2023年7月12日
【Very Rare】Hモーザーとは?歴史や魅力を徹底解説
時計
Hモーザーは知名度の高いブランドではありませんが、IWCの愛好家はご存知の方がいらっしゃるかもしれません。IWC創業の際にシャフハウゼンの工業化に尽力しており、IWCの歴史を深く知るとHモーザーの名前が出てくるからです。IWCにも感じられるシャフハウゼンの少し無骨な雰囲気とエレガントさがHモーザーの魅力です。この記事ではHモーザーの歴史、魅力、代表シリーズ、スペシャルウォッチ、人気モデルについてまとめました。
目次
1.【Very Rare】Hモーザーの歴史
1-1.1828年ハインリッヒ・モーザーによってロシアで創業
Hモーザーはハインリッヒ・モーザーによって1828年にロシアで創業しました。スイスシャフハウゼンの伝統的な時計師一家に生まれ、幼い頃から時計師の道へ進むと決めていたようです。ジュラ地方にほど近いルロックルに移り、自分の工房をつくりました。ハインリッヒのつくった時計はスイス以外からの評価も高く、ロマノフ王朝の皇帝へ献上される置き時計の製造を一任されるなど、20代にして高い評価を得ていました。
こうして高い評価を得たハインリッヒは地元シャフハウゼンに戻ろうとしました。成果を元に街に活気を取り戻す思いもあったようですが、シャフハウゼンの時計師協会はこれを拒否。当時の職人たちの閉鎖的な環境もあり、外部で成功した若者を受け入れることをしませんでした。
こうして帰郷を諦め、かつて高い評価を得ていたロシアへ向かうことを決意。サンクトペテルブルクに渡り、Hモーザーを創業しました。ハインリッヒは非常にこだわりの強い時計師だったことで知られており、複雑系や様々な装飾を施した時計で成功しました。ロシアで再び成功したハインリッヒは販路を広げるために工房を建てました。場所はスイスルロックル。かつて自身が工房を持った土地であり、再度地元に帰るときのことも考えていたのかもしれません。
Hモーザーの時計はロシアのみならずヨーロッパ、アメリカ、アジアへと販路を広げ、ロシアの軍用時計も任されるようになりました。ルロックルの工房は多くの雇用を生み出し技術力を向上させ地域の発展に大きく貢献したとして、ルロックル名誉市民の名誉を得ることとなりました。
1-2.1850年代スイスシャフハウゼンに戻り街全体の工業化を目指す
1848年にようやく地元シャフハウゼンに戻ることができました。ハインリッヒが考えていたのは単純に地元に戻るだけではなく、工業化を進めることで街を発展させようと考えていました。1840年頃からドイツの産業が大きく発展し手工業から機械化が進んだこともあり、シャフハウゼンの街にも取り入れる必要があると考えていました。
開拓を考えたハインリッヒはライン川の水の勢いを利用した水力発電に目をつけており、運河を建設し電気を安く提供することで街の発展に役立つと考えました。しかしこれに地域の政治家が強く反対。再び旧体制の大きな壁が立ちはだかったかと思いましたが、シャフハウゼンの地域住民の多くがこれに賛成し計画が進むこととなりました。
生み出された電力は近くの工場へ供給、ハインリッヒ自身も鉄道車両の製造工場を建て、シャフハウゼンからチューリッヒ地方への陸路の開拓を推し進めました。1865年にはスイス最大のダムを建設。低価格での電力供給に惹かれた海外からの工業の流入も受け入れるようになりました。その中にはIWCもありました。
1-3.2000年代に復活後、MELBホールディングが指揮を取るように
ハインリッヒが亡くなり、ロシア革命により財産の没収、1970年代にはクオーツショックと2度のピンチを迎え、1979年には廃業してしまいます。
しかしかつてブランドの創業を助けたIWCからの恩返しなのか、IWCの技術部長だったユルゲン・ラング博士とハインリッヒの曾孫にあたるロジャー・ニコラス・バルジガーの手によって復活しました。Hモーザーの復活にあたり、ハインリッヒがかつてもっていたこだわりやシャフハウゼンらしい工業的で機能性の高い時計として蘇らせました。ラング博士もまたこだわりの強い技術者だったため、ハインリッヒの思想が理解できたのでしょう。
しかし技術者だったラング博士の経営はからっきしだったようで、ブランドの経営状況は芳しくないものでした。2012年にスイス有数の時計師一族メイラン家の一人で元オーデマ・ピゲCEOのジョージ・ヘンリー・メイランが率いるMELBホールディングスにより買収、ジョージの息子のエドゥアルド・メイランがCEOに就任しました。
2.【Very Rare】Hモーザーの魅力
