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ボーム&メルシェの記事

ボーム&メルシェとは?190年の歴史を持つドレスウォッチの魅力。

ボーム&メルシェという時計ブランドをご存知でしょうか。世界で6番目に古く、伝統的なスイス時計、それもドレスウォッチをメインとするブランドです。 ロレックスやオメガほどの知名度はないものの幅広いデザインと機能での展開、リーズナブルな価格帯は一流ブランドにもひけをとりません。この記事ではボーム&メルシェの歴史、魅力、人気シリーズ、着用している有名人と人気モデルについてまとめます。 1.【世界で6番目に古い由緒正しきブランド】ボーム&メルシェの歴史 1-1.1830年スイスジュラ地方でボーム兄弟により創業 ボーム&メルシェは世界的に見ても非常に長い歴史を持ったブランドです。1542年にスイスジュラ地方にあるレ・ボワ村でボーム家が時計製造の下請けを始めたことから始まります。1830年ボーム家のルイ=ヴィクトール・ボームとピエール=ジョセフ・セレスタン・ボームが家族の名前を冠したブランドを立ち上げます。 「何も見のがさない。最も優れた品質の時計だけを作る」「完璧なものしか認めない。最高品質の時計しか製造しない」をモットーに始めたブランドでしたが、積み上げた歴史による技術と商才により、2人の事業はすぐに大きく成長していきました。1840年に開発したシリンダー脱進機のレピーヌキャリバーは懐中時計を薄くすることを実現し、技術の高さが注目を浴びました。 2人が次なる可能性を感じたのは海外市場でした。1851年にボームブラザーズ社をロンドンに設立。ロンドンを拠点に欧州、アジアへ進出していきました。ここを拠点に活動を拡大し、19世紀末には世界的に知られるブランドとなっています。 1885年にはロンドンのキュー天文台主催のクロノメーターコンクール「キュー・テディントン・コンクール」に初参加した際には、いくつもの賞を獲得しています。1892年にはトゥールビヨン搭載の懐中時計が100点満点中91.9点の歴代最高得点を叩き出し、この記録は10年以上破られることはありませんでした。ボームブラザーズは高い精度の時計を生み出すブランドとしての立場を確立していきました。 1-2.1918年ウィリアム・ボームとポール&メルシェにより、ボーム&メルシェが誕生 1918年創業者の孫ウィリアム・ボームが実業家ポール・メルシェに出会い共同で事業を進めることとなり、ブランド名を現在のボーム&メルシェへ変更し、時計産業の中心地であるスイスジュネーブに拠点を移します。翌年1919年にはジュネーブの高級時計委員会から世界的権威となるジュネーブ刻印を受けました。 この頃から世の中のトレンドが懐中時計から腕時計へと移り変わっていっているのを感じたボーム&メルシェは、高い精度の複雑時計から女性が好むラグジュアリーウォッチへと軸を変えていきました。1930年、初のメンズ用レクタングラーウォッチを発表。現在のハンプトンのルーツとなる時計です。これが大ヒットし、映画俳優や政治家が好んで着けたことで世界的なトレンドセッターとして格付けされていました。 1940年代後半には女性解放運動で激動の時代を生きる女性の願いを表したとされるマルキーズを発表。アールデコの思想が反映されたモダンなデザインは話題となりました。マルキーズは現在の女性向けモデルのルーツとなる存在です。 1950〜1960年代からボーム&メルシェはギリシャ文字で均衡をあらわす「Φ(ファイ)」のロゴを商標を獲得し、使用するようになりました。現在のラウンド型モデルが着想を得ている時計が多く発表されたのもこの頃で、ムーンフェイズやトリプルカレンダー、クロノグラフなど多くの銘品がつくられました。 1-3.1988年リシュモングループ傘下へ ボーム&メルシェは機械式時計が苦しんでいる時代でも足を止めませんでした。1970年代にもギャラクシーやスターダストといった斬新なモデルを発表し、バーデンバーデン国際ウォッチ装飾コンクールのゴールデンローズ賞など栄誉のある賞を獲得しています。1973年には現在のリビエラのオリジナルモデルを発表。ステンレスケースのラグジュアリースポーツウォッチとして、トレンドをしっかり掴んでいました。 1988年にはリシュモングループの前身となるヴァンドームグループへ参画しました。確かな資本を得たことで、さらに躍進を続けます。1994年にレクタングラーウォッチシリーズハンプトンを発表。1998年にはヴィンテージな雰囲気をまとったクロノグラフを中心としたケープランドを発表しています。 ボーム&メルシェは時代の流れに沿った変化を恐れないブランドです。