高級時計ブランドとして世界で4番目に古いとされるジラール・ペルゴをご存知でしょうか。スイスで初めてクオーツ時計をつくったことや、日本に初めて高級時計を持ち込んだブランドなど、世界と日本の時計史に名を残すブランドです。オメガやロレックスなどのブランドよりも知名度こそ高くはありませんが、その歴史の長さから時計愛好家の中ではかなり高い格付けをされているブランドです。
また、世界的にも珍しい本当の意味でのマニュファクチュールブランドとして、愛好家の間で高い人気となっています。この記事ではジラール・ペルゴの歴史、魅力、代表シリーズ、ジラール・ペルゴの時計を着けている有名人、おすすめモデルについてまとめます。
1.ジラール・ペルゴの歴史
1-1.1791年ジャン・フランソワ・ボットによって前身のボット社を創業
ジラール・ペルゴの歴史を語るには前身にあたるボット社から語る必要があります。ボット社は幼くして孤児となってしまったジャン・フランソワ・ボットはケース、ギョシェ、金銀細工などあらゆる技巧を学び、わずか12歳で時計師としてのキャリアをスタートしたと言われています。19歳のときにブランドを創業し、自身の名前が刻まれた初の時計を製作しましたが、ボットのつくる懐中時計はとても薄く評判になっていました。
ジュネーブに工場をつくり、時計製造に必要な専門の職人を一つ屋根の下に集めることで量産体制を整えました。当時のスイス時計産業において量産体制を整えたのはボット社が初と言われています。顧客には後のビクトリア女王や名だたる貴族がおり、名声を獲得していきました。1837年にジャンが亡くなった後はジャック・ボットとジャン・サミュエル・ロッセルが後継者となりました。
1852年にスイスの時計職人コンスタン・ジラールがジラール社を創業しました。2年後にマリー・ぺルゴと結婚した際に二人の名前を合わせたジラール・ペルゴをラ・ショー・ド・フォンを設立しました。1867年にトゥールビヨンがパリの万国博覧会で金賞を獲得。1889年にはスリー・ゴールド・ブリッジ付きトゥールビヨンも金賞を獲得。瞬く間に世界中から注目される時計ブランドとなりました。
1880年以降にヴィルヘルム1世から注文を受け、ドイツ海軍将校用に腕時計を開発しました。2000個が製造され初めて腕時計を商業ベースで展開しましたが、革新的な発想が世の中に受け入れられるのはもう少し後のことでした。1903年コンスタン・ジラール=ガレ・ペルゴが亡くなった父の後継者として経営に携わります。1905年に時計の精密度への永続的な探求心が認められ、当時最も支持された国際時計博覧会の常任審査員に選ばれました。1906年にボット社を買収。ボット社の技術をうまくジラール・ペルゴに取り込みました。
1-2.ヴィンテージ1945やスイス初のクオーツ時計など、多くの銘品を開発
1928年ミモ社の所有者でありドイツの時計師オットー・グラエフがジラール・ペルゴ社の株を買い取りました。2年後腕時計の売り上げが懐中時計を超え、コンスタン・ジラールの先見の明が証明されました。1940年シーホークを発表。ヨーロッパだけでなくアメリカでもたちまち人気となっていきました。
1945年にアールデコからインスピレーションを得てレクタングラーモデルのヴィンテージ1945を発表しました。1966年36,000振動のハイビートムーブメントのジャイロマチックを開発。1967年ヌーシャテル天文台は認定したクロノメーターの70%はジラール・ぺルゴ製だと発表しました。ジラール・ぺルゴの時計の精度の高さが公に認められたこととなりました。
クオーツ時計の開発にも着手しており、1970年にスイスで初めてクオーツ時計の量産体制を整えました。同時期にセイコーのクオーツ時計が普及したため世の中であまり知られていませんが、この時ジラール・ペルゴが決定した32,687ヘルツの周波数がクオーツウオッチの世界規格となっています。1975年当時トレンドにあったスポーツラグジュアリーウォッチをジラール・ぺルゴらしく仕立てた八角形ベゼルとラグ一体化のケースが特徴のロレアートを発表しました。
1-3.1987年建築家、元レーサーのルイージ・マカルーソが社長に就任
1970年代にセイコーのクオーツ時計が一気に普及したことでスイス時計産業が大きな危機となりました。クオーツショックと呼ばれ多くのブランドが経営難や方針転換を余儀なくされました。
