは、それぞれ特徴的な発色の違いを見せます。トゴが落ち着いた深みのある発色を特徴とするのに対し、トリヨンクレマンスはより自然で柔らかな発色が特徴です。この違いは特に、ノワールやエトゥープといった落ち着いたカラーで顕著に表れます。
4-3.型崩れ
エルメスのレザー素材の中で最も柔らかいとされるトリヨンクレマンスは、経年により型崩れが生じやすい特徴があります。対してトゴは、適度な柔らかさと優れた耐久性を備えており、型崩れにやや強い素材となっています。
ただし、型崩れはレザー特有の味わいある変化とも言えるものです。トゴは硬すぎず柔らかすぎない絶妙な素材感により、バランスの取れた経年変化を楽しめる素材として評価されています。
4-4.経年変化
トゴとトリヨンクレマンスは、どちらもレザー特有の経年変化を楽しめる素材です。しかし、その変化の表れ方には特徴的な違いが見られます。トリヨンクレマンスは使い込むほどに革目が大きくなり、より柔らかな印象へと変化していきます。一方トゴは、革目の深みが増していくとともに、美しいツヤ感が生まれるのが特徴です。
このような経年変化はレザー素材ならではの醍醐味であり、それぞれの素材が見せる独自の表情の変化は、多くの愛用者を魅了し続けています。
5.トゴと相性の良いエルメスの人気バッグ
エルメスのトゴは、上質な質感と耐久性を兼ね備えた素材として知られています。このレザーは適度な柔らかさを持ちながらも型崩れしにくいため、多くのバッグに採用されてきました。ここでは、トゴと相性の良いエルメスの人気バッグを紹介します。
5-1.バーキン
出典:Hermès
エルメスのレザーバッグの中でも、バーキンはその人気の高さから多くの方に親しまれています。実店舗での入手が難しいほどの人気を誇り、中古市場では定価を上回る価格で取引されることも珍しくありません。
このバッグが誕生したのは、エルメスの5代目社長であるジャン・ルイ・デュマと、イギリスの女優ジェーン・バーキンの偶然の出会いがきっかけでした。飛行機で隣り合わせた際、ジェーン・バーキンの荷物があふれんばかりに詰まったかばんを目にしたデュマ社長は、彼女のために新しいバッグをデザインすることを決意したのです。
普段使いを想定して作られたバーキンには、トゴが相性の良い素材として知られています。トゴは細かな革目により傷が目立ちにくく、適度な柔らかさと柔軟性を持ち合わせながら、優れた耐久性も備えているためです。
また、トゴは繊細で落ち着いた発色も特徴的です。以降では、トゴの魅力をカラーやサイズ、金具の色の観点からより詳しく解説していきます。
5-1-1.バーキン25×エトゥープ
エルメスを代表する定番カラーのエトゥープは、バーキン25との組み合わせで特に高い人気を誇っています。マットな質感を持つトゴレザーとエトゥープカラーの組み合わせは、ブラウンやイエローがかった独特のグレートーンを生み出し、上品で洗練された雰囲気を醸し出します。
バーキン25のサイズは、およそ横幅25×高さ20×マチ13cmとなっており、小柄な日本人女性が持つと馴染む大きさです。日常的に使用するスマートフォンやミニ財布、ポーチ、ハンカチなどの必需品を無理なく収納することが可能です。ただし、500mlのペットボトルを横に寝かせていれるとぎりぎりなサイズ感のため、型崩れの原因となる可能性があります。350mlのペットボトルであれば、余裕を持って収納できます。
昨今のミニバッグブームによりバーキン25の需要はさらに高まっており、エトゥープカラーの持つエレガントな魅力は、幅広い年齢層から支持を集めています。
5-1-2.バーキン30×エタン
バーキン30とエタンの組み合わせは、トゴの落ち着いた発色を引き立たせる組み合わせで、バーキン25とエトゥープの組み合わせとはまた違った魅力をもっています。フランス語で「すず」を意味するエタンは、スモーキーな印象の落ち着いたグレーカラーです。トゴのマットな質感と合わさることで、よりエレガントな仕上がりとなります。
バーキン30のサイズは、およそ横幅30×高さ22×マチ16cmとなっており、十分な容量を備えています。500mlのペットボトルの収納も可能となり、B5サイズの書類がぴったり入る大きさです。背の高い方や、普段から荷物が多い方に適したサイズと言えるでしょう。
エタンは控えめな色調ながら深みのある表情を持つカラーで、カジュアルスタイルからフェミニンな装いまで幅広いコーディネートに調和します。大ぶりなバーキン30のサイズ感も、このカラーによって主張しすぎることなく、自然な存在感となります。
5-1-3.ゴールド×シルバー金具・ゴールド金具
エルメスの定番色として知られるゴールドは、ニュートラルなブラウンカラーとして多くの支持を集めています。ビジネスからカジュアルまで幅広いシーンで活躍することから、ファーストエルメスに選ぶ方も少なくありません。特にトゴのゴールドカラーは、日本人の肌色との相性が良く、気品ある雰囲気を演出できます。
