カール・F・ブヘラという高級時計ブランドをご存知でしょうか。スイスにある高級宝飾店ブヘラが発祥の長い歴史をもつブランドです。宝飾店で得た人気モデルのデザインやモデルの情報・マーケティングを元に、時代にあった人気シリーズを次々と発表しています。一族経営を続けており、コングロマリットに所属しない独立系としても評価の高いブランドです。この記事ではカール・F・ブヘラの歴史、魅力、シリーズ、着用している有名人、人気モデルについてまとめました。
1.カール・F・ブヘラの歴史
1-1.1888年カール・フリードリッヒ・ブヘラによりスイスルツェルンで創業
1888年カール・F・ブヘラ(当時ブヘラ)はスイスのルツェルンに宝飾品と時計を扱う最初のブティックをオープンしました。カールには息子が2人いましたが、1人は時計職人、もう1人は金細工職人の技を磨き、ゆくゆくは会社を継ぐ意志を持っていました。
19世紀末は懐中時計が主流でしたが、先見性をもつカールは近い将来に腕時計に置き換わっていくのを感じていました。1919年レディースウォッチコレクションを発表しました。当時としては画期的なストラップを採用したモデルでした。このころ2人の息子が会社で働き始めました。
1950年代にはインダイヤル、タキメーター、ビッグデイトを備えたクロノグラフを開発しています。視野を外側へ向ける機会が増え、海外の時刻を一目で知ることのできるワールドタイマーが人気となり開発されました。
1968年までに約15000ケの高精度認定されたクロノメーターを製造したことで、世界3大クロノメーターメーカーとして知られるようになりました。1976年には3代目となるヨルク・G・ブヘラ(現取締役会長)が会社を引き継ぎました。
1-2.2001年ブランド名をカール・F・ブヘラに変更
2001年にブランド名をカール・F・ブヘラへ変更し、改めて時計メーカーとしての道を進みました。同年、スイスクロノメーター認定されたムーブメントを搭載し、3つのタイムゾーン表示を持つパトラビトラベルテックを発表しました。2005年にはモノプッシャー機構の特許を申請しています。2002年には生産拠点をニダウからベルンのレングナウへ移転しました。より大きな生産拠点を求めたものでした。
1-3.2008年ペリフェラルローターを改良した自社製ムーブメントを開発
2007 年にスイスのサント クロワにある Téchniques Horlogères Appliquées を買収し、Carl F. Bucherer Technologies として技術を取り込みました。この買収により、独自のムーブメント、追加機能用のモジュールの開発技術を獲得しました。
翌年、ムーブメントの外周を両方向に回転するペリフェラルローターを搭載した自社製ムーブメントCal.CFB A1000を発表、パトラビエボテックとマネロパワーリザーブへ搭載されました。2016年にはフリースプラング化されたムーブメントの耐衝撃性能を上げるために振動数を上げたCal.CFB A2000をスイスクロノメーターにも対応しつつ開発。
2018年新たにCal.CFB T3000を開発しました。まるで浮いているかのようなトゥールビヨンを備えたムーブメントとしてマネロ トゥールビヨン ダブルペリフェラルへ搭載されました。2021年にはマネロ ミニッツリピーター シンフォニーが発表されました。特許取得済みの 3 つの技術(ペリフェラルローター、フローティングトゥールビヨン、ミニッツリピーターコンプリケーション)が搭載されているCal.CFB MR3000を備えており、現在のカール・F・ブヘラの最高技術が詰まったモデルです。
2.カール・F・ブヘラの魅力
2-1.高級宝飾店時代のノウハウが活かされた商品展開
カール・F・ブヘラは元々高級宝飾店ブヘラがルーツで、様々な老舗高級時計ブランドを取り揃えています。パテック・フィリップといった雲上時計や世界的に人気のロレックスなど幅広いブランドの時計を揃えています。
宝飾店を運営していくことで、人気ブランドのデザインや機能といったデータを集めることができます。つまりどんな時計が売れるかのデータを持っている状態で時計をつくることができます。例えば白文字盤は青文字盤よりも黒文字盤よりも売れる、クロノグラフはワールドタイムより売れるといったデザイン・機能・テイストの人気さの膨大なデータが蓄積されています。
そのため、カール・F・ブヘラは迷いがなく、絞り込まれ狙いすましたシリーズ展開を行います。スイス時計の得意とする王道のクラシックスタイル、ドレスウォッチ、古き良き時代の時計を思い出させるヘリテージといった洗練され無駄のないラインナップです。