ジラール・ぺルゴが1981年に行ったのはむしろ逆で、機械式時計の魅力を多くの人に伝えることで、伝統的な機械式時計の復活を狙うものでした。その一つとしてかつてパリの万国博覧会で金賞を獲得したスリー・ゴールド・ブリッジ付きトゥールビヨン懐中時計のレプリカを20ケ製作しました。1991年に発表したのが創業200周年としてスリー・ゴールド・ブリッジ付きトゥールビヨンの腕時計でした。徹底して複雑系機械式時計を継続しました。
しかし思ったように機械式時計での復活へ進めなかったジラール・ぺルゴの経営難の危機を救ったのは時計販売会社のトラデマでした。トラデマはイタリアとの結びつきが強く、ジラール・ぺルゴのエージェントとしてフェラーリとのコラボレーションモデルの開発を推し進めました。
この時にデザインを担当したのは元レーサーであり建築家、トラデマの社長ルイジ・マカルーソです。彼が打ち出したコラボモデルは大成功し、ジラール・ぺルゴは危機を乗り越えることができました。1992年にルイジはジラール・ぺルゴの社長に就任。翌年の1993年にかつて危機を救ったフェラーリとのライセンス契約を結びました。パートナーシップは1994年から2004年まで続き、後に銘品と言われるスポーツモデルやコンプリケーションモデルを開発しました。
1999年にSIHHに初めて出展し、自動巻きのスリー・ゴールド・ブリッジ付きトゥールビヨンを発表しました。2010年にルイジが亡くなり、息子のステファノ・マカルーソが社長に就任しました。2013年に母体企業の組織改編によってケリンググループ所属になりました。多くのラグジュアリーブランドを擁するコングロマリットで、グッチやボッテガヴェネタが所属しています。2022年ケリンググループは傘下のソーウインドグループへジラール・ぺルゴとユリス・ナルダンを売却しています。ソーウインドはかつてルイジ・マカルーソが創設したグループで、再びルイジの元に帰ってきたとも言える出来事です。
2.ジラール・ペルゴの魅力
2-1.創業以来持ち続けるマニュファクチュールへのこだわり
ジラール・ペルゴは創業以来マニュファクチュールにこだわっている世界的にも貴重なブランドです。マニュファクチュールを宣言するブランドは数多くありますが、時計を構成する部品は時に数百となるため、外部に頼るブランドも多いです。
しかしジラール・ペルゴは基となるボット社から始まった歴史においても、自社内であらゆる部品の製作を行い、ムーブメントの開発を日々進めています。クオーツムーブメントにおける水晶振動子の周波数の世界標準をつくったのもジラール・ペルゴであり、語り草となるスリーブリッジトゥールビヨンの開発と腕時計化など複雑系ムーブメントは得意分野と言えるでしょう。また、現行ではブリッジシリーズに見られるラエスメラルダやコスモスといった特別モデルなど、新しい機能の開発にも余念がありません。
2-2.日本の時計史に深くかかわっている
日本に初めて上陸したスイス時計ブランドはジラール・ぺルゴです。ジラール・ぺルゴがパリの万国博覧会で金賞を獲得するより少し前の1860年に販路を広げるため、世界中を旅していました。訪れたのはコンスタン・ジラールの義理の弟となるマリー・ぺルゴの弟であるフランソワ・ぺルゴでした。当時まだ日本はスイスとの国交がなかったため、フランス人と名乗り懐中時計を携えて上陸しました。
当時スイス時計の市場として未開拓だった日本を見てフランソワは可能性を感じ、4年後の1864年横浜の外国人居留地(現在の横浜中華街)に商館を設立。ジラール・ペルゴをはじめ清涼飲料水などの販売をスタートしました。日本でジラール・ペルゴの歴史、スイス時計の歴史が始まったのは横浜でした。
同年2月に日本とスイスの修好通商条約が締結され、正式な国交が樹立したのはフランソワの尽力があったからこそ。しかし1877年に商館が火事となり、心労からフランソワは亡くなってしまいました。日本にスイス時計を伝えたフランソワへの感謝を伝えるため、今でも12月18日の命日には横浜外人墓地で追悼セレモニーを催しています。
2-3.ヴィンテージとモダンが融合した世界観をもっている