また、このゴールドカラーは、シルバー金具とゴールド金具のそれぞれと組み合わせることで、異なる表情を見せます。幅広いファッションに対応できる、汎用性の高さが魅力となっています。
シルバー金具とゴールドカラーの組み合わせは、主張を抑えたシルバーの特性により、ビジネスシーンから式典まで幅広く活用可能です。青系のツイリーを合わせれば、ブルーデニムとTシャツのようなカジュアルスタイルにも自然に溶け込みます。
一方、ゴールド金具とゴールドカラーの組み合わせは、統一感のある華やかで高級感のある印象を与えます。スカートスタイルではフェミニンな雰囲気を引き立て、暖色系のツイリーを合わせることで、さらに柔らかな印象を演出できるでしょう。このように、シルバー金具とゴールド金具にはそれぞれの魅力があり、使用シーンや好みのファッションスタイルを活かした選択が可能です。
5-2.ケリー
出典:Hermès
エルメスの4代目社長ロベール・デュマは、1935年に後のケリーとなるバッグを発表しました。このバッグは、当時のモナコ王妃グレース・ケリーが妊娠中のお腹を隠すために愛用したことで広く注目を集めることとなり、ロベール・デュマが王妃本人に直接交渉し、正式に「ケリー」という名称が付けられました。
トゴは適度な柔らかさを持ちながら、ゆるやかに経年変化していく特性があります。これがシャープなフォルムが特徴的なケリーバッグと見事に調和し、長期にわたって美しいシルエットを保つことを可能にしています。さらに、トゴ特有の落ち着いた発色は、ケリーバッグの持つ気品高さをより一層引き立ててくれるでしょう。
5-3.ピコタンロック
出典:Hermès
ピコタンの新モデルとして2008年に登場したピコタンロックは、馬の飼料入れからインスピレーションを得て誕生したアイテムです。コロンと丸みを帯びたフォルムと、豊富なカラー展開が魅力となっています。
トゴの特徴である型崩れのしにくさと適度な柔軟性は、ピコタンロックの機能性と相性抜群です。十分な収納力を持ちながら、愛らしいシルエットを長く保つことができるのは、トゴならではの特徴といえるでしょう。ピコタンロックは素材によって異なる表情を見せますが、上品で落ち着いた発色を求める方には、トゴがおすすめです。
5-4.ヴァンキャトル
2018年秋冬コレクションで登場したヴァンキャトル(24/24)は、ハンドバッグとショルダーバッグの2wayスタイルを楽しめるバッグです。フラップ開閉式にケリー金具を採用したデザインは、ケリーバッグの進化形として大きな注目を集めています。また、24時間持ち運べることを想定して設計された内外のポケットなど、実用的な機能も備えており、さまざまなシーンでの活用が可能です。
トゴで仕立てられたヴァンキャトルは、ケリーバッグの持つ高級感を継承しながら、適度な柔らかさと優れた耐久性を兼ね備えています。このバランスの取れた特性により、フォーマルからカジュアルまで幅広いシーンで活躍する実用的なバッグとなっています。
6.トゴと相性の良いエルメスの人気財布
汎用性の高いトゴは、バッグだけでなく財布にも採用されています。下記では、トゴ素材と相性の良いエルメスの人気財布を紹介します。
6-1.ドゴン
エルメスを代表する財布であるドゴンは、「HERMES PARIS」と刻印された丸い留め具が特徴的なアイテムです。この留め具以外にロゴなどの装飾を抑えたシンプルなデザインにより、素材本来の質感や経年変化を存分に楽しむことができます。
トゴならではの美しい型押しは、使い込むごとに深さの変化を見せ、独特の味わいを生み出していきます。また、型崩れしにくい特性を持つトゴは、頻繁な開閉を伴う財布との相性が抜群です。優れた耐久性も備えているため、適切なケアを続けることで、愛着のこもった自分だけのドゴンへと育てていくことができるでしょう。
6-2.アザップ
アザップは、エルメスのラウンドファスナー式財布として知られ、内装に上質なレザーを使用したクラシックモデルと、シルクを用いたシルクインモデルの2種類が展開されています。また、長財布タイプのロングと、ミニ財布タイプのコンパクトをラインナップしており、使用シーンやバッグのサイズに応じて選択することができます。
シンプルなデザインにより、素材本来の風合いを存分に味わえることがアザップの特徴です。また、エトゥープやゴールド、ノワールといった落ち着いた色を得意とするトゴと組み合わせることで、よりトゴの魅力を感じられるでしょう。
6-3.ベアン
エルメスを代表する財布の一つであるベアンは、象徴的な「H」のロゴと、ベルトの抜き差しによる開閉機構が特徴的なアイテムです。長財布からミニ財布、マチ幅を広く設計したベアンスフレまで、幅広いバリエーションで展開されています。
トゴのベアンは、使い込むほどに革が馴染んでいきツヤ感が増していくため、ほどよい柔らかさと経年変化を感じながら使用していきたい方におすすめの財布です。また、優れた耐久性により、ベルトの頻繁な抜き差しにも十分に耐えられることから、ベアンとトゴは理想的な組み合わせといえます。
