ルイ・エラールは知名度の高さや他にない斬新なデザインは見当たりませんが、基本に忠実で伝統的なスイス時計を体現する時計づくりが特徴です。最近ではデザイナーとのコラボレーションモデルの開発に積極的で、他にはないデザインのモデルを次々と発表しており、他の時計ブランドとは違ったアプローチを進めています。この記事ではルイエラールの歴史、魅力、代表シリーズ、おすすめモデルについてまとめました。
1 【スピリットオブタイム】ルイ・エラールの歴史
1-1 1929年 スイスのラ・ショー・ド・フォンでルイ・エラールにより創業
1929年にラ・ショー・ド・フォンでルイ・エラール社を創業しました。正式な会社名はルイ・エラール&アンドレ・ペレです。ルイ・エラールは36歳のときに、友人でありビジネス・パートナーだったアンドレ・ペレと手を組み、後に彼の名を世に知らしめることになるブランドを立ち上げました。
創業当初は他社向けの組み立て作業をメインの仕事にしていましたが、2年後の1931年に独立。同年にルイ・エラールブランドとして初のモデルを発表しました。それから6年後、ルイ・エラールの名声はますます高まっていき、1937年にはルイ・エラールの時計は国際的に販売されるようになりました。その結果、当時としては驚異的な60人の従業員を抱えるほどの規模となっています。
1-2 1942 - 1980年 スイスの時計ブランドからケーシングのOEMを受ける
第二次世界大戦中は軍用時計の製作に追われる中、とあるスイスブランドからOEMとしてケーシング作業を請け、この協力体制は1992年まで続きました。
1970年代にスイス時計業界に起こったクオーツショックによる経営不振の影響はあったものの、ブランドは買収や休眠にならずに乗り越えました。しかし深刻な財政問題を受け、スイスのジュラ地方にあるル・ノワールモンに移転することを決めました。
1-3 2003年 経営不振の中アラン・スピネディが引継ぎ、立て直す
2000年代に入って数年後にルイ・エラールはスイスの個人投資家アラン・スピネディ氏に買収されました。これによってルイ・エラールはポジティブな再スタートを切ることができました。
この頃まではルイ・エラールの時計は高級路線を進んでいましたが、2009年ムーブメントのスペシャリストであるソプロッド社との共同開発によりルイ・エラール初の自社製モジュールが発表され、ETAムーブメントをベースにオリジナルのモジュール追加で機構や機能を展開する手法により、ルイ・エラールはリーズナブルな価格帯を実現しました。
2014年にはル・ノワールモンに移転して22年が経ち、20万個もの時計を製造しました。現在でも創業当時から変わらない基本に忠実な時計作りを徹底している希少なブランドです。
2 【スピリットオブタイム】ルイ・エラールの魅力
2-1 基本に忠実な伝統的スイス時計が楽しめる
ルイ・エラールの大きな魅力の一つは基本に忠実なところです。ルイ・エラールは機能・デザインどちらも歴史に忠実で伝統的なスイス時計を愉しむことができます。奇をてらわない機能とデザインは選ぶときの選択肢が多くなるため、シリーズ自体は多くないルイ・エラールですが、実際には多くのモデルから選べる印象です。
エクセレンス、1931、ヘリテージと3種類のコレクションを見ても、基本的には伝統に沿った王道のスイス時計のデザインとなっています。詳しくは後述しますが、自社製ムーブメントを使わないのも王道を徹底するのに一役買っています。
2-2 自社製ムーブメントを使わないためリーズナブル
ルイ・エラールの大きな特徴として、自社製ムーブメントを開発しないことがあります。自社製ムーブメントを開発しないのは一見デメリットに感じるかもしれませんが、実際には不要なコストをカットし、リーズナブルに時計を提供できる大きなメリットを受けられます。昨今の自社製ムーブメント開発はETA問題に起因するところがあるのですが、マニュファクチュールを謳う線引きがなされないままで、少し不誠実な曖昧さが業界全体にあります。