また、自社製ムーブメントを開発する際にも1955年6月6日にジュネーブでPaul Gosteliが特許を取得したペリフェラルローターを選定しています。かつてパテック・フィリップが開発を進めた歴史とポテンシャルを真に理解していたのも、ビッグデータを得ることができる宝飾店ならではといえます。
2-2.一族経営を継続しており、方針にブレがない
カール・F・ブヘラは1888年創業して以来、同族経営を続けており、現在は3代目となるヨルク・G・ブヘラが取締役会長となっています。
一族経営を続けているというのは高級時計ブランドにとっては大きな意味をもっています。それはクオーツショックを自社ブランドだけで乗り越えたということ、そしてコングロマリットに買収されずに済んだことでブランドの方針・展開に一貫性をもたせることができることです。
カール・F・ブヘラは元々宝飾店を経営していたこともあり、メーカーとしての経営難を助け合うことができていたと言われています。また、宝飾店でのデータをメーカーとして使うことで、人気モデルを狙い撃ちできるスタイルも健在です。オーナーが短期間で変わるブランドは良くも悪くも変革を繰り返しますが、一族経営のカール・F・ブヘラは変わらずに今のスタイルを貫く姿勢が人気を呼んでいます。
2-3.ペリフェラルローターを現代的に進化させた技術力
カール・F・ブヘラが自社製ムーブメントを発表したのは2008年でしたが、開発の決断自体は2005年の出来事でした。自社製ムーブメントを開発するとき、ムーブメントメーカーに依頼するか、自社で開発するかのどちらかになりますが、カール・F・ブヘラは自社で開発する選択をしました。それはコスト・時間・技術など様々な投資が必要になりますが、他社にはない製品の開発を行うことができるメリットを見込んでのものでした。
というのも自社製ムーブメントの開発にあたって、下記のことが定義されています。
「古典的な調速機構やスイス式レバー脱進機、受け石を使用した輪列など、伝統的であるが故に信頼性の高い技術を採用すること。ブリッジやその他の部品を十分に鑑賞できる進歩的な設計のキャリバーであること。付加機能を追加できるようなプラットフォーム的機能を有するムーブメントであること。信頼性が極めて高く、ベースムーブメントとして半工業的な製造が可能であること」
これを実現するために、それまでカール・F・ブヘラに協力していたTéchniques Horlogères Appliquéesを買収することで、技術力のレベルアップを図ったのでした。元々厚く協力してくれていたメーカーをわざわざ買収してでも進めたかった独自性のある自社製ムーブメントの開発は2008年に形となり、ブランドの技術力の高さを証明するものとなっています。
3.カール・F・ブヘラの代表シリーズ
3-1.マネロ
マネロとは手で動かすものという意味のラテン語「manuria」が由来のカール・F・ブヘラを代表するシリーズです。カール・F・ブヘラの強みである人気モデルのテイストやデザインのアーカイブによって、スイス時計の原点ともいえるクラシックなデザインに仕上がっています。
例えばパテック・フィリップのカラトラバやジャガールクルトのマスターのような装飾性を抑え時計の本質に近づくような美しさ、機能美といった雰囲気を目指しているのがマネロです。シンプルでトレンドに左右されない普遍的な美しさをもっており、機械式時計の最盛期である1950年代の時計を思わせます。
ブランドの屋台骨となっているシリーズで、シンプルな3針から自社製ムーブメントを搭載した最新のトゥールビヨンなど、幅広く展開されています。ミニッツリピーターやパーペチュアルカレンダーなど、複雑機能を搭載したモデルもマネロで展開されています。
3-2.パトラビ
パトラビは古代ギリシア語で「私は成し遂げた、成功した」という意味が由来です。カール・F・ブヘラのラグジュアリースポーツウォッチ全般を一手に引き受けているシリーズがパトラビです。目盛りが付いた回転ベゼルと夜行処理された太い針でダイバーズウオッチとしてのスキューバテック、3つのタイムゾーン表示とクロノグラフを搭載したトラベルテックを主とし、トノーケースのクラシックなモデルも存在しています。
スキューバテックは500m防水、ヘリウムエスケープメントバルブなど本格ダイバーズウォッチを備えつつクロノメーター認定による高精度が特徴です。裏ブタにはマンタを保護するNPO団体「マンタトラスト」の活動を支援する証として2匹のマンタが刻印されています。また、スキューバテックのブルーはカール・F・ブヘラの故郷であるスイスのルツェルンの州旗をモチーフにしています。