ジラール・ペルゴは歴史を大事にしているブランドです。ヴィンテージ1945、1966などブランドにとって重要な出来事がそのままシリーズ名として採用されています。他にもロレアートについてもデザインについても初代モデルから大きな変更点はなく、当時の世界観がそのまま残されています。
逆にシーホークは初出のヴィンテージな3針デザインから複数の機能を搭載した最新のデザインまで幅広いシリーズです。防水性に重きをおいている分、ヘリウムエスケープメントバルブや逆回転防止ベゼルなどのデザインをある程度決めてしまう機能を搭載せざるを得ない場合は柔軟に反映しています。
デザインはシリーズごとにヴィンテージとモダンのチューニングがなされており、オリジナルデザインに敬意を払いつつも、機能性も重要視されているのが分かります。ムーブメントは最新の技術が反映されており、ヴィンテージな世界観と最新の機能が上手く同居されています。
3.ジラール・ペルゴの代表シリーズ
3-1.ヴィンテージ1945
ヴィンテージ1945は1945年にアールデコからインスピレーションを得て開発されたシリーズです。アールデコはフランス語で「装飾美術」を意味し、アールヌーボーに代わり1910年代半ばから1930年代にかけて流行したムーブメントで、幾何学図形をモチーフにした直線形デザインが特徴です。ヴィンテージ1945はまさに直線的なデザインで構成されており、ケース、ベゼル、プッシュボタン、ラグ、インダイヤルは直線的で角ばっています。
シンプルな3針、クロノグラフ、ビッグデイト、ムーンフェイズなど複数の機能で展開されており、トノー型の時計に見られるオールアラビアインデックスやドーフィン針やリーフ針など幅広いデザインが見られます。直線的な印象を与えつつも実際に着けるときには、裏蓋には手首に沿うカーブが施されており、硬くて使いにくいような印象はありません。古き良き時代の感性を思いを馳せながら研鑽された最新の技術を安心して使うジラール・ぺルゴを象徴するシリーズの一つです。
また、ロレックスやパテックフィリップなどのブランドと比べると資産価値は劣ってしまいますが、ヴィンテージ1945の評価がブランド自体の評価にそのまま直結するといわれているので、ジラールペルゴの中ではかなり重要な位置に立っているモデルとも言えます。状態や年代にもよりますが、2000年代のモデルであれば中古価格はおおよそ30万円台前後となっているので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。
3-2.ロレアート
ロレアートは1975年にトレンドとなっていたスポーツラグジュアリーウォッチとして開発されました。イタリア人建築家である、アドルフォ・ナタリーニ氏がデザインを手がけており、同時期に発表されたオーデマ・ピゲのロイヤルオークやパテック・フィリップのノーチラスを彷彿とさせつつ、独自の雰囲気をもっています。ケースとラグが一体化したデザインや八角形ベゼルなど共通するデザインを持ちつつも、ベゼルは二段式になっており上段に八角形、下段に円形で立体的になっています。
初出は1975年ですが、クオーツショックの影響もあってかあまり売り上げは振るわず。その後何度か復活したもののいまいちでしたが、2017年にレギュラーモデル化を果たします。中三針かクロノグラフをベースに、追加されたロレアートアブソルートはチタンケースの採用やワールドタイム機能の追加などロレアートの世界観は守りつつ、近代的な技術やデザインで再解釈しています。
中にはスケルトン文字盤でムーブメントの動きを見ることができる限定モデルも。世界的にも珍しい真のマニュファクチュールならではのムーブメントの仕上げや設計の妙を楽しむことができる希少なモデルです。
3-3.キャスケット2.0
キャスケット2.0はジラール・ペルゴの中でもかなり異色なシリーズです。元々ムーブメントの開発に長けていましたがクオーツムーブメントまで優秀で、ジラール・ペルゴが発表した水晶振動子の周波数が今や世界標準となっています。そんなクオーツムーブメントのCal.395を搭載し、小さなLEDディスプレイで時刻を表示するキャスケットが発表されました。1976年から1978年にかけて製造されており、売れ行きは好調だったものの合計で8200本しか生産されませんでした。