その点ルイ・エラールは自社製ムーブメントを開発せずにETA・セリタ社製のムーブメントを採用しているため、ある意味割り切った誠実さを感じさせます。機能・デザインの展開が幅広いのも汎用ムーブメントを採用しているためも理由の一つです。
ETA社やセリタ社のムーブメントをベースに複数の機能を持たせるため、モジュールの開発には余念がないのも特徴です。あくまでコストのかかるムーブメントの開発はしませんが、機能の追加や輪列の調整などはモジュール追加で自由に行えるのは、自社製ムーブメントを開発できる環境・技術は既に持っているのではないかと感じます。
2-3 デザイナーとのコラボモデルが豊富で一風変わったデザインも
ルイ・エラールは基本に忠実で王道のデザインが中心ですが、時計業界にこだわらず幅広い分野で活躍するデザイナーとのコラボレーションモデルを豊富に展開しています。
時計職人、そして宝石職人でもあるセドリック・ジョナーとのコラボレーションで生まれた独特なケース形状やスイスで、最も有名なデザインスタジオであるアトリエ・オイとの独創的な文字盤など、時計業界だけではなかなか発想のないデザインが楽しめます。
全国出張、現金買取
\簡易査定お気軽にご相談下さい/
3 【スピリットオブタイム】ルイ・エラールの代表シリーズ
3-1 エクセレンス
薄型ベゼルと文字盤を邪魔しないコンサバなケースデザインが特徴のエクセレンスは、クラシックデザインを基調としながらも幅広いデザインや機能で展開されています。オープンハートやレギュレーター、ETA7750ムーブメントをベースにしたトリプルカレンダームーンフェイズなど、選択肢が豊富なのがエクセレンスの特徴です。ケースデザインに強い特徴を持たせていないので、幅広いデザインや機能を受け入れるデザインの余白が魅力です。
戦術のデザイナーとのコラボレーションモデルの多くはエクセレンスから発表されています。特徴的な文字盤デザインを邪魔しない黒子のような役割を果たしているのがエクセレンスです。基本に忠実なルイ・エラールらしいポイントを押さえたコレクションです。
3-2 1931
創業から2年後の1931年の名を冠しており、ルイ・エラールの原点をあらわすようなコレクションです。1931もエクセレンスと同様にデザインや機能の幅が広くとられており、クロノグラフやレギュレーターなど、様々なモデルが展開されています。
1931年頃というにはラグ幅が少し広めに感じますが、機械式時計の絶頂期の頃を彷彿とさせるデザインとなっており、どこか懐かしさを感じさせます。クラシックに見せるときはリーフ針、コンサバに見せたいとこはドーフィン針と使い分けるなど、基本に忠実です。
3-3 ヘリテージ
ルイ・エラールのヘリテージコレクションは1931とはまた違った過去の銘品にリスペクトを送るデザインが特徴です。多くは立体感のあるステップベゼルや細身のペンシル針を採用しており、比較的淡白な文字盤デザインによるクラシックな世界観を演出しています。
1931との線引きが曖昧なモデルもあるのですが、コンサバな印象のエクセレンスと純クラシックな1931の中間に位置するデザインです。これまで同様に幅広いデザインや機能で展開されており、レトロさを感じるのがヘリテージの特徴です。
3-4 エモーション
感情を揺さぶるという名を冠したエモーションはアシンメトリーなデザインが特徴です。レトログラードなどを使って針を扇状に動かすことで上下のデザインに大きな差をつけたり、時分針の位置を水平方向にズラすなど、一味違うモデルのシリーズとなります。
一見すると変わったデザインですが、ベースのデザインはコンサバで定番なので視認性は意外に高く使い勝手は悪くありません。変わったデザインを開発しながらも時計としての使用感は変わらない、絶妙なバランス感をもったコレクションです。
3-5 カレ
ルイ・エラールのレクタングラーコレクションがカレです。一般的に言われるレクタングラーは長方形ケースですが、ルイ・エラールのカレは珍しい正方形ケースが特徴です。機能は3針とクロノグラフに絞り込まれており、シンプルに仕上がっています。サファイアクリスタル風防は凸型のボンベ形状になっており、ヴィンテージな雰囲気を纏っています。