2-1.Very Rareをモットーとする希少価値の高さ
Hモーザーが掲げるモットーはブランドロゴにも描かれている「Very Rare」です。レアリティで希少価値の高い時計をモットーとしています。希少価値が高いというとありふれた言い回しになってしまいますが、Hモーザーの時計は珍しさと他のブランドにはない価値観をもったモデルばかりだと感じられます。
まずシンプルに年間生産本数が2000本程度と制限されており、高いスペックを引き出すために徹底した品質管理や安易な売り上げ至上主義に走らないということが挙げられます。また、Hモーザーは他のブランドではやらないスペシャルなモデルを発表することがままあります。例えばコンセプトウォッチのようにブランドロゴを排除したモデル、アルプウォッチのように時代を風刺するようなユニークなモデル、部品の60%がスイス製あれば表示できてしまい形骸化している「swiss made」の文字の排除など、ブランドの売り上げに囚われず、時計業界全体を見据えた動きが特徴的です。
グループの援助があってこその売り上げだけを見ない立ち回りかもしれませんが、Hモーザーの時計は単純に時計を販売しているメーカーの枠には留まらないのです。今後のスイス時計がどうなっていくかを考える働きかけも行っている世界的にも希少価値の高いブランド、時計です。
2-2.ぜんまいもグループ内製しており、マニュファクチュールを実践している
Hモーザーは世界的にも珍しいマニュファクチュールを実践しているブランドです。マニュファクチュールとは自社一貫生産のことで、一社あるいはグループで部品生産~組み立てを行うことで、思い描いたデザインや機能を搭載できるメリットがあります。現在はとりわけETA問題によってムーブメントの調達が以前のようにいかなくなっている分、マニュファクチュールを宣言するブランドが増えています。
しかし実際には設計・組み立てを自社で行い、部品は外部から購入するブランドも多いのが現実です。マニュファクチュールには自社生産を部品の~%以上、のような定義がないため自由に言えてしまう問題があります。そのためマニュファクチュールと言いつつも、本当の意味でのマニュファクチュールブランドは世界に5社もないも言われています。
Hモーザーはその一社です。特に難しいと言われているひげぜんまいを生産するプレシジョン・エンジニアリング社がグループに所属しており、傑作のひとつシュトラウマン・ダブルヘアスプリングの製造も手掛けています。すべての時計をグループ内で製造しているわけではなく、文字盤の一部はパテック・フィリップ向けにしか製造しないとされているフルッキガー社に依頼しています。当時高い人気だったフュメ文字盤はフルッキガー社製で、グラデーションの美しさは随一です。
2-3.次々と斬新なデザインを発表しており、日々進化する
Hモーザーは次々と斬新なデザインを発表しており、日々進化しています。基本となるシリーズは歴史に敬意をはらいつつも現代のエッセンスをうまく合わせています。
例えばストリームライナーは2023年現在Hモーザーが最も力を入れているシリーズですが、元々は1920~1930年代の高速鉄道のような流線形デザインからインスピレーションを得ており、創業者のハインリッヒがシャフハウゼンに帰郷後に鉄道関連に従事したことも想起させます。
また、シリーズ外の特別モデルも多く開発されており、時代を風刺するような時計も開発しています。世界で最も売れている多機能なスマートウォッチのアップルウォッチに倣った時刻を見るだけのアルプウォッチや、swiss madeの形骸化に警鐘を鳴らすためにつくったスイスチーズを混ぜこんで95%スイス製に仕上げたモデルなど、斬新な発想で次々と新しい時計が開発されています。
3.【Very Rare】Hモーザーの代表シリーズ
3-1.エンデバー
エンデバーはHモーザーを代表する最もスタンダードなシリーズです。MELBホールディングスによる買収前から続くシリーズで、創業者のハインリッヒにとって重要な位置づけとなっています。
というのもエンデバーは買収前はそれぞれモデル名が異なっており、エンデバースモールセコンドは「マユ」、エンデバーセンターセコンドは「モナード」と名付けられていました。角型のヘンリーもこの頃から付けられている名称です。マユはハインリッヒの奥方の名前が、ヘンリーは息子の名前が付けられています。現在は文字盤、形状は変わらず名前だけが変わっていますが、ブランドの中心的存在であることは変わっていません。