キャスケット2.0は2022年にバージョンアップして発表されました。復刻をベースとしながらも、ケースの材質は当時のマクロロン(ポリカーボネイト)からブラックセラミックへ、機能も時刻表示だけのシンプルなものから曜日・月・年表示、クロノグラフ、第2時間帯が追加されたマルチファンクションとアップデートされています。限定本数820本はあっという間に売り切れてしまいました。2023年にはファッションブランドのサン・ローランとのコラボモデルを100本限定で発表するなど、復刻後の勢いが止まりません。
3-4.1966
1966は1960年代の機械式時計の全盛期に敬意を表す思いで製作されたシリーズです。1966年にヌーシャテル天文台100周年記念祭での賞の授与を契機に誕生しており、技術の高さやミニマルなデザインが反映されています。
薄型に仕上げつつ側面に丸みを持たせており、ジラール・ペルゴが最初に取り組んだ懐中時計を彷彿とさせるシルエットです。装飾を排除したミニマルなデザインの中に細身のリーフ針やテーパーがとられたインデックスなど、ディテールにこだわっているのがよくわかります。
全体的に落ち着いたデザインですが、3針のドレスウォッチからムーンフェイズ・日付表示を備えた実用さに優れたモデル、グラデーションをかけたスモーキー文字盤、ダイヤモンドをベゼルいっぱいにセットしたモデルなどバリエーション豊か。スポーティーにブラックモデルも選べるため、いわゆるドレスウォッチラインよりも幅広い楽しみのあるシリーズです。
3-5.コンペティツィオーネ
コンペティツィオーネは1990年代に発表されたフェラーリコレクションを彷彿とさせるクロノグラフを搭載したスポーティーなシリーズです。ジラール・ペルゴを復活させたルイジ・マカルーソが元レーサーなのもあり、ジラール・ペルゴにとってクロノグラフやレースにちなんだシリーズはブランドを象徴する一つの意匠です。
コンペティツィオーネは1960年代のクロノグラフからインスピレーションを得たとされており、最新の技術で組み上げられつつもレトロな雰囲気を感じるデザインです。2016年に発表されたモデルはコンペティツィオーネ ストラダーレと名付けられており、イタリア語でコンペティツィオーネは「競技」、ストラダーレは「道路」を意味しています。
針は文字盤を邪魔しないシンプルなバーハンド、白文字盤・黒文字盤が展開されていますが、白・黒・赤のカーレースを想起させるカラーリングを採用しており、最新の技術による美しさと往年のクロノグラフから感じる風格の両方を兼ね備えたデザインです。
3-6.シーホーク
シーホークはジラールペルゴ唯一のダイバーズウォッチシリーズです。1940年頃から展開されているシリーズで、非防水の時計が多かった中で裏蓋をスクリューバックにすることで防水性を高めたことから始まりました。ロングセラーシリーズのため幅広いデザインで展開された歴史があり、ペプシカラーベゼルのモデルなど、後述するトラベラーと一見区別がつきにくいモデルも存在します。
現在では本格派ダイバーズウォッチとして、オーバースペックともなる防水性を発揮したモデルを次々と発表しています。ヘリウムエスケープメントバルブやねじこみリューズを採用した1000m防水やバルブを2か所着けることで3000m防水を備えたモデルも。
オレンジやネイビーを基調と視認性を上げたり逆回転防止ベゼルなど、多くのブランドが採用するデザインを踏襲しつつも、独自の文字盤やレイアウトでジラール・ペルゴ独特の世界観もしっかり主張されているシリーズです。
3-7.クロノホーク
クロノホークはスポーツラグジュアリーウォッチのロレアートをスポーツ寄りに仕上げたようなデザインが特徴です。ベゼルが2段階になっており上段はラウンドですが、下段にケース埋め込みされつつ八角形のシルエットがハッキリ見えます。ラグとケースが一体化されており、ブレスレットかラバーストラップが採用されています。
クロノグラフとセットになっており、多くがツーカウンターで展開されています。四角形のプッシュボタンやねじ込みリューズ、セラミックを組み合わせたケースなど、ジラール・ペルゴのクラシックとトレンドのスポーツラグジュアリーがうまく同居したデザインとなっています。ピンクゴールドケースと組み合わせたモデルも展開され、富裕層向けにも選びやすいデザインに広がってきています。
3-8.トラベラー