4 【スピリットオブタイム】ルイ・エラールのおすすめモデル5選
4-1 ヘリテージ デイデイト クロノグラフ Ref.LE78259AA22.BDC02
Ref.LE78259AA22.BDC02はルイ・エラールによる懐古的なデザインで展開されるヘリテージコレクションの一本。ETA Cal.7750ベースのデイデイト・クロノグラフ機能を搭載したモデルです。ステップベゼル、細身のリーフ針、文字盤中央部のギョーシェなど、定番のクラシックなスイス時計のデザインを踏襲しており、基本に忠実な一本。裏蓋はムーブメントのてんぷ付近だけが空けてあり、動きをのぞくことができます。
4-2 1931 クロノグラフ リミテッド Ref.LE71245NN12.BVA42
Ref.LE71245NN12.BVA42はルイ・エラールの原点ともいうべき1931コレクションの一本。ブラックPVD加工されたステンレスケースにカーボン柄の文字盤を組み合わせたスポーティーな印象。文字盤中央にゴールド色の文字でタキメーター、外側に白文字でテレメーターを描いています。
世界限定200本モデルなので希少性は高め。ハードになりすぎないカラーリングが特徴の一本です。
4-3 エクセレンス グランフーエナメル Ref.LE34237AA54BVA38
淡白なケースデザインが幅広い文字盤を受け入れるエクセレンスのグランフーエナメルダイヤルを採用したモデル。一見、シンプルなローマンインデックスの文字盤ですが、コーポレートカラーのインデックスにブルースチールの針を組み合わせたデザインです。
文字盤はドンツェ・カドラン社へ依頼しており、エナメルダイヤルで有名なユリス・ナルダンが買収したことで知られている一流の文字盤メーカーです。王道の文字盤デザインではありますが、エナメル独特のつるっとした雰囲気は唯一無二の楽しみです。
4-4 エクセレンス レギュレーター パワーリザーブ Ref.LE54230AA01BDC29
余白を持たせたケースデザインで文字盤をしっかり愉しむことができるエクセレンスのレギュレーターモデル。時針・分針・秒針が全て別軸で動いているレギュレーターダイヤルで、12時位置のインダイヤルは時針、文字盤中央が分針、6時位置が秒針となっています。
かつて誰もが目にした教会などの時計に時刻の見間違いを防ぐために開発されたレギュレーターダイヤルで、歴史を感じさせる雰囲気があるモデルです。インダイヤルは少し段差が付いているためさらに視認性が改善されており、とても実用的なモデルです。9時位置にはパワーリザーブ表示も備えています。
4-5 レギュレーター トゥールビヨン - ルイ・エラール X アラン・シルベスタイン ブラック Ref.LE89356TT02BTT82(2024年新作)
フランスのインテリアデザイナーであり、独自の時計ブランドももつアラン・シルベスタイン氏とのコラボレーションモデルです。バウハウスのモダンデザインを表現した赤・青・黄を使ったレギュレーターモデルで、12時位置のインダイヤルで赤い時針、中央の青い針で分針を表しています。
トゥールビヨンの開発は、スイスラ・ショー・ド・フォンにアトリエを構えるBCP Tourbillons 開発者であるオリビエ・モリへ依頼しています。2024年の新作で78本限定モデルです。
全国出張、現金買取
\簡易査定お気軽にご相談下さい/
6 【スピリットオブタイム】ルイ・エラール
この記事ではルイ・エラールの歴史、魅力、代表シリーズ、、おすすめモデルについてまとめました。メジャーブランドではないものの、基本に忠実でありながらデザイナーとのコラボレーションモデルなど新しい切り口にもチャレンジしているブランドです。もし街中でルイ・エラールの時計を見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。