懐中時計で絶対的な精度を誇るブランドとして名声を得た頃にトレンドは腕時計への移り変わっているのを感じ、女性向けへシフトしましたが、当時ボーム&メルシェの高精度の時計の愛好家からの反発がありました。 しかしラグジュアリースポーツモデルのトレンドにはすぐ乗るなど、変化を恐れないマインドをもったブランドだからこそ、これまでの長い歴史で一度も休業にならずに続けてこれていると言われています。現在ではリーズナブルな価格で高いスペックの時計をつくるブランドとしてのポジションを確立していますが、自社製ムーブメントの開発に成功したことでさらなる変化が今後見込まれています。 2.ボーム&メルシェの魅力 2-1.世界で6番目の古さから生まれる伝統的スイス時計 ボーム&メルシェは前述の通り、非常に長い歴史を積み重ねてきたブランドです。世界で6番目に古い高級時計ブランドと言われており(各ブランドの解釈によって多少前後します)、世界的に見ても古参といえるでしょう。 そんなブランドが発表する時計としては、クリフトンやクラシマのような伝統的なスイス時計というのは期待通りといえるラインナップです。同じように古参となるブランパンやヴァシュロン・コンスタンタンといった古くから活動しているブランドはいずれも伝統的なスイス時計をしっかり継承していくことをモットーとしているケースが多いです。 ボーム&メルシェは同じように伝統を守っていくことも大事にしながらも、チャレンジを恐れないマインドをもつブランドです。古参でありながら、伝統的なスイス時計とその枠にとらわれないスピリッツをもっています。 具体的には高精度な懐中時計からラグジュアリーなレディースモデルへのシフト、機械式時計が苦戦していた時期には流行となったラグジュアリースポーツモデルの発表、直近ではリーズナブルな価格な自社製ムーブメントの発表など、幅広く方針の切り替えを行っています。 歴史の長いブランドほど伝統と歴史を重視しますが、ここまで変化に柔軟なブランドも珍しいです。これからの進歩が非常に楽しみなブランドの一つです。 2-2.クラシカルなドレスウォッチに絞って展開されている ボーム&メルシェは伝統的なスイス時計に絞って展開されています。現行ではクリフトン、クラシマ、ハンプトン、リビエラの4種類と少なめで、どれもクラシカルなドレスウォッチです。 最近でこそクリフトンクラブやリビエラのようにラグジュアリースポーツ寄りのデザインが展開され始めました。まだまだシリーズ化して日が浅くデザインや機能の幅も狭いですが、クリフトンやクラシマといった現行のシリーズはベースのデザインはありつつも、機能やカラーリングを複数展開することで選ぶ楽しみを演出しています。また、自社製ムーブメントの開発に合わせてスケルトン文字盤も発表され、クラシックを軸としつつも新たなデザインを発表していくと見られています。 2-3.機能、デザインが豊富で価格がリーズナブル ボーム&メルシェはクラシカルなドレスウォッチに絞り込みながらも、ケープランドのようなヴィンテージウォッチを思わせるモデルから、リビエラのように現代的なエッセンスがしっかり感じられるモデルまで、機能やデザインは幅広く展開されています。2018年以降自社製ムーブメントを展開するようになり、パーペチュアルカレンダーも発表されています。 ボーム&メルシェはリーズナブルな価格でも有名です。 伝統的スイス時計であるにもかかわらず、なぜ安い値段で展開されているのでしょうか? その理由は『信頼できる価値を適正な価格で提供する』をコンセプトに腕時計を作っているためです。2017年までETA製ムーブメントを使い、デザインや機能をメインとして腕時計製造をしていたことから価格は控えめに設定されていました。また、2018年以降は自社製ムーブメントを開発したことで30万円台から手に入れることができるようになっています。自社製ムーブメントの普及価格化が世界的な流れとなる中、最先端をいく動きです。 3.ボーム&メルシェの代表シリーズ 3-1.クリフトン クリフトンはボーム&メルシェを代表するアイコン的存在となるシリーズです。偶数のアラビアインデックスと曲線的なケースデザインの伝統的なスイス時計をベースにしています。クロノグラフ、トリプルカレンダー、コンプリートカレンダー、GMTなど幅広く機能展開されており、ボーム&メルシェの軸足となる存在です。最新では自社製ムーブメントのボーマティックを搭載したモデルも次々と発表されており、ハイスペック・リーズナブルを得意とするボーム&メルシェの特徴がさらに色濃く出る展開となっています。 ボーマティック10467は今最も魅力的なモデルの一つです。使いやすい40mmケースサイズ、グラデーションのかかったブルー文字盤、端正なバーインデックス、自社製ムーブメントボーマティックを搭載しており、パワーリザーブ120時間、スイスクロノメーター検定取得と実用する点で必要なスペックが高い基準で網羅されています。 