トラベルテックは3つのタイムゾーン表示とクロノグラフを搭載しています。最近ではハイテクセラミック製のベゼルやブラックDLC加工といった最新の素材の採用やビタミンカラーの展開などこれまでになかったデザインや素材へのチャレンジがさかんなシリーズです。
ブランド初の自社製ムーブメントを搭載したパトラビエボテックの発表は業界を驚かせました。ペリフェラルローターを原動力とする新型ムーブメントを搭載したパトラビは伝統的なクッションケースを採用していますが、デザインは現代的なニュアンスにまとまっています。正方形ともラウンドとも違うケースデザインはクラシックなのに独自性を感じさせます。
現行ではマネロの一部モデルにのみ搭載されている最先端のムーブメントですが、最初の発表時にパトラビが選ばれたのは、ブランドにとってはマネロに続く2つ目の柱となる存在だと考えていたのではないかと思われます。
3-3.ヘリテージ
ヘリテージはブヘラの真髄となる伝統的なスイス時計の銘品を復活させたようなシリーズ展開です。実際、1919年からオリジナルウォッチを製造しているブヘラのアーカイブには多くのアンティークウォッチが保管されており、銘品のデータには事欠かない環境です。現在は主にバイコンパックス(ツーカウンター)のアニュアルカレンダーモデルでの展開を拡大しており、トゥールビヨン搭載モデルも発表されています。どのモデルも限定生産本数での展開です。
どこかレトロでレーシーなデザインは1950〜1960年代の機械式時計の最盛期に人気だったクロノグラフがベースになっています。2022年新作は16都市のホームタウンにちなんだカラーリングの文字盤と特徴的なランドマークが裏ブタに刻印されています。カール・F・ブヘラにとってのホームタウンはルツェルンですが、北京やパリ、ニューヨークなどそれぞれのユーザーが郷愁を感じるモデルを楽しむことができるようになっています。それぞれの文字盤にはイメージカラーが採用されており、ニューヨーク:グリーン、東京:ミント、バーゼル:バーガンディなど、世界の16都市ごとに設定されています。通常のワールドタイムの都市とはまったく違う都市が選定されており、公式HPでは「別の街のホームタウンエディションを注文」とあり、HPには掲載のない自分にとってのホームタウンエディションをオーダーすることが可能なようです。
3-4.アダマビ
「喜びを覚える」「好きになる」というラテン語「アダマレ」に由来するアダマビは伝統的なスイス時計をルーツにもつ、昔ながらの時計を継承する意志を感じさせるシリーズです。全体的にクラシックでコンサバなデザインで、シンプルなインデックスや細めのドーフィン針、ケースに垂直に配置されたラグなど、どちらかといえば淡白で、時計を道具としてとらえるような雰囲気のシリーズです。
2022年の新作を他シリーズと比べてみても一目瞭然で、マネロやパトラビがトレンドに乗ったカラーバリエーションでの展開やパートナーシップによる記念モデルを発表したのに対し、アダマビはフルカレンダー(トリプルカレンダー)モデルを発表しています。流行に左右されずに伝統を継承し続ける硬派なシリーズ展開を貫いています。
とはいえ、これまでの宝飾店での販売実績データが最も反映されるのが、こういった昔からあるデザインの展開です。ブランドとしては自信をもって絞り込んだ展開をしていると考えられます。いい意味で期待通りの展開をしてくれるため、他の機能やデザインでの広がりが楽しみなシリーズです。
3-5.アラクリア
ギリシア語で「情熱」を意味するアラクリア。最も特徴的なのは、サイドが緩やかなカーブを描くスクエアケースです。ケースに一体化し丸みを帯びたラグ、主に曲線でできたシルエットで裏蓋は手首に沿ったカーブがかかっており、独特なデザインだけでなく着用感にも優れています。
縦のベゼルにダイヤモンドがセットされているモデルや、マザーオブパールを使った文字盤などシンプルで実用差を失わないようにしながら、ラグジュアリー感を引き出しています。ラグ幅がケースサイズに近くなっており、メタルブレスレットはステンレスとゴールドのコンビもあるため、まるでブレスレットを着けているかのようなデザインです。
3-6.パトス
パトスはギリシャ語で情熱をあらわしています。パトスの特徴はレースのような繊細な装飾で、モデルによって文字盤の見返し部とケースサイドを覆うように施されています。繊細で高貴な印象の装飾で、伝統的なデザインを見たときの上品さとオリジナリティーが同居しています。
