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2024年6月06日

金買取における税金の仕組みを徹底解説。税務署にバレない方法ってあるの⁉

金・貴金属について

資産運用の一つとして活用されることの多い金(ゴールド)。2024年5月21日には、買取価格が過去最高の13,477円/1gに到達し大きく話題となりました。皆さんの中にも、貴金属や宝石などを売却してお金に代えようという方も多いのではないでしょうか。

この記事では

  • 金や宝石の買取が課税対象となるのか?
  • 金の売却にはどれくらい税金がかかるのか
  • 確定申告が不要なケースはあるのか?

 

といった、税金の疑問や悩みについて詳しく解説しています。
実際に具体例を踏まえて、どれくらい税金がかかるのかのシュミレーションも紹介していますので、是非最後までご覧ください。

目次

1.金の買取などで得た利益は「所得税」となる。所得税は「総合課税」

結論から申しますと、金の買取で得たお金は「所得税」となり、課税対象となります。
では一体、所得税とはどのようなものがあるのでしょうか。

利子所得
配当所得
不動産所得
事業所得
給与所得
退職所得

山林所得
譲渡所得
一時所得
雑所得

国税庁が示す所得税の定義は、この10個となります。
一般の個人が継続的ではなく、金の買取によって利益を得た場合 「譲渡所得」というものに当たります。

金や宝石などの「譲渡所得」は、「総合課税」として他の給与所得などを合計した金額が一律で課されます。
ですので、金の買取における税額を計算する際は「給与などの他の所得」と合わせて考える必要があります。

ただあなたがもし、不動産を売ったり山を売ったりなどをしていなければひとまず

「自分の給料+譲渡所得」がいくらになるのか

というのを計算してもらえるとわかりやすいと思います。所得税の具体的な税率や控除額に関しては、国税庁が出している下のグラフをご覧ください。

引用:国税庁

次の章では、この「譲渡所得」というものについて、より詳しく解説していきます。

2.譲渡所得に関する基礎知識。覚えておきたい3つのルール

ルール①

金は形(実物)が存在しそのもの自体に価値がある「実物資産」の1つです。そのため、金を売却して得た利益は「譲渡所得」として扱われます。

「譲渡所得」所得税の課税対象となります。

譲渡所得には50万円の所得控除があるのでそれを超えない限り課税対象とはなりません。

 

ルール②

宝石の場合は、買取で得た利益は全てが譲渡所得として扱われるわけではありません

宝石は、書画、家具、衣服などと同様に生活用動産としてみなされ原則として所得税が課せられないのですが、売却価格が1点あたり30万円を超える品は「資産」としてみなされ、その売却益は譲渡所得として課税対象になります。

※一点が30万円を下回る金額で買取が行われれば合計が1億円を超えようとも、譲渡所得の課税対象とならないということを覚えておきましょう。

 

ルール③

そして、所得税には「総合課税」と「分離課税に」分けて税率が課されるのですが、譲渡所得は給与などと同じく総合課税の対象となります。

総合課税とはその年の1月1日から12月31日までの所得金額を合計したものを、累進課税制度によって5%~45%が適用されます。


つまり、金や宝石の買取における税金というのを考えるときは、自分の所得によって変わる可能性がある、ということを知っておかなければなりません。


まとめると

①金や宝石は「譲渡所得」として「所得税」の対象となる
②1点30万円以上を超えるものは課税対象となる
③総合課税として給与所得などと同じく合計して計算される

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3.金の買取は3つの所得に分類される

先ほど金の買取に関する税金は「譲渡所得」として扱われると解説しましたが、売買目的によって「雑所得」や「事業所得」としてみなされるケースがあります。

「雑所得」や「事業所得」として扱われる場合、50万円の特別控除は無い」ので注意が必要です。

3-1.個人が売却をする場合「譲渡所得」に分類

個人が金や宝石などを買取してもらう時、譲渡所得として扱われ、売却益によって所得税がかかります。覚えておいて欲しいことは主に2つ。

・金や宝石などの買取で、1点で30万円以上の売却益の合計が「20万円以上」の場合所得税の課税対象となる。
・譲渡所得には50万円の特別控除があるので、それを超えない場合は課税対象とならない。