トラベラーは名前の通りワールドタイムやGMT機能を搭載したシリーズです。1966のようなスマートさではなく、ラグ幅広めのがっちりしたケースデザインが特徴です。ブレゲインデックスやレイルウェイ、アラーム機能など幅広いデザインや機能でくくられており、これがトラベラーとデザインでの区分けは一見難しいです。トラベラー2も展開されており、ケースデザインが必ずしも固定されていないのも複雑にしています。ペプシカラーに黒文字盤、ストレートの細身のラグのトラベラーもあります。
唯一あるとすればワールドタイムかGMT機能を搭載していること。ヴィンテージモデルから最新の技術で当時のデザインを再現したモデルまで、幅広い展開で、ロングセラーとなっているシリーズです。
3-9.ブリッジ
かつてジラール・ペルゴがパリ万国博覧会で金賞を獲得したスリーブリッジトゥールビヨンを基とする複雑系シリーズです。1991年に開発された腕時計に仕立てたスリーブリッジトゥールビヨンが始まりで、文字盤を横断するように立ち上がるブリッジはトゥールビヨンの複雑な動きの軸を支えるブリッジも兼ねています。
バリエーションが豊富で、元祖となるスリーブリッジトゥールビヨンに最も近いのはラエスメラルダ、もしくはトゥールビヨン。トゥールビヨンはスケルトンや機構部品を少なく、見えなくしたフライング、似たコンセプトで浮いているかのように見せつつサファイアクリスタルで透明感を強調したクエーサーなどが現行でも展開されています。複雑系とする括りで地球儀と天球儀を搭載したコスモスやミニッツリピーターなど、オリジナリティのある複雑機能を有した時計を次々と開発しています。
3-10.キャッツアイ
キャッツアイはその名の通り猫の瞳に似たオーバルケースが特徴のレディースウォッチです。縦と横の2種類に分かれており、横ではスモールセコンドやデイ&ナイトのシンプルな機能をマザーオブパールやアベンチュリンの華やかな文字盤を、縦ではレディースウォッチでは珍しいトゥールビヨンやジラール・ペルゴを代表するスリーブリッジトゥールビヨンをミニチュアにしたような複雑モデルが展開されています。縦型ではベゼルにダイヤモンドをふんだんに使い、可憐な美しさも同時に楽しめます。
現行ではプラム、蓮、ジャスミンの花のモチーフが飾られているモデルが注目されています。夜明けの蓮の開花と日暮れのアラビアンジャスミンの開花は、無限のサイクルや瞑想のための空間、そして独自のリズムを整える美しさを意味しており、時刻表示としての機能だけでなく日々の過ごし方を考えるパートナーとなっています。
4.ジラール・ペルゴの時計を着けている有名人・芸能人5選
4-1.お笑い芸人 上田晋也さん Ref.49850-11-171-0
お笑い芸人の上田晋也さんが着けているのはRef.49850-11-171-0です。上田さんは時計愛好家として知られており、パテックフィリップやフェラーリ、ガガミラノなど正統派スイス時計と派手な時計の両方を持っています。
Ref.49850-11-171-0は世界主要都市が描かれた文字盤外側のリングと24時間表示が描かれた内側のリングで都市別に時刻が一目で読み取れるワールドタイマーです。1861年に初めて高級時計が持ち込まれたことを記念して製作されたモデルで、持ち込んだフランソワ・ぺルゴを讃えています。通常のワールドタイマーでは東京の時刻を示しますが、フランソワ・ぺルゴが埋葬されている場所にちなんで、横浜が採用されています。
短めのリーフ針と小さなスモールセコンド、パワーリザーブを表示しており、慎ましやかな印象です。複雑系ではありませんが多機能を備えたような威厳をもつ日本限定250本のモデルです。
4-2.元フランス大統領 サルコジさん 1966 アニュアルカレンダー Ref. 49538-53-133-BK6A
元フランス大統領 サルコジさんが着けているのは1966 アニュアルカレンダー Ref. 49538-53-133-BK6Aです。サルコジさんはロレックスデイトナやブレゲなど高額品を中心に所有している時計愛好家です。大統領時代には特に品格を求められるため、ブランドの格の高さも選定する際の基準になっていると思われます。