エンデバーはHモーザーの根幹にあたるシンプル・エレガントを体現するシリーズです。機械式時計の全盛期である1950年代を思わせる幅広く流麗なラグと、装飾をできるだけ排除した美しさをもつドレスウォッチです。ケースサイドはリューズを中心にラグの肉を曲線で削るように肉抜きされており、側面からMoserのMのように見えます。
リューズの根本は少し切り欠いてあり、リューズが巻きやすくなっています。インデックスが描いてあるモデルでもバーまでですが、存在感のあるリーフ針のおかげで時刻読み取りに苦労しないのは絶妙なバランス感のなせる業でしょう。往年の懐中時計のようにスモールセコンドが大きく、文字盤真下に位置取られておりムーブメントを重要視された設計だとわかります。
基本のモデルであるが故、永久カレンダーやトゥールビヨン等の複雑系や変わり種のモデルに選ばれやすく、モデル数は最も多いシリーズです。パテックフィリップでいうところのカラトラバのように全ての基礎になったモデルなので、もしHモーザーの時計に興味のある方はまずはエンデバーから見てみるのをおすすめします。
3-2.ベンチャー
冒険者の名を冠するシリーズで、MELBホールディングスによる買収後最初に発表されたシリーズです。Hモーザーが裏テーマとして掲げるless is more
(バウハウスに裏打ちされたミニマリズムなデザインの考え方で、少ないほど豊かとしている)を体現した一つのシリーズです。
ベンチャーは可能な限りベゼルを薄くし、文字盤が大きく見えるようになっています。文字盤はドーム状になっており、端が沈み込むようにカーブしています。針はそれを追いかけるように端は曲がっています。同様にサファイアクリスタルの風防もカーブしています。サファイアクリスタルの加工は非常に難しく高コストですが、嫌らしくなくレトロな雰囲気が表現されています。裏面からはケースいっぱいに設定された大型のムーブメントを見ることができます。ブリッジの仕上げの美しさなど、手巻きモデルは特に堪能できるでしょう。
3-3.パイオニア
パイオニアは開拓者の名の通り、これまでモーザーには展開のなかったスポーツウォッチシリーズです。文字盤見返しの部分まで大きく使ったデザインで、砲弾型のインデックス、アワーリングのドットと夜光処理されたリーフ針の先端とマッチしています。ラグは鋭くパワーを感じる鋭角さを、ケースサイドは彫りこみつつ、高級車のグリルのような細かな刻みが施されています。
12時位置にブランド名が描かれていますが、モデルによっては透明なラッカーで描かれており光を当てる角度を調整しないと見ることができません。防水性は120mと、スポーツにそのまま使える強度を備えています。自社製自動巻きムーブメントCal.HMC200を搭載しており、モーザーの特徴であるダブルストライプが地板に施されているのをシースルーバックから鑑賞できます。
3-4.ストリームライナー
ストリームライナーはケースとラグが一体型のステンレススチール製ウォッチシリーズです。1920~1930年代の自動車や高速鉄道に見られる流線形のデザインにインスピレーションを得て開発されており、Hモーザーがもう一つのテーマとしているless is more、ミニマリズムを現代的なエッセンスで表現しています。また、鉄道は創業者のハインリッヒがシャフハウゼンに帰郷後に取り組んだ産業としても、ブランドの歴史を象徴する一つでもあります。
ミドルケースの側面には段差があり、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを交互に施すことで立体的に見せています。レトロな雰囲気のあるクッション型ケースは主にフュメダイヤルと組み合わせることでエレガントなHモーザーの世界観とマッチしています。
2023年の新作のメインはストリームライナーです。肌馴染みのよいスモークサーモンカラー、ファンキーブルーカラーで仕上げたフライバッククロノグラフ、スポーツウェアブランド「UNDEFEATED(アンディフィーテッド)」といった新作が発表されています。Hモーザーの中でも特に力を入れているシリーズです。
3-5.ヘリテージ
ヘリテージシリーズはHモーザーの創業の1820年代の時計に思いを馳せつつ、歴史を振り返ることからインスピレーションを得て開発されたシリーズです。懐中時計から始まったHモーザーですが、ロシアやシャフハウゼンでブランドが大きく成長していく中でパイロットウォッチへの強い思いがあったと考えられます。