3-2.クリフトンクラブ クリフトンクラブはボーム&メルシェを代表するシリーズのクリフトンをベースにスポーツウォッチのテイストを強化したシリーズです。ラウンド型のケースに沿うラグの形状や文字盤はコンサバ気味で癖のない雰囲気はクリフトンのDNAを継承しています。 クリフトンはクラシカルな雰囲気のためにケースサイドに沿うカーブがついたベゼルもしくは段付きのステップベゼルですが、クリフトンクラブはフラットな回転ベゼルを採用しています。ダイバーズウォッチに見られる計測地点から15分が一目でわかる目盛りや、その始点と秒針だけがオレンジ色で目立つようにしてあるなど、ラグジュアリースポーツというよりもダイバーズウォッチに近いテイストをもっています。 2017年〜2018年でしか発表されず短期でディスコンとなってしまったシリーズですが、世界観はリビエラに引き継がれたといえます。テスト的にクリフトンクラブである程度の人気を確認したことで、単体でシリーズ展開することを検討したのではないかと思われます。 3-3.クラシマ クラシマはいわゆるクラシックなスイス時計の雰囲気をもったシリーズです。ローマンインデックス、ケースに垂直に配置されたラグ、細身のリーフ針などこれもまた王道のスイス時計のデザインを踏襲しています。 比較的コンサバで癖の少ないクリフトンに対し、クラシマはクラシックを主軸としたデザインで、機能や文字盤カラーは絞り込まれています。文字盤カラーはほぼ白でギョーシェが効いたデザインが多く、クロノグラフや文字盤の一部分をスケルトン化したモデルやジャンピングアワーなど機能もクラシックにかなり寄っています。 最新モデルではそれらのレッテルを剥がすようにアラビアインデックスを採用したり、グレーやパープル文字盤などかなりチャレンジャブルなデザインを発表しています。自社製ムーブメントなどスペックと高級感を強化していたクリフトンに対し、クラシマはライトで多くのユーザーに手に取りやすい価格、デザインへの拡大をねらった展開となっています。 3-4.ケープランド ケープランドは1948年発表のクロノグラフ搭載モデルにインスピレーションを得て作られたシリーズです。初代モデルから継承したテレメーターとタキメーターを搭載したデザインが主で、ヴィンテージウォッチのような雰囲気が楽しめます。アメリカのスポーツカーブランド「シェルビーコブラ」とコラボレーションし、よりスポーティーに仕上がったモデルは高い人気となっています。 クロノグラフをメインとしながら、3針やワールドタイムなどのモデルも一部発表されています。クロノグラフではリーフ針をメインとしますが、3針やワールドタイムではブレゲ針を採用するなど、デザインの幅を拡げています。 2017年にディスコンとなったシリーズですが、翌年2018年にボーム&メルシェの日本上陸50周年記念としてケープランドクロノグラフが発表されるなど、人気が衰えないシリーズです。 3-5.リビエラ リビエラはボーム&メルシェのラグジュアリースポーツシリーズです。初登場は1973年で、当時流行したラグジュアリースポーツウォッチの流れをくむものでした。12角形のベゼルが特徴的で、時代の先をいくデザインとして評価されていました。 2021年にリビエラは復活を遂げ、オリジナルモデルのDNAを確かに継承しつつも現代的なテイストへ調整されています。山と海(水と石の衝突)をモチーフにした文字盤、ベゼルの4つのビス、当時はタブーとされていたラバーストラップの採用、裏蓋のスケルトン化によるムーブメントの鑑賞など、シルエットは1973年当時のものを思わせますが、最新の技術・センスによって再スタートをきりました。 さらに自社製ムーブメントのボーマティックを搭載したリビエラ ボーマティックにも注目が集まっています。使いやすい5日間のパワーリザーブ、高い精度による歩度調整、耐磁性、メンテナンスの頻度は5年に一度といった高スペックでありながら、価格はリーズナブルに抑えてあります。高いコストパフォーマンスに定評のあるボーム&メルシェらしい新作となっています。 3-6.ハンプトン ニューヨーク郊外の高級保養地ハンプトンからインスピレーションを得て制作されたハンプトン。アールデコ様式のレクタングラーケースが特徴で、クラシマのように様々なデザインや機能のベースになることが多いシリーズです。2針・3針モデルはスラっとした長方形ケースで、デュアルタイムやクロノグラフといった機能付きモデルでは正方形に近いケースが主となっています。 文字盤デザインとしてはシンプルなクラシック。文字盤のカラーは白、黒がほとんどでごく一部のモデルだけブルーやコッパーが採用されています。