Ref.49538-53-133-BK6Aは機械式時計の全盛期の1960年代に敬意を表した1966シリーズの一つで、正統派スイス時計の代表格といった印象です。2/28のみ日付調整が必要なアニュアルカレンダーを搭載したモデルで、無駄がなく機能的。2時位置に日付、5時位置にパワーリザーブ、7時位置に内部のリングが回転することで今の月がわかる月表示、9時位置にスモールセコンドとなっています。緩急をつけるため配置を少しズラしたり、インダイヤルの大きさに差をつけたりしています。
装飾を排除し機能美を感じるシンプルなデザインで、インダイヤルやレトログラードで4つも表示していますが、文字盤の印象はいたってシンプル。インデックスも最低限に抑え、ロゴの表示もバランスのためにズラしており、一見わかりにくいですが微細なバランス調整がされた文字盤です。
4-3.俳優 水谷豊さん ヴィンテージ1945 Ref.25835-11-121-BA6A
俳優 水谷豊さんが着けているのはヴィンテージ1945 Ref.25835-11-121-BA6Aです。水谷さんは多くのブランドの時計を着けていますがトノーかスクエアケースにこだわっているようです。ハミルトン、セイコー、フレデリックコンスタントといった幅広いブランドを選んでいますが、そのいずれもトノーもしくはスクエアケースです。
Ref.25835-11-121-BA6Aはジラール・ペルゴを代表するシリーズの一つで、スクエアケースが特徴です。オールアラビアのブレゲインデックス、レイルウェイ、剣針とクラシックにまとまっています。9時位置のスモールセコンドはインダイヤルの中心が窪んでおり、その上を秒針が動きます。植字のインデックスやインダイヤル、日付表示の小窓など、立体感がしっかり表現されています。
4-4.俳優 桐山漣さん ロレアート クロノグラフ Ref.81040-11-131-BB6A
俳優 桐山漣さんが着けているのはロレアート クロノグラフ Ref.81040-11-131-BB6Aです。桐山さんはこれ以外ではシチズンやムーブメントインモーションなど、カジュアルな時計を多く着けています。ジラール・ペルゴは唯一の高級時計でした。
Ref.81040-11-131-BB6Aは1970年代に人気を博したスポーツラグジュアリーウォッチで、八角形とラウンドを組み合わせた特徴的なベゼルデザインが魅力です。文字盤いっぱいに彫り込まれたギョーシェ、螺旋状に溝が刻まれているインダイヤルと見た目のインパクトが強いデザインに仕上がっています。防水性は100mを確保しておりねじ込み式のリューズ、プッシュボタンを採用しています。青のペンシル針、インデックスだけ色が違うため一見浮いていますが、視認性を確保するためやむなしといった印象です。
4-5.お笑い芸人 ケンドーコバヤシさん ロレアート 創業225周年記念モデル Ref.81000-11-431-11A
お笑い芸人 ケンドーコバヤシさんが着けているのはロレアート 創業225周年記念モデル Ref.81000-11-431-11Aです。ケンドーコバヤシさんは時計愛好家として知られており、ロレックスやハミルトンなど特徴的でスポーティーなデザインを好んで着けているようです。
Ref.81000-11-431-11Aは2016年に創業225周年記念として限定生産されたモデルで、225本限定となっています。時計自体はスタンダードで使いやすくなっており、文字盤にはクル・ド・パリ装飾が施されており、凹凸による光の反射や技巧の美しさが引き立ちます。機能はシンプルな3針で、自社製ムーブメントのCal.GP0300-0030を裏面から楽しむことができます。
5.ジラール・ペルゴのおすすめモデル5選
5-1.ヴィンテージ1945 Ref.25990.0.11.6786
ヴィンテージ1945 Ref.25990.0.11.6786はアールデコに影響を受けて開発されたレクタングラーモデルです。幾何学図形をモチーフにした直線形のデザインで出来上がっており、ケースだけではなくプッシュボタン、ラグ、ベゼル、裏蓋と目に入るデザインのほとんどが四角で構成されています。
黒文字盤にインデックス、インダイヤル、ミニッツレールはゴールドで描かれており、エレガントさとヴィンテージの雰囲気を強く感じさせます。針は中抜きしたリーフ針で、軽めな印象。クロノ針と頂点のミニットインデックスは控えめな赤が採用されており、要所で独自のデザイン・世界観を感じる一本です。