ヘリテージシリーズで現在展開されているのはパイロットウォッチをベースにしたセンターセコンド、デュアルタイム、トゥールビヨン、ローマンインデックスの永久カレンダーです。懐中時計のような大きなリューズ、夜空を思わせるファンキーブルーの文字盤、大きく視認性の高い剣針とオールアラビアインデックスなど、機能的なアビエイターウォッチとなっています。
4.【Very Rare】Hモーザーのスペシャルウォッチについて
4-1.アルプウォッチ
世界で最も売れているアップルウォッチにちなんでつくったスイス・アルプウォッチは2016年に最初のモデルが発表されました。さながらアップルウォッチのような丸みを帯びたスクエアケースに、最低限の機能となる時分針と秒針を備えたシンプルな機能でした。複数の機能を有するアップルウォッチに対し3針の高級機械式時計を提案するユニークさが話題となりました。
様々な色のフュメダイヤルで他にはない美しさを見せたり、光沢のあるブラックの文字盤からインデックスも排除し2針だけにすることでスマートウォッチのスリープモードのように見えるモデル(名前がアルプウォッチzzzzと眠るよう)と、ほんの少しのユーモアを高い技術とセンスで達成するHモーザーの懐の広さを感じさせます。
2021年のファイナルアップグレードを最後に、ムーブメントの在庫が尽きたとのことで新作の発表は打ち止め。最後のモデルはスモールセコンドの表示がまるでiOSデバイスのロード中に表示するインジケーターになっているデザインが特徴です。
4-2.コンセプトウォッチ
コンセプトウォッチはMELBホールディングによる買収後すぐに発表されたモデルで、文字盤からあらゆる装飾を排除したデザインが特徴です。インデックスや彫りこみだけではなくブランドロゴさえも排除してしまい、文字盤上には針しか残っていません。ここまでミニマルにしてもHモーザーの時計だとわかる、一目見てHモーザーだとわかるデザイン(シルエット)こそがアイデンティティで、真のデザインとして発表されたのでした。
ブランドロゴさえないのでは難しいと思いきや、Hモーザー特有のケースサイドのつくりやフュメダイヤルなど特徴的なデザインは多く、ブランドの狙い通り異例のヒットとなりました。元々エンデバーをベースにしたモデルで発表されましたが、ベンチャーやアルプウォッチにも展開された唯一無二のユニークなデザインです。
4-3.その他のスペシャルウォッチ
Hモーザーはその他にも一風変わった時計を多く開発しています。2017年に発表したのはSwiss Mad Watchと名付けられた、ケースにスイスチーズを練り込んだポリマーを使用した95%スイス製の時計でした。使われたチーズはヴァシュラン・モン・ドールと呼ばれるスイスの牛由来の牛乳から生まれたものです。
このモデルが開発された経緯として、swiss madeのラベルの認定基準が低すぎることに疑問を投げかけたもので、スイス製にとにかくこだわってつくられています。価格はスイス建国日にちなんだ108万1291フラン(約1億2180万円)、限定1本のみで売ることではなく話題になることを狙って開発されています。Hモーザーはこれ以降「swiss made」の表示を止めてしまいました。
2018年には「Swiss Icon Watch」を発表しました。GMTモデルによく見られるペプシカラー、パネライなどに見られるリューズガード、ロイヤルオークなどのスポーツラグジュアリーモデルよく見られる八角形ケース、ノーチラスに見られるストライプパターンの文字盤、ブレゲの針、IWCに見られるブランドロゴ、トゥールビヨンと多くのブランドで採用されているデザインを一挙に集めたモデルとなっています。
現代のスイスウォッチのマーケティングに警鐘を鳴らすような、どのブランドでもよく見るデザインを皮肉った時計となっています。実際にはプレシジョンエンジニアリング製のヘアスプリングやフュメダイヤルなど、Hモーザーの技術が集まっており、それぞれに敬意を表すように品質の高さで表現しています。
SIHHでの発表後にオークションに出品され、収益はスイス時計製造の文化保全と若い職人の育成を目指す基金に充てられる予定でしたが、ストップがかかり白紙に戻されてしまいました。一部のブランドが皮肉ったメッセージにNo!を突きつけたと言われています。
5.【Very Rare】Hモーザーのおすすめモデル5選
5-1.エンデバースモールセコンド Ref.1321-0109
Ref.1321-0109はマユと呼ばれていた頃のモデルです。肌馴染みのよい18Kローズゴールドケースとフュメダイヤルが特徴的なデザインです。フュメダイヤルはパテックフィリップとほんの一部しか製造しないと言われているフルッキガー社によるデザインで、製造の際の歩留まりが悪く手間がかかっており、希少性が高い文字盤です。