ギョーシェが所々に使われていたり、剣針を採用するなど伝統的なスイス時計。レディースでも展開されているので、年齢層や性別に関係なくペアウォッチとして選ばれることもあります。 3-7.プロメス プロメスはレディース向けのラウンドタイプのシリーズです。少し楕円気味なラウンド型のケースに直線的なラグの組み合わせで、まるでブレスレットのような印象。シンプルな2針、3針とムーンフェイズ付きが展開されています。ベゼルはあえて肉厚にしホワイトMOPやダイヤモンドをセットすることで、よりインパクトのあるデザインとなっています。 よりシンプルで小さなケースサイズのプティプロメスシリーズも展開されています。デザインはプロメスと大きく変わり有りませんが、プティプロメスはインデックスは12と6だけにし、ミニマルな印象の文字盤です。 3-8.リネア リネアはレディース向けのラウンドタイプのシリーズです。リネアはケースとラグが一体化しており、ケースの丸からスムースにラグとなるため幅広な印象です。多くのモデルでベゼルにアラビアインデックスが書かれており、それとは別にドットインデックスやバーインデックスがあるため大きめに見え、インパクトのある文字盤となっています。 おおまかに3針とクロノグラフモデルに分かれています。クロノグラフモデルのインダイヤルは2時位置、6時位置、10時位置に配置されており、ヴィンテージで見られるようなデザインです。専用のブレスレット、ストラップが必要となりますが、ストラップ交換が簡単にできる機構となっているため、服装に応じて自分で変えられる楽しみ方も可能です。 4.ボーム&メルシェを着けている芸能人・有名人 4-1.俳優 坂上忍 クリフトン オートマティック Ref.MOA10139 俳優 坂上忍さんが着けているのはクリフトン オートマティック Ref.MOA10139です。坂上さんがクリフトンの他に着けていると見られているのはスイス時計を代表する伝統的な角型モデルパテック・フィリップのゴンドーロです。 Ref.MOA10139は2013年に発表されたクリフトンの自動巻き3針モデルです。オーソドックスな3針日付表示付きのスイス時計で、ステンレスケースとゴールドのベゼル、ゴールドの針とインデックスの組み合わせで、昔ながらの美しさが特徴です。シースルーバックになっており、ムーブメントの動きは裏面から楽しむことができます。 4-2.俳優 三浦友和 クリフトン オートマティック Ref.MOA10141 俳優 三浦友和さんが着けているのはクリフトン オートマティック Ref.MOA10141です。三浦さんはロレックスデイトジャストやIWCヨットクラブなど、シンプルなクラシックデザインの時計を着けていることが多いようです。大御所やベテランの役を演じることが多いためか、安定感のあるクラシックウォッチを選んでいると思われます。 Ref.MOA10141はクリフトンの2013年発表モデルで、機械式時計の最盛期である1950年代のモデルをモチーフにしています。12、2、4、6、8と偶数のアラビアインデックスと針だけはゴールドカラーになっており、クラシックな印象に仕上がっています。純正のブレスレットはポリッシュがかかった5連のため、繊細な美しさをもつ印象の一本です。 4-3.俳優 佐藤浩市 ハンプトンクラシック XL Ref.MOA10027 俳優 佐藤浩市さんが着けているのはハンプトンクラシック XL Ref.MOA10027です。佐藤さんはロレックスデイトジャストやIWCポートフィノなど、格式高いクラシックウオッチを主に着けているようです。 Ref.MOA10027はスクエアケースが特徴のハンプトンの太めの長方形XLシリーズです。サンレイのかかった黒文字盤にオールアラビアインデックス、四角いインダイヤルなど、よく見るとこだわりの深いデザインとなっています。ケースを横から見るとケースバック、ラグは腕に乗せたときのすわりがいい形状となっており、実用性の高いシリーズとなっています。 4-4.俳優 斎藤工 クラシマオートマティック Ref.M0A10453 俳優 斎藤工さんが着けているのはクラシマオートマティック Ref.M0A10453です。斎藤さんはブライトリングやハミルトン、タイメックスなどパイロットウォッチを多く着けているようです。 Ref.M0A10453はクラシマオートマティックの黒文字盤です。12、3、6、9のローマンインデックスに鋭いリーフ針、丸みを帯びたベゼルなど、王道のクラシックウォッチのデザインです。過不足のない機能、デザインは流行り廃りがなく長く使うことのできる時計として愛されるものとなっています。 5.ボーム&メルシェのおすすめモデル5選 5-1.