文字盤はサンレイやマザーオブパールが主で、機能はシンプルな3針のみとなります。インデックスはアラビアとローマ数字が使い分けられています。ダイヤモンドで時計全体を埋め尽くしたモデルも発表されており、シンプルなラグジュアリーウォッチとダイヤモンドのブレスレットのようなモデルと大きく分かれています。
4.カール・F・ブヘラを着けている芸能人・有名人5選
4-1.俳優 三浦翔平 マネロペリフェラル Ref.00.10917.08.33.21
俳優 三浦翔平さんが着けているのはマネロペリフェラル Ref.00.10917.08.33.21です。三浦さんは時計愛好家で、複数のブランドの時計を所有しています。ロレックスデイトナやゼニスエル・プリメロ、オメガスピードマスターなどクラシックさが垣間見えるスポーツウォッチを好んでいるようです。
Ref.00.10917.08.33.21はカール・F・ブヘラの技術の粋を集めたペリフェラルローターが採用された自社製ムーブメントCal.CFB A2050を搭載しています。シャープな印象のドーフィン針と楔形インデックスの黒文字盤なので、端正なドレスウォッチとなっています。つや消しのマットな黒文字盤でクセがなく、トレンドに左右されないデザインです。
4-2.俳優 香川照之 パトラビT-24 Ref.00.10612.08.33.21
俳優 香川照之さんが着けているのはパトラビT-24 Ref.00.10612.08.33.21です。香川さんは時計愛好家で知られており、ロレックスコスモグラフデイトナやオメガシーマスターアクアテラといったクラシカルでスポーティーなモデルを好んで着けているようです。
Ref.00.10612.08.33.21は36☓39mmサイズケースのパトラビでトノー型モデルです。12時位置にはGMT針と24時間計となったインダイヤル、3時位置に日付表示、6時位置にパワーリザーブ表示となっています。代表的な都市ごとの標準時からの時差を調べて時差分ズラして設定しておくことで、第二時間帯の時刻も同時に知ることができます。黒文字盤、バーインデックスのシャープな印象のデザインです。
4-3.俳優 別所哲也 マネロオートデイト Ref.00.10908.08.13.01
俳優 別所哲也さんが着けているのはマネロオートデイト Ref.00.10908.08.13.01です。別所さんは時計愛好家として知られており、ジャガールクルトやシチズンなど多くの時計を着けています。ジャガールクルト、カール・F・ブヘラブティック銀座のトークショーに参加するなど、多くの時計イベントに参加しています。
Ref.00.10908.08.13.01はマネロの日付表示付き自動巻きのシンプルなモデルです。楔形のインデックスや文字盤中央とインデックスにかけての円で文字盤の仕上げを変えるなど、王道のクラシック時計です。映画「ジョン・ウィック」で主演のキアヌ・リーヴスが着けていたこともあり、長く人気の高いモデルです。
4-4.俳優 ジョー・マンテーニャ パトラビトラベルテック Ref.00.10620.12.33.21
俳優 ジョー・マンテーニャさんが着けているのはパトラビトラベルテック Ref.00.10620.12.33.21です。ジョーさんはフォルティスの時計を着けてドラマに出演していたようで、愛用していたようです。
Ref.00.10620.12.33.21は3つの時間帯を表示できるパトラビ。ケース・ブレスレットはブラックDLCコーティングが施されており、傷がつきにくくなっています。10時位置のプッシュボタンを押すことでインナーリングをまわすことができます。ケースバックには都市名と時差が刻まれており、何時間ずらすのかを設定する際に便利です。
4-5.俳優 小泉孝太郎 マネロパワーリザーブ Ref.00.10912.08.33.01
俳優 小泉孝太郎さんが着けているのはマネロパワーリザーブ Ref.00.10912.08.33.01です。小泉さんは複数の時計を着けており、ハミルトンジャズマスターやオメガスピードマスターといったクラシックでスポーティーなモデルを多く着けているようです。
Ref.00.10912.08.33.01はマネロシリーズで初めて自社製ムーブメントを搭載したモデルです。機能を複数備えており、3時位置にレトログラード式のパワーリザーブ表示、6時位置はスモールセコンド、9時位置には曜日、11時位置にはビッグデイトを備えています。ペリフェラルローターを搭載しているため、ムーブメントの動きをケースバックから楽しめます。
5.カール・F・ブヘラのおすすめモデル5選
5-1.アダマビ フルカレンダー Ref.00.10324.08.13.21