5-2.フェラーリ クロノグラフ Ref.8020
フェラーリ クロノグラフ Ref.8020は高級車ブランドのフェラーリとのコラボレーションモデルです。ジラール・ペルゴを窮地から救ったとされるルイジ・マカルーソが元レーサーだったこともあり、1997から2004年にパートナーシップを結んでいる際に製作されたモデルです。文字盤と裏蓋にはブランドの象徴の跳ね馬のエンブレムを見ることができます。
時計はしてはシンプルなクロノグラフモデルで、横3つ目の黒文字盤となっています。3時位置にスモールセコンド、6時位置に12時間積算計、9時位置に30分積算計となっています。針とインデックスは夜光処理されているため視認性が高く、スポーティーなデザインによくマッチしています。丸いプッシュボタンは流線形のフェラーリの世界観に合わせているかもしれません。
5-3.1966 ラージデイト & ムーンフェイズ Ref.49556-52-1832BB4A
1966 ラージデイト & ムーンフェイズ Ref.49556-52-1832BB4Aは1966年のヌーシャテル天文台でジラール・ペルゴの時計が評価されたことに敬意を表す思いで製作されたシリーズです。伝統的なスイス時計のドレスウォッチで、多くのブランドで採用されているデザインと似ていますが、昔ながらのスイス時計とはこういう時計、をよく表しています。
Ref.49556-52-1832BB4Aはネイビー文字盤、12時位置にビッグデイト、6時位置にスモールセコンドとムーンフェイズの使い勝手のよい機能がまとまっています。バーインデックスは植字とプリントを組み合わせ控えめなデザインに。文字盤の端が沈み込むボンベ型になっており、細身のリーフ針は追いかけるように先端が曲げられています。立体感を見せつつ、時刻読み取りが正確にできる機能的でデザイン性にも優れた工夫です。
5-4.コンペティチオーネ ストラダーレ Ref.49590-11-611-11A
コンペティチオーネ ストラダーレ Ref.49590-11-611-11Aはコンペティツィオーネは「競技」、ストラダーレは「道路」を意味しているカーレースからインスピレーションを得て開発されています。ジラール・ペルゴを復活させたルイジ・マカルーソが元レーサーなのもあり、歴史や敬意を語る上でも重要な意味をもっています。
Ref.49590-11-611-11Aは黒文字盤の3つ目クロノグラフで、3時位置にスモールセコンド、6時位置に12時間積算計、9時位置に30分積算計のインダイヤルが配置されています。スモールセコンドとクロノ針は赤色となっており、視認性がしっかり確保されているのがわかります。白・黒・赤のレースカラー3色で構成されており、スタンダードでクラシックなデザインの中にスポーティーな世界観が仕込まれています。
5-5.ロレアート グリーンセラミック
アストンマーティン エディション Ref.81005-32-3080-1CX(2023年新作)
ロレアート グリーンセラミック アストンマーティン エディション Ref.81005-32-3080-1CXは高級車ブランドアストンマーティンとのコラボモデルで、2023年の新作です。アストンマーティンとは2021年からパートナーシップを結んでおり、既に3本のコラボレーションモデルが発表されています。
特徴的なグリーンカラーをまとったセラミックケースを採用しており、経年劣化や色褪せが起こりにくくなっています。軽量でアレルギーを起こしにくいのも魅力です。ジラール・ペルゴはアストンマーティンの軽量さへのこだわりにインスピレーションを得て、スケルトン仕様のバトン針を採用しています。文字盤は斜めに交差するクロスハッチパターンで、軽量さや1921年頃のロゴに見られるダイヤモンドなど、アストンマーティンフリークが楽しめそうな要素です。
6.まとめ
ジラール・ペルゴの歴史、魅力、代表シリーズ、ジラール・ペルゴの時計を着けている有名人、人気モデルについてまとめました。マニュファクチュールへのこだわりや日本との関わりなど、日本で高い人気となるのも納得できるのではないでしょうか。もし街中でジラール・ペルゴの時計を見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。