たとえば、1点50万円の宝石、1点40万円の地金、1点20万円の貴金属をそれぞれ売却で売り上げたとします。

その場合、貴金属は30万円以下なので課税対象とならないので、宝石50万円分と地金40万円分を合わせた90万円が譲渡所得税として課税されます。

3-2.個人が営利目的の副業で売却する場合「雑所得」に分類

雑所得とは、給料や株や利子や配当を除いた所得のことを指します。年金や副業、ビットコインで得たお金なども「雑所得」に分類されます。

個人が金や宝石の売買で継続的に収入を得ていた場合は、副業扱いとなり「雑所得」という扱いになります。雑所得の場合、「50万円の特別控除が無い」ので注意が必要です。

「雑所得」も譲渡所得と同様に「20万円以上」の年間所得がある場合、確定申告が必要になります。ただし1点30万円以上の利益がなければ、生活用動産とみなされ、課税対象にはなりません。

3-3.会社や法人規模で売却をする場合「事業所得」に分類

金や宝石を、事業として売買をして収益を得た場合「事業所得」として扱われます。事業所得は、農業、林業、製造業、サービス業などで生じた利益のことを指します。

雑所得と同様に「50万円の所得控除は無い」ので注意しましょう。

4.税金の額が変わる3つの要素と分岐点

この章では、宝石や金の買取によって課される税金の額が変わる3つのポイントについて解説をしていきます。
その前に、基礎的な売却益の計算方法を出しておきます。

売却益  =  売却額  -(取得益  +  譲渡費用)

 

売却額・・・金を売却したときに「売れた時の金額」のこと
取得益・・・金を「手に入れた時の金額」のこと
譲渡費用・・・売却の際に発生した送料や査定料などの「手数料」のこと

この売却益が1点で30万円を超えなければ非課税ですし、譲渡所得に該当するならば特別控除50万円が引かれるので、そこから「20万円」を超えなければ確定申告は不要になります。

譲渡所得の場合、売却益が50万円を超えなければ非課税と覚えておけば問題ありません。

ただし、期間や金額などの条件によって税額が変わるケースがあります。

4-1.要素1【保有期間】5年以上かどうか

金や宝石は

保有期間が5年以上であれば長期譲渡所得
保有期間が5年以内であれば短期譲渡所得

として扱われます。期間の違いによってどのように税額が変わっていくのか詳しく解説していきます。

4-1-1.5年以上の場合は「長期譲渡所得」

金の保有期間が5年以上の場合「長期譲渡所得」という扱いになります。

「長期譲渡所得」の場合売却益から2分の1引かれた金額控除として引かれるので安くなります。計算方法は以下の通りになります。

長期譲渡所得 =(売却益 ー 特別控除50万円 )× 1/2

 

例えば、あなたが金の買取によって100万円の売却益を得たとしましょう。そこから50万円が特別控除として引かれ50万円となり、長期譲渡所得の控除で半分になり25万円となります。

4-1-2.5年以内の場合は「短期譲渡所得

金の保有期間が5年以内の場合「短期譲渡所得」となります。

長期譲渡所得と異なり、2分の1となる控除がありませんので注意。
また、年内の他の短期譲渡所得と合わせて特別控除50万円が引かれるということも覚えておいてください。
計算式は以下の通りになります。

短期譲渡所得 =(売却益 +他の売却益)- 特別控除50万円

 