Ref.00.10324.08.13.21はシンプルなドレスウォッチのアダマビに複数のカレンダー機能を搭載したモデルです。伝統的なトリプルカレンダーで、12時位置に曜日と月、6時位置にムーンフェイズ、文字盤を囲むように配置されたポインターデイトです。
丸みを帯びたベゼル、ゴールドの針と植字のインデックスなど、伝統的な古き良き時代の時計を感じさせるデザインです。5連のポリッシュがかかったブレスレットやスケルトン化された裏蓋など現代的なエッセンスも盛り込まれており、銘品を最新の技術で楽しむ世界観の時計となっています。
5-2.パトラビエボテックパワーリザーブ Ref.00.10627.13.33.01
Ref.00.10627.13.33.01は2008年にムーブメントが発表されたペリフェラルローター式を採用した自社製ムーブメントを初めて搭載したシリーズパトラビエボテックの一本です。ムーブメントだけではなく時計全体にオリジナリティーを付与したいと考え、最近では珍しいクッションケースで展開されています。
11時位置の特徴的なビッグデイトと3時位置には針付きのディスクによるパワーリザーブ表示は使い勝手が良く、日常使いに適しています。Cal.CFB A1003を搭載しており、ペリフェラルローター式のため、スケルトンの裏蓋からムーブメントをしっかり見ることが出来ます。ブラックの文字盤や中抜きされた太めの針など、シャープなデザインにまとまっています。
5-3.ヘリテージ バイコンパックス アニュアル ルツェルン Ref.00.10803.08.12.22
Ref.00.10803.08.12.22はかつて銘品を現代的なエッセンスを加えて蘇らせるヘリテージの一本です。バイコンパックスとはツーカウンターのことで、クロノグラフを搭載していることにもつながります。どのモデルも限定生産です。
このモデルはリンカーン コスモポリタン タウンカーからインスピレーションを得て制作しています。これはかつて創業者が所有し手放してしまったクラシックカーを2代目が買戻し、郷愁の思いで修繕し再度乗っていることエピソードからつくられています。これはいわばファミリーカー、ひいては故郷ルツェルンへの思いが詰まった車です。特徴的なブルーは車の外装を再現しています。
機能も充実しており、3月1日以外は調整不要なアニュアルカレンダー、クロノグラフを搭載しています。12時位置には見やすいビッグデイト、4時位置には曜日、文字盤の見返しにはタキメーターを備えています。クラシックでいてスポーティーな雰囲気はクラシックカーを再現したものです。
5-4.マネロ フライバック Ref.00.10927.08.13.XX(2022新作)
マネロフライバックは2022年の新作で、ツーカウンタークロノグラフとなっています。アラビアもローマ数字も使わない楔形インデックスで、ヘリテージのツーカウンターよりもシンプルで端正なデザインとなっています。スタートとリセットを1ボタンで操作可能なフライバッククロノグラフと日付表示を備えています。
カラーリングはインダイヤルとストラップの組み合わせで赤、青、緑、白、黒の5種類で展開しています。旅をテーマとしてデザインされており、赤は夕日、青は海、緑は自然、白は雪、黒は影を時計で再現しています。写真家のハネス・ベッカーとパートナーシップを結び、それぞれの風景を表現するカラーで時計をつくっています。
5-5.マネロ セントラルカウンター Ref.00.10923.08.33.99(2022新作)
Ref.00.10923.08.33.99はマネロのツーカウンタークロノグラフの新作です。2016年からスイスサッカー協会のオフィシャルタイムキーパーを務めており、今回のモデルはサッカーを想起させるデザインとなっています。文字盤外周のグリーンはサッカー場の芝生をイメージしており、サッカーの競技時間ごとに通常の前半後半の45分、アディショナルタイム、延長戦とそれぞれ目盛りがふられています。
セントラルカウンターはクロノグラフのことで、クロノ針だけでなく分の積算計も文字盤中央の針で計測します。3時位置のインダイヤルは秒針、9時位置はローカルタイムを24時間計で表示しています。ベゼルはブラックDLCコーティングされ対傷性に優れています。
6.まとめ
カール・F・ブヘラの歴史、魅力、代表シリーズ、着用している有名人、人気モデルについてまとめました。純粋な時計メーカーとしての歴史は浅く、新しいシリーズや機構の展開がまだまだこれから期待されているブランドです。スイスに訪れる際にはブヘラの店舗を覗いてみると、カール・F・ブヘラにつながる要素を感じることができるかもしれません。街中でカール・F・ブヘラの時計を見かけたらぜひ一度手にとってみてください。