7.エルメスのトゴの適切なお手入れ方法
耐久性に優れたトゴですが、日々の丁寧なケアにより、その美しさを長く保つことができます。使用後は、清潔で乾いたやわらかい布で、目に見えないほこりや汚れを優しく拭き取ることが大切となります。特に雨や汗で濡れてしまった場合には、シミの原因となるため、すぐに水分を拭き取るようにしましょう。その際は、強くこすらず、優しく拭き取ることがポイントです。
トゴは湿気に弱い特性があるため、保管場所も重要です。直射日光を避け、風通しの良い場所を選ぶことで、レザーの劣化を防ぐことができるでしょう。また、保管時には中の荷物を取り出し、専用のクッション材やバッグピローを入れることで、型崩れを防ぐことができます。一手間かかりますが、バッグを長く愛用するために欠かせない作業です。
日常使用においても、型崩れを防ぎ、美しい状態を保つためのポイントがいくつかあります。荷物は収納可能量の8割程度にとどめることで、バッグへの負担を軽減できます。またハンドル部分にツイリーを巻くことで、直接の接触による劣化を防ぎ、より長く綺麗な状態を保つことができるのです。
トゴの経年変化は使用頻度や年数により異なりますが、適切なお手入れを継続し、必要に応じてエルメスのリペアサービスを利用することで、長期にわたって良好な状態で使用できます。このような丁寧なケアを続けることで、エルメスのトゴの魅力を存分に楽しむことができるのです。
8.トゴとトリヨンクレマンス以外の他素材
エルメスは30種類以上の革素材を展開しており、定番のトゴやトリヨンクレマンス以外にも、多様な特徴を持つ素材があります。これらの素材はそれぞれ独自の魅力を持ち、用途や好みに応じて選ぶことができます。
8-1.エプソン
エルメスの人気素材の一つ、エプソンは2003年にクシュベルの後継として登場した雄仔牛の革素材です。クロムなめし加工が施されているため、優れた耐水性を持ち、硬めの質感により型崩れしにくい特徴があります。この素材は色の発色が良いことから、2011年春夏から2012年春夏シーズンまで展開された限定のキャンディシリーズにおいて、唯一使用された素材となっています。
トゴとの大きな違いは、トゴがほどよい柔らかさと落ち着いた発色が特徴であるのに対し、エプソンはより硬めの質感で鮮やかな発色が特徴です。また、トゴの細かな革目と血筋による個性的な表情とは異なり、エプソンはより均一な表面感を持っています。
8-2.スイフト
2006年にヴォー・ガリバーの後継素材として誕生したスイフトは、雄仔牛から生み出される優美な革素材として知られています。その魅力は、豊かな色彩表現にあり、深みのあるブラックから温かみのあるゴールド、鮮やかなビビットカラー、そして繊細な淡い色合いまで、幅広い表情を見せることができます。
トゴと比較すると、トゴが耐久性と傷の目立ちにくさを特徴とするのに対し、スイフトは傷が付きやすい性質があります。また、トゴの程よい硬さと自立性に対し、スイフトは軽量で柔らかな質感を持つのが特徴です。
8-3.シェーブル
2002年に登場したシェーブルは、山羊から作られる高級な素材として知られています。牛革と比べて軽量であり、採取できる部分が限られているため希少価値が高く、主に小物類の制作に用いられています。浅めで細かな革目が特徴的で、上品な風合いとほどよい柔らかさを併せ持つ素材です。
トゴとの違いは素材そのものにあり、トゴが雄仔牛革で幅広いサイズ展開が可能なのに対し、シェーブルは山羊革の特性上、小型のバッグや小物に限定されています。また、トゴの深い革目と血筋による個性的な表情に対し、シェーブルはより繊細で上品な表情を持っています。
8-4.ボックスカーフ
ボックスカーフは、ガラス加工が施された雄仔牛の革素材です。なめし工程を短時間で行うことにより、革本来の風合いを大切に残しながら、適度な硬さと品格のある質感を実現しています。また、一方向の繊細な水シボが魅力となっており、上品な光沢を感じられます。
トゴの特徴である深い革目と血筋による個性的な表情とは対照的に、ボックスカーフは均一で滑らかな表面を持っています。
9.【まとめ】トゴは経年変化を感じながら愛用できる唯一無二の素材
トゴは雄仔牛から作られる革素材で、ほどよい柔らかさと優れた耐久性を併せ持つことが特徴です。この優れた特性から、エルメスではバッグはもちろん、財布や小物に至るまで幅広い製品に採用されており、多くの愛用者を魅了し続けています。使い込むほどに持ち主に馴染んでいき、革目が徐々に深まっていくという、レザー本来の味わい深い経年変化を楽しめる素材でもあるのです。
トゴの最大の魅力は、細かい革目の中に現れる独特の血筋模様にあります。この血筋は、自然な革の表情として一つひとつが異なる模様を見せ、世界でたった一つだけの表情を持つ革となっています。このように、トゴは使えば使うほどに愛着が増し、経年変化とともに持ち主だけの特別な一品へと変化していく、唯一無二の素材です。