金は「保有期間が5年以上かどうか」によって税額が変わりますので、取得した際の明細などは是が非でもとっておきましょう。

また、年間で短期長期どちらもある場合は、短期から特別控除の50万円が引かれ、長期の方に持ち越しができませんので、覚えておきましょう。

4-2.要素2【売却益】50万円以上かどうか

譲渡所得には「50万円の特別控除」がありますので、売却益が50万円以上かどうかというところで課税対象となるかが変わってきます。

金や宝石を売却する際は、取得費や譲渡費用などに関わる明細はしっかり保存しておき、売却益を計算しておきましょう。

そのうえ、税金に関する法律は毎年変わりますし、確定申告などの作業は意外と複雑になりがちです。

ケースによってパターンは様々ですので、心配であればお近くの税務署や国税庁の電話センターなどに相談することをおすすめします。

4-3.要素3【売買目的】譲渡所得に当たるかどうか

「雑所得」や「事業所得」の場合、特別控除の50万円がありません。自分の場合が一体どのような売買目的なのかをしっかり認識しておくことが重要です。

また、雑所得や事業所得であっても、所得税は「総合課税」なので他の給与所得として合算されて計算されます。

給与だけでなく、株などの配当所得や、不動産所得なども合わせた金額を累進課税によって引かれるので自分が他にどのような利益を得ているのか、というところも合わせて確認しておきましょう。

5.売却益の求め方と実際のシュミレーション

さて、ここから実際のシュミレーションをする前に、ここまで解説した情報をおさらいしておきましょう。

①1点30万円以下の商品である場合は非課税
②譲渡所得にあたる場合50万円の特別控除がある
③5年以上の保有期間の場合売却益から1/2が控除される
④譲渡所得は「総合課税」なので自分の給与等」と合算される
⑤売却益の求め方は 売却額-(取得費+譲渡費用)で計算される
⑥売却益が50万円を超えると課税対象となる

それでは、具体的な例をあげて解説していきます。

5-1.宝石や金を100万円で購入し、200万円で売却した場合(手数料は購入時・売却時それぞれ5万円)

 

売却額 200万  -  (取得費 105万  +  譲渡費用5万)=売却益???

 

200-110万円で、売却益は90万円となり課税対象です。

年間で個人の譲渡所得がこれ1件だった場合、特別控除の50万円が引かれ、課税金額は40万円となります。

5-2.宝石や金を190万円で購入し、200万円で売却した場合(手数料は購入時・売却時それぞれ5万円)

 

売却額200万 - (取得費 195万  +  譲渡費用  5万) = 売却益???

 

200-200をして売却益が合計0となるので非課税対象です。

上の二つはどちらも売却額は200万円と同じなのですが、取得費によって課税対象かどうかが異なります。

5-3.金を一度に100万円で売却し、取得時書類がない場合(譲渡費用は売却時5万円)

取得額が不明な場合、売却額の5%が取得費として計算されます。

このケースの場合、売却額100万×0.5=5万円が取得費となります。

売却額 100万  - (取得費 5万 + 譲渡費用 5万)=売却益90万

 

こちらも売却益が90万円となり課税対象となります。

重ね重ねになりますが取得時の明細が無い場合、売却益がかなり高額となる可能性が高いので、購入期間や購入時期がわかる書類は必ず保存しておきましょう。

5-4.金を13年前に祖母から1キロもらった場合

贈与された金額が110万円を超える場合、贈与された年度内に確定申告が必要になります。
贈与税の申告や納付が必要だったかどうかは当時の金価格や贈与額次第となります。

また、13年以上経っているので長期譲渡所得に分類されます。特別控除の50万円を差し引いた後、さらに半分にできます。

贈与税は以下の通りですので、確認しておきましょう。

引用:国税庁

5-5.宝石を10点まとめて売却し、合計100万円となった。1点当たりの最高額は20万円だった場合

宝石の場合1点当たり30万円を超えない限り課税対象となりません。宝石等は30万円以下の場合生活用動産とみなされるので非課税です。

この場合1点あたりの最高額が20万円で、30万円を超えていないので譲渡所得は発生しません。

※注意・・・買取業者によっては複数の宝石を売却する場合、上のケースだと「1式100万円」として計算される可能性があります。売却時に業者にどのように扱われているかというところも、しっかり確認しておきましょう。

6.税金を安く抑える3つの方法

この章では今までの解説した内容を踏まえて、どのような節税が考えられるかということを解説していきたいと思います。

6-1.特別控除額を超えないように分割して売る

個人の譲渡所得の場合、50万円を超えると課税対象となることは説明しました。

ですから、年度内に売却益の合計が50万円を超えないように売却期間を分けることで、節税をすることができます。

6-2.5年以上保有してから売る

金の保有期間が5年以上を超えている場合、課税金額が売却の半分になります。
保有期間が3年や4年のものが合った場合、少し待って5年を超えてから売るというのも、合法的な税金対策の1つとなります。

6-3.売却価格を30万円以下に抑える

宝石等の生活用動産は、1点で30万円以内であれば非課税となります。

たとえばネックレスの場合、チェーンと本体を分けて売却することで1点あたりの金額を安く抑えることができます。

また、インゴットなどでも「分割売却サービス」を行っているところがあるので、そのような業者を使うことも、税金対策の1つとして考えられます。

6-4.税金対策まとめ

ただ税金対策といっても、金の相場は年によって大きく変わりますし、いくら税金が安くなる可能性があるといっても「お金が本当に必要な時期」というのはその時々で変わります。

節税を考えるのは大事ですが、それだけに考えをとらわれることなくお金がいつ本当に必要なのか」というのをしっかりと考えることが大切です。

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7.確定申告について

7.1.時期は翌年の2月15日~3月16日まで

確定申告はその年の1月1日〜12月31日までの所得を合わせたものを翌年の2月15日~3月16日までに申告する必要があります。

その年の合計の売却益が50万円以上発生した場合は、必ず税務署に確定申告をするようにしましょう。

7-2.ネットで確定申告ができる

今ではe-taxというサービスを使うことによりネットで簡単に確定申告ができます。

国税庁のホームページの確定申告書作成コーナーから手続きができますので、税務署に行く時間が無いという人はこちらを活用するのがおすすめです。

7-3.金取引で損益通算できる場合もある

売却益が50万円以下の場合、所得税の課税対象とはならないことを解説しました。

もし売却益がマイナスとなって損になった場合、得した場合に割り当てて合計の売却益を下げることが出来る可能性があります。

年内に「売却益200万円のものが1点」と「売却益-100万円のものが1点」の計2点があった場合、損した分の100万円を引くことが出来ます。

金や宝石の売買によって損をしてしまった場合でも、確定申告は必須ではありませんが、明細等を保管しておくことで税金を安くすることができるかもしれません。

8.ぶっちゃけ確定申告しなくてもバレないって本当?

結論から言うと、バレない方法はないと思います。

売却益が50万円を超えた場合、所得税の対象となり、確定申告をする必要があります。

金の買取業者も「法人格」「個人」どちらにせよ納税はしますし、帳面を出します。
税務署も買取業者等は「現金取引」なので普通の法人企業と比べてかなり慎重に調査をします。

買取業者などの古物営業をしている団体は、「偽物の二次流通を防ぐフィルター」の役割もあります。クライアントがどこでどのように手に入れたのか、というのは偽物を世に出さないためにもかなり慎重に調べます。

しっかりと年内の売却益を計算し、確定申告をしましょう。

2012年より法律が変わり、年間で売却益を200万円超えた場合買取業者が支払調書として税務署に提出しています。200万円を超えない場合でも、買取業者には数年に一度不定期調査が入り、不正をしているケースが無いかを確認するときもあります。

納税を免れようと怪しい方法やグレーな方法を探そうとしても、あらぬ事件に巻き込まれる可能性もありますので、しっかりと納税をすることをおすすめします。

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8.まとめ・・・悩んだときは税務署へ

いかがでしたでしょうか。今回は金や宝石の買取に関する税金の解説をさせていただきました。もし現在金や宝石の取引を考えていた場合、助けになれば幸いです。

金の買取や売却に関する税金は、個人の収入や目的によって大きく変わります。売却益や保有期間によってかなり複雑になる問題ですので、正確な知識を身に着けて検討するようにしましょう。

法律や制度についても毎年細かな改定がありますので、もし本当に心配であれば、税務署や国税庁の電話サービスなどに相談してみるといいでしょう。

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