最近エンデバーで発表されるモデルは変わり種が多く、このモデルのようなスタンダードなデザインは見かけなくなっているため今では希少価値が高くなっています。シースルーバックからは美しいブリッジの仕上げや家紋の刻印、緩急針を使わないフリースプラング式てんぷなど、ムーブメントへの強いこだわりを観察できます。
5-2 エンデバーパーペチュアルムーン Ref.348.901-015
Ref.348.901-015は永久ムーンフェイズと名付けられたように半永久的に機能するムーンフェイズ機能に特化したモデルです。6時位置の窓はムーンフェイズ表示となっており、左から右へ月が満ちて欠けていくように目盛りが動いていきます。
通常のムーンフェイズは28.5日で1週するため刻みごとに1目盛りずつ動きますが、実際にはさらに小数点第二位以降の動きがあるため、28.5刻みでは1年程度でズレてします。パーペチュアルムーンはそれを防ぐためもっと細かな目盛りで計算されており、1027年に1日分のズレとなっています。
ムーンフェイズをより深く楽しむためのミッドナイトブルー文字盤、他の機能の一切を排除したシンプルさなど、尖った魅力をもつモデルです。着けてみると目盛りがなくとも時刻がわかる針設計の緻密さや裏面のサファイアクリスタルが手首に沿うように曲面に加工されている点など、Hモーザーらしい機能性の高さも感じられます。一見ムーンフェイズだけのモデルですが、その実Hモーザーの強いこだわりが詰め込んである時計です。
5-3 ベンチャービッグデイト Ref.2100-0401
バウハウスの思想を強く受け継いだベンチャーのビッグデイトモデルです。装飾を極限まで排除し、クラシックモダンな雰囲気をもつモデルです。肌馴染みの良い18kレッドゴールドケースとクラシックなブラウン文字盤の美しさが映える組み合わせです。
文字盤は端が落ちるようなドーム状で、針も追いかけるように先端が曲がっています。大まかなインデックスのみを使い、ミニマリズムを体現したデザインです。3時位置のビッグデイト表示は永久カレンダーモデルなどと同じで一窓で二桁表示するタイプですが、窓自体が大きいのでむしろ視認性は高いと感じるほどです。
5-4.パイオニアセンターセコンド Ref.3200-0903
パイオニアセンターセコンド Ref.3200-0903はHモーザーのスポーツウォッチラインで、エレガントなHモーザーの世界観と調和した軽快さが特徴です。18KレッドゴールドとDLCチタンを組み合わせたケースを採用しており、パイオニアのもつラグジュアリースポーツの世界観を引き出しています。
ミッドナイトブルーの文字盤は中心にいくにつれて青みが強くなるグラデーションが効いています。フュメダイヤルよりもマットなイメージなので、スポーティーな雰囲気を持つパイオニアによくマッチしています。120m防水や72時間パワーリザーブの自動巻きなど、使い勝手がよく日常使いしやすく仕上がっています。
5-5.ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティック ファンキーブルー 2.0 Ref.6907-1200
Ref.6907-1200は流線形のラグ一体型ケースが特徴のストリームライナーにフライバッククロノグラフを搭載し、Hモーザーを代表するファンキーブルーダイヤルを採用したモデルです。また、Hモーザー独自の透明なラッカー仕上げによるロゴは光をあてる角度によって見え隠れする慎ましやかなブランドアピールです。
搭載されているムーブメントCal.HMC 907はHモーザーのパートナー企業であるアジェノー社が開発しています。ブリッジには伝統的なモーザーストライプとアンスラサイトグレーのロジウムメッキが施されており、ブランドのアイデンティティーがよく共有されているのがわかります。特徴的なコラムホイールなど、手巻きムーブメントの動きが楽しめます。
6.【Very Rare】Hモーザー
Hモーザーの歴史、魅力、人気シリーズ、特別モデル、おすすめモデルについてまとめました。Hモーザーは単純な時計ブランドに留まらず、時代を風刺するような時計の開発など、時計業界全体を見据えた取組みを行っています。時計愛好家ならHモーザーのファンに限らず、動向は気になるのではないでしょうか。もし街中でHモーザーの時計を見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。