クリフトンクラブ クロノグラフ Ref.MOA10435 Ref.MOA10435はボーム&メルシェのアイコン的存在のクリフトンをベースにスポーツウォッチとして調整されたクリフトンクラブのクロノグラフモデルです。マットブラックの文字盤にオレンジのクロノ針の組み合わせがスポーティーです。 ブラックの文字盤にブラックのベゼル、見返しはアイボリー、縦2つ目のクロノグラフとなっており、ヴィンテージ感とスポーティーが同居したデザインです。ケースサイズは44mmと大ぶり。クロノグラフを搭載しており厚みもそれなりにあるため、大振りな時計が好みな方にぴったりの一本です。 5-2.クラシマ エグゼクティブ オートマティック Ref.MOA08689 Ref.MOA08689はボーム&メルシェの中でも振り幅の大きいクラシマの一本です。機能としてはシンプルな3針ですが、文字盤の一部分をスケルトンにすることでムーブメントの動きを見ることができるデザインとなっています。ブランドによってオープンハートあるいはハートビートと名付けられているものと同じ機構です。 ケースサイズは42mmと大きめなので、ムーブメントの動きも大きめに見えます。黒文字盤にローマンインデックスと重厚に見えるデザインですが、スケルトン化によって少し軽くなった印象。リーフ針やギョーシェなど、伝統的にクラシックウォッチに使われるデザインを採用しているので、王道な一本に仕上がっています。 5-3.クリフトン ムーンフェイズ Ref.MOA10057 Ref.MOA10057はクリフトンのトリプルカレンダーモデルです。12時位置に曜日と月、6時位置にムーンフェイズ、文字盤外周にポインターデイトとなっています。偶数のアラビアインデックスは植字になっており立体感を引き出すポイントとなっています。機械式時計の全盛期だった1950年代を思わせる雰囲気です。 文字盤はサンレイ仕上げのブルーが現代的なニュアンスを感じます。裏蓋はシースルーバックのため、ムーブメントの動きを楽しめるようになっており、古典的な機能を搭載しつつも現代的なエッセンスで仕上げられています。機能としては他のブランドでも見かける王道といえるものですが、比較的リーズナブルな価格設定やクラシックなデザインのまとめ方は、スイス時計に長く携わってきたボーム&メルシェらしい仕上がりです。 5-4.リビエラ ボーマティック Ref.M0A10701(2022新作) Ref.M0A10701は1973年発表のリビエラに自社製ムーブメントを搭載して復刻させたモデルです。オリジナルモデルに忠実な12角形ベゼルを採用しつつ、新たにベゼルの4つのビスやファイのロゴをエンボス加工した8角形のリューズなど、現代的にアップデートされています。ベゼル、エッジ、ケースはサテン仕上げとポリッシュ仕上げのコンビネーションによって立体的に表現されています。 文字盤はブルーのスケルトンで、ムーブメントや日付ディスクが透けて見えます。針も縁だけを残し軽量化されており、自社製ムーブメントでありモデル名にもなったボーマティックは10時位置に控えめに書かれています。 自社製ムーブメントのボーマティックは5日間のパワーリザーブ、高い精度による歩度調整、耐磁性、メンテナンスの頻度は5年に一度といったハイスペックぶり。キャンバス地のストラップなど、高級感を出しながらも、重厚感ではなく日常的に使えるラフな時計として使うことを想定するようなデザインに仕上がっています。 5-5.ハンプトン Ref.M0A10666(2022新作) Ref.M0A10666(2022新作)はレクタングラーケースが特徴のハンプトンの2022年新作モデルです。12時位置に1の位と10の位の窓が別にあり視認性の高い日付表示ビッグデイト、6時位置のインダイヤルで、太陽と月の絵が回転して昼夜の判別がつくデュアルタイムを搭載しています。 文字盤はグレイン仕上げのオパリンスレートグレーダイヤルで、文字盤中央と外側で仕上げに変化をつけています。12のアラビアインデックスとそれ以外のバーインデックスは植字で立体的です。昔ながらのレクタングラーの王道のデザインとなっており、真新しさはないもののボーム&メルシェの得意とする王道のスイス時計を体現するモデルです。 6.まとめ ボーム&メルシェの歴史、魅力、代表シリーズ、有名人と人気モデルについてまとめました。伝統的なスイス時計を体現したブランド、リーズナブルなラインでコンパクトにまとまったブランドという印象をもつ方が多いですが、実際にはチャレンジ精神に溢れ、ハイスペックなモデルやテイストの変更にも果敢にトライしています。今後どんなチャレンジをするのか楽しみなブランドです。

